MENU

初心者向け【CFDとは?】仕組み・メリット・リスクを一挙解説

「CFDって最近よく聞くけど、一体どんなものなのだろう?」
「少ない資金から投資を始めたいけれど、何を選べばいいかわからない…」
「株価が下がっているときでも利益を出す方法はないのかな?」
このような疑問や悩みをおもちではありませんか。
CFD(差金決済取引)は、少ない資金で始められ、多様な金融商品に投資できる可能性がある注目の金融商品です。
かつて投資初心者だった私も、CFDの仕組みを学び、少額資金から資産形成への一歩を踏み出す経験をしました。
この記事を読めば、CFDの基本的な仕組み、メリット、そして注意すべきリスクまで、全体像をしっかりと理解できます。
CFDの知識を身につけることで、レバレッジを活用した効率的な投資、下落相場での収益機会の追求、そして世界中のさまざまな市場へのアクセスといった、新しい投資の世界が広がるでしょう。
CFD取引について、基本からわかりやすく解説していきます。

本記事について

本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の手法や知識を推奨したり、売買を勧めたりするものではありません。

本記事に記載されている情報については、正確性、完全性、有用性を確保するために努力しておりますが、その保証は致しかねます。

投資対象や商品の選択など、実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

必要に応じて、財務アドバイザーや税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

本記事の情報を利用した結果として発生するいかなる損害についても、著者は一切の責任を負いません。

目次

1. CFD(差金決済取引)とは

CFD(差金決済取引)は、現物の受け渡しを行わず、売買価格の差額のみを決済する金融商品です。株価指数、個別株、商品など多様な資産にレバレッジをかけて取引できます。現物取引やFX、先物取引とは異なる特徴をもちます。

1.1 CFDの基本定義

CFDは英語の「Contract for Difference」の略称です。

日本語では「差金決済取引」と訳されます。

CFDの最も大きな特徴は、株式や商品(コモディティ)といった現物の受け渡しをしない点にあります。

取引の際には、買値と売値、あるいは売値と買値の価格差だけを現金で決済します。

投資家は証券会社に「証拠金」と呼ばれる担保を預け入れます。

証券会社は、預けられた証拠金を基に取引を許可します。

レバレッジという仕組みを利用できる点も、CFDの大きな特徴です。

レバレッジとは「てこの原理」のようなもので、少ない証拠金でその何倍もの金額の取引を可能にします。

これにより、投資家は少ない資金で大きな取引に挑戦できます。

CFDの取引対象は非常に幅広いです。

日経平均株価やNYダウなどの株価指数、国内外の個別株式、原油や金といった商品(コモディティ)、さらには債券など、多様な金融資産に投資できます。

CFDって、株みたいに実際に会社の株をもつわけじゃないんですね?

そのとおり!CFDはあくまで『価格の差額』を取引する契約なの。だから、現物の受け渡しはないんだ。その分、少ない資金で始めやすいメリットもあるのよ。

なるほど、だから『差金決済』なんですね。少しイメージがつかめてきました!

1.2 現物取引・FX・先物との違い

CFDは他の金融商品といくつかの点で異なります。

現物取引(株式など)との違いをみてみましょう。

現物株式投資では、投資家は実際に企業の株式を保有します。

そのため、配当金を受け取ったり、株主優待を得たりする権利があります(CFDでは配当相当額の受け払いが発生します)。

一方、CFDでは現物を保有しません。

あくまで価格差を取引する契約です。

また、現物株式は基本的に買いから入りますが、CFDは売り(ショート)から取引を始めることも可能です(銘柄によります)。

さらに、CFDではレバレッジを利用できますが、現物株式ではレバレッジは利用できません(信用取引を除く)。

次に、FX(外国為替証拠金取引)との違いです。

FXの取引対象は、米ドル/円やユーロ/円といった通貨ペアに限定されます。

CFDは株価指数、個別株、商品など、より多様な資産を取引対象とします。

ただし、差金決済である点、証拠金取引である点、レバレッジを利用できる点は共通しています。

最後に、先物取引との違いです。

先物取引には「限月(げんげつ)」と呼ばれる決済期限が定められています。

限月を迎えると、ポジションは強制的に決済されます。

一方、CFDの多くは決済期限がありません(一部限月が設定されている銘柄もあります)。

そのため、長期的なポジション保有も可能です。

また、一般的に先物取引は取引単位が大きい傾向がありますが、CFDは比較的小さな単位から取引を始められます。

差金決済、証拠金取引、レバレッジ利用、売りから入れる点は共通しています。

以下に、これらの違いをまとめます。

特徴CFD現物株式FX(外国為替証拠金取引)先物取引
取引対象株価指数、個別株、商品、債券など多様個別株式、ETFなど通貨ペア商品、株価指数、債券など
現物受渡なしありなしなし(差金決済が主流)
決済期限なし(主流、一部あり)なしなしあり(限月)
レバレッジありなし(信用取引除く)ありあり
売りから取引可能(銘柄による)制限あり(信用取引など)可能可能
主なコストスプレッド、金利/配当調整額など売買手数料、配当(受取)などスプレッド、スワップなど売買手数料、限月乗換など

FXとはどう違うんですか?どっちもレバレッジを使うんですよね?

いい質問ね!FXは『通貨』だけだけど、CFDは株価指数や個別株、原油や金みたいな『商品』も取引できるの。投資対象の幅広さがCFDの魅力の一つよ。

なるほど、CFDの方が色々なものに投資できるんですね!

1.3 CFDが生まれた背景と歴史

CFDは比較的新しい金融商品と思われがちですが、その起源は少し遡ります。

(1) 英国発祥と世界的普及

CFDは、1990年代初頭に英国ロンドンで誕生しました。

当初は、機関投資家が主な利用者でした。

英国では株式購入時に印紙税という税金がかかりますが、現物株を保有しないCFDを利用することで、この税負担を回避する目的などがありました。

また、ヘッジファンドなどが少ない資金で効率的に市場エクスポージャーを得るためにも利用されました。

その後、インターネット取引の普及とともに、個人投資家向けのCFDサービスが登場します。

特に欧州やオーストラリアなどで急速に普及しました。

オンラインプラットフォームを通じて、個人でも手軽に多様な市場にアクセスできるようになった点が、普及を後押しした要因でしょう。

(2) 日本市場への導入

日本においてCFD取引が個人投資家に提供され始めたのは、2000年代後半からです。

当初は、海外の株価指数CFDなどが中心でした。

日本の投資家にとって馴染みのある日経平均株価や、関心の高いNYダウなどを取引できる点が注目されました。

近年では、取り扱う証券会社が増加し、国内個別株商品(コモディティ)など、取引できる銘柄の種類も大幅に増えています。

日本のCFD取引は、金融庁の規制のもとで提供されています。

レバレッジの上限設定やロスカットルールの義務化など、投資家保護を図るためのルールが整備されています。

これにより、投資家は一定の安全性の下で取引に臨めます。

CFDって、いつ頃からあるんですか?

元々は1990年代初めにイギリスで機関投資家向けに生まれたのよ。それが個人投資家にも広がって、日本でも2000年代後半くらいから本格的に取引できるようになったんだ。

意外と歴史があるんですね。てっきり最近のものかと思っていました。

2. CFDの仕組みと取引フロー

CFD取引は、買値と売値の差額を決済する仕組みです。取引には証拠金が必要で、レバレッジを利用して少ない資金で大きな取引が可能です。価格上昇を予想する場合は買い(ロング)、下落を予想する場合は売り(ショート)から取引を始められます。

2.1 差金決済の流れ

CFD取引の利益や損失は、「差金決済」という方法で計算されます。

これは、取引開始時(エントリー)の価格と、取引終了時(決済)の価格の差額だけをやり取りする仕組みです。

具体例で見てみましょう。

例えば、日経平均株価に連動するCFD(JP225など)を、価格が30,000円のときに買い(ロング)でエントリーしたとします。

その後、価格が30,500円に上昇した時点で決済(売り)した場合。

差額は「30,500円 – 30,000円 = 500円」です。

この500円が利益となります(実際には取引数量やスプレッド、手数料などのコストを考慮する必要があります)。

逆に、原油CFDを1バレル80ドルのときに売り(ショート)でエントリーしたとします。

その後、価格が85ドルに上昇してしまった時点で決済(買い戻し)した場合。

差額は「80ドル – 85ドル = -5ドル」です。

この5ドルが損失となります(こちらも取引数量やコストを考慮する必要があります)。

このように、CFD取引では現金の受け渡しのみで取引が完結します。

実際に株式や原油を受け取ることはありません。

また、ポジションを保有している間(建玉を保有中)は、市場価格の変動に応じて損益(評価損益)がリアルタイムで変動し続けます。

差金決済って、具体的にどうやって計算するんですか?

簡単よ。例えば、ある銘柄を100円で買って110円で売ったら、差額の10円が利益(手数料などは除く)。逆に100円で売って(空売り)、105円で買い戻したら、差額の5円が損失になるの。

買った値段と売った値段の差だけなんですね!シンプルでわかりやすいです。

2.2 証拠金とレバレッジの考え方

CFD取引を行うためには、「証拠金(しょうこきん)」と呼ばれる担保となる資金を証券会社に預け入れる必要があります。

これは、取引する金額の全額を用意する必要がない、というCFDの特徴に関連します。

証拠金は、取引したい金額の一部だけで済みます。

この証拠金を担保にして、より大きな金額の取引を可能にする仕組みが「レバレッジ」です。

レバレッジは日本語で「てこ」を意味します。

「てこの原理」のように、少ない力(証拠金)で大きなもの(取引金額)を動かすイメージです。

例えば、レバレッジ10倍を利用する場合、10万円の証拠金で100万円分の取引が可能になります。

レバレッジを利用することで、資金効率を高められる点がメリットです。

少ない元手でも、大きなリターンを狙える可能性があります。

しかし、レバレッジはリスクも同様に増大させます。

利益が大きくなる可能性がある一方で、損失も大きくなる可能性があるため、注意が必要です。

レバレッジってよく聞きますけど、どういう仕組みなんですか?

少ない資金(証拠金)で、その何倍もの大きな取引ができる仕組みよ。例えば10万円の証拠金で100万円分の取引ができたら、レバレッジ10倍ってこと。資金効率はいいけど、損失も大きくなる可能性があるから注意が必要だよ。

てこの原理、ですね。少ない力で大きなものを動かせるけど、失敗すると危ない、みたいな感じでしょうか。

(1) 必要証拠金の計算方法

実際にCFD取引を始めるにあたり、どれくらいの証拠金が必要になるのか(必要証拠金)を計算する方法を知っておく必要があります。

基本的な計算式は以下のとおりです。

必要証拠金 = 取引価格 × 取引数量 ÷ レバレッジ倍率

例えば、日経平均CFD(JP225)の価格が30,000円のときに、1枚(取引単位)をレバレッジ10倍で取引したい場合を考えます。

必要証拠金 = 30,000円 × 1枚 ÷ 10倍 = 3,000円

この場合、最低3,000円の証拠金があれば、30,000円相当の取引を開始できる計算になります。

ただし、これはあくまで最低限必要な金額です。

価格変動による損失に備え、口座には余裕をもった資金を入れておくことが推奨されます。

また、証券会社や取引する銘柄によっては、計算方法が異なる場合(例:1取引単位あたりに必要な証拠金額が固定されているなど)もありますので、利用する証券会社のルールを必ず確認してください。

(2) 最大レバレッジ倍率と規制

CFDのレバレッジは、無限に高く設定できるわけではありません。

投資家保護の観点から、日本の金融庁は個人投資家向けのCFD取引に対して、最大レバレッジ倍率の上限を定めています。

上限は、取引するCFDの原資産(もととなる資産)の種類によって異なります。

  • 株価指数CFD:最大10倍
  • 個別株CFD:最大5倍
  • 商品(コモディティ)CFD:最大20倍
  • その他のCFD(バラエティCFD、債券CFDなど):最大50倍 (※銘柄により異なる場合や、市場の状況によって変更される可能性があります)

これらの規制は、過度なリスクから投資家を守るために設けられています。

レバレッジが高いほど、少しの値動きで大きな損失につながる恐れがあるためです。

一部の海外CFD業者では、日本の規制よりも高いレバレッジを提供している場合があります。

しかし、日本の金融庁に登録されていない無登録業者である可能性があり、トラブルが発生した際に日本の法律による保護を受けられないリスクがあります。

業者選びは慎重に行う必要があります。

2.3 売り・買い(ロング/ショート)の注文方法

CFD取引の大きな特徴の一つに、「売り(ショート)」から取引を始められる点があります。

通常の株式現物取引では、基本的に「安く買って高く売る」ことで利益を目指します(買いから入る)。

CFDでは、これに加えて「高く売って安く買い戻す」ことでも利益を狙えます。

  • 買い(ロング)ポジション:将来、価格が上昇すると予想する場合に取る戦略です。現在の価格で買い注文を出し、予想通り価格が上昇した後に売り決済することで、その差額が利益となります。
  • 売り(ショート)ポジション:将来、価格が下落すると予想する場合に取る戦略です。現在の価格で売り注文を出し、予想通り価格が下落した後に買い戻し決済することで、その差額が利益となります。(現物を保有していなくても売りから始められます)

このように、CFDでは相場の上昇局面でも下落局面でも利益を追求するチャンスがあります。

市場がどちらに動いても対応できる柔軟性が、CFDの魅力の一つといえるでしょう。

実際に注文を出す際には、以下の項目を指定するのが一般的です。

  • 銘柄: 取引したいCFDの銘柄(例:JP225、US30、金、トヨタ自動車など)
  • 数量: 取引したい量(例:1枚、0.1ロットなど)
  • 売買区分: 買い(ロング)か売り(ショート)か
  • 注文タイプ:
    • 成行(なりゆき)注文: 価格を指定せず、現在の市場価格で即座に約定させる注文。
    • 指値(さしね)注文: 約定させたい価格を指定する注文。買いなら指定価格以下、売りなら指定価格以上になった場合に約定します。
    • 逆指値(ぎゃくさしね)注文: 不利な方向への価格変動に備える注文。買いなら指定価格以上、売りなら指定価格以下になった場合に、損失確定(損切り)または利益確定の注文として発動します。

これらの注文方法を理解し、状況に応じて使い分けることが、効果的な取引につながります。

『売りから入る』ってどういうことですか?もってないものを売るんですか?

そう!CFDならそれができるの。価格が下がると思ったら、先に『売り』注文を出して、実際に価格が下がった後に『買い戻す』ことで利益を出す戦略よ。下落相場でもチャンスがあるのがCFDのいいところね。

へぇー!面白い仕組みですね。相場が下がっていても利益が出せる可能性があるんだ。

3. CFDで取引できる主な市場と銘柄

CFDでは、日経平均やNYダウなどの株価指数、国内外の個別株、原油や金といった商品(コモディティ)、さらに債券やETFなど、非常に幅広い金融商品を取引対象にできます。これにより、多様な投資戦略が可能になります。

CFDの大きな魅力の一つは、取引対象となる金融商品の多様性です。

一つの証券会社の口座で、世界中のさまざまな市場や資産に投資できます。

3.1 株価指数CFD

株価指数CFDは、特定の株式市場やセクターの動きを示す株価指数を原資産とするCFDです。

世界の主要な株価指数に連動するため、市場全体の動向を捉えたい場合に適しています。

代表的な株価指数CFDには、以下のようなものがあります。

  • 日本: 日経平均株価(JP225)、TOPIX
  • 米国: NYダウ(US30)、S&P500(US500)、ナスダック100(NAS100)
  • 欧州: ドイツDAX(DE30)、英国FTSE100(UK100)、ユーロ・ストックス50
  • アジア: 香港ハンセン指数(HK50)、中国A50

株価指数は多数の銘柄で構成されているため、個別株に投資するよりも分散効果が期待できます。

一方で、各国の経済指標や金融政策、世界的なニュースや地政学リスクなど、マクロ経済の動向に価格が左右されやすい特徴があります。

日々のニュースで報じられることも多く、初心者にとっても比較的馴染みやすい銘柄といえるでしょう。

株価指数CFDって、ニュースでよく聞く日経平均とかも取引できるんですか?

そうよ!日経平均はもちろん、アメリカのNYダウやS&P500、ハイテク株中心のナスダックなんかもCFDで取引できるの。世界経済の動きに投資できるのが魅力ね。

個別株を選ぶのは難しそうだけど、指数ならとっつきやすいかも!

3.2 個別株CFD

個別株CFDは、特定の企業の株式を原資産とするCFDです。

証券会社によって取り扱い銘柄は異なりますが、国内外のさまざまな企業の株式をCFDで取引できます。

  • 日本株の例: トヨタ自動車、ソニーグループ、ソフトバンクグループ、任天堂など
  • 米国株の例: Apple、Amazon、Microsoft、Tesla、Google(Alphabet)など
  • その他海外株の例: 欧州や中国などの有名企業の株式

個別株CFDの価格は、その企業の業績、新製品発表、業界動向、M&Aなどのニュース、そして市場全体の地合いなど、さまざまな要因で変動します。

現物株投資と同様の分析が必要となります。

現物株投資との大きな違いは、レバレッジを利用できる点です。

少ない資金で、値がさ株(株価の高い株)への投資も可能になります。

また、銘柄によっては売り(ショート)から取引を始められるため、株価下落局面でも利益を狙えます。

個別株CFDを保有して配当金の権利確定日(配当落ち日)をまたぐ場合、「配当相当額」の受け払いが発生します。

買いポジションを保有していれば受け取り、売りポジションを保有していれば支払いとなります。

日本の個別株もCFDで取引できるんですか?あと、アメリカの有名な会社の株とかも?

できるわよ!日本の有名企業株はもちろん、アップルやアマゾンみたいなアメリカ株もCFDなら取引可能よ。現物株だと手が届きにくい銘柄も、CFDのレバレッジを使えば少額から狙えるのがメリットね。

憧れの米国株もCFDなら…!夢が広がります!

3.3 コモディティ(原油・金など)CFD

コモディティCFDは、エネルギー、貴金属、農産物といった商品(コモディティ)を原資産とするCFDです。

株式や債券とは異なる値動きをする傾向があるため、ポートフォリオの分散に役立つとされています。

代表的なコモディティCFDには、以下のようなものがあります。

  • エネルギー: WTI原油、ブレント原油、天然ガス、ヒーティングオイルなど
  • 貴金属: 金(ゴールド)、銀(シルバー)、プラチナ、パラジウムなど
  • 農産物: とうもろこし、大豆、小麦、コーヒー、砂糖など(取扱業者は限られます)

コモディティの価格は、需給バランス(需要と供給の関係)、天候(特に農産物)、地政学リスク(産油国の情勢など)、世界経済の動向代替エネルギーの開発など、多岐にわたる要因の影響を受けます。

例えば、原油価格はOPEC(石油輸出国機構)の生産動向や中東情勢に大きく左右されます。

金価格は、世界的な金融不安が高まると「安全資産」として買われたり、インフレ懸念が高まるとインフレヘッジとして注目されたりする傾向があります。

株式市場とは異なる視点での分析が必要となる点が特徴です。

コモディティって何ですか?原油とか金のことですか?

その通り!エネルギー資源の原油や天然ガス、貴金属の金や銀などが代表的ね。株とは値動きの要因が違うから、ポートフォリオに加えるとリスク分散になることもあるのよ。

株だけじゃなくて、色々なものに投資できるのがCFDの面白いところですね。

3.4 債券・ETF・その他CFD

上記以外にも、CFDではさまざまな金融商品を取引できます。

債券CFDは、主に国債の先物価格を原資産とするCFDです。

  • 例:日本国債先物、米国債10年利回り、ドイツ国債先物など

債券価格は金利動向と密接に関連しています。

一般的に、金利が上昇すると債券価格は下落し、金利が低下すると債券価格は上昇する傾向があります。

ETF(上場投資信託)CFDは、証券取引所に上場しているETFを原資産とするCFDです。

特定の株価指数に連動するETF、特定の業種(セクター)の株式を集めたETF、あるいは債券やコモディティに連動するETFなど、さまざまな種類のETFがCFDの対象となっています。

ETF自体が分散投資を目的とした商品であるため、ETF CFDも分散効果が期待できます。

さらに、一部の証券会社では、VIX指数(恐怖指数)のようなボラティリティ(価格変動率)を示す指数を対象としたCFDも提供しています。

VIX指数は、市場参加者の将来の価格変動に対する予想を反映するとされ、市場の不安心理が高まると上昇する傾向があります。

ただし、これらの債券CFD、ETF CFD、その他のCFDの取り扱いは、証券会社によって大きく異なります。

取引したい銘柄がある場合は、口座を開設する前に、その証券会社が取り扱っているかを確認する必要があります。

債券とかETFもCFDで取引できるんですか?

ええ、扱っている証券会社は限られるけど、国債先物や特定のETFを対象にしたCFDもあるのよ。さらにマニアックなものだと、市場の変動性を示すVIX指数(恐怖指数)なんていうCFDもあるわ。

本当に色々な種類があるんですね!証券会社選びも重要になりそう…。

4. CFD取引のメリット

CFD取引の主なメリットは、レバレッジによる資金効率の向上、相場の上昇・下落どちらの局面でも利益を狙えること、そして日本時間の夜間や早朝も含め、ほぼ24時間、世界の様々な市場にアクセスできる点です。

CFD取引には、他の金融商品にはない、あるいはより際立ったメリットがいくつか存在します。

これらを理解することで、CFDを自身の投資戦略にどのように活かせるかが見えてきます。

4.1 レバレッジによる資金効率

CFDの最大のメリットの一つが、レバレッジを利用できる点です。

レバレッジにより、少ない証拠金で大きな金額の取引が可能になります。

これは、資金効率が非常に高いという利点につながります。

例えば、100万円分の取引をしたい場合、現物株式であれば基本的に100万円の資金が必要です。

しかし、CFDでレバレッジ10倍を利用すれば、必要な証拠金は10万円(100万円 ÷ 10倍)で済みます(※計算を単純化しています)。

このように、手元の資金が少なくても、レバレッジを活用することで大きなリターンを狙うことが可能になります。

少額から投資を始めたい初心者の方や、資金を有効活用したい経験者の方にとって、レバレッジは大きな魅力となるでしょう。

ただし、繰り返しになりますが、レバレッジは利益だけでなく損失も拡大させる諸刃の剣です。

高い資金効率の裏には、相応のリスクが存在することを常に意識しておく必要があります。

レバレッジを使うと、少ないお金でも大きな取引ができるってことですよね?

その通り!例えば10万円しかなくても、レバレッジ10倍なら100万円分の取引ができるイメージね。資金を効率よく使えるのがメリットだけど、損失も10倍になるリスクがあることは絶対に忘れないでね。

少ない資金で始められるのは魅力だけど、リスク管理が重要なんですね。

4.2 上昇・下落どちらでも利益機会

CFD取引では、価格上昇を予想して買う「買い(ロング)」だけでなく、価格下落を予想して売る「売り(ショート)」からでも取引を開始できます。

これは、現物株式投資(特に信用取引を利用しない場合)にはない大きなメリットです。

相場が上昇局面にあれば「買い」で利益を狙い、逆に下落局面にあれば「売り」で利益を狙うことができます。

つまり、市場の方向性に関わらず、常に利益獲得のチャンスを探れるのです。

例えば、特定の企業の業績悪化が予想される場合、その企業の個別株CFDを「売り」から入ることで、株価下落によって利益を得られる可能性があります。

また、保有している現物株式ポートフォリオのリスクヘッジ(価格下落リスクの回避・軽減)として、関連する株価指数CFDを「売り」で建てる、といった戦略的な使い方も可能です。

このように、相場の上昇・下落の両方に対応できる柔軟性は、CFDの大きな強みといえます。

株価が下がっている時でも、CFDなら利益を出せる可能性があるんですか?

そうなの!『売り(ショート)』から入れば、予想通りに価格が下がれば利益になるわ。相場が上げても下げてもチャンスがあるのは、CFDの大きな強みよ。

どんな相場状況でも対応できる可能性があるんですね!

4.3 24時間・グローバル市場へのアクセス

CFDは、世界中のさまざまな市場の銘柄を、ほぼ24時間取引できる点も大きなメリットです。

日本の株式市場(東京証券取引所)の取引時間は、通常、平日の9:00~11:30(前場)と12:30~15:30(後場)に限られます。

日中仕事をしている方などは、リアルタイムで取引に参加するのが難しい場合があります。

しかし、CFDであれば、日本の株式市場が閉まっている夜間や早朝でも、取引が可能です。

例えば、日本時間の夜は、米国市場(NYダウ、ナスダック、米国株など)欧州市場(DAX、FTSE100など)が活発に動いています。

また、原油や金などの商品CFDも、ほぼ24時間取引されています(※市場や銘柄、CFD業者により取引時間は異なります。週末やメンテナンス時間を除く)。

これにより、自身のライフスタイルに合わせて取引時間を柔軟に選べます。

日中の仕事が終わった後や、早朝の時間帯を利用して取引に参加できます。

また、海外市場で大きなニュースがあった際に、日本の市場が開くのを待たずに、即座に対応することも可能です。

一つのプラットフォームで、日本株、米国株、株価指数、商品など、多様な国の多様な資産にアクセスできる点も、グローバルな投資を目指す上で大きな利点となるでしょう。

注意点として、CFDの取引時間は、対象となる原市場の取引時間や、CFDを提供する証券会社のカバー状況によって異なります。

また、市場の流動性が低い時間帯(早朝など)は、スプレッドが拡大する傾向がある点も考慮に入れる必要があります。

仕事が終わった後とか、夜でも取引できるんですか?

ええ、そこもCFDの便利なところね!日本の株価指数CFDやアメリカ株CFDなんかは、日本の夜間でも活発に取引されているの。日中忙しい人でも、自分のライフスタイルに合わせて取引しやすいのよ。

それは助かります!日中は仕事で相場を見られないので…。

5. CFD取引のデメリット・リスク

CFD取引にはメリットだけでなく、デメリットやリスクも存在します。特にレバレッジは利益だけでなく損失も拡大させる諸刃の剣です。証拠金不足による追証やロスカット、価格調整額などのコスト発生、市場の状況による流動性低下やスプレッド拡大のリスクを理解しておく必要があります。

CFD取引は魅力的なメリットがある一方で、無視できないデメリットやリスクも存在します。

取引を始める前に、これらの点を十分に理解し、対策を講じることが不可欠です。

5.1 レバレッジリスク(損失拡大)

CFDの最大のメリットであるレバレッジは、同時に最大のデメリット・リスクにもなり得ます。

レバレッジは、利益を増大させる可能性がある一方で、損失も同様に拡大させます。

例えば、レバレッジ10倍で取引している場合、価格が自分の予想と反対方向に10%動くと、投資した証拠金のほぼ全額(10% × 10倍 = 100%)を失う計算になります。

わずかな価格変動でも、レバレッジ効果によって大きな損失につながる恐れがあるのです。

最悪の場合、相場が急激に変動した際には、預け入れた証拠金以上の損失が発生し、追加の支払い(借金)が必要になる可能性もゼロではありません。

特にCFD取引に慣れていない初心者は、最初から高いレバレッジで取引することは避けるべきでしょう。

まずは低いレバレッジから始め、自己資金の範囲内で、失っても生活に影響のない余裕資金で取引を行うことが重要です。

自身が許容できるリスクの範囲を明確にし、それに基づいてレバレッジ倍率や取引量を決定する必要があります。

レバレッジって、やっぱり怖いイメージがあります…。

その感覚は大事よ。レバレッジは利益を大きくする可能性があるけど、逆に損失も大きくしてしまう。予想が外れると、あっという間に資金が減ってしまうこともあるの。だから、最初は低いレバレッジから試すとか、損切りルールを徹底するとか、リスク管理が本当に重要になるわ。

ハイリターンにはハイリスクが伴う、ということですね。肝に銘じます。

5.2 追証・ロスカット

CFD取引では、ポジションの含み損が拡大し、口座の証拠金維持率(口座残高に占める必要証拠金の割合を示す指標)が、証券会社の定める一定水準を下回ると、「追証(おいしょう)」、すなわち追加証拠金の請求が発生します。

追証が発生した場合、投資家は指定された期限までに、追加の資金を入金するか、保有しているポジションの一部または全部を決済して、証拠金維持率を回復させる必要があります。

もし、期限までに追証を解消できない場合、または、さらに相場が悪化して証拠金維持率が**「ロスカット水準」と呼ばれる、さらに低い水準に達してしまった場合には、保有している全てのポジションが強制的に決済**されます。

これが「ロスカット」です。

ロスカットは、証拠金以上の損失が発生するリスクを最小限に抑えるためのセーフティネットとして機能します。

投資家の損失拡大を防ぐための措置です。

しかし、ロスカットは投資家の意図とは関係なく強制的に実行されるため、本来であれば価格の回復を待ちたかった場面でも、損失が確定してしまいます。

また、市場が極端に急変動した場合(例えば、大きな経済ショックが発生した週末明けなど)には、ロスカットの執行が想定価格から大きく乖離し、結果的に預け入れた証拠金を超える損失が発生し、口座残高がマイナスになるリスクも存在します。

追証やロスカットを避けるためには、常に口座の証拠金維持率に余裕をもたせ、適切なリスク管理(損切り注文の設定など)を行うことが不可欠です。

追証とかロスカットって、よく聞くけどどういう意味ですか?

含み損が大きくなって、口座のお金(証拠金)が一定の割合を下回ると『追証』といって追加でお金を入れるよう求められるの。それでも回復しない、あるいはもっと下がると、損失拡大を防ぐために強制的に決済されちゃうのが『ロスカット』よ。

強制的に決済されちゃうんですか!?それは避けたいですね…。

そうね。だから余裕をもった資金管理と、早めの損切りが大切になるのよ。

5.3 価格調整額・スワップポイント

CFD取引には、売買時のスプレッドや取引手数料以外にも、ポジションを保有し続けることで発生するコストがあります。

それが「価格調整額」(金利調整額、権利調整額(配当相当額))です。

これは、主にポジションを翌営業日以降に持ち越す(ロールオーバーする)場合に発生します。

  • 金利調整額:CFD取引は、実質的に証券会社から資金を借りて(買いポジションの場合)、または貸して(売りポジションの場合)取引している状態とみなせます。そのため、買いポジションを保有している場合は金利の支払い、売りポジションを保有している場合は金利の受け取りが発生するのが一般的です。ただし、金利水準や銘柄によっては、売りポジションでも支払いが発生する場合もあります。
  • 権利調整額(配当相当額):個別株CFDや株価指数CFDにおいて、原資産である株式の配当金の権利確定日をまたいでポジションを保有している場合に発生します。買いポジションを保有していれば配当相当額を受け取り、売りポジションを保有していれば配当相当額を支払います。

これらの価格調整額は、FXにおける「スワップポイント」に似た概念ですが、CFDでは「価格調整額」や「オーバーナイト金利」といった名称で呼ばれることが多いです。

デイトレードのようにその日のうちに決済する場合は影響ありませんが、数日から数週間にわたってポジションを保有する場合には、これらのコストが損益に累積的な影響を与えます。

長期保有を考える際には、価格調整額の条件を事前に確認しておく必要があります。

CFDって、もっているだけでお金がかかることがあるんですか?

そうなの。『価格調整額』といって、ポジションを翌日に持ち越すと金利相当分や配当相当分の調整が行われることがあるの。買いポジションか売りポジションか、銘柄によって受け取りになるか支払いになるか違うから、長期でもつ場合は特に注意が必要よ。

スプレッド以外にもコストがあるんですね。ちゃんと確認しないと…。

5.4 流動性低下・スプレッド拡大

「流動性」とは、市場で取引がどれだけ活発に行われているか、つまり「買いたいときに買え、売りたいときに売れる」度合いを示す指標です。

流動性が高い市場では、取引相手が見つかりやすく、希望する価格に近い価格でスムーズに取引が成立します。

しかし、CFD取引においては、時間帯や市場の状況によって流動性が低下することがあります。

例えば、日本時間の早朝や深夜主要な経済指標(米国の雇用統計など)の発表前後年末年始やゴールデンウィークなどの市場の休日前後などは、市場参加者が減少し、流動性が低下する傾向があります。

流動性が低下すると、いくつかの問題が発生しやすくなります。

一つは、スプレッド(売値と買値の価格差)が通常よりも拡大することです。

スプレッドは実質的な取引コストであるため、スプレッドが拡大すると、取引のたびに不利な価格で約定しやすくなり、コストが増加します。

もう一つは、スリッページの発生リスクが高まることです。

スリッページとは、注文を出した価格と、実際に約定した価格との間にずれが生じる現象です。

流動性が低いと、希望通りの価格で約定せず、不利な価格で約定してしまう可能性が高まります。

特に、重要な経済指標発表時などは、価格が急変動しやすく、スプレッド拡大やスリッページのリスクが顕著になります。

このような時間帯での取引は、予期せぬ損失につながる恐れがあるため、特に初心者は避けるか、十分な注意が必要です。

スプレッドって、いつも同じじゃないんですか?

いいところに気づいたわね!普段は狭いスプレッドを提供している業者でも、早朝や深夜、大きな経済ニュースがあった時なんかは、市場の取引量が減ってスプレッドが広がることがあるの。不利な価格で取引しちゃう可能性もあるから、そういう時間帯は注意が必要よ。

取引する時間帯も考えないといけないんですね。

6. CFD取引コストの全体像

CFD取引には、売買時に発生するスプレッドや取引手数料(業者による)、ポジションを翌日以降に持ち越す場合に発生するオーバーナイト金利(建玉管理料)、そして原資産の金利や配当に関連する価格調整額といったコストがかかります。これらのコストを理解し、トータルで考慮することが重要です。

CFD取引で利益を上げるためには、値動きを予測するだけでなく、取引にかかるコストを正確に把握しておく必要があります。

主なコストには以下のものがあります。

6.1 売買スプレッドと取引手数料

スプレッドは、CFDの買値(Ask)と売値(Bid)の価格差のことです。

投資家が取引を行う際には、買いたい場合は買値(高い方の価格)、売りたい場合は売値(安い方の価格)で取引するため、この価格差が実質的な取引コストとなります。

スプレッドは狭いほど投資家にとって有利です。

スプレッドの幅は、CFD業者や取引する銘柄、そして市場の流動性(前述)によって変動します。

一般的に、流動性の高い主要な株価指数や通貨ペアに関連するCFDのスプレッドは狭く、流動性の低い銘柄や時間帯では広がる傾向があります。

取引手数料は、取引ごとに発生する手数料です。

CFD取引においては、取引手数料が無料となっている証券会社が多いです。

その場合、主な取引コストはスプレッドのみとなります。

ただし、一部のCFD(特に個別株CFDなど)では、別途取引手数料が設定されている場合があります。

利用する証券会社の手数料体系を事前に確認することが必要です。

CFDのコストって、主にスプレッドだけ考えればいいんですか?

多くの場合はスプレッドが主なコストになるわね。特に株価指数CFDなんかは手数料無料のところが多いから。でも、個別株CFDだと別に手数料がかかることもあるし、後で説明する金利みたいなコストもあるから、トータルで考えるのが大事よ。

なるほど、スプレッド以外の手数料やコストもしっかり確認します!

6.2 オーバーナイト金利(建玉管理料)

ポジションを決済せずに翌営業日まで持ち越す(ロールオーバーする)場合、オーバーナイト金利(または金利調整額ファンディングコスト建玉管理料など、業者によって呼称が異なります)が発生します。

これは、実質的にポジションを保有するための資金調達コスト(買いポジションの場合)または資金運用収益(売りポジションの場合)を調整するものです。

一般的には、買いポジションを保有している場合は金利を支払い売りポジションを保有している場合は金利を受け取ることが多いです。

しかし、これは原資産の金利水準や市場の状況によって変動し、売りポジションでも支払いが発生する場合や、受け払いがない場合もあります。

オーバーナイト金利は、日々のポジション保有に対して計算され、口座残高から差し引かれるか、加算されます。

デイトレードで完結する場合は発生しませんが、スイングトレードや長期保有を行う場合には、損益に影響を与える重要なコスト要因となります。

具体的な計算方法や金利水準は、CFD業者や銘柄によって異なるため、事前に確認が必要です。

ポジションを持ち越すと、毎日コストがかかるんですか?

そうね、『オーバーナイト金利』とか『金利調整額』とか呼ばれるコストが、基本的には毎日発生するわ。買いか売りか、銘柄によって支払いになるか受け取りになるか違うけど、長く持つほど影響が大きくなるから、デイトレード以外の場合は特に意識しておかないといけないコストよ。

毎日コツコツ引かれたり増えたりするんですね。これも計算に入れないと。

6.3 価格調整額・配当相当額

オーバーナイト金利とは別に、特定のタイミングで発生する価格調整額もあります。

代表的なものが権利調整額(配当相当額)です。

これは、個別株CFD株価指数CFDにおいて、原資産である株式の配当金の権利確定日をまたいでポジションを保有している場合に発生します。

  • 買い(ロング)ポジションを保有している場合:配当相当額を受け取ります
  • 売り(ショート)ポジションを保有している場合:配当相当額を支払います

これは、CFDが現物株を保有していなくても、配当による価格変動の影響を調整するための仕組みです。

また、先物市場を参照しているCFD(例えば一部の商品CFDや株価指数CFD)では、限月の乗り換え(ロールオーバー)に伴う価格調整が発生することがあります。

これは、期近(期限が近い)の先物価格と期先(期限が遠い)の先物価格の差を調整するためのものです。

これらの価格調整額は、ポジションの損益に直接影響します。

特に配当相当額は、高配当株のCFDを長期保有する場合などに、無視できない要素となります。

取引する銘柄の配当情報や、CFD業者の価格調整に関するルールを事前に確認しておくことが望ましいでしょう。

配当金みたいなものも、CFDで受け取れるんですか?

厳密には配当金そのものではないんだけど、『配当相当額』として調整されるのよ。株のCFDを買っていて配当の権利確定日をまたぐと、相当額が口座にプラスされるわ。逆に売っているとマイナスされるから注意が必要ね。

買いポジションならプラスになる可能性があるんですね!それは嬉しいかも。

7. CFD口座開設と業者の選び方

CFD取引を始めるには、まず証券会社でCFD取引口座を開設する必要があります。業者選びでは、取扱銘柄、取引コスト(スプレッド、手数料、調整額)、取引ツールの機能性・使いやすさ、最低入金額や取引単位、サポート体制などを比較検討することが重要です。主要な国内業者にはGMOクリック証券、IG証券、SBIネオトレード証券などがあります。

CFD取引を始めるためには、CFDを取り扱っている証券会社で専用の口座を開設する必要があります。

数ある証券会社の中から、自分に合った業者を選ぶことが、快適で有利な取引への第一歩となります。

7.1 国内主要業者比較(GMOクリック・IG・SBI ほか)

日本国内でCFD取引サービスを提供している主要な証券会社には、以下のような業者があります。

(※情報は変動する可能性があるため、最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。)

  • GMOクリック証券:
    • 特徴: 業界最大手の一つ。株価指数、商品、個別株(国内・海外)など取扱銘柄が豊富。取引ツールが高機能で使いやすいと評判。スプレッドも業界最狭水準を追求。
    • 注意点: 一部銘柄で取引手数料がかかる場合がある。
  • IG証券:
    • 特徴: 英国発祥のグローバル企業。取扱銘柄数が非常に多く、株価指数、個別株(世界各国の株)、商品、債券、ETF、VIX指数など多岐にわたる。ノックアウト・オプションなど独自商品も提供。
    • 注意点: 取引ツールが多機能な反面、初心者にはやや複雑に感じる可能性。一部銘柄のスプレッドが他社より広い場合がある。
  • SBIネオトレード証券(旧ライブスター証券):
    • 特徴: SBIグループ。株価指数や商品CFDに注力。比較的シンプルな取引ツールで初心者にもわかりやすい。低コストを意識したサービス展開。
    • 注意点: 取扱銘柄数はGMOクリック証券やIG証券に比べると限定的。
  • 楽天証券:
    • 特徴: 総合ネット証券大手。株価指数、商品、個別株(米国株中心)CFDを提供。「マーケットスピード II」などの高機能ツールが利用可能。楽天ポイントが貯まる・使える。
    • 注意点: CFDの取扱銘柄数は特化型業者に比べると少なめ。
  • マネーパートナーズ:
    • 特徴: FXで有名だがCFDも提供。主要な株価指数や商品CFDを取引可能。nano単位(小額)からの取引に対応している銘柄がある。
    • 注意点: 取扱銘柄数は限定的。
  • その他: DMM CFD、岡三オンライン証券、外為どっとコム(CFDネクスト)など、各社特色のあるサービスを提供しています。

業者を選ぶ際には、以下の比較表のような観点で検討するとよいでしょう。

比較ポイントGMOクリック証券IG証券SBIネオトレード証券楽天証券
主な取扱銘柄株価指数、商品、個別株(日米欧)、ETF株価指数、商品、個別株(世界各国)、債券、ETF、VIX、ノックアウト・オプション株価指数、商品株価指数、商品、個別株(米国中心)、ETF
取引手数料(代表例)無料(一部個別株CFD除く)無料(一部個別株CFD除く)無料無料(一部個別株CFD除く)
スプレッド(代表例)業界最狭水準(例: 日経平均 5円、NYダウ 4ドル)競争力あり(例: 日経平均 5円、NYダウ 4ドル)競争力あり(例: 日経平均 5円、NYダウ 5ドル)競争力あり(例: 日経平均 5円、NYダウ 4ドル)
取引ツール高機能PCツール、スマホアプリ高機能PCツール、スマホアプリ、ProRealTimeシンプルなPCツール、スマホアプリマーケットスピード II、iSPEED(スマホ)
スマホアプリあり(高機能)あり(高機能)あり(シンプル)あり(iSPEED)
最低入金額規定なし(ただし取引には証拠金が必要)規定なし(ただし取引には証拠金が必要)規定なし(ただし取引には証拠金が必要)規定なし(ただし取引には証拠金が必要)
サポート体制電話、メール、AIチャット電話、メール、ライブチャット電話、メール電話、メール、AIチャット

(※上記スプレッドは代表的な銘柄の原則固定・例外ありの参考値であり、市場状況等により変動します。最新の情報、詳細な条件は必ず各社公式サイトでご確認ください。)

証券会社ってたくさんあって、どこを選べばいいか迷います…。

そうだよね。まずは自分が何を取引したいか(株価指数?個別株?商品?)、コスト(スプレッドや手数料)はどれくらいか、取引ツールは使いやすそうか、あたりを比較してみるといいわよ。デモ口座で試してみるのもおすすめ。

なるほど、デモ口座で使い勝手を試せるんですね!やってみます。

7.2 取引ツール・スマホアプリの機能

CFD取引の成否には、取引ツールの使いやすさや機能性も大きく影響します。

多くの証券会社が、PC用の高機能な取引ツールと、スマートフォン用のアプリを提供しています。

PC取引ツールでは、以下のような機能が重要になります。

  • チャート機能:
    • 豊富なテクニカル指標(移動平均線、MACD、RSIなど)を表示できるか。
    • 描画ツール(トレンドライン、フィボナッチなど)が充実しているか。
    • 複数のチャートを同時に表示できるか。
    • チャート上から直接発注できるか。
  • 注文機能:
    • 成行、指値、逆指値、IFD、OCO、IFOなど、多様な注文方法に対応しているか。
    • スピーディーに発注できるか(ワンクリック注文など)。
  • ニュース・情報:
    • リアルタイムのニュース配信があるか。
    • 経済指標カレンダーが見やすいか。
  • 画面カスタマイズ:
    • 自分が見やすいようにレイアウトを変更できるか。

スマートフォンアプリでは、外出先でも手軽に取引や情報収集ができるかがポイントです。

  • 操作性:
    • 直感的に操作できるか。
    • チャートが見やすいか。
    • 発注操作が簡単か。
  • プッシュ通知:
    • 価格アラートや約定通知を受け取れるか。
  • PCツールとの連携:
    • PCツールと設定やウォッチリストを共有できるか。

特に初心者の方は、直感的でわかりやすいインターフェースのツールを選ぶと、スムーズに取引に慣れるでしょう。

多くの証券会社ではデモ口座を提供しており、実際のお金を使わずに取引ツールの使用感を試せます。

口座開設前にデモ取引で操作性を確認することをおすすめします。

取引ツールって、やっぱり高機能な方がいいんですか?

機能が多いに越したことはないけど、初心者のうちは使いこなせない機能がたくさんあっても混乱するだけかも。まずはチャートが見やすくて、注文が出しやすい、シンプルなツールから試してみるのがいいんじゃないかな?慣れてきたら高機能ツールに挑戦するのもアリよ。

たしかに、最初はシンプルな方が安心かもしれませんね。

7.3 最低入金額・取引単位とコスト比較

CFD取引を始めるにあたって、どれくらいの資金から始められるかも重要なポイントです。

最低入金額については、多くの証券会社で明確な規定を設けていません。

しかし、実際に取引を行うためには、必要証拠金を満たす金額を入金する必要があります。

取引単位は、CFDの銘柄によって異なります。

例えば、日経平均CFD(JP225)では「1枚」や「0.1枚(ミニ)」、個別株CFDでは「1株」や「10株」、商品CFDでは「1ロット」や「0.1ロット」といった単位で取引されます。

最小取引単位が小さいほど、少ない証拠金で取引を始めることができます。

例えば、日経平均CFDが30,000円、レバレッジ10倍の場合、

  • 最小取引単位が「1枚」なら、必要証拠金は 30,000円 × 1 ÷ 10 = 3,000円
  • 最小取引単位が「0.1枚」なら、必要証拠金は 30,000円 × 0.1 ÷ 10 = 300円 となります(※スプレッドや価格変動リスクを考慮すると、実際にはもっと多くの資金が必要です)。

少額から始めたい初心者の方は、最小取引単位が小さいCFD業者や銘柄を選ぶとよいでしょう。

コスト比較では、前述のスプレッド取引手数料オーバーナイト金利(金利調整額)権利調整額(配当相当額)などを総合的に比較する必要があります。

  • スプレッド: 特にデイトレードなど短期売買を繰り返す場合に重要。
  • 取引手数料: 個別株CFDなどを取引する場合に確認。
  • オーバーナイト金利: スイングトレードなどポジションを数日以上保有する場合に重要。
  • 配当相当額: 個別株CFDや株価指数CFDを配当権利日をまたいで保有する場合に影響。

自分の取引スタイル(短期か長期か、どの銘柄を取引するか)に合わせて、どのコストを重視するかを考え、業者を選ぶことが合理的です。

CFDって、いくらくらいから始められるものなんですか?

それは取引する銘柄や証券会社によるけど、最小取引単位が小さいところなら、数千円とか数万円くらいの証拠金からでも始められるわよ。ただ、ギリギリの資金だとすぐにロスカットになる危険もあるから、余裕をもった資金で始めるのが鉄則ね。

少額からでも始められるのは嬉しいけど、やっぱり余裕資金が大切なんですね。

8. CFD取引開始までのステップ

CFD取引を開始するには、まず証券会社を選び、口座開設を申し込みます。審査完了後、口座に取引資金を入金し、取引ツールの設定を行います。次に、取引したい銘柄を選定し、分析に基づいて注文を発注。ポジションを保有した後は、適切なタイミングで決済し、利益確定または損切りを行います。

CFD取引に興味をもち、実際に始めてみたいと考えた場合、どのような手順を踏めばよいのでしょうか。

口座開設から実際の取引、そして決済までの基本的な流れを解説します。

8.1 口座開設手続き

まず、CFD取引を提供する証券会社を選びます(選び方は第7章参照)。

利用したい証券会社が決まったら、その会社のウェブサイトから口座開設を申し込みます。

申し込み手続きは、多くの場合、オンラインで完結します。

  • 申込フォームへの入力: 氏名、住所、連絡先、職業、年収、投資経験などの情報を入力します。CFD取引はリスクを伴うため、投資経験や金融資産に関する質問が含まれます。正直に回答しましょう。
  • 本人確認書類の提出: 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの本人確認書類を、ウェブサイトへのアップロードや郵送で提出します。マイナンバー(個人番号)の提出も必要です。
  • 審査: 証券会社が申込内容に基づいて審査を行います。審査基準は公開されていませんが、一定の年齢や安定収入、金融資産などが考慮される場合があります。審査には数日~1週間程度かかるのが一般的です。
  • 口座開設完了通知: 審査に通ると、口座開設完了の通知がメールや郵送で届きます。ログインIDやパスワードなどが記載されています。

口座開設は無料で行えます。

複数の証券会社で口座を開設し、比較検討することも可能です。

口座開設って、難しそうですか?

今はほとんどネットで完結するから、思ったより簡単よ。ただ、本人確認書類の提出とか、投資経験についての質問とかはあるから、少し時間はかかるかな。審査もあるけど、一般的な会社員の方なら問題なく通ることが多いと思うわ。

ネットでできるなら、意外と手軽に始められそうですね!

8.2 入金と環境設定

口座開設が完了したら、次は取引資金を入金します。

入金方法は、銀行振込やインターネットバンキングを利用した**クイック入金(即時入金)**などが用意されています。

クイック入金は、手数料無料でリアルタイムに口座残高に反映されるため便利です。

入金額は、取引したい銘柄の必要証拠金や、リスク管理を考慮して決定します。

最低でも必要証拠金の数倍程度の余裕をもたせて入金することをおすすめします。

次に行うのが、取引ツールのダウンロードと設定です。

PC用の取引ツールやスマートフォンアプリを、証券会社のウェブサイトからダウンロード・インストールします。

ログインIDとパスワードでログインし、初期設定を行います。

  • 画面レイアウトの調整: チャートや注文画面など、自分が使いやすいように配置を調整します。
  • ウォッチリストの作成: 取引したい銘柄や注目している銘柄をリストに登録しておくと、価格動向を素早く確認できます。
  • チャート設定: 使用するテクニカル指標やパラメータを設定します。

最初は戸惑うかもしれませんが、実際に触ってみながら、徐々に慣れていくとよいでしょう。

デモ口座で練習するのも有効です。

お金を入金するのは、ちょっとドキドキしますね…。

最初はそうよね。でも、クイック入金なら手数料もかからないし、すぐに口座に反映されるから便利よ。取引ツールも、まずはデモ口座で色々触ってみて、自分なりに使いやすいように設定していくといいわ。

デモで練習しながら、少しずつ慣れていけばいいんですね。

8.3 銘柄選定と注文発注

取引の準備が整ったら、いよいよ取引する銘柄を選びます

株価指数、個別株、商品など、CFDで取引できる銘柄は多岐にわたります(第3章参照)。

  • 自分がよく知っている、または興味のある市場や銘柄を選ぶのが第一歩です。
  • 値動きの特徴(ボラティリティが高いか低いかなど)を考慮します。
  • 取引コスト(スプレッドなど)も比較検討します。

銘柄を決めたら、チャート分析(テクニカル分析)経済ニュース(ファンダメンタルズ分析)など(第9章参照)を参考に、相場の方向性を予測します。

価格が上昇すると予想するなら「買い(ロング)」、下落すると予想するなら「売り(ショート)」の戦略を立てます。

そして、エントリーポイント(どの価格で取引を開始するか)、利益確定の目標価格損切りの価格(予想が外れた場合に損失を限定する価格)をあらかじめ決めておきます。

計画ができたら、取引ツールを使って注文を発注します。

  • 銘柄、数量、売買区分(買い/売り)を選択します。
  • 注文タイプ(成行、指値、逆指値など)を選びます。
  • 必要に応じて、利益確定の指値注文損切りの逆指値注文を同時に設定します(IFD注文やIFO注文など)。

注文が約定すると、ポジションを保有した状態(建玉)になります。

どの銘柄を選べばいいか、全然わかりません…。

最初は、ニュースでよく聞く日経平均とかNYダウみたいな株価指数や、自分がよく知っている有名企業の株とかから始めてみるのがいいかも。まずは少額で試してみて、値動きに慣れることから始めましょう。

なるほど、身近なところからですね。損切りもちゃんと決めないと…。

8.4 決済と利益確定

ポジションを保有した後は、相場の動向を注視します。

取引ツールの評価損益を確認し、現在の利益または損失の状況を把握します。

そして、あらかじめ決めておいた利益確定の目標価格、または損切りの価格に達した場合、あるいは相場の状況が変化したと判断した場合に、決済注文を出します。

  • 買い(ロング)ポジションを決済する場合:売り注文を出します。
  • 売り(ショート)ポジションを決済する場合:買い戻し注文を出します。

決済注文も、エントリー時と同様に、成行注文や指値注文などで行います。

決済注文が約定すると、その取引の損益が確定します。

利益が出ていれば利益確定(利確)、損失が出ていれば損切りとなります。

一つの取引が終わったら、なぜ利益が出たのか、なぜ損失が出たのかを振り返り、次の取引に活かすことが成長への近道です。

感情に左右されず、事前に決めたルールに従って淡々と決済することが、長期的に安定した成績を収める上で重要になります。

利益が出ていると、もっと上がるかもって思って、なかなか決済できません…。

『利確千人力』って言葉もあるとおり、利益を確定させるのは大事なことよ。逆に損していると『もう少し待てば戻るかも』って思っちゃうけど、傷が浅いうちに損切りする勇気も必要。事前に決めたルールを守るのが一番よ。

感情に流されず、ルールを守る。難しいけど、頑張ってみます!

9. CFDで使える分析手法

CFD取引で成功確率を高めるためには、適切な分析手法を用いることが有効です。主に、過去の値動きパターンから将来を予測する「テクニカル分析」と、経済指標や企業業績などから本質的価値を分析する「ファンダメンタルズ分析」があります。これらに加え、リスク管理・資金管理の徹底、自動売買の活用なども考えられます。

CFD取引は、単なる勘や運だけでは安定して利益を上げ続けるのは困難です。

相場の方向性を予測し、適切な売買タイミングを判断するために、さまざまな分析手法が用いられます。

9.1 テクニカル分析の基本

テクニカル分析は、過去の価格や出来高などのチャートデータを分析し、将来の値動きを予測しようとする手法です。

「市場の価格はすべての情報を織り込んでいる」「価格はトレンドを形成する」「歴史は繰り返す」という考え方に基づいています。

CFD取引では、比較的短期の売買タイミングを捉えるために、テクニカル分析が広く用いられます。

代表的なテクニカル指標には、以下のようなものがあります。

  • トレンド系指標: 価格の方向性(トレンド)を判断するのに役立ちます。
    • 移動平均線: 一定期間の価格の平均値を線で結んだもの。線の向きやクロスでトレンドを判断します。
    • MACD(マックディー): 2本の移動平均線の差を利用して、トレンドの転換点や強弱を探ります。
    • 一目均衡表: 時間論、波動論、値幅観測論を組み合わせた日本発祥の指標。雲(抵抗帯・支持帯)などが特徴的です。
  • オシレーター系指標: 価格の「買われすぎ」「売られすぎ」を判断するのに役立ちます。レンジ相場(一定の値幅で上下動する相場)で有効とされます。
    • RSI(相対力指数): 一定期間の値上がり幅と値下がり幅の合計から、買われすぎ(一般的に70%以上)・売られすぎ(一般的に30%以下)を判断します。
    • ストキャスティクス: 一定期間の最高値と最安値の中で、現在の価格がどの位置にあるかを示し、買われすぎ・売られすぎを判断します。

これらの指標を単独で使うのではなく、複数の指標を組み合わせたり、トレンドラインやサポートライン・レジスタンスラインなどの描画ツールと併用したりすることで、より精度の高い分析を目指します。

テクニカル分析って、なんだか難しそうですね…。

最初はたくさんの指標があって戸惑うかもしれないけど、全部を一度に覚える必要はないのよ。まずは移動平均線とかRSIとか、代表的なものをいくつか試してみて、自分に合ったものを見つけるのがいいわ。チャートを見るのがだんだん面白くなってくるはずよ。

まずは代表的なものからですね。少しずつ勉強してみます。

9.2 ファンダメンタルズ分析

ファンダメンタルズ分析は、経済指標、金融政策、企業業績、需給バランス、地政学リスクなど、価格に影響を与える経済的な基礎的要因を分析し、将来の価格動向を予測しようとする手法です。

CFDの取引対象によって、注目すべきファンダメンタルズ要因は異なります。

  • 株価指数CFD:
    • 各国のGDP(国内総生産)インフレ率失業率などの経済指標。
    • 中央銀行(日銀、FRB、ECBなど)の金融政策(金利の上げ下げ、量的緩和など)。
    • 国際的な政治・経済情勢
  • 個別株CFD:
    • 企業の決算発表(売上高、利益、今後の見通し)。
    • 新製品・新サービスの発表
    • 業界動向競合他社の状況
    • **M&A(合併・買収)**のニュース。
  • 商品CFD:
    • 需給バランス(生産量、在庫量、消費量)。
    • 天候(農産物など)。
    • 地政学リスク(産油国の政情不安など)。
    • 代替エネルギーの開発動向(原油など)。
    • 世界経済の景気動向(需要に影響)。

ファンダメンタルズ分析は、中長期的な価格の方向性を判断するのに役立つとされます。

また、テクニカル分析と組み合わせることで、より根拠のある取引判断が可能になります。

経済ニュースや決算情報などを常にチェックし、市場がどのように反応するかを観察することが重要です。

ファンダメンタルズ分析は、ニュースとかを見る感じですか?

そうね、経済ニュースや企業の決算情報、中央銀行の発表なんかが重要な情報源になるわ。例えば、アメリカの雇用統計が予想より良かったらドルが買われやすくなったり、企業の業績が良ければ株価が上がりやすくなったり、そういう経済の基礎的な要因を見るのがファンダメンタルズ分析よ。

経済の勉強も必要なんですね。奥が深そうです。

9.3 リスク・資金管理

どんなに優れた分析手法を用いても、リスク管理と資金管理を怠ると、CFD取引で成功し続けることはできません。

これは、分析手法以上に重要といっても過言ではありません。

  • 損切りルールの設定と徹底: エントリーする前に、必ず損切りライン(許容できる最大の損失額または価格水準)を決め、そのラインに達したら躊躇なく決済を実行します。 感情に流されて損切りを遅らせると、損失が際限なく拡大する恐れがあります。 逆指値注文をあらかじめ設定しておくのが有効です。
  • リスクリワードレシオの考慮: 1回の取引で狙う利益(リワード)と、許容する損失(リスク)の比率を考えます。 一般的に、リスクリワードレシオが1:2以上(損失1に対して利益2以上を狙う)など、利益が損失を上回るような取引を心がけることが推奨されます。
  • ポジションサイズの調整: 1回の取引でリスクにさらす資金の割合を、口座資金全体の一定割合以下(例えば1%~2%)に抑えます。 これにより、たとえ数回の取引で連続して損失を出したとしても、致命的なダメージを避け、取引を継続することが可能になります。
  • 余裕をもった証拠金管理: 必要証拠金ギリギリで取引するのではなく、十分な余裕資金を口座に入れておき、証拠金維持率を高く保つことを心がけます。 これにより、追証やロスカットのリスクを低減できます。

リスク管理・資金管理は、派手さはありませんが、市場で長く生き残るための生命線です。

常に意識し、ルールを厳守することが求められます。

損切りって、やっぱり大事なんですね…。

すごく大事!プロのトレーダーだって百発百中じゃないんだから、予想が外れることは必ずあるの。その時に、損失を小さく抑えられるかどうかが、長期的に見て大きな差になるわ。資金管理とセットで、絶対に徹底してほしいポイントね。

損失を小さく抑える…。肝に銘じます!

9.4 自動売買・API活用

近年では、自動売買(システムトレード)の利用も広がっています。

これは、あらかじめ設定した取引ルールに基づいて、プログラムが自動的に売買を行うものです。

  • メリット:
    • 感情に左右されずに、ルール通りの取引を実行できる。
    • 24時間市場を監視し、取引チャンスを逃さない。
    • 過去のデータでルールの有効性を検証(バックテスト)できる。
  • デメリット:
    • 相場の急変時に、ルールが対応できず大きな損失を出す可能性がある。
    • プログラムの作成や選択、設定に専門的な知識が必要な場合がある。
    • 常に有効な取引ルールを作り続けるのは難しい。

一部の証券会社では、選択型の自動売買プログラムを提供しており、初心者でも比較的簡単に始められます。

また、より高度なトレーダー向けに、API(Application Programming Interface)を提供している証券会社もあります。

APIを利用することで、独自の取引システムを開発し、証券会社の取引プラットフォームに接続して、自動売買や高度な分析を行うことが可能になります。

ただし、自動売買やAPI活用は、相応の知識やスキル、そしてリスク管理能力が求められるため、初心者がいきなり手を出すのはハードルが高いかもしれません。

まずは裁量取引(自分自身で判断して行う取引)で経験を積むのが一般的です。

自動売買なら、楽して儲けられそうですか?

うーん、必ずしもそうとは言えないかな。確かに感情に左右されないメリットはあるけど、どんな相場にも対応できる万能なプログラムを作るのはすごく難しいの。それに、プログラムに任せっきりじゃなくて、ちゃんと自分で管理しないと思わぬ損失を出すこともあるから、過信は禁物よ。

やっぱり楽な道はないんですね…。

10. 税金と確定申告

CFD取引で得た利益は、原則として「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税の対象となり、税率は一律20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)です。年間の損益を通算し、損失が出た場合は翌年以降3年間繰り越して将来の利益と相殺できます(繰越控除)。利益が出た場合は、原則として確定申告が必要です。

CFD取引で利益が出た場合、税金について正しく理解し、適切に確定申告を行う必要があります。

税金の仕組みを知らないと、後で追徴課税などのペナルティを受ける可能性もあるため、注意が必要です。

10.1 税区分と申告分離課税

CFD取引で得た利益は、個人の場合、原則として「雑所得(ざつしょとく)」に分類されます。

さらに、その中でも「先物取引に係る雑所得等」として扱われ、「申告分離課税」の対象となります。

申告分離課税とは、給与所得や事業所得など、他の所得とは合算せずに、分離して税額を計算する課税方式です。

税率は、所得の金額にかかわらず一律です。

  • 所得税:15%
  • 復興特別所得税:0.315% (所得税額の2.1%)
  • 住民税:5%

合計で、利益に対して一律 20.315% の税金がかかります。

これは、株式投資(特定口座・源泉徴収ありを除く)やFX(外国為替証拠金取引)と同じ税率です。

年間の給与所得などがいくらであっても、CFDの利益に対する税率は変わりません。

CFDで儲かったら、税金ってどれくらいかかるんですか?

利益に対して、だいたい20%くらいって覚えておくといいわ。所得税と住民税、それに復興特別所得税っていうのが合わせて20.315%。これはFXとかと同じ税率ね。他の所得とは別に計算される『申告分離課税』っていう仕組みなのよ。

約2割ですか。結構大きいですね…。

10.2 損益通算・繰越控除

CFD取引の税金計算には、有利な制度もあります。

(1) 損益通算(そんえきつうさん)

CFD取引の利益は、「先物取引に係る雑所得等」に分類される他の金融商品との間で、損益を通算できます。

例えば、同じ年に以下のような損益があった場合、

  • CFD取引で 50万円の利益
  • 日経225先物取引で 20万円の損失
  • FX取引で 10万円の利益

これらの損益を合算できます。

50万円 – 20万円 + 10万円 = 40万円

この40万円が課税対象の所得となります。

損益通算できるのは、「先物取引に係る雑所得等」に分類される商品間です。

具体的には、CFD、FX、商品先物、日経225先物・オプション取引などが該当します。

現物株式の損益とは通算できない点に注意が必要です。

(2) 繰越控除(くりこしこうじょ)

年間の損益を通算した結果、損失が残った場合、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来の「先物取引に係る雑所得等」の利益から控除できます。

例えば、今年CFD取引などで100万円の損失が出たとします。

この損失を確定申告で繰越控除の手続きをしておけば、

  • 翌年に 60万円の利益が出た場合:60万円 – 60万円(繰越損失から控除)= 0円(課税所得なし) 残りの繰越損失は 100万円 – 60万円 = 40万円
  • 翌々年に 50万円の利益が出た場合:50万円 – 40万円(残りの繰越損失から控除)= 10万円(課税所得)

この制度を利用するためには、損失が出た年にも確定申告を行い、繰越控除の手続きをする必要があります。

また、損失を繰り越している期間中は、取引がない年であっても継続して確定申告を行う必要があります。

もしCFDで損しちゃったら、税金はどうなるんですか?

いい質問ね。まず、同じ年のFXとか先物取引の利益があれば、それと相殺できるの(損益通算)。それでも損失が残ったら、確定申告すれば翌年以降3年間、繰り越せるのよ(繰越控除)。将来利益が出た時に、その損失分を差し引けるから、損した年もちゃんと申告するのが大事よ。

損しても申告する意味があるんですね!覚えておきます。

10.3 確定申告の手順

CFD取引で年間の利益が出た場合(給与所得者で、給与以外の所得がCFDの利益を含めて年間20万円を超える場合など)、原則として翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、納税する必要があります。

確定申告の手順の概要は以下のとおりです。

  1. 年間損益を確認する: 利用している証券会社が発行する「年間取引報告書」「期間損益報告書」などを確認し、1月1日から12月31日までのCFD取引の損益額を正確に把握します。 複数の証券会社で取引している場合は、すべての損益を合算します。
  2. 必要書類を準備する:
    • 確定申告書(国税庁ウェブサイトの「確定申告書等作成コーナー」や税務署で入手)
    • 年間取引報告書などの損益がわかる書類
    • マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)
    • 源泉徴収票(給与所得者の場合)
    • その他、控除に必要な書類(医療費控除、生命保険料控除など)
  3. 確定申告書を作成する: 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、画面の案内に従って入力するだけで比較的簡単に申告書を作成できます。 CFDの損益は、「先物取引に係る雑所得等」の欄に記入します。 損益通算や繰越控除を行う場合は、関連する付表(先物取引に係る繰越損失用)なども作成します。
  4. 申告書を提出する: 作成した申告書は、以下のいずれかの方法で税務署に提出します。
    • e-Tax(電子申告): マイナンバーカードとICカードリーダライタ、またはID・パスワード方式で、インターネット経由で提出。
    • 郵送: 所轄の税務署に郵送します。
    • 税務署窓口へ持参: 税務署の窓口に直接提出します。
  5. 納税する(または還付を受ける): 申告の結果、納税額がある場合は、期限(通常3月15日)までに納付します。納付方法は、口座振替、クレジットカード納付、コンビニ納付、金融機関窓口での納付などがあります。 逆に、源泉徴収された税金があり、損益通算などの結果、還付される場合は、指定した口座に還付金が振り込まれます。

確定申告は複雑に感じるかもしれませんが、国税庁のウェブサイトや税務署の相談窓口、税理士などに相談することも可能です。

早めに準備を始め、正確な申告を心がけましょう。

確定申告って、やったことないんですが、自分でもできますか?

今は国税庁のサイトに『確定申告書等作成コーナー』っていう便利なツールがあって、画面に従って入力していけば作れるようになってるのよ。証券会社から送られてくる年間の損益報告書を見ながら入力すれば大丈夫。最初はちょっと大変かもしれないけど、一度やってみれば流れはわかると思うわ。

便利なツールがあるんですね!それならなんとかできそうです。

11. CFDと他金融商品の比較

CFDは、現物株・ETF、FX、先物取引といった他の金融商品と比較して、レバレッジ、取引対象の多様性、取引時間、売りからの取引の可否、決済期限の有無などの点で特徴があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分の投資スタイルや目的に合った商品を選ぶことが重要です。

CFDの特徴をより深く理解するために、他の代表的な金融商品と比較してみましょう。

それぞれの違いを知ることで、どのような場合にCFDが適しているか、あるいは他の商品が適しているかが見えてきます。

11.1 CFD vs 現物株・ETF

現物株式ETF(上場投資信託)は、投資家にとって最も馴染みのある金融商品かもしれません。

  • 所有権:
    • 現物株/ETF: 実際に株式やETFを所有します。配当金や株主優待(株式の場合)を受け取る権利があります。
    • CFD: 現物を所有しません。あくまで価格差を取引する契約です。配当相当額の調整はありますが、株主優待などはありません。
  • レバレッジ:
    • 現物株/ETF: 原則としてレバレッジはありません(信用取引を除く)。投資額と同額の資金が必要です。
    • CFD: レバレッジを利用可能です。少ない資金で大きな取引ができます。
  • 売りからの取引(空売り):
    • 現物株/ETF: 信用取引を利用すれば可能ですが、制度信用銘柄の制限や金利・貸株料などのコストがかかります。
    • CFD: 多くの銘柄で比較的容易に売りから取引を始められます
  • 取引対象:
    • 現物株/ETF: 主に国内・海外の個別株やETF。
    • CFD: 個別株やETFに加え、株価指数、商品、債券など、より多様な資産クラスを取引できます。
  • 取引時間:
    • 現物株/ETF: 基本的に証券取引所の取引時間内(例:東証 9:00-11:30, 12:30-15:30)に限られます。
    • CFD: 銘柄によってはほぼ24時間取引可能です。

どちらを選ぶか?

  • 長期的な資産形成を目的とし、配当や株主優待を得ながら企業の成長に投資したい場合は、現物株/ETFが適しています。
  • 少ない資金で効率的に取引したい、下落相場でも利益を狙いたい多様な資産クラスに投資したい、時間外取引を行いたい場合は、CFDが選択肢となります。

やっぱり普通の株とCFDって、どっちがいいんですか?

どっちが良いかは、目的によるかな。株主優待が欲しいとか、じっくり長期で持ちたいなら現物株。少ない資金で始めたい、売りからも入りたい、株以外にも色々取引したい、夜も取引したい、とかならCFDが向いているかも。両方やる人もいるわよ。

なるほど、自分のやりたいことに合わせて選ぶんですね。

11.2 CFD vs FX

FX(外国為替証拠金取引)も、レバレッジを利用した差金決済取引という点でCFDと共通点が多い金融商品です。

  • 取引対象:
    • FX: 通貨ペア(例:米ドル/円、ユーロ/円、ユーロ/米ドルなど)に限定されます。
    • CFD: 通貨ペア(FX専門業者ほど多くない場合あり)に加え、株価指数、個別株、商品、債券など、非常に多様な資産を取引できます。
  • 市場の性質:
    • FX: 為替レートは、各国の金融政策、経済指標、金利差、貿易収支、地政学リスクなどの影響を強く受けます。世界で最も取引量が多い市場の一つです。
    • CFD: 取引対象によって影響を受ける要因が異なります(株価指数なら経済全体、個別株なら企業業績、商品なら需給など)。
  • コスト:
    • FX: 主なコストはスプレッドスワップポイント(金利差調整分)です。
    • CFD: 主なコストはスプレッド価格調整額(金利調整額、配当相当額など)です。
  • レバレッジ:
    • FX: 日本国内では個人向けは最大25倍に規制されています。
    • CFD: 銘柄によって異なり、最大5倍(個別株)~50倍(その他)など、FXより低いものも高いものもあります。

どちらを選ぶか?

  • 為替(通貨)の値動きに特化して取引したい場合は、FXが専門的で、スプレッドなどのコスト面で有利な場合があります。
  • 株価指数、個別株、商品など、通貨以外のさまざまな市場にも投資したい場合は、CFDの方が選択肢が広がります。

FXとCFDって、すごく似ている気がするんですが…。

仕組みは似ているわね。レバレッジを使う差金決済取引っていう点は同じ。一番大きな違いは『取引できるもの』の種類よ。FXは『通貨』だけだけど、CFDは株価指数とか個別株、原油、金とか、本当に色々なものを扱えるの。

投資対象の広さがCFDの特徴なんですね。

11.3 CFD vs 先物取引

先物取引も、将来の価格を予測して売買する点でCFDと似ていますが、重要な違いがあります。

  • 決済期限(限月):
    • 先物取引: 限月と呼ばれる決済期限があります。限月までに決済しない場合、最終決済日(SQ日など)に強制的に決済されます。ポジションを持ち続けるには、限月を乗り換える(ロールオーバー)必要があります。
    • CFD: 多くの銘柄で決済期限がありません(一部、先物を参照するCFDには限月があります)。長期保有が比較的容易です。
  • 取引単位:
    • 先物取引: 一般的に取引単位が大きい傾向があります(例:日経225先物ラージは指数の1,000倍)。そのため、取引に必要な証拠金も大きくなります。
    • CFD: 先物取引よりも小さい単位から取引できる銘柄が多いです(例:日経225CFDは指数と等倍や10倍など)。少額から始めやすいです。
  • 取引対象:
    • 先物取引: 主に株価指数、債券、商品(コモディティ)、通貨など。取引所によって上場銘柄が異なります。
    • CFD: 先物で取引されるものに加え、個別株CFDなど、より幅広い銘柄を一つのプラットフォームで取引できる場合があります。
  • 取引時間:
    • 先物取引: 取引所ごとに取引時間が定められています(夜間取引がある場合も多い)。
    • CFD: 銘柄によっては、先物市場の取引時間外でも取引できる場合があります。

どちらを選ぶか?

  • 取引所取引の透明性や、特定の先物銘柄(流動性が非常に高いものなど)に集中したい場合は、先物取引が選択肢になります。機関投資家が多く参加しています。
  • 少額から始めたい決済期限を気にせず取引したい個別株など多様な銘柄を一つの口座で取引したい場合は、CFDの方が利便性が高い場合があります。

先物取引っていうのもあるんですね。CFDとどう違うんですか?

一番大きな違いは『決済期限(限月)』があるかないかね。先物は期限が決まっているけど、CFDは(ほとんどの場合)期限がないから、自分のタイミングで決済できるの。あとは、CFDの方が小さい単位で取引できることが多いから、初心者には始めやすいかもしれないわね。

期限がない方が、自分のペースでできそうですね。

12. CFDに関するよくある質問(FAQ)

CFDに関して初心者の方が抱きやすい疑問に答えます。少額から始められるか、リスクはどの程度か、どんな銘柄がおすすめか、取引コストはどれくらいか、税金はどうなるか、といった定番の質問から、取引システムやツールに関する疑問まで、幅広く解説します。

CFD取引を始めるにあたって、多くの方が疑問に思う点や不安に感じる点があるでしょう。

ここでは、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。

12.1 初心者からの定番質問

Q1: CFDは本当に少額から始められますか? 最低いくら必要ですか?

A1: はい、CFDは少額から始めることが可能です。

多くの証券会社では最低入金額の規定はありませんが、実際に取引するには必要証拠金が必要です。

最小取引単位が小さい銘柄を選べば、数千円~数万円程度の証拠金から取引を開始できる場合もあります。

例えば、日経平均CFD(ミニ)なら数百円、米ドル/円関連のCFDなら数千円の証拠金で始められる計算になります。

ただし、これはあくまで最低限の金額であり、価格変動による損失リスクを考慮すると、**余裕をもった資金(最低でも必要証拠金の数倍程度)**を用意することをおすすめします。

Q2: CFDはリスクが高いと聞きますが、どのくらい危険なのですか?

A2: CFDはレバレッジを利用するため、確かにリスクが高い側面があります。

予想と反対に価格が動いた場合、預けた証拠金以上の損失が発生する可能性もゼロではありません。

しかし、リスクの度合いは、かけるレバレッジの倍率や取引する量(ポジションサイズ)、損切りルールの徹底など、自分自身の管理によって大きく変わります。

低いレバレッジで、余裕をもった資金管理を行い、損切りを徹底すれば、リスクを限定することは可能です。

リスクを正しく理解し、許容できる範囲内で取引することが重要です。

Q3: 初心者はどの銘柄から始めるのがおすすめですか?

A3: これが絶対という答えはありませんが、一般的には流動性が高く、情報も得やすい主要な株価指数CFD(例:日経平均JP225、NYダウUS30、S&P500 US500など)から始めるのがおすすめです。

値動きが比較的安定している傾向があり、ニュースなどで動向を把握しやすいためです。

あるいは、自分がよく知っている、または興味のある有名企業の個別株CFDも、情報収集がしやすく、取り組みやすいかもしれません。

最初は最小取引単位で、低いレバレッジで試してみて、値動きに慣れることから始めるとよいでしょう。

Q4: CFDとFX、どちらが初心者に向いていますか?

A4: 一概にどちらが良いとは言えません。

FXは取引対象が通貨ペアに限定されるため、覚えることが比較的少ないかもしれません。また、国内レバレッジが最大25倍と明確です。

CFDは株価指数、個別株、商品など多様な市場にアクセスできる魅力があります。レバレッジは銘柄により異なります。

どちらもレバレッジ取引であり、リスク管理の重要性は同じです。

自分が何に投資したいか(為替か、株価指数か、個別株かなど)で選ぶのが良いでしょう。

両方のデモ口座を試してみるのも有効です。

やっぱり、損するのが怖いです…。

投資である以上、損する可能性はゼロにはできないわ。でも、CFDのリスクは自分でコントロールできる部分も大きいの。レバレッジを低くするとか、損切りを必ず入れるとか、一度に大きな金額で取引しないとか。そういうルールを守れば、リスクを抑えながら経験を積んでいけるはずよ。

自分でリスクをコントロールする、という意識が大切なんですね。

12.2 取引コスト・リスクに関する質問

Q5: CFDの取引コストは、スプレッド以外に何がありますか?

A5: スプレッド以外に、主に以下のコストが発生する可能性があります。

  • 取引手数料: 証券会社や銘柄(特に個別株CFD)によっては、別途取引手数料がかかる場合があります。無料の業者も多いです。
  • オーバーナイト金利(金利調整額、建玉管理料など): ポジションを翌営業日に持ち越した場合に発生する金利コストです。買いポジションは支払い、売りポジションは受け取りが基本ですが、変動します。
  • 権利調整額(配当相当額): 個別株CFDや株価指数CFDで、配当権利日をまたいでポジションを保有した場合に発生します。買いは受け取り、売りは支払いです。 これらのコストは、特にポジションを長期間保有する場合に損益に影響します。

Q6: ロスカットされたら、必ず証拠金以上の損失は出ませんか?

A6: ロスカットは証拠金以上の損失を防ぐための仕組みですが、100%保証されるものではありません。

市場が極端に急変動した場合(例:週末の大きなニュースを受けて月曜の市場開始時に価格が大きく飛ぶ「窓開け」など)、ロスカット注文が想定よりも不利な価格で約定し、結果的に預けた証拠金を超える損失(口座残高がマイナス)が発生するリスクがあります。

この場合、不足分を追加で入金する必要(追証とは別の、純粋な借金)が生じます。

頻繁に起こることではありませんが、リスクとして認識しておく必要があります。

Q7: CFDで儲けた場合、税金はどれくらいかかりますか? 確定申告は必要ですか?

A7: CFDの利益は、原則として「先物取引に係る雑所得等」として申告分離課税の対象となり、税率は一律20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)です。

年間のCFD取引(およびFXや先物など他の損益通算対象商品)の利益が一定額(給与所得者の場合、給与以外の所得合計で年間20万円)を超える場合は、原則として確定申告が必要です。

損失が出た場合でも、繰越控除を利用するためには確定申告が必要です。

口座残高がマイナスになることもあるんですか!?それは怖い…。

可能性はゼロではないの。特に、市場が閉まっている週末に大きな事件があって、月曜の朝に価格がものすごく飛んで始まったりすると、ロスカットが間に合わないことがある。だから、ポジションを持ち越す時、特に週末をまたぐ時は、より慎重なリスク管理が必要になるわね。

ポジション管理、本当に重要なんですね…。

12.3 システム・ツールに関する質問

Q8: デモ取引と本番取引は、何が違いますか?

A8: デモ取引は、仮想の資金を使って、本番とほぼ同じ環境で取引の練習ができるサービスです。

取引ツールの操作方法を覚えたり、取引戦略を試したりするのに非常に役立ちます。

本番取引(リアル取引)との最大の違いは、実際のお金がかかっているかどうかです。

デモ取引では損失が出ても実際のお金は減らないため、精神的なプレッシャーがありません。

しかし、本番取引では実際のお金が動くため、恐怖や欲といった感情が判断に影響しやすくなります。

デモ取引でうまくいっても、本番で同じようにできるとは限りません。

デモで操作に慣れたら、少額から本番取引を始め、実際の市場のプレッシャーに慣れていくことが重要です。

Q9: 取引ツールは、PCとスマホアプリ、どちらが良いですか?

A9: それぞれにメリット・デメリットがあります。

PCツールは、画面が大きく、複数のチャートや情報を同時に表示できるため、詳細な分析に適しています。高機能なツールが多いです。

スマホアプリは、場所を選ばずに手軽に相場チェックや取引ができる利便性があります。急な相場変動にも対応しやすいです。

どちらが良いかは、個人の取引スタイルやライフスタイルによります。

本格的に分析したい場合はPC、外出先でのチェックや簡単な取引がメインならスマホ、という使い分けが一般的です。

多くのトレーダーは、両方を併用しています。

Q10: 約定が滑る(スリッページ)ことはありますか?

A10: はい、CFD取引でもスリッページ(注文価格と約定価格のずれ)が発生する可能性はあります。

特に、市場の流動性が低い時間帯(早朝など)や、重要な経済指標発表時など、価格が急変動しやすい場面で起こりやすいです。

成行注文はスリッページが発生しやすい一方、指値注文は指定価格より不利な価格で約定することはありません(ただし、価格が指定水準に達しないと約定しない)。

スリッページは、コスト増加や意図しない損失につながる可能性があるため、変動が激しいタイミングでの取引は注意が必要です。

デモで勝てても、本番だと勝てないって本当ですか?

よく聞く話ね。やっぱり自分のお金がかかると、冷静な判断ができなくなることがあるのよ。『もう少し利益を伸ばしたい』って欲張って利確タイミングを逃したり、『損切りしたくない』って損失を確定できなかったり…。本番はメンタルとの戦いでもあるの。だから、少額から始めてプレッシャーに慣れるのが大事。

メンタル…それも鍛えないといけないんですね。

13. まとめ:CFDを始める前に押さえておきたいポイント

CFD取引を始める前に、メリットだけでなくリスクを十分に理解し、余裕資金で取引すること、損切りルールを徹底すること、自分に合った証券会社を選ぶこと、そしてデモ取引で練習することなどが重要です。これらをチェックリストで確認し、焦らず段階的にステップアップしていくことが、失敗を避けるための鍵となります。

ここまで、CFDの仕組み、メリット、リスク、始め方などについて詳しく解説してきました。

最後に、CFD取引を始めるにあたって、特に初心者が失敗を避けるために押さえておきたい重要なポイントをまとめます。

13.1 失敗を避けるチェックリスト

CFD取引を始める前に、以下の項目を自分自身でチェックしてみましょう。

  • □ CFDの仕組みを理解したか? (差金決済、証拠金、レバレッジの意味)
  • □ レバレッジのリスクを理解したか? (利益だけでなく損失も拡大すること、証拠金以上の損失の可能性)
  • □ 追証・ロスカットの仕組みを理解したか?
  • □ 取引コスト(スプレッド、手数料、調整額)を把握したか?
  • □ 取引に使う資金は「余裕資金」か? (失っても生活に困らないお金か)
  • □ 損切りルールを決めているか? (許容できる損失額、損切りライン)
  • □ 決めたルールを守る覚悟はあるか? (感情に流されない)
  • □ 取引したい銘柄や市場はある程度決まっているか?
  • □ 証券会社の特徴を比較検討したか? (コスト、ツール、取扱銘柄など)
  • □ デモ取引で操作方法や取引の流れを練習したか?
  • □ 税金や確定申告について基本的な知識はあるか?

これらの項目について、自信をもって「はい」と答えられない部分があれば、もう一度関連する箇所を読み返すか、さらに情報収集をすることをおすすめします。

焦って取引を始める必要はありません。 十分な知識と準備が、成功への第一歩です。

チェックリスト、たくさんありますね…。全部『はい』にならないとダメですか?

理想は全部『はい』だけど、最初から完璧じゃなくても大丈夫よ。特に大事なのは、リスクをちゃんと理解していること、余裕資金でやること、損切りルールを決めて守ることかな。あとは、少しずつ学びながら経験を積んでいけばいいのよ。

リスク、余裕資金、損切り…。まずはそこをしっかり意識します!

13.2 次のステップ(デモ取引→本番取引)

チェックリストで基本的な理解と準備が確認できたら、いよいよ次のステップに進みましょう。

  1. デモ取引で徹底練習:まだデモ取引を試していない、あるいは十分に練習できていないと感じる場合は、納得いくまでデモ取引を繰り返しましょう。
    • 取引ツールの操作に慣れる。
    • さまざまな注文方法(指値、逆指値、IFD、OCOなど)を試す。
    • 簡単な取引ルールを作り、それに従って売買してみる。
    • 仮想資金であっても、損益の記録をつけ、取引を振り返る。
  2. 少額での本番取引(リアル取引):デモ取引で自信がついてきたら、いよいよ本番取引に挑戦します。ただし、最初から大きな金額で取引するのは禁物です。
    • 最小取引単位で始める。
    • 低いレバレッジ(例えば2~3倍程度)に抑える。
    • 失っても許容できる少額の資金から始める。
    • 必ず損切り注文を設定する。
    本番取引では、デモ取引では感じなかった精神的なプレッシャーがかかります。利益が出ると嬉しくなり、損失が出ると焦ったり落ち込んだりするでしょう。この感情のコントロールを学ぶことが、本番取引の重要な目的の一つです。少額取引で、実際の市場の厳しさや、自分自身の心理的な動きを経験することが大切です。
  3. 学習と改善の継続:取引を始めたら、それで終わりではありません。
    • 取引記録をつける(エントリー理由、決済理由、損益など)。
    • 定期的に取引を振り返り、成功した点、失敗した点を分析する。
    • 市場に関する情報収集や学習を続ける(経済ニュース、書籍、セミナーなど)。
    • 必要に応じて取引ルールを見直し、改善していく。

デモで練習してから、少額で本番デビューですね!

そうそう、そのステップが大事。本番はデモと違って、ドキドキすると思うけど、それも経験よ。少額なら失敗してもダメージは小さいから、恐れずにチャレンジしてみて。そして、取引したら必ず振り返ること。それが成長につながるからね。応援してるわ!」

はい!頑張ってみます!色々と教えていただき、ありがとうございました!

CFD取引は、一朝一夕でマスターできるものではありません。
継続的な学習と経験を通じて、少しずつスキルアップしていくものです。
焦らず、着実にステップアップしていくことを目指しましょう。
この記事が、あなたのCFD取引への第一歩をサポートできれば幸いです。
リスクを十分に理解した上で、CFD取引のメリットを活かし、賢く資産形成に取り組んでください。

鬼河原

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

ミニCFD GMOクリック証券

※CFD:差金決済取引

この記事を書いた人

塚越ヒロのアバター 塚越ヒロ デジタルテレワーカー

IT企業勤務の投資家。        
このブログでは、CFD(差金決済取引)を中心に、株式投資で得た知識や体験を発信します。
【株式投資歴2年】ミニCFDで資産形成中。   
【ミニCFDの魅力】少額で投資の勉強ができる。 
 ミニCFD(数百円)から実力をつけて、CFDにステップアップ。           

目次