CFD(差金決済取引)に興味はあるけれど、どの証券会社を選べば良いかわからない。
そんな株式投資初心者の方に向けて、この記事ではCFDの基本から、おすすめの証券会社、取引の始め方まで、わかりやすく解説します。
CFDは魅力的な投資手段ですが、リスクも伴います。
この記事を読んで、ご自身に合った「CFD おすすめ証券会社」を見つけ、安全に取引を始めるための知識を身につけましょう。
本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の手法や知識を推奨したり、売買を勧めたりするものではありません。
本記事に記載されている情報については、正確性、完全性、有用性を確保するために努力しておりますが、その保証は致しかねます。
投資対象や商品の選択など、実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。
必要に応じて、財務アドバイザーや税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
本記事の情報を利用した結果として発生するいかなる損害についても、著者は一切の責任を負いません。
1. CFD(差金決済取引)とは
まず、CFDがどのような取引なのか、基本から見ていきましょう。
1.1 CFD取引の基本概要
CFDとは「Contract for Difference」の略で、日本語では「差金決済取引」と呼ばれます。
これは、株式、株価指数、商品(金や原油など)、債券といった様々な金融商品の価格変動を利用して利益を狙う取引方法です。
CFDの大きな特徴は、実際に株式や商品そのものを保有するのではなく、売買した時の価格差だけをやり取りする点にあります。
例えば、ある株価指数が将来上がると予想すれば「買い」ポジションを持ち、予想通りに価格が上昇した時点で決済(反対売買)すれば、その差額が利益となります。
逆に、価格が下がると予想すれば「売り」から取引を始めることも可能です。
FX(外国為替証拠金取引)も、広い意味では為替を対象としたCFDの一種と言えます。
取引を始める際には、証拠金と呼ばれる担保金を証券会社に預け入れる必要があります。
1.2 CFD取引のメリットとリスク
CFD取引には、他の金融商品にはないメリットがある一方、注意すべきリスクも存在します。
メリット:
- レバレッジ効果: 少ない証拠金で、その何倍もの金額の取引が可能です。これをレバレッジ効果と呼びます。例えばレバレッジ10倍なら、10万円の証拠金で100万円分の取引ができ、資金効率を高めることができます。
- 売りからも取引可能: 価格が下落すると予想される局面でも、「売り」から取引を始めることで利益を狙えます。現物株式投資では基本的に買いからしか入れないため、下落相場でもチャンスがあるのは大きな利点です。
- ほぼ24時間取引可能: 日本の株式市場は取引時間が限られています(2024年11月5日より東京証券取引所は9:00~11:30、12:30~15:30)。しかし、CFDは多くの銘柄で、平日であればほぼ24時間取引が可能です。日中忙しい方でも、夜間や早朝に取引できます。
- 多様な投資対象: 日本や世界の株価指数、金や原油などの商品、個別株式など、幅広い金融資産に投資できます。一つの口座で世界中の様々な市場にアクセスできるのは魅力です。
- 決済期限がない(一部銘柄を除く): 先物取引には通常、決済期限(限月)がありますが、多くのCFD銘柄には決済期限がありません。これにより、長期的な視点での保有も可能です。(ただし、銘柄によっては期限がある場合や、調整額が発生することがあります。)
- 取引手数料が無料の会社が多い: 多くの証券会社では、CFD取引の売買手数料を無料としています。ただし、売値と買値の差である「スプレッド」が実質的なコストとなります。
リスク:
- 価格変動リスク: 予想と反対方向に価格が動いた場合、損失が発生します。レバレッジをかけていると、損失額も大きくなる可能性があります。元本保証はありません。
- レバレッジによる損失拡大リスク: レバレッジは利益を増やす可能性がある一方、損失も同様に拡大させます。高いレバレッジでの取引は、自己資金を超える損失(追証)につながる可能性もあります。
- ロスカットリスク: 損失が一定水準まで拡大すると、さらなる損失を防ぐために、保有しているポジションが強制的に決済される「ロスカット」が執行されます。これは投資家保護の仕組みですが、意図しないタイミングで損失が確定する可能性があります。
- 金利・配当調整額の支払いリスク: ポジションを翌日まで持ち越した場合、金利調整額(オーバーナイト金利、ファイナンシングコストとも呼ばれる)が発生し、支払いが必要になることがあります。また、株式CFDなどでは配当金に相当する権利調整額の受け払いが発生します。これらの調整額は、受け取るだけでなく支払いになるケースもあり、コスト要因となります。
- スリッページリスク: 注文した価格と実際に約定した価格がずれる「スリッページ」が発生することがあります。特に市場が急変動している際に起こりやすく、不利な価格で約定する可能性があります。
CFD取引は、これらのメリットとリスクを十分に理解した上で、慎重に取り組む必要があります。
1.3 CFD取引の主な種類(株価指数、商品、個別株、債券、暗号資産など)
CFDでは、様々な種類の資産に投資できます。主なものを紹介します。
- 株価指数CFD: 日経平均株価(日経225)やNYダウ平均株価(米国30)、ナスダック100、S&P500など、各国の代表的な株価指数を対象とするCFDです。市場全体の動向を反映しやすく、投資対象国の景気動向を捉えやすい特徴があります。レバレッジは通常10倍です。最近では、TOPIX先物を参照する「日本TPX」や米国小型株指数ラッセル2000を参照する「米国RS2000」なども登場しています。
- 商品CFD: 金、銀、プラチナなどの貴金属、原油(WTI原油、北海ブレント原油)、天然ガスなどのエネルギー、トウモロコシ、大豆などの農産物を対象とするCFDです。インフレ時や地政学的リスクが高まった際に価格が動きやすい特徴があります。レバレッジは通常20倍です。鉄鉱石や牛肉、豚肉といった銘柄を扱う証券会社もあります。
- 株式CFD: 個別の企業の株式を対象とするCFDです。日本株だけでなく、米国株(例:アップル、アマゾン、セールスフォース)などを取引できる証券会社もあります。現物株取引と異なり、「売り」から入ることも可能です。レバレッジは通常5倍です。
- 債券CFD: 国債の先物などを対象とするCFDです。金利動向の影響を受けます。IG証券などで取り扱いがあります。
- ETF CFD(バラエティCFDなど): 上場投資信託(ETF)を参照原資産とするCFDです。特定の業種(例:半導体)や新興国(例:インド、ベトナム)などに投資できるものがあります。レバレッジは通常5倍です。価格変動が大きいものもあるため、初心者にはやや難易度が高いかもしれません。
- 暗号資産CFD: ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産(仮想通貨)を対象とするCFDです。非常に価格変動が大きい(ボラティリティが高い)傾向があります。取り扱っている証券会社は限られます。
これらの多様な選択肢の中から、ご自身の興味や知識、リスク許容度に合った投資対象を選ぶことが重要です。
2. CFD取引におすすめの証券会社ランキング
ここからは、初心者の方におすすめのCFD証券会社をランキング形式で紹介します。
(※ランキングは取扱銘柄、コスト、ツール、サポートなどを総合的に評価したものですが、最適な証券会社は個人の投資スタイルによって異なります。)
2.1 GMOクリック証券
特徴: 業界最安水準のスプレッドと使いやすい取引ツールが魅力。特に株価指数CFDの取引コストが低いと評判。取引手数料は無料。PCツール、スマホアプリともに高機能で初心者から上級者まで幅広く支持されています。取扱銘柄も株価指数、商品、個別株(米国株中心)、ETF CFDとバランスが良い。デモトレードも利用可能。
注意点: IG証券などに比べると、超マイナーな銘柄の取り扱いは少ない傾向があります。
2.2 IG証券
特徴: 取扱銘柄数が圧倒的に多く、17,000種類以上。株価指数、商品、個別株(日本株・外国株)、債券、ETFなど、他の証券会社では扱っていないようなマイナーな銘柄も取引可能です。特に商品CFDのスプレッドは業界最狭水準。ノックアウト・オプションなど独自の取引方法も提供しています。学習コンテンツも充実。デモ口座あり。
注意点: 株価指数CFDのスプレッドはGMOクリック証券などと比較するとやや広めの場合があります。情報量が多いため、初心者には少し複雑に感じるかもしれません。
2.3 DMM CFD
特徴: シンプルで直感的に操作できる取引ツールが初心者から人気。取引手数料はもちろん、口座維持手数料やロスカット手数料なども無料。サポート体制も充実しており、LINEでの問い合わせも可能です。株価指数(Index)と商品(Commodity)に特化しており、銘柄数は絞られています。
注意点: 取扱銘柄が主要な株価指数と商品に限られるため、個別株CFDなどを取引したい場合には向きません。
2.4 楽天証券(楽天CFD / 楽天MT4CFD)
特徴: 総合ネット証券大手としての安心感があります。「楽天CFD」では株価指数、商品、バラエティ(ETF)を、「楽天MT4CFD」では世界的に人気の高機能取引プラットフォーム「MetaTrader 4 (MT4)」を利用して株価指数と商品を取引できます。MT4を使いたいトレーダーには有力な選択肢です。デモトレードもMT4で利用可能。
注意点: 楽天CFDと楽天MT4CFDは別サービス扱いで、それぞれ口座開設が必要です。MT4CFDを利用するには、まずFX口座の開設が必要になる場合があります。スプレッドは最安水準とは言えない場合があります。
2.5 外為どっとコム(CFDネクスト)
特徴: FXで有名な会社ですが、CFDサービス「CFDネクスト」も提供しています。株価指数と商品に特化しており、シンプルな構成です。情報コンテンツやセミナーが充実している点はFXでの実績が活かされています。
注意点: 取扱銘柄数は限られます。個別株などの取引はできません。
2.6 サクソバンク証券
特徴: デンマークに本社を置くサクソバンクグループの日本法人。IG証券に次ぐ豊富な取扱銘柄数が特徴で、外国株式CFDの種類が多いです。プロ向けの高度な取引ツール「SaxoTraderGO/PRO」を提供しています。
注意点: 取引ツールが高機能な反面、初心者にはやや複雑に感じられる可能性があります。最低初回入金額などの条件がある場合があります。
2.7 GMO外貨(外貨ex CFD)
特徴: GMOインターネットグループのFX会社が提供するCFDサービス。株価指数と商品に絞ったシンプルなラインナップです。FXで培ったノウハウを活かした取引システムや情報提供が期待できます。
注意点: 取扱銘柄は多くありません。
2.8 岡三証券(くりっく株365)
特徴: 東京金融取引所が運営する取引所CFD「くりっく株365」を取り扱っています。日経225、NYダウ、DAX、FTSE100といった主要な株価指数に投資できます。取引所取引のため、相対取引(OTC)である店頭CFDとは仕組みが一部異なります(例:マーケットメイカー制度)。
注意点: 取扱銘柄は株価指数のみに限られます。商品や個別株は取引できません。税制は店頭CFDと同じ申告分離課税です。
2.9 ヒロセ通商(LION CFD)
特徴: FXで人気のヒロセ通商が提供するCFDサービス。株価指数、商品、個別株(米国株)などを扱っています。ユニークなキャンペーンを頻繁に実施していることでも知られています。デモ口座は土日も仮想レートで練習できる特徴があります。
注意点: スプレッドなどの取引コストは、常に最安水準とは限らない可能性があります。
2.10 OANDA証券
特徴: 世界的に展開するOANDAグループの日本法人。MT4やMT5、TradingViewといった多様なプラットフォームでCFD取引が可能です。独自のオーダーブック情報など、分析ツールが充実しています。株価指数、商品、債券などを扱っています。
注意点: 個別株CFDの取り扱いは限定的です。
3. 各証券会社の特徴と比較ポイント
証券会社を選ぶ際には、以下のポイントを比較検討することが重要です。
3.1 取扱銘柄数と種類
何を取引したいか? で選ぶべき証券会社が変わります。
- 主要な株価指数や商品だけで十分なら、GMOクリック証券、DMM CFD、外為どっとコムなどが候補になります。
- 個別株(特に米国株)も取引したいなら、GMOクリック証券、ヒロセ通商、サクソバンク証券などが選択肢に入ります。
- とにかく多くの銘柄(マイナー指数、商品、外国株、債券など)を取引したいなら、IG証券やサクソバンク証券が圧倒的です。
- ETF CFDに興味があるなら、GMOクリック証券やIG証券などをチェックしましょう。
投資したい対象が決まっている場合は、その銘柄を扱っているか、まず確認することが大切です。
3.2 取引手数料とスプレッド
- 取引手数料: 多くの証券会社では無料です。
- スプレッド: 売値と買値の差額で、これが実質的な取引コストになります。スプレッドは狭いほど低コストです。
スプレッドの比較:
- スプレッドは常に変動しますが、株価指数CFDではGMOクリック証券が、商品CFDではIG証券が業界最狭水準を提供していると評価されることが多いです。
- 例えば、日経225CFDのスプレッド目安は、GMOクリック証券で2円~9円程度、IG証券で7円~30円程度、楽天証券で5円~10円程度といった情報があります。WTI原油のスプレッド目安はIG証券で2.8ポイント程度です。
- 注意: これらの数値はあくまで参考であり、市場状況によって変動します。必ず各証券会社の公式サイトで最新の情報を確認してください。
その他のコスト: ポジションを翌日に持ち越すと金利調整額、株式CFDでは権利調整額の受け払いが発生します。これらも考慮に入れる必要があります。
頻繁に取引するデイトレーダーなどは特に、スプレッドの狭さを重視すべきでしょう。
3.3 最大レバレッジと証拠金
レバレッジ: 日本国内の証券会社では、CFDの種類によって最大レバレッジが定められています。
- 株価指数CFD: 10倍
- 商品CFD: 20倍
- 株式CFD: 5倍
- バラエティCFD (ETF CFDなど): 5倍
必要証拠金: 取引に必要な最低限の資金です。取引したい金額 ÷ レバレッジ で計算されます。
例: 日経平均株価が38,000円の時に1単位取引する場合(レバレッジ10倍)、必要証拠金は 38,000円 ÷ 10 = 3,800円 が目安となります。(※取引単位は証券会社や銘柄により異なります)
レバレッジが高いほど少ない資金で大きな取引ができますが、リスクも高まります。初心者のうちは、最大レバレッジではなく、低いレバレッジ(=多くの証拠金を入金する)で取引を始めることが推奨されます。
3.4 取引ツールとスマホアプリの機能
- PCツール: 高機能な分析を行いたい場合、PCツールが充実しているか確認しましょう。GMOクリック証券、サクソバンク証券、OANDA証券(MT4/MT5/TradingView)などが高機能ツールを提供しています。
- スマホアプリ: 外出先でも取引したい場合、スマホアプリの使いやすさや機能性が重要です。GMOクリック証券、DMM CFDなどは、アプリの評価が高い傾向があります。
- MT4/MT5: FXで人気のプラットフォームを使いたい場合は、楽天証券(楽天MT4CFD)や OANDA証券などが対応しています。
- デモトレードでの確認: 実際にデモトレードを使ってみて、自分にとって直感的で操作しやすいか、必要な機能(チャート分析、注文方法など)が備わっているかを確認するのが一番です。ツールの使い勝手は、取引のストレスやミスにも影響します。
3.5 サポート体制と教育コンテンツ
- サポート: 初心者にとって、疑問点をすぐに解決できるサポート体制は重要です。電話、メール、チャット(LINE対応の会社も)など、対応時間や方法を確認しましょう。
- 教育コンテンツ: CFDの仕組みや取引方法、リスクについて学べるセミナー動画、解説記事、レポートなどが充実しているかもポイントです。外為どっとコムやIG証券などは、学習コンテンツに力を入れている傾向があります。
- デモ口座: デモ口座の提供有無も、初心者にとっては重要なサポート機能の一つと言えます。
【CFD証券会社 比較ポイント まとめ表】
証券会社名 | 主な強み | 取扱銘柄数 (目安) | 日本225 スプレッド (目安) | 最大レバレッジ (株価指数) | 取引ツール評価 (目安) | スマホアプリ有無 | デモ口座有無 | サポート評価 (目安) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
GMOクリック証券 | 低コスト(特に指数), 高機能ツール | 約130+ | 2円~9円 | 10倍 | ★★★★★ | ○ | ○ | ★★★★☆ |
IG証券 | 圧倒的な銘柄数, 低コスト(商品) | 17,000+ | 7円~30円 | 10倍 | ★★★★☆ | ○ | ○ | ★★★★☆ |
DMM CFD | シンプルツール, 手数料体系が明快 | 約13 | 要確認 | 10倍 | ★★★★☆ | ○ | × | ★★★★★ |
楽天証券 (楽天MT4CFD) | MT4利用可能, 総合証券の安心感 | 約30+ | 5円~10円 | 10倍 | ★★★★☆ (MT4) | ○ (MT4) | ○ | ★★★★☆ |
OANDA証券 | MT4/MT5/TradingView対応, 分析ツール充実 | 要確認 | 要確認 | 10倍 | ★★★★★ (選択肢多) | ○ (MT4/MT5) | ○ | ★★★★☆ |
ヒロセ通商 (LION CFD) | キャンペーン豊富, デモが土日も利用可 | 要確認 | 要確認 | 10倍 | ★★★★☆ | ○ | ○ | ★★★★☆ |
サクソバンク証券 | 豊富な銘柄数(特に外国株), プロ向けツール | 9,000+ | 要確認 | 10倍 | ★★★★★ (高機能) | ○ | ○ | ★★★★☆ |
(注) 上記は2024年時点の情報や提供された資料に基づく目安です。取扱銘柄数、スプレッド、ツール評価、サポート評価は変動する可能性があり、最新情報は必ず各証券会社の公式サイトでご確認ください。スプレッドは原則固定・例外ありの場合や、時間帯により変動する場合があります。
この表は、各社の特徴を素早く把握するためのものです。ご自身の優先順位(コスト重視か、銘柄数重視か、ツールの使いやすさ重視かなど)に合わせて比較検討し、最適な証券会社を選びましょう。
4. CFD取引の始め方
自分に合った証券会社が見つかったら、いよいよ口座開設です。ここでは、一般的なCFD取引の始め方を解説します。
4.1 口座開設の手順
基本的な流れは以下の通りです。証券会社によって多少異なります。
- 証券会社を選ぶ: まず、これまでの比較を参考に、口座開設したい証券会社を決めます。
- 公式サイトから申込み: 選んだ証券会社の公式サイトにアクセスし、「口座開設」ボタンなどから申込みフォームに進みます。
- 必要事項の入力: 氏名、住所、生年月日、電話番号、メールアドレス、職業、年収、金融資産、投資経験などを画面の指示に従って入力します。CFD取引のリスクを理解しているかなどの確認事項もあります。入力内容は正確に、正直に記入しましょう。この情報は、証券会社が顧客にCFD取引が適しているかを判断する材料の一つとなります。レバレッジ取引のリスクを考慮すると、正直な申告は自分自身を守るためにも重要です。
- 本人確認書類・マイナンバー書類の提出: 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなどの本人確認書類と、マイナンバー確認書類を提出します。オンラインでのアップロードや、郵送での提出方法があります。必要な書類の種類や組み合わせは証券会社によって異なりますので、よく確認してください。
- 審査: 提出された情報に基づき、証券会社による審査が行われます。審査にかかる時間は証券会社によりますが、通常は数営業日程度です。SBI証券のように最短で申込みと同時に完了する場合もあります。
- 口座開設完了通知: 審査に通過すると、口座開設完了の通知がメールや郵送で届きます。取引に必要なログインIDやパスワードが記載されています。
- 入金: 取引に必要な証拠金を、開設したCFD口座に入金します。銀行振込や、提携金融機関からのクイック入金(即時入金)などの方法があります。
- 取引開始: IDとパスワードで取引ツールにログインし、入金が反映されれば取引を開始できます。
すでに総合証券口座やFX口座を持っている場合、手続きが簡略化されることがあります(例: GMOクリック証券、楽天証券)。
4.2 必要な書類と審査基準
口座開設に必要な書類と、審査でチェックされる主なポイントです。
必要な書類(例):
- 本人確認書類: 運転免許証、マイナンバーカード(個人番号カード)、パスポート、在留カード、健康保険証など。顔写真付きのものが求められることが多いです。
- マイナンバー確認書類: マイナンバーカード、通知カード(記載事項に変更がない場合)、マイナンバーが記載された住民票の写しなど。
※提出する書類の組み合わせ(例:顔写真付き1点、顔写真なし2点など)は、証券会社によって指定されています。
主な審査基準(一般的な例):
- 年齢: 満18歳以上または満20歳以上であること。
- 居住地: 日本国内に居住していること。
- 連絡手段: 常時連絡が可能な電話番号やメールアドレスがあること。
- 投資経験: 株式投資やFXなどの投資経験がある程度求められることが多いです。CFDは仕組みが複雑でリスクも高いため、全くの投資未経験者だと審査に通らない可能性もあります。
- 金融資産: 一定以上の金融資産(預貯金など)を保有していることが求められる場合があります。
- 知識・理解度: CFD取引の仕組みやリスク(レバレッジ、ロスカット、追証の可能性など)を十分に理解していることが確認されます。申込時に確認書面への同意などが求められます。
- 安定収入: (必須ではない場合もありますが)安定した収入がある方が審査には有利になる傾向があります。
審査基準の詳細は公表されていませんが、共通して言えるのは「CFDのリスクを理解し、自己責任で、余裕資金の範囲内で取引できるか」が重視される点です。これらの基準は、CFDが決して万人向けの簡単な投資ではなく、ある程度の金融知識とリスク許容度が求められる商品であることを示唆しています。残念ながら審査に通らないこともあります。
4.3 取引ツールの使い方
取引ツールは証券会社ごとにデザインや機能が異なりますが、基本的な操作は共通しています。
- ログイン: 口座開設時に発行されたIDとパスワードを使って、PCツールやスマホアプリにログインします。
- 銘柄選択: 取引したいCFD銘柄(例: 日本225、米国30、金スポット、WTI原油)をリストから選択します。
- チャート表示: 選択した銘柄の値動きを時系列グラフ(ローソク足チャートが一般的)で表示します。過去の値動きを確認したり、移動平均線やMACD、RSIといったテクニカル指標を表示させて、今後の値動きを分析したりします。
- 気配値(レート)確認: 現在の買値(Ask/アスク)と売値(Bid/ビッド)を確認します。この差がスプレッド(実質的な取引コスト)です。
- 発注: 新規にポジションを持つための「新規注文」や、保有ポジションを決済するための「決済注文」を出します。注文時には、以下の項目などを指定します。
- 売買区分: 買い(Buy)か 売り(Sell)か。
- 注文タイプ: 成行(現在の価格で即時約定)、指値(指定した価格以下で買う/以上で売る)、逆指値(指定した価格以上で買う/以下で売る、損切りなどに利用)、OCO(指値と逆指値を同時に出す)など。
- 数量: どれくらいの量を取引するか。
- 価格: 指値・逆指値の場合、希望する価格を指定します。
- ポジション管理: 現在保有しているポジション(建玉)の一覧を確認します。銘柄、売買区分、数量、取得価格、現在の評価損益などが表示されます。
- 口座状況確認: 口座全体の状況を確認します。預け入れた証拠金の残高、現在の有効証拠金(証拠金残高 ± 評価損益)、ポジションを維持するために必要な証拠金、そして重要なのが証拠金維持率(有効証拠金 ÷ 必要証拠金 × 100%)です。この維持率が一定水準を下回るとロスカットが執行されます。
これらの機能をただ操作できるだけでなく、それぞれの操作が持つ意味(例えば成行注文と指値注文の違いが約定価格にどう影響するか、証拠金維持率の低下が何を意味するかなど)を理解することが、リスク管理の観点からも非常に重要です。まずはデモトレードで、これらの基本操作に慣れることから始めましょう。
4.4 デモ取引の活用方法
多くのCFD証券会社では、本番の取引を始める前に、仮想の資金を使って取引を体験できる「デモトレード」(バーチャルトレード)のサービスを無料で提供しています。初心者の方は、まずデモトレードを積極的に活用しましょう。
デモトレードのメリット:
- リスクゼロで練習できる: 仮想の資金(例: 10万円~1,000万円、会社によっては6,000万円など)を使うため、実際のお金を失う心配がありません。失敗を恐れずに様々な操作や注文方法を試せます。
- 取引ツールに慣れる: 本番とほぼ同じ、あるいは非常によく似た取引ツールを使って、チャートの見方、注文の発注方法、ポジション管理画面の確認など、実際の取引に必要な操作を習得できます。
- 取引戦略を試せる: 自分で考えた売買ルールやテクニカル分析の手法が、実際の市場に近い値動き(リアルタイムレートに近いレートが配信されることが多い)の中で機能するかどうかを、リスクなしで検証できます。
デモトレードの活用ポイント:
- 本番のつもりで取り組む: 仮想資金とはいえ、本番の取引と同じような真剣さで臨むことが大切です。適当な取引を繰り返しても練習になりません。
- リアルな資金管理を意識する: 最初から大きな仮想資金を使うのではなく、自分が実際に投入する予定の金額に近い額で始めるなど、現実的な資金管理をシミュレーションしましょう。
- 様々な注文方法を試す: 成行、指値、逆指値(ストップロス)、IFD、OCOなど、多様な注文方法を実際に使ってみて、それぞれの特徴や使い方をマスターしましょう。
- 分析ツールの使い方を学ぶ: チャートに様々なテクニカル指標を表示させたり、描画ツールを使ったりして、分析方法を練習しましょう。
デモトレードの注意点・限界:
- 精神的なプレッシャーがない: 最大の違いは、実際のお金がかかっていないことによる精神的なプレッシャーの欠如です。損失が出ても痛みを感じにくいため、本番では恐怖心からできないような大胆な取引をしてしまったり、逆に損切りをためらうといった本番特有の心理状態を経験できません。デモトレードで上手くいったからといって、本番でも同じように勝てるとは限りません。この「心理的な壁」の存在を認識しておくことが、デモから本番へ移行する際に非常に重要です。
- 完全に本番と同じではない: いくつかの点で本番取引と異なります。
- スリッページが発生しない、または発生しにくい。
- 金利調整額や権利調整額が反映されない、または計算方法が異なる。
- ロスカットのルールが本番と異なる場合がある。
- 利用できる期間に制限がある(例: 1ヶ月、3ヶ月など)。
- 一部の銘柄や機能が利用できない場合がある。
デモトレードは、あくまで取引の操作方法を習熟したり、基本的な戦略を試したりするための「練習場」と捉え、その結果を過信しないようにしましょう。
5. CFD取引に関するよくある質問(FAQ)
最後に、CFD取引に関して初心者の方が疑問に思いやすい点をまとめました。
5.1 CFD取引の税金はどうなりますか?
- 税金の区分と税率: 個人がCFD取引で得た利益は、原則として「雑所得」に分類され、「申告分離課税」の対象となります。これは、給与所得など他の所得とは分けて税額を計算する方式です。税率は、利益の額にかかわらず一律 20.315% です。内訳は、所得税15%、住民税5%、そして2037年までは復興特別所得税(所得税額の2.1% = 0.315%)が加わります。
- 確定申告: 年間のCFD取引で利益が出た場合、原則として確定申告が必要です。ただし、給与所得者の方で、給与以外の所得(CFDの利益を含む)の合計が年間20万円以下の場合は、所得税の確定申告は不要です(住民税の申告は別途必要になる場合があります)。給与所得がない方(専業主婦・主夫、学生、年金受給者、フリーランスなど)は、年間の合計所得金額が基礎控除額(通常48万円、所得に応じて変動)などを超える場合に確定申告が必要となります。損失が出て、翌年以降に繰り越したい場合も確定申告が必要です。
- 損益通算: CFD取引の損益は、同じ「先物取引に係る雑所得等」に分類される他の金融商品の損益と通算(相殺)することができます。例えば、CFDで50万円の利益、FXで30万円の損失が出た場合、差し引き20万円の利益に対して課税されます。対象となるのは、FX、日経225先物・オプション、商品先物、くりっく株365などです。ただし、株式投資(現物・信用)や投資信託の損益(通常は譲渡所得や配当所得)とは通算できません。
- 損失の繰越控除: 年間の取引で損失が出た場合、確定申告を行うことで、その損失額を翌年以降3年間にわたって繰り越すことができます。繰り越した損失は、翌年以降の「先物取引に係る雑所得等」の利益から控除することが可能です。例えば、今年100万円の損失を繰り越し、来年50万円の利益が出た場合、利益と損失を相殺して課税所得を0円にできます。この制度を利用するためには、損失が出た年だけでなく、その後も毎年(取引がない年でも)確定申告を続ける必要があります。これはCFDのような価格変動が大きい取引において、税負担を平準化する上で重要な制度ですが、継続的な申告手続きが求められます。
- 特定口座の非対応: 株式投資などで利用できる、証券会社が年間の損益計算や税金の源泉徴収を行ってくれる「特定口座」の制度は、CFD取引にはありません。そのため、トレーダー自身で年間の損益を計算し、確定申告を行う必要があります。多くの証券会社では、確定申告に利用できる「年間損益報告書」などを発行しているので、それを活用しましょう。この点は、株式投資に慣れている方にとっては、少し手間が増える部分かもしれません。
税金のルールは複雑な場合もあるため、不明な点は税務署や税理士に相談することをおすすめします。
5.2 初心者におすすめの証券会社は?
「どの証券会社が一番良いか」は、投資家一人ひとりの重視するポイントによって異なります。改めて、選び方のポイントをまとめます。
- 取引コスト(スプレッド)を最も重視するなら:
- GMOクリック証券 (特に株価指数CFD)
- IG証券 (特に商品CFD)
- 取扱銘柄の豊富さを求めるなら:
- IG証券 (種類・数ともに圧倒的)
- サクソバンク証券 (外国株CFDなどが豊富)
- 取引ツールの使いやすさやシンプルさを重視するなら:
- DMM CFD (初心者向けで直感的)
- GMOクリック証券 (高機能だが操作性も良好)
- MT4/MT5を使いたいなら:
- 楽天証券 (楽天MT4CFD)
- OANDA証券
- サポート体制や学習コンテンツを重視するなら:
- DMM CFD (LINEサポートなど)
- 外為どっとコム (情報コンテンツ)
- IG証券 (学習コンテンツ)
まずは、いくつかの証券会社のデモトレードを試してみて、ツールの使い勝手やサービス内容が自分に合っているかを確認することをおすすめします。
5.3 夜間や週末の取引は可能ですか?
- 平日: CFDの大きなメリットの一つは、取引時間の長さです。特に海外の株価指数(NYダウ、ナスダックなど)や商品(金、原油など)を参照する銘柄は、日本時間の夜間や早朝も含め、月曜日の早朝から土曜日の早朝まで、ほぼ24時間取引が可能です。日本の株式市場が閉まっている時間帯でも、世界の市場の動きに合わせて取引できます。ただし、銘柄によって取引時間は異なります。例えば、日本株CFDは日本の取引時間帯が中心になりますし、銘柄によっては特定の時間帯にメンテナンス等で取引できないこともあります。詳細は各証券会社のウェブサイトで確認が必要です。
- 週末: 基本的に、土曜日と日曜日は世界の主要な金融市場が閉まっているため、ほとんどのCFD銘柄は取引できません。
- 例外:
- 一部の証券会社では、週末の価格変動を予測する「ウィークエンドCFD」(例: IG証券の週末指数CFD)のような特殊な銘柄を提供している場合があります。(※最新の提供状況は要確認)
- 暗号資産(仮想通貨)CFDは、原市場である暗号資産市場が24時間365日動いているため、週末も取引できる場合があります。(※取扱証券会社やルールは要確認)
- 注意点(窓開けリスク): 週末に市場が閉まっている間に大きなニュース(経済指標の発表、政治的な出来事、災害など)が発生すると、週明け月曜日の取引開始時に価格が前週末の終値から大きく乖離して始まることがあります。これを「窓を開ける(ギャップアップ/ダウン)」と言います。週末にポジションを持ち越している場合、この窓開けによって想定外の大きな損失が発生したり、設定していた損切り注文(逆指値)が意図した価格で約定しないリスク(スリッページ)があります。このため、週末をまたいでポジションを保有する際には特に注意が必要です。ほぼ24時間取引できる利便性の裏側には、市場が動いている間は常に価格変動リスクに晒されるという側面があり、特に就寝中など目を離している間のリスク管理(損切り注文の設定など)が重要になります。
5.4 リスク管理の方法は?
CFDはレバレッジを利用するため、大きな利益を得る可能性がある反面、大きな損失を被るリスクも伴う「ハイリスク・ハイリターン」な金融商品です。したがって、取引を始める前に、しっかりとしたリスク管理の計画を立て、それを実行することが極めて重要です。以下に、基本的なリスク管理の方法を挙げます。
- 余裕資金で取引する: CFD取引に使うお金は、生活費や教育費、住宅ローンなど、必要不可欠な資金とは明確に分け、万が一失っても生活に支障が出ない「余裕資金」の範囲内に限定しましょう。
- レバレッジを低く抑える: 各CFDには最大レバレッジが設定されていますが、常に最大レバレッジで取引する必要はありません。特に初心者のうちは、実効レバレッジ(取引総額 ÷ 有効証拠金)を低く抑える(例えば2~3倍程度に)ことを心がけましょう。これは、口座に入れる証拠金を多めにすることで実現できます。レバレッジを抑えることで、価格が不利な方向に動いた際の損失額を小さくし、ロスカットされるリスクを低減できます。
- 損切りルールを決め、徹底する: ポジションを持つ前に、「損失がいくらになったら(あるいは価格がどこまで逆行したら)決済するか」という損切り(ストップロス)のルールを具体的に決めておくことが不可欠です。そして最も重要なのは、決めたルールを感情に左右されずに必ず実行することです。「もう少し待てば戻るかもしれない」といった希望的観測で損切りをためらうと、損失が際限なく拡大する可能性があります。多くの取引ツールには、指定した価格に達したら自動で損切り注文を執行する「逆指値注文(ストップ注文)」の機能があるので、これを活用しましょう。
- 分散投資を心がける: 資金を一つの銘柄や市場(例:米国株価指数だけ)に集中させるのではなく、値動きの異なる複数の銘柄(例:株価指数と商品、異なる国の指数など)に分散して投資することも、リスクを軽減する一つの方法です。ただし、初心者が一度に多くの銘柄を管理するのは難しいため、まずは自分が理解できる範囲で、少数の銘柄から始めるのが良いでしょう。
- 情報収集と学習を継続する: 取引対象の市場を取り巻く経済情勢や金融政策、国際的な出来事などに関心を持ち、常に最新情報を収集するよう努めましょう。また、CFDの仕組み、取引ツールの使い方、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析など、投資に関する学習を継続することも重要です。
- デモトレードで十分練習する: 本番の取引を始める前に、デモトレードを活用して、取引の操作に慣れ、自分なりの取引ルールを作り、リスク管理の方法(特に損切り注文の使い方)を練習しましょう。
- ポジションサイズの管理: 1回の取引で許容できる損失額を、自己資金全体の一定割合(例えば1%や2%など、自分でルールを決める)に収まるように、取引する量(ポジションサイズ)を調整することも有効なリスク管理手法です。
一度の失敗で大きなダメージを受けてしまいます。
リスク管理は、CFD取引で長期的に生き残るための生命線と言えるでしょう。
特に、ルールを守るという規律は、デモトレードでは養いにくいため、本番取引では常に意識する必要があります。
まとめ
この記事では、CFD(差金決済取引)の基本的な仕組みから、メリット・リスク、主な投資対象、そして初心者におすすめの証券会社について、ランキング形式で比較しながら解説してきました。
CFDは、レバレッジを活用することで少ない資金からでも大きなリターンを狙える可能性がある一方、価格変動リスクやレバレッジによる損失拡大リスク、ロスカットリスクなど、相応のリスクも伴う金融商品です 。
「CFD おすすめ証券会社」は、一概に決まるものではなく、あなたが何を重視するか(取引コスト、取扱銘柄の豊富さ、ツールの使いやすさ、サポート体制など)によって最適な選択は異なります。
GMOクリック証券、IG証券、DMM CFD、楽天証券など、今回紹介した証券会社の特徴をよく比較し、ご自身の投資スタイルに合った会社を選びましょう。
CFD取引を始める上で最も重要なことは、その仕組みとリスクを十分に理解し、必ず余裕資金の範囲内で行うこと、そして「損切り」をはじめとするリスク管理を徹底することです。
まずは、気になる証券会社のデモトレード を利用して、実際の取引画面に触れ、操作に慣れることから始めてみることを強くおすすめします。リスクゼロでCFD取引を体験し、自信をつけてから本番の取引に臨むのが賢明なステップです。
この記事が、あなたのCFD取引への第一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
【登場人物】






CFDと他投資商品の比較
CFDの雑学
ミニCFD GMOクリック証券
※CFD:差金決済取引