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初心者向け【CFDと投資信託の違いとは?】メリット・リスクをわかりやすく解説

投資を始めようと考えたとき、「CFD」と「投資信託」という言葉を目にすることがあるかもしれません。

どちらも人気の金融商品ですが、その仕組みや特徴は大きく異なります。

「CFDと投資信託、自分にはどっちが合っているんだろう?」そんな疑問を持つ投資初心者の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、投資の世界への第一歩を踏み出す方に向けて、「CFD 投資信託 違い」をテーマに、それぞれの基本的な仕組みから、メリット・デメリット、選び方まで、わかりやすく解説していきます。

専門用語もかみ砕いて説明しますので、中学生にも理解できるように、一つひとつ丁寧に見ていきましょう。

この記事を読めば、CFDと投資信託の特性をしっかりと理解し、ご自身の投資スタイルや目的に合った商品を選ぶための知識が身につくはずです。

本記事について

本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の手法や知識を推奨したり、売買を勧めたりするものではありません。

本記事に記載されている情報については、正確性、完全性、有用性を確保するために努力しておりますが、その保証は致しかねます。

投資対象や商品の選択など、実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

必要に応じて、財務アドバイザーや税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

本記事の情報を利用した結果として発生するいかなる損害についても、著者は一切の責任を負いません。

目次

1. CFDと投資信託の基本概要

まず、CFDと投資信託がそれぞれどのような金融商品なのか、基本的な仕組みから見ていきましょう。

1.1 CFD(差金決済取引)とは

CFDは「Contract for Difference」の略で、日本語では「差金決済取引(さきんけっさいとりひき)」と呼ばれます。

この取引の最大の特徴は、株式や商品(コモディティ)といった実際の資産(これを「原資産」と呼びます)を直接保有することなく、その価格変動だけを取引することです。

具体的には、取引を開始した時の価格と、取引を終了した時の価格の「差額」だけをやり取りして、利益や損失が決まる仕組みです。

例えば、ある株価指数が上がると思った時にCFDを買い、予想通り価格が上昇した後に売れば、その差額が利益になります。

逆に、価格が下がると予想してCFDを売り、実際に価格が下落した後に買い戻せば、その差額が利益となります。

このように、現物の受け渡しを行わないため「差金決済」と呼ばれています。

この「差額だけを決済する」という仕組みが、CFD特有の機能、例えば少ない資金で大きな取引ができる「レバレッジ」や、価格下落時にも利益を狙える「売り(ショート)」を可能にしています。

身近な例では、二国間の通貨の価格差を取引するFX(外国為替証拠金取引)も、広い意味ではCFDの一種と考えることができます。

1.2 投資信託とは

投資信託は、たくさんの投資家から少しずつお金を集め、それを一つの大きな資金としてまとめます。

そして、その資金を運用の専門家(ファンドマネージャーと呼ばれます)が、投資家に代わって株式や債券、不動産など、国内外の様々な資産に分散して投資・運用する金融商品です。

運用によって得られた利益(あるいは損失)は、投資家が保有している投資信託の口数(持ち分)に応じて分配されます。

投資信託のポイントは、「多くの人から資金を集めること(集団性)」と「専門家が運用すること(委任性)」です。

個人では難しいような、多くの銘柄への分散投資や、専門的な知識が必要な運用を、少額からでも実現できるのが大きな特徴です。

投資家は、投資信託という「パッケージ商品」を購入することで、間接的に様々な資産に投資していることになります。

この仕組みにより、リスクを分散しやすくなる一方、運用は専門家に任せる形となり、そのための手数料(コスト)が発生します。

2. 主な違いの比較

CFDと投資信託の基本的な仕組みがわかったところで、次は具体的な違いを比較していきましょう。

2.1 取引方法とポジションの取り方

(1) CFDは買い・売り(ショート)両方可能

CFDの大きな特徴の一つは、価格の上昇を予想して「買い」から入るだけでなく、価格の下落を予想して「売り(ショート)」から取引を始めることもできる点です。

「売り(ショート)」とは、簡単に言うと、価格が高い時に先に売っておき、価格が下がった時に買い戻して利益を出す方法です。

これにより、市場が上昇局面でも下落局面でも利益を狙うチャンスがあります。

(2) 投資信託は基本的に買いのみ

一方、投資信託は基本的に「買い」から入るのが一般的です。投資信託を購入し、その価値(基準価額)が上昇した後に売却(解約)することで利益を得る、あるいは保有中に分配金を受け取ることを目指します。

投資家自身が投資信託を「売り(ショート)」から取引することは通常できません。

この取引方法の違いは、CFDが市場のあらゆる局面で利益機会を探るアクティブな取引に向いているのに対し、投資信託が長期的な値上がりを期待して保有するスタイルに適していることを示唆しています。

2.2 レバレッジの有無

(1) CFDはレバレッジ取引が可能(最大10倍など)

CFDでは、「レバレッジ」を利用することができます。

レバレッジとは、「てこの原理」のように、少ない自己資金(証拠金と呼ばれます)を担保にして、その何倍もの金額の取引を行うことができる仕組みです。

例えば、10万円の証拠金でレバレッジ10倍を利用すれば、100万円分の取引が可能になります。

これにより、少ない資金でも大きな利益を狙うことができます。

ただし、レバレッジは利益だけでなく損失も拡大させるため、注意が必要です。

日本国内のCFD取引では、株価指数CFDの場合、最大レバレッジは10倍程度に設定されていることが多いです。

株式CFDでは5倍(証拠金率20%)、商品CFDでは20倍など、対象となる資産によって最大レバレッジは異なります。

(2) 投資信託はレバレッジなし

通常の投資信託では、投資家がレバレッジを利用することはできません。

投資した金額がそのまま投資元本となり、その範囲内での運用が行われます。

レバレッジの有無は、CFDと投資信託の最大の違いの一つであり、リスクとリターンの大きさに直接的な影響を与えます。

レバレッジを使えるCFDはハイリスク・ハイリターンの可能性があり、レバレッジのない投資信託は相対的にリスク・リターンが抑えられる傾向にあります。

この違いは、どちらの商品が自分のリスク許容度に合っているかを判断する上で非常に重要です。

2.3 最低投資金額

(1) CFDは数万円程度から

CFD取引を始めるために必要な最低限の資金は、証券会社や取引する銘柄によって異なりますが、一般的には数万円程度の証拠金から始めることが可能です。

例えば、PayPay証券では最低1万円以上の証拠金で取引を開始できます。

個別の株式CFDでは、銘柄によっては最低取引単位あたりの必要証拠金が数千円から数万円程度となる場合もあります。

先物取引などと比較すると、少額から始めやすいのが特徴です。

(2) 投資信託は100円から可能

投資信託は、非常に少額から投資を始められる点が大きな魅力です。

多くの証券会社では、100円から投資信託を購入することができます。

以前は1万円程度からの購入が一般的でしたが、現在では誰でも気軽に始められるようになっています。

最低投資金額の違いは、特に投資初心者や、まずはお試しで始めてみたいという方にとって、大きなポイントとなります。

投資信託は、文字通りお小遣い程度の金額からでもスタートできるため、投資へのハードルが非常に低いと言えるでしょう。

CFDも比較的少額から可能ですが、投資信託ほどの低額ではありません。

2.4 取引時間

(1) CFDはほぼ24時間取引可能

CFDは、取引対象となる資産によっては、ほぼ24時間取引が可能です。

特に、世界の主要な株価指数や為替、金や原油などの商品は、アジア、ヨーロッパ、アメリカと市場が開いている時間帯に合わせて、平日であれば日本時間の深夜や早朝でも取引できます。

これにより、日中は仕事で忙しい方でも、帰宅後や空いた時間に取引を行うことができます。

また、海外市場の動向やニュースにリアルタイムで対応することも可能です。

ただし、土日は市場が閉まっているため取引できません。

(2) 投資信託は取引時間が限定的

投資信託の取引は、通常、1日に1回算出される「基準価額」という価格で行われます。

この基準価額は、その日の市場が閉まった後に、投資信託が保有している株式や債券などの資産価値を評価して計算されます。

そのため、投資信託の注文は、証券会社が定める締め切り時間までに行う必要があり、その日の基準価額で購入または売却(解約)されることになります。

東京証券取引所の取引時間(前場9:00~11:30、後場12:30~15:30)に合わせて、多くの投資信託の当日注文の締め切り時間は15:00や15:30に設定されています。

CFDのように、リアルタイムで価格を見ながら好きなタイミングで売買することはできません。

取引時間の違いは、投資スタイルに影響します。

CFDは、市場の動きに機敏に対応したいアクティブなトレーダーに適しています。

一方、投資信託は、日々の細かい値動きに一喜一憂せず、長期的な視点で投資判断を行う投資家に向いています。

2.5 手数料・コスト

(1) CFDはスプレッドやオーバーナイト金利が発生

CFD取引では、いくつかのコストが発生します。

  • スプレッド: CFDの価格には、「買値(Ask)」と「売値(Bid)」の2つがあり、通常、買値の方が売値よりも少し高くなっています。この差額を「スプレッド」と呼びます。スプレッドは、取引ごとにかかる実質的なコストであり、取引を開始した瞬間に、この差額分のマイナスからスタートすることになります。スプレッドの幅は、通貨ペアや銘柄、市場の状況によって変動します。
  • オーバーナイト金利(金利調整額・ファイナンシングコスト): CFDのポジション(建て玉)を翌日に持ち越す(ロールオーバーする)場合、金利調整額(またはオーバーナイト金利、ファイナンシングコストとも呼ばれます)が発生することがあります。これは、買いポジションの場合は支払い、売りポジションの場合は受け取りとなることが一般的ですが、金利情勢やブローカーの方針により異なります。このコストは、ポジションを長く保有するほど積み重なるため、CFDが長期保有に必ずしも向かない理由の一つとされています。ただし、金や銀スポットなど特定の銘柄のみ対象となる場合や、金利調整額が発生しない代わりに価格調整額が発生する仕組みを採用している場合もあります。
  • その他: 明示的な取引手数料は無料としている証券会社が多いですが、外貨建て資産の取引では円転・外貨転の際に為替手数料がかかる場合があります。

(2) 投資信託は信託報酬や販売手数料が発生

投資信託では、主に以下の手数料がかかります。

  • 販売手数料: 投資信託を購入する際に、販売会社(証券会社や銀行など)に支払う手数料です。購入金額に対して数%といった形でかかりますが、この手数料が無料(0%)の「ノーロードファンド」も多く存在します。
  • 信託報酬(運用管理費用): 投資信託を保有している間、継続的に発生するコストです。投資信託の運用や管理にかかる経費として、信託財産の中から毎日差し引かれます。年率で表示されることが多く(例:年率1.0%)、一般的には年0.1%~2.0%程度と幅があります。インデックスファンド(市場平均などに連動を目指すタイプ)は低め、アクティブファンド(市場平均を上回る成績を目指すタイプ)は高めの傾向があります。長期投資においては、この信託報酬の差が最終的なリターンに大きな影響を与えます。
  • 信託財産留保額: 投資信託を売却(解約)する際に、換金代金から差し引かれることがある費用です。解約に伴う取引コストなどをカバーするために、信託財産内に留保されるお金です。かからないファンドも多く、かかる場合でも基準価額の0.1%~0.3%程度が一般的です。

コスト比較のポイント

CFDのコストは主に「取引を行うこと」や「ポジションを保有し続けること」に関連しています。

一方、投資信託のコスト(特に信託報酬)は「資産を保有し、運用してもらうこと」に関連しています。

このため、頻繁に取引するならCFDのスプレッドが、長期で保有するなら投資信託の信託報酬が、それぞれ重要な比較ポイントになります。

コスト比較表

コストの種類CFD投資信託
スプレッドあり(取引ごとの実質コスト)なし
オーバーナイト金利/金利調整額あり(ポジション持ち越し時に発生する場合が多い、長期保有で影響大)なし
販売手数料なし(取引手数料無料が多い)あり(無料の「ノーロード」もあり)
信託報酬(運用管理費用)なしあり(保有期間中、毎日発生。長期投資で影響大)
信託財産留保額なしあり(解約時にかかる場合がある)

2.6 追証(追加証拠金)の有無

(1) CFDは追証のリスクあり

CFD取引では、レバレッジを利用するため、相場が不利な方向に大きく動いた場合、損失が預け入れた証拠金の額を上回ってしまう可能性があります。

証拠金が一定の水準(維持率)を下回ると、証券会社から追加の証拠金を入金するように要求されます。

これを「追証(おいしょう)」または「追加証拠金」と呼びます。

もし、指定された期限までに追証を入金できない場合、保有しているポジションは強制的に決済(ロスカット)されてしまいます。

さらに、相場の急変動などによっては、ロスカットが間に合わず、預けた証拠金以上の損失が発生し、不足分を請求される(つまり借金を負う)リスクもゼロではありません。

(2) 投資信託は追証なし

レバレッジを利用しない通常の投資信託では、追証が発生することはありません。

投資した金額以上に損失が膨らむことはなく、最悪の場合でも損失は投資元本がゼロになるまでに限定されます。

追証のリスクの有無は、CFDと投資信託の最も重大な違いの一つです。

特に投資初心者にとっては、想定外の損失や借金を負う可能性のあるCFDのリスクを十分に理解しておく必要があります。

主な違いのまとめ

比較項目CFD(差金決済取引)投資信託
取引方法買い・売り(ショート)両方可能基本的に買いのみ
レバレッジあり(例:最大10倍など、ハイリスク・ハイリターン)なし(ローリスク・ローリターン傾向)
最低投資金額数万円程度から100円から可能
取引時間ほぼ24時間可能(平日)限定的(通常1日1回の基準価額で取引)
主なコストスプレッド、オーバーナイト金利販売手数料、信託報酬、信託財産留保額
追証リスクあり(損失が元本を超える可能性あり)なし(損失は元本の範囲内)
決済期限なし(長期保有可能だがコスト考慮)なし(ファンドの償還まで保有可能)
投資対象の多様性株式、株価指数、商品、債券など多様株式、債券、不動産など多様(ファンドによる)

3. 各商品のメリットとデメリット

これまでの比較を踏まえ、CFDと投資信託それぞれのメリットとデメリットを整理してみましょう。

3.1 CFDのメリット

(1) 少額資金で大きな取引が可能

レバレッジを利用することで、少ない資金でも大きな金額の取引ができ、効率的に利益を狙うことができます。

(2) 下落相場でも利益を狙える

「売り(ショート)」から取引を始められるため、市場が下落している局面でも利益を得るチャンスがあります。

(3) 取引時間が柔軟

ほぼ24時間取引できる銘柄が多く、日中忙しい人でも自分のライフスタイルに合わせて取引しやすいです。

(4) 多様な資産に投資可能

国内外の株価指数、個別株式、金や原油などの商品(コモディティ)、債券先物など、一つの口座で幅広い資産に投資できます。

(5) 決済期限がない

先物取引と異なり、多くのCFDには決済期限(限月)がないため、ポジションを長期で保有することも可能です(ただしコストに注意)。

3.2 CFDのデメリット

(1) 追証のリスクがある

レバレッジにより損失が拡大しやすく、預けた証拠金以上の損失が発生する可能性があります。

最悪の場合、借金を負うリスクがあります。これは最大のデメリットと言えます。

(2) 長期保有には向かない場合がある

オーバーナイト金利(金利調整額)が日々発生するため、ポジションを長期間保有するとコストがかさむ可能性があります。

また、レバレッジによる価格変動の大きさも、長期保有には精神的な負担となることがあります。

(3) レバレッジは損失も拡大させる

利益を増幅させる可能性がある一方、損失も同様に拡大させます。予想と反対に相場が動いた場合、大きな損失を被る可能性があります。

(4) 取引コスト(スプレッド)

取引ごとにスプレッドが発生するため、頻繁に売買するとコストがかさみます。

(5) 仕組みがやや複雑

レバレッジ、証拠金維持率、ロスカット、オーバーナイト金利など、理解すべき仕組みが多く、初心者にはやや難しく感じられるかもしれません。

3.3 投資信託のメリット

(1) 小額から分散投資が可能

100円といった少額からでも、多くの銘柄や資産に分散されたポートフォリオに投資できます。

これにより、リスクを抑えやすくなります(「卵は一つのかごに盛るな」の考え方)。

(2) 長期的な資産形成に適している

分散投資によるリスク軽減効果や、分配金の再投資による複利効果が期待できるため、時間をかけてコツコツと資産を増やしていく長期的な目標(例:老後資金準備)に向いています。

(3) 運用のプロに任せられる

投資先の選定や売買のタイミングなどの判断は、専門家であるファンドマネージャーが行ってくれます。

投資に関する詳しい知識や時間がなくても始めやすいです。

(4) 個人では投資しにくい資産にも投資可能

新興国の株式や債券など、個人ではアクセスが難しい国や地域の資産にも、投資信託を通じて投資できます。

(5) 透明性が高い

投資信託の価値である基準価額は毎日公表され、どのような資産に投資しているかの情報も定期的に開示されるため、透明性の高い金融商品と言えます。

3.4 投資信託のデメリット

(1) レバレッジが使えない

投資元本以上の大きなリターンを短期間で狙うことは難しいです。

リターンは基本的に投資先の資産の値動き(からコストを引いたもの)に連動します。

(2) 下落相場での利益獲得が難しい

市場全体が下落する局面では、多くの投資信託の基準価額も下落する傾向があり、利益を出すのが難しくなります。

(3) コスト(手数料)がかかる

購入時に販売手数料がかかる場合があるほか、保有している限り信託報酬が継続的に発生します。

これらのコストはリターンを押し下げる要因となります。

特に長期投資では信託報酬の率が重要になります。

(4) 元本保証がない

預貯金とは異なり、投資した元本が保証されているわけではありません。

市場の変動によっては、投資元本を割り込む(損をする)可能性があります。

(5) リアルタイムでの売買ができない

1日1回の基準価額でしか取引できないため、市場の急な変動に対して、タイミングよく売買することは困難です。

メリット・デメリット比較表

CFDメリットデメリット
少額資金で大きな取引が可能(レバレッジ)追証リスク(元本超の損失可能性)
下落相場でも利益を狙える(売り/ショート)長期保有コスト(オーバーナイト金利)
取引時間が柔軟(ほぼ24時間)レバレッジによる損失拡大リスク
多様な資産に投資可能取引コスト(スプレッド)
決済期限がない(先物比)仕組みがやや複雑
投資信託メリットデメリット
少額から分散投資が可能レバレッジが使えない
長期的な資産形成に適している下落相場での利益獲得が難しい
運用のプロに任せられるコスト(販売手数料、信託報酬)がかかる
個人では投資しにくい資産にも投資可能元本保証がない
透明性が高いリアルタイムでの売買ができない

これらのメリット・デメリットを見ると、CFDと投資信託が全く異なる性質を持つことがわかります。

CFDは高いリターンの可能性がある反面、リスクも高く、より積極的で知識や経験を要する取引と言えます。

一方、投資信託はリスクを抑えつつ、長期的な視点で資産形成を目指すのに適した、比較的始めやすい商品と言えるでしょう。

どちらが良い・悪いではなく、自身の投資スタイルや目的に合わせて選ぶことが重要です。

4. 投資目的別の選択ガイド

CFDと投資信託、それぞれの特徴が理解できたところで、具体的にどのような投資目的の場合にどちらが適しているのかを見ていきましょう。

4.1 短期的な利益を狙う場合

(1) CFDが適している

数日から数週間といった短い期間で、市場の値動きを利用して積極的に利益を狙いたい、という場合にはCFDが適していると考えられます。

その理由は以下の通りです。

  • レバレッジ効果: レバレッジを使うことで、少ない資金でも大きなリターンを短期間で目指すことが可能です。市場が少し動いただけでも、レバレッジによってその効果が増幅されます。
  • 売り(ショート)取引: 価格が下落すると予想される場面でも、「売り」から入ることで利益を追求できます。上昇・下落の両局面でチャンスがあります。
  • 取引時間の長さ: ほぼ24時間取引できるため、世界の市場の動きや経済ニュースに素早く反応して取引を行うことができます。短期的な値動きを捉えやすいと言えます。

CFDは、市場の変動を利用して短期的に収益を上げることを目的としたトレーディング戦略や、保有している他の資産(例えば投資信託など)のリスクヘッジ(価格下落に備えること)に活用されることもあります。

ただし、短期的な利益を狙うということは、それだけリスクも高くなることを意味します。

レバレッジは損失も拡大させますし、短期的な市場の予測は非常に困難です。

CFDで短期取引を行う場合は、損切りルールの設定など、徹底したリスク管理が不可欠です。

十分な知識と理解なしに手を出すのは避けるべきでしょう。

4.2 長期的な資産形成を目指す場合

(1) 投資信託が適している

将来のために、例えば10年、20年といった長い期間をかけて、じっくりと資産を育てていきたい、という場合には投資信託が適しています。

その理由は以下の通りです。

  • 分散投資によるリスク軽減: 投資信託は、一つの商品で多くの資産に分散投資されているため、特定の資産が値下がりしても、他の資産でカバーされるなど、リスクを抑える効果が期待できます。長期投資では、一時的な市場の変動に左右されにくい安定性が重要になります。
  • 複利効果: 投資信託の分配金を再投資することで、「利息が利息を生む」複利の効果を得やすくなります。運用期間が長くなるほど、この複利効果は大きくなり、資産の成長を加速させる可能性があります。
  • 専門家による運用: 長期投資では、経済や市場の動向を見極めながら、適切な資産配分を維持していくことが重要ですが、これを個人で行うのは大変です。投資信託なら、運用の専門家が代わりにそれを行ってくれます。
  • 少額からの積立投資: 毎月一定額をコツコツと積み立てていく「積立投資」がしやすいのも投資信託の魅力です。これにより、購入タイミングを分散でき(時間分散)、価格変動リスクをさらに抑える効果も期待できます。

NISA(少額投資非課税制度)やつみたてNISA、iDeCo(個人型確定拠出年金)といった、税制優遇のある長期的な資産形成を支援する制度でも、投資信託が主な対象商品となっています。

ただし、投資信託も元本保証はなく、市場環境によっては損失を被る可能性はあります。

また、長期投資においては、信託報酬などのコストが最終的なリターンに与える影響が大きくなるため、できるだけ低コストのファンドを選ぶことが重要です。

このように、CFDと投資信託は、その特性から適した投資目的が異なります。

短期的な値動きを捉えたいならCFD、長期的な視点で資産を育てたいなら投資信託、というように、自分の目標に合わせて商品を選ぶことが、投資で成功するための第一歩となります。

5. 税制上の違い

CFDと投資信託では、利益が出た場合の税金の取り扱いも異なります。

5.1 CFDの税制

(1) 申告分離課税で一律20.315%

CFD取引で得た利益は、個人の場合、原則として「先物取引に係る雑所得等」に分類されます。

この所得は、給与所得など他の所得とは合算せず、分離して税額を計算する「申告分離課税」の対象となります。

税率は、所得の金額にかかわらず一律で 20.315% です。

この内訳は、所得税15%、住民税5%、そして2037年までは復興特別所得税0.315%が加わります。

CFD取引で利益が出た場合、原則として確定申告が必要です。

ただし、給与所得者で年間の給与以外の所得(CFDの利益を含む)が20万円以下の場合は、所得税の確定申告は不要となる場合があります(住民税の申告は必要です)。

また、CFD取引で損失が出た場合は、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来のCFD取引や他の「先物取引に係る雑所得等」(FX取引など)の利益と相殺することができます(損失の繰越控除)。

この繰越控除を利用する場合も確定申告が必要です。

同じ年の中であれば、CFD取引の利益と損失、あるいはFX取引など他の「先物取引に係る雑所得等」の損益を通算(損益通算)することも可能です。

5.2 投資信託の税制

(1) 配当所得や譲渡所得として課税され、税率や課税方法が異なる

投資信託から得られる利益には、主に以下の2種類があります。

  • 譲渡益: 投資信託を売却(解約)して得た利益。これは「譲渡所得」として扱われます。
  • 分配金: 投資信託の決算時に、運用収益の一部が投資家に分配されるもの。このうち、元本を取り崩さずに支払われる「普通分配金」は「配当所得」として扱われます。なお、「特別分配金(元本払戻金)」は元本の払い戻しとみなされ、課税対象にはなりませんが、その分、投資信託の取得価額が下がります。

これらの譲渡益や普通分配金にかかる税率も、CFDと同じく一律 20.315% (所得税15% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5%)です。

税率は同じですが、投資信託の税金の取り扱いで重要なのは口座の種類です。

  • 特定口座(源泉徴収あり): この口座で取引すると、利益が出た場合に証券会社が自動的に税金を計算し、源泉徴収(天引き)して納税まで行ってくれます。そのため、原則として確定申告が不要となり、手間がかかりません。口座内での損益通算も自動で行われます。多くの個人投資家がこの口座を利用しています。
  • 特定口座(源泉徴収なし): 証券会社が年間の損益計算書を作成してくれますが、税金の納付は自分自身で確定申告を行う必要があります。
  • 一般口座: 損益計算から確定申告・納税まで、すべて自分自身で行う必要があります。
  • NISA口座(つみたてNISA含む): 年間の非課税投資枠内で得た譲渡益や分配金には税金がかかりません。長期的な資産形成において非常に有利な制度です。

投資信託の譲渡損失は、他の株式や投資信託の譲渡益・配当金等と損益通算することができます。

特定口座(源泉徴収あり)なら、これも口座内で自動的に行われる場合があります。

税制面のポイント

税率はCFDも投資信託も同じ20.315%ですが、手続きの簡便さにおいて大きな違いがあります。

CFDは原則として確定申告が必要なのに対し、投資信託は「特定口座(源泉徴収あり)」や「NISA口座」を利用することで、税金に関する手続きの手間を大幅に省くことができます。

特に投資初心者の方にとっては、この点は投資信託の大きなメリットと言えるでしょう。

6. まとめ

6.1 CFDと投資信託は、それぞれ異なる特性を持つ金融商品であり、投資目的やリスク許容度に応じて選択することが重要です。

ここまで、CFDと投資信託の違いについて、基本的な仕組みから、取引方法、リスク、コスト、税制まで詳しく見てきました。

改めてポイントを整理すると、

  • CFD: レバレッジを利用して少ない資金で大きな取引ができ、価格の下落局面でも利益を狙える一方、追証のリスクがあり、損失が元本を超える可能性があるハイリスク・ハイリターンな商品。短期的なトレードやアクティブな運用に向いています。
  • 投資信託: 少額から分散投資が可能で、専門家に運用を任せられるため、比較的リスクを抑えながら長期的な資産形成を目指せる商品。レバレッジはなく、追証のリスクもないため、初心者でも始めやすいですが、短期間で大きな利益を得るのは難しいです。

どちらの商品が優れているということではありません。

大切なのは、それぞれの金融商品が持つ特性(メリット・デメリット、リスクの大きさ)を正しく理解し、ご自身の投資目的(短期的な利益か、長期的な資産形成か)やリスク許容度(どの程度のリスクなら受け入れられるか)、投資にかけられる資金や時間などを考慮して、最適な選択をすることです。

例えば、「リスクは高くてもいいから、短期間で大きな利益を狙いたい」「相場の下落局面でも積極的に利益を出したい」と考えるアクティブな方には、CFDが選択肢になるかもしれません。

ただし、そのリスクを十分に理解し、徹底した資金管理を行うことが前提です。

一方、「投資は初めてで不安」「リスクはできるだけ抑えたい」「将来のためにコツコツと資産を増やしたい」と考える慎重な方や長期的な視点を持つ方には、投資信託が適しているでしょう。

この記事が、CFDと投資信託の違いを理解し、ご自身の投資スタイルに合った一歩を踏み出すための一助となれば幸いです。

投資の世界は奥が深く、学び続けることが大切です。ご自身の判断と責任において、無理のない範囲で投資を始めてみてください。

もし、CFDや投資信託についてさらに詳しく知りたい、あるいは実際に口座を開設してみたいと思われた方は、各証券会社のウェブサイトなどで詳細な情報を確認してみることをお勧めします。

ご自身の投資目標達成に向けた、最適なパートナーを見つけることが重要です。

鬼河原

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

ミニCFD GMOクリック証券

※CFD:差金決済取引

この記事を書いた人

塚越ヒロのアバター 塚越ヒロ デジタルテレワーカー

IT企業勤務の投資家。        
このブログでは、CFD(差金決済取引)を中心に、株式投資で得た知識や体験を発信します。
【株式投資歴2年】ミニCFDで資産形成中。   
【ミニCFDの魅力】少額で投資の勉強ができる。 
 ミニCFD(数百円)から実力をつけて、CFDにステップアップ。           

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