CFD(差金決済取引)に興味はあるけれど、チャートの見方が難しそうで一歩踏み出せない。
そんな投資初心者の方も多いのではないでしょうか。
CFD取引で利益を目指すためには、チャートを正しく読み解き、市場の動きを分析するスキルが不可欠です。
この記事では、プロの株式投資家ライターが、CFDチャートの基本的な知識から、主要なチャートの種類、テクニカル指標の使い方、実践的な分析方法まで、中学生にも理解できるよう丁寧に解説します。
チャートの読み方をマスターすれば、取引のタイミングを見極め、リスクを管理しながら、より有利にCFD取引を進めることができるでしょう。
この記事を読んで、CFDチャート分析の第一歩を踏み出しましょう。
本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の手法や知識を推奨したり、売買を勧めたりするものではありません。
本記事に記載されている情報については、正確性、完全性、有用性を確保するために努力しておりますが、その保証は致しかねます。
投資対象や商品の選択など、実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。
必要に応じて、財務アドバイザーや税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
本記事の情報を利用した結果として発生するいかなる損害についても、著者は一切の責任を負いません。
1. CFDチャートの基礎知識
まず、CFD取引とは何か、そしてなぜチャート分析が重要なのか、基本的な知識から確認していきましょう。
1.1 CFDとは何か
CFD取引の仕組みと特徴を理解することが、チャート分析の第一歩です。
(1) 差金決済取引(CFD)の概要
CFDとは、「Contract for Difference」の頭文字をとったもので、「差金決済取引」を意味します。
差金決済取引とは、株式、株価指数、商品(金や原油など)、為替といった実際の金融資産(現物)を保有することなく、売買した時の価格差によって利益や損失が決まる取引のことです。
具体的には、新規にポジションを持った時の価格と、そのポジションを決済した時の価格の差額だけを受け渡しすることで取引が完了します。
例えば、ある株価指数CFDを10,000円で買い、10,100円で売って決済した場合、差額の100円が利益となります(手数料等は考慮せず)。
逆に、10,000円で買って9,900円で売って決済した場合は、差額の100円が損失となります。
このように、現物の受け渡しを行わずに差額だけで決済するため、「差金決済取引」と呼ばれています。
FX(外国為替証拠金取引)も、広い意味ではCFD取引の一種と考えることができます。
(2) CFD取引の特徴とメリット
CFD取引には、現物取引にはない様々な特徴とメリットがあります。
多様な銘柄への投資が可能: CFDでは、日経平均(日本225)やNYダウ(米国30)などの国内外の株価指数、金や原油などの商品、さらには個別株式(日本株・外国株)やETF(上場投資信託)など、世界中の様々な金融商品を取引対象とすることができます。これにより、投資家は幅広い市場にアクセスし、多様な投資機会を探ることが可能です。
レバレッジ効果で少額から取引可能: CFD取引の大きな特徴の一つがレバレッジです。レバレッジとは、口座に預けた証拠金を担保にして、その何倍もの金額の取引を行える仕組みのことです。例えば、株価指数CFDでは最大10倍、商品CFDでは最大20倍といったレバレッジが利用できる場合があります(証券会社や銘柄により異なります)。これにより、少ない資金でも大きな取引ができ、資金効率の高い投資を目指せます。ただし、レバレッジは利益だけでなく損失も拡大させる可能性があるため、注意が必要です。
「売り」からも取引を始められる: 通常の株式現物取引では、「安く買って高く売る」ことで利益を目指しますが、CFDでは価格の下落を予想した場合に「売り」から取引を始めることができます。つまり、相場が下落している局面でも利益を狙うチャンスがあります。
ほぼ24時間取引が可能: CFDは、銘柄によっては土日やメンテナンス時間を除き、ほぼ24時間取引が可能です。例えば、日本の株式市場が閉まっている時間帯でも、海外の株価指数や商品を取引できます。日中忙しい方でも、ご自身のライフスタイルに合わせて取引に参加しやすいというメリットがあります。
取引手数料が無料の場合が多い: 多くの証券会社では、CFD取引の取引手数料を無料としています。ただし、売値(Bid)と買値(Ask)の差である「スプレッド」が実質的な取引コストとなる点には留意が必要です。
決済期限がない(銘柄による): 先物取引には「限月」と呼ばれる決済期限がありますが、多くのCFD銘柄には決済期限がありません。これにより、自分の好きなタイミングで決済でき、限月を気にせず中長期的にポジションを保有することも可能です(ただし、金利調整額などのコストが発生する場合があります)。
倒産リスクがない(株価指数CFDの場合): 株価指数CFDは特定の企業ではなく指数全体に投資するため、個別株のように投資先企業が倒産するリスクがありません。
これらの特徴により、CFDは少ない資金から始められ、多様な市場で、時間や相場の方向に縛られずに利益を追求できる可能性がある、柔軟性の高い金融商品と言えます。
1.2 CFDチャートの役割と重要性
CFD取引で成功するためには、チャート分析が欠かせません。
(1) チャートを用いた市場分析の基本
市場分析には大きく分けて「ファンダメンタルズ分析」と「テクニカル分析」の二つのアプローチがあります。
ファンダメンタルズ分析は、経済指標や金融政策、企業業績など、価格変動の根本的な要因を分析して将来の価格を予測しようとする手法です。
一方、テクニカル分析は、過去の価格や出来高などの市場データ(主にチャート)を分析し、将来の値動きを予測しようとする手法です。
テクニカル分析の根底には、「市場の価格はすべての情報を織り込んでいる」「価格はトレンドを形成する」「歴史は繰り返される(過去のパターンは将来も現れる傾向がある)」という考え方があります。
CFD取引、特に短期的な売買タイミングを見極める上では、このテクニカル分析が非常に重要となります。
(2) チャートが示す情報の種類
CFDチャートは、過去から現在までの価格の動きを視覚的に表現したものです。チャートを見ることで、以下のような様々な情報を読み取ることができます。
価格の推移: 特定期間の始値、終値、高値、安値といった具体的な価格情報。
トレンド(方向性): 価格が上昇傾向にあるのか(上昇トレンド)、下落傾向にあるのか(下落トレンド)、あるいは一定の範囲で動いているのか(レンジ相場)といった、相場の大きな流れ。
ボラティリティ(変動幅): 価格変動の大きさ。変動が大きいか小さいか。
パターン: 過去に繰り返し現れた特定のチャート形状(チャートパターン)。これは将来の値動きを予測する手がかりとなることがあります。
市場心理: ローソク足の形状などから、その時点での市場参加者の強気・弱気の心理状態を推測することもできます。
これらの情報をチャートから読み取り、分析することで、トレーダーはより根拠のある売買判断を下すことが可能になります。特にCFD取引はトレンドが出やすい特性があるため、チャート分析によるトレンド把握と、それに伴う適切なエントリー・エグジット(特に損切り)が重要になります。
2. 主なチャートの種類と特徴
CFD分析でよく使われる代表的なチャートの種類と、それぞれの特徴や見方について解説します。
2.1 ローソク足チャート
ローソク足チャートは、日本で考案され、現在では世界中のトレーダーに最も広く利用されているチャート形式の一つです。
(1) ローソク足の構成要素(始値、終値、高値、安値)
1本のローソク足は、特定の期間(例えば1日、1時間、5分など)の値動きを表しており、以下の4つの主要な価格情報(四本値)を含んでいます。
始値(はじめね): その期間の最初に付いた価格。
終値(おわりね): その期間の最後に付いた価格。
高値(たかね): その期間中に付けた最も高い価格。
安値(やすね): その期間中に付けた最も低い価格。
これらの情報は、ローソク足の「実体」と「ヒゲ」と呼ばれる部分で表現されます。
実体(じったい): 始値と終値の間の価格帯を示す、太い四角形の部分です。
ヒゲ(ひげ): 実体から上下に伸びる細い線で、「影(かげ)」とも呼ばれます。上に伸びる線(上ヒゲ)の先端が高値を示し、下に伸びる線(下ヒゲ)の先端が安値を示します。高値や安値が始値や終値と同じ場合は、ヒゲが表示されないこともあります。
(2) 陽線と陰線の見分け方
ローソク足は、その期間中に価格が上昇したか下落したかによって、「陽線」と「陰線」の2種類に分けられ、通常は異なる色で表示されます。
陽線(ようせん): 終値が始値よりも高かった場合に表示されるローソク足です。価格が上昇して終わったことを示します。一般的に、白や赤、緑などで表示されることが多いです。陽線の場合、実体の下辺が始値、上辺が終値となります。
陰線(いんせん): 終値が始値よりも安かった場合に表示されるローソク足です。価格が下落して終わったことを示します。一般的に、黒や青、赤などで表示されることが多いです。陰線の場合、実体の上辺が始値、下辺が終値となります。
始値と終値が同じ場合は、実体のない「同時線(どうじせん)」または「十字線(じゅうじせん)」と呼ばれる形になります。
(3) トレンドの判断方法
ローソク足の連続した並び方や、個々のローソク足の形状から、相場のトレンドや勢いを判断することができます。
上昇トレンド: 陽線が連続して現れたり、ローソク足全体が右肩上がりに並んでいる状態は、上昇トレンドを示唆します。この状況では、買い注文を検討するタイミングと考えられます。
下降トレンド: 陰線が連続して現れたり、ローソク足全体が右肩下がりに並んでいる状態は、下降トレンドを示唆します。この状況では、売り注文(または買いポジションの決済)を検討するタイミングと考えられます。
ローソク足の形状:
- 実体が長い: 価格変動が大きく、トレンドの勢いが強いことを示唆します。長い陽線(大陽線)は強い上昇圧力を、長い陰線(大陰線)は強い下落圧力を示します。
- 実体が短い: 価格変動が小さく、相場に迷いがある(方向感がない)状態を示唆します。これは「コマ」とも呼ばれます。レンジ相場でよく見られます。
- ヒゲが長い: 価格が大きく動いたものの、最終的には押し戻されたことを示します。上ヒゲが長い場合は上値の重さ(売り圧力)を、下ヒゲが長い場合は下値の固さ(買い圧力)を示唆することがあります。例えば、下ヒゲの長い陰線が安値圏で出現すると、下落トレンドから上昇への転換を示唆する「たくり線」となることがあります。
- 特定の組み合わせ: 複数のローソク足の組み合わせ(例:「包み線」「はらみ線」「三兵」など)は、特定の相場転換や継続のサインとして解釈されることがあります。
ローソク足は、四本値という豊富な情報量を持ちながら、視覚的に相場の状況を把握しやすいため、多くのトレーダーにとって基本的な分析ツールとなっています。
2.2 バーチャート
バーチャートは、特に欧米のトレーダーに伝統的に使われてきたチャート形式です。
(1) バーチャートの構成と読み方
バーチャートもローソク足と同様に、特定の期間の四本値(始値、終値、高値、安値)を1本のバーで表現します。
縦線: バーの縦線の長さが、その期間の高値から安値までの値幅を示します。縦線の上端が高値、下端が安値です。
左向きの短い横線: 縦線の左側に付いている短い横線が、始値を示します。
右向きの短い横線: 縦線の右側に付いている短い横線が、終値を示します。
終値が始値より高い場合(価格上昇)は上昇バー、終値が始値より低い場合(価格下落)は下降バーと呼ばれます。チャートツールによっては、上昇バーと下降バーが色分けされている場合(例:TradingView)と、単色で表示される場合(例:MT4/MT5のデフォルト)があります。
(2) ローソク足との違いと使い分け
バーチャートとローソク足チャートの主な違いは、始値と終値の関係性の視覚的な表現にあります。
ローソク足: 始値と終値の間を「実体」として塗りつぶし(または色分けし)、価格の上昇・下落を一目で分かりやすく表示します。陽線か陰線かが直感的に判断しやすいのが特徴です。
バーチャート: 始値と終値は左右の短い横線で示されるため、ローソク足のような「実体」部分がありません。そのため、ローソク足に比べると、価格の上昇・下落の勢いを視覚的に捉えにくい場合があります。
使い分け:
- ローソク足: 価格の上昇・下落の勢いや、ローソク足の形状パターン(後述)を重視した詳細な分析に適しています。日本のトレーダーにはこちらの方が馴染み深いでしょう。
- バーチャート: ローソク足よりもシンプルな表示であるため、チャート全体の大きな流れや高値・安値の推移、ボラティリティ(バーの長さ)を把握したい場合に適していると言えます。欧米では依然として人気があります。
どちらのチャートを使うかは個人の好みや分析スタイルによりますが、ローソク足の方が情報量が多く、視覚的に分かりやすいと感じる初心者の方が多いかもしれません。
2.3 ラインチャート
ラインチャートは、最もシンプルなチャート形式です。
(1) ラインチャートの特徴と活用法
ラインチャートは、特定の期間(日足なら毎日、週足なら毎週など)の終値だけを線で結んでグラフにしたものです。
特徴:
- シンプルさ: 始値、高値、安値の情報はなく、終値の推移のみが表示されるため、非常にシンプルで見やすいです。
- トレンドの把握しやすさ: 細かい値動きが省略されるため、相場の大きな流れ、つまりトレンド(上昇・下降・横ばい)を一目で把握しやすいというメリットがあります。
- ノイズの少なさ: 日中の細かな価格変動(ノイズ)に惑わされにくく、長期的な視点での分析に適しています。
活用法:
- 長期トレンド分析: 週足や月足などの長い時間軸でラインチャートを表示し、市場全体の大きな方向性を確認するのに役立ちます。
- 初心者向け: シンプルで分かりやすいため、チャート分析に慣れていない初心者の方が、まず相場の全体像を掴むために使うのに適しています。
- 他のチャートとの併用: ローソク足チャートなどで詳細な分析を行う前に、ラインチャートで大まかなトレンドを確認するという使い方も有効です。
(2) 終値を重視した分析の方法
ラインチャートは終値のみを使用しますが、多くのトレーダーは終値をその期間の最も重要な価格と見なしています。終値は、その期間の市場参加者の最終的な合意価格(評価)を反映していると考えられるためです。
ラインチャートを用いることで、日中の価格変動に惑わされず、この終値ベースでのトレンド転換点や重要なサポート・レジスタンスレベル(終値ベースで何度も反発している価格帯)を特定しやすくなります。
また、移動平均線などの多くのテクニカル指標も終値をベースに計算されるため、ラインチャートと移動平均線を組み合わせてトレンドを分析することも有効です。
ただし、ラインチャートは情報量が少ないというデメリットもあります。期間中の高値や安値、始値からの変動といった重要な情報が失われるため、短期的なトレード戦略や詳細なエントリー・エグジットポイントの判断には、ローソク足チャートなど他のチャート形式と併用することが推奨されます。
2.4 その他のチャート
ローソク足、バー、ラインチャート以外にも、特定の目的に特化したチャートが存在します。ここでは代表的なものをいくつか紹介します。
(1) レンジバーチャートの概要
レンジバーチャートは、時間経過ではなく、値動きの幅に基づいて新しいバー(足)が形成される非時系列チャートの一種です。
通常の時間足チャート(例:5分足)では、5分経過するごとに新しいローソク足が作られますが、レンジバーチャートでは、価格が事前に設定した一定の値幅(レンジ)だけ動いた場合にのみ、新しいバーが描かれます。
値動きが小さいレンジ相場ではバーの形成が遅くなり、逆に値動きが大きいトレンド相場ではバーが次々と形成されます。この特徴により、レンジバーチャートは以下の分析に役立ちます。
- ノイズの除去: 時間軸に沿った細かな価格変動がフィルタリングされ、純粋な価格トレンドを捉えやすくなります。
- ボラティリティの把握: バーの形成頻度から、市場のボラティリティが高い時期と低い時期を視覚的に判断しやすくなります。
- ブレイクアウトの特定: もみ合い相場から価格が一定の値幅を超えて動き出した(ブレイクアウトした)タイミングを捉えやすくなります。
レンジバーは、バーチャート形式で表示されることが一般的ですが、ローソク足形式で表示できるツールもあります。欧米では人気のあるチャートタイプです。
(2) ポイント&フィギュアチャートの特徴
ポイント&フィギュア(P&F)チャートも、時間の概念を持たない非時系列チャートです。このチャートは、価格が事前に設定した値幅(枠、ボックスサイズ)以上動いた場合にのみ、記号(通常は×と○)を記録していきます。
×(バツ印): 価格の上昇を示します。
○(マル印): 価格の下落を示します。
価格が設定した値幅分上昇すると×印が上に積み重なり、設定した値幅分(通常は×印の数倍、例えば3枠分)下落すると列を変えて○印が下に記録され始めます(3枠転換ルール)。逆も同様です。
小さな値動きは無視されるため、相場の大きなトレンドや転換点、サポート・レジスタンスレベルを把握するのに適しています。
P&Fチャート独自の分析手法として、特定のパターン分析や、横方向の動き(列数)から目標価格を算出する「カウンティング分析」などがあります。
これらの特殊なチャートは、一般的な時間足チャートとは異なる視点を提供してくれますが、使い方に慣れが必要です。初心者はまず、ローソク足チャートの読み方をしっかりマスターすることから始めると良いでしょう。
3. テクニカル指標の基本と活用法
チャート上に表示させて分析に役立てるツールが「テクニカル指標(インジケーター)」です。テクニカル指標は大きく「トレンド系」と「オシレーター系」に分類されます。
3.1 トレンド系指標
トレンド系指標は、相場の方向性(トレンド)やその強さを判断するのに役立ちます。
(1) 移動平均線(SMA・EMA)の使い方
移動平均線(Moving Average, MA)は、最も基本的で広く使われているトレンド系指標の一つです。一定期間の価格(通常は終値)の平均値を計算し、それを線で結んだものです。
種類:
- 単純移動平均線 (SMA – Simple Moving Average): 一定期間の終値を単純に平均したものです。計算が簡単で、相場の全体的な流れを捉えるのに適しています。
- 指数平滑移動平均線 (EMA – Exponential Moving Average): 直近の価格に比重を置いて計算される移動平均線です。SMAよりも価格変動への反応が早いのが特徴で、トレンドの転換をより早く捉えやすいとされます。
- 加重移動平均線 (WMA – Weighted Moving Average): 新しいデータほど大きな比重をかけて計算する移動平均線です。
使い方:
- トレンドの方向: 移動平均線が上向きなら上昇トレンド、下向きなら下落トレンド、横ばいならレンジ相場と判断できます。線の角度が急なほど、トレンドの勢いが強いことを示します。
- サポート・レジスタンス: 上昇トレンドでは移動平均線がサポートライン(下値支持線)として、下落トレンドではレジスタンスライン(上値抵抗線)として機能することがあります。価格が移動平均線に近づいたところが押し目買いや戻り売りの目安となることがあります。
- ゴールデンクロスとデッドクロス: 短期移動平均線(例:5日線)と長期移動平均線(例:25日線)の2本を表示させ、そのクロス(交差)を売買サインとして利用します。
- ゴールデンクロス: 短期線が長期線を下から上に突き抜ける現象。上昇トレンドへの転換や継続を示す「買いサイン」とされます。
- デッドクロス: 短期線が長期線を上から下に突き抜ける現象。下落トレンドへの転換や継続を示す「売りサイン」とされます。
- 線の順番(パーフェクトオーダー): 短期・中期・長期の3本の移動平均線を使う場合、上から「短期線>中期線>長期線」の順に並び、すべてが上向きの状態は強い上昇トレンド(買いシグナル)、「長期線>中期線>短期線」の順に並び、すべてが下向きの状態は強い下落トレンド(売りシグナル)と判断されます。
SMAとEMAの使い分け: 長期的なトレンド分析にはSMA、短期的なトレンド変化や早いシグナルを求める場合はEMAが適していると一般的に言われますが、どちらが良いかはトレードスタイルや相場状況によります。
(2) ボリンジャーバンドの読み方
ボリンジャーバンドは、統計学の標準偏差(σ – シグマ)を利用して、価格の変動範囲(ボラティリティ)を視覚的に表示する指標です。移動平均線とその上下に標準偏差を加減した線(通常±1σ、±2σ、±3σ)で構成されます。
構成要素:
- ミッドバンド: 中央の線で、通常は20期間の単純移動平均線(SMA)が使われます。
- ±1σ、±2σ、±3σライン: ミッドバンドの上下に、標準偏差の1倍、2倍、3倍を加算・減算したラインです。統計学上、価格が±1σの範囲内に収まる確率は約68.3%、±2σの範囲内は約95.4%、±3σの範囲内は約99.7%とされます。
読み方・使い方:
- ボラティリティの判断: バンド幅(上限のバンドと下限のバンドの間の幅)の広さで、価格変動の大きさ(ボラティリティ)を判断します。バンド幅が広い(エクスパンション)ときは値動きが大きく、狭い(スクイーズ)ときは値動きが小さいことを示します。
- トレンド発生のサイン(スクイーズからのエクスパンション): バンド幅が極端に狭まる「スクイーズ」の状態は、市場のエネルギーが蓄積されている状態を示唆し、その後に大きなトレンドが発生する前兆とされることがあります。スクイーズの後、バンド幅が拡大し(エクスパンション)、価格が±2σラインをブレイクすると、その方向にトレンドが発生する可能性が高いと考えられます(ボラティリティ・ブレイクアウト)。順張りのエントリータイミングとなります。
- トレンド継続のサイン(バンドウォーク): 強いトレンドが発生すると、価格が+1σと+2σの間(上昇トレンド)、または-1σと-2σの間(下落トレンド)に沿って推移する「バンドウォーク」と呼ばれる現象が起こることがあります。これはトレンド継続の強いサインであり、順張りの目安となります。
- 逆張りの目安(レンジ相場): ミッドバンドが横ばいでレンジ相場と判断される場合、価格が+2σラインに近づいたら「買われすぎ」として逆張りの売り、-2σラインに近づいたら「売られすぎ」として逆張りの買いを検討することができます。ただし、トレンド発生時にはこの逆張りは機能しにくいため注意が必要です。
ボリンジャーバンドは、トレンドの方向性、ボラティリティ、買われすぎ・売られすぎを総合的に判断できる便利な指標ですが、単独で使うよりも他の指標と組み合わせることで、より精度の高い分析が可能になります。
(3) 一目均衡表の構成と分析方法
一目均衡表(Ichimoku Kinko Hyo)は、日本の細田悟一氏(ペンネーム:一目山人)が開発した、時間論、波動論、値幅観測論を総合した独自のテクニカル指標です。5本の線と「雲」と呼ばれる特徴的な要素で構成され、相場の方向性、強弱、転換点などを多角的に分析します。
構成要素:
- 転換線: (過去9日間の最高値+最安値)÷2。短期的な相場の中心や方向性を示します。
- 基準線: (過去26日間の最高値+最安値)÷2。中期的な相場の中心や方向性を示し、一目均衡表の基本となる線です。
- 先行スパン1: (転換線+基準線)÷2 を26日先にずらして表示。先行スパン2と共に「雲」を形成します。
- 先行スパン2: (過去52日間の最高値+最安値)÷2 を26日先にずらして表示。長期的な相場の中心を示し、「雲」のもう一方の境界線となります。
- 遅行スパン(遅行線): 当日の終値を26日過去にずらして表示。現在の価格と過去の価格を比較します。
- 雲(抵抗帯): 先行スパン1と先行スパン2に挟まれた領域。将来のサポート(支持)やレジスタンス(抵抗)として機能すると考えられます。雲の厚さは抵抗の強さを示し、厚いほど抜けにくく、薄いほど抜けやすいとされます。
分析方法(主なシグナル):
- 転換線と基準線のクロス(好転・逆転):
- 好転(買いサイン): 転換線が基準線を下から上に抜けること。ただし、基準線が上向きであることが条件とされる場合もあります。
- 逆転(売りサイン): 転換線が基準線を上から下に抜けること。
- 遅行スパンと価格(ローソク足)の関係(好転・逆転):
- 好転(買いサイン): 遅行スパンがローソク足を下から上に抜けること。
- 逆転(売りサイン): 遅行スパンがローソク足を上から下に抜けること。
- 価格(ローソク足)と雲の関係:
- 買い優勢: 価格が雲の上にある状態。雲はサポートとして機能しやすい。
- 売り優勢: 価格が雲の下にある状態。雲はレジスタンスとして機能しやすい。
- 方向感なし(気迷い): 価格が雲の中にある状態。
- 雲のねじれ: 先行スパン1と2が交差する部分は雲が薄くなり、トレンド転換が起こりやすいポイントとされることがあります。
- 三役好転(強い買いサイン): 以下の3つの条件が同時に満たされた状態。
- 転換線が基準線を上抜ける(好転)
- 遅行スパンが価格を上抜ける(好転)
- 価格が雲を上抜ける
- 三役逆転(強い売りサイン): 以下の3つの条件が同時に満たされた状態。
- 転換線が基準線を下抜ける(逆転)
- 遅行スパンが価格を下抜ける(逆転)
- 価格が雲を下抜ける
一目均衡表は、多くの情報を一つのチャートで表現できる強力な分析ツールですが、線が多くて複雑に見えるため、初心者にとっては各線の意味と関係性を理解することが重要です。
3.2 オシレーター系指標
オシレーター系指標は、主に相場の「買われすぎ」「売られすぎ」といった過熱感や、価格変動の勢い(モメンタム)を測るために用いられます。一定の範囲(例えば0~100)で推移するものが多く、トレンド相場よりもレンジ相場での逆張り戦略や、トレンド転換の兆候を探るのに役立ちます。
(1) RSI(相対力指数)の活用法
RSI(Relative Strength Index)は、J・W・ワイルダー氏によって開発された、非常にポピュラーなオシレーター系指標です。一定期間の値動きの中で、上昇した値幅の合計が全体の変動幅に対してどのくらいの割合を占めるかを計算し、相場の相対的な強弱(買われすぎ・売られすぎ)を示します。
計算概要: RSI = (期間内の上昇幅の平均) ÷ (期間内の上昇幅の平均 + 期間内の下落幅の平均) × 100。通常、期間は14が用いられます。
見方・使い方:
- 買われすぎ・売られすぎの判断: RSIは0%から100%の間で推移します。
- 一般的に70%以上は「買われすぎ」と判断され、価格が下落に転じる可能性を示唆します。
- 一般的に30%以下は「売られすぎ」と判断され、価格が上昇に転じる可能性を示唆します。
- 売買シグナル(逆張り):
- 買いシグナル: RSIが30%を下回った後、再び30%を上抜けたタイミング。
- 売りシグナル: RSIが70%を上回った後、再び70%を下抜けたタイミング。
- 売買シグナル(順張り – ゾーン・エントリー): トレンドが発生している場合、RSIが70%以上(上昇トレンド中)または30%以下(下降トレンド中)に入ったタイミングを、トレンド方向への順張りエントリーの目安とする考え方もあります。
- ダイバージェンス: 価格の動きとRSIの動きが逆行する現象。トレンド転換の先行指標とされることがあります。
- 強気のダイバージェンス(買いサイン): 価格は安値を更新しているのに、RSIの安値は切り上がっている状態。下落トレンドの終焉を示唆します。
- 弱気のダイバージェンス(売りサイン): 価格は高値を更新しているのに、RSIの高値は切り下がっている状態。上昇トレンドの終焉を示唆します。
RSIは単独でも有用ですが、強いトレンド相場では70%以上や30%以下に張り付いてしまい、機能しにくくなることがあります。そのため、移動平均線やMACDなどのトレンド系指標と組み合わせて使うことで、ダマシを減らし、より信頼性の高い分析が可能になります。
(2) MACDの構成とシグナルの読み方
MACD(Moving Average Convergence Divergence、マックディー)は、トレンドの方向性と勢い、そして転換点を捉えようとする、トレンド系とオシレーター系の両方の性質を持つテクニカル指標です。2本の移動平均線(EMA)の差を利用して計算されます。
構成要素:
- MACDライン: 短期EMAから長期EMAを引いた値。通常、短期12期間、長期26期間のEMAが使われます。価格変動への反応が早い線です。
- シグナルライン: MACDラインの移動平均線(通常は9期間EMA)。MACDラインより滑らかな動きをします。
- ヒストグラム: MACDラインとシグナルラインの差を棒グラフで示したもの。MACDラインがシグナルラインより上にあればプラス(通常は上向きの棒)、下にあればマイナス(通常は下向きの棒)で表示されます。
シグナルの読み方:
- ゴールデンクロス(買いサイン): MACDラインがシグナルラインを下から上に突き抜けること。上昇トレンドへの転換や加速を示唆します。
- デッドクロス(売りサイン): MACDラインがシグナルラインを上から下に突き抜けること。下落トレンドへの転換や加速を示唆します。
- ゼロラインとの関係:
- MACDライン(およびシグナルライン)がゼロラインより上にある場合、相場は上昇基調(買い方優勢)と判断できます。ゼロラインを上抜ける動きは、強い上昇トレンドの継続を示唆することがあります。
- MACDライン(およびシグナルライン)がゼロラインより下にある場合、相場は下落基調(売り方優勢)と判断できます。ゼロラインを下抜ける動きは、強い下落トレンドの継続を示唆することがあります。
- ヒストグラムの活用:
- ヒストグラムがゼロラインを境にマイナスからプラスに転じる(棒グラフの色が変わるなど)のは、ゴールデンクロスを示唆する先行サインとなります。
- ヒストグラムがプラスからマイナスに転じるのは、デッドクロスを示唆する先行サインとなります。
- ヒストグラムの棒の高さ(または深さ)は、MACDラインとシグナルラインの乖離幅を示し、トレンドの勢いを表します。山や谷が大きくなるほど勢いが強いと判断できます。
- ダイバージェンス: RSIと同様に、価格の動きとMACDラインの動きが逆行する現象は、トレンド転換の可能性を示唆します。
MACDはトレンドフォロー戦略で特に有効ですが、値動きの小さいレンジ相場ではダマシ(頻繁なクロス)が多くなる傾向があります。ボリンジャーバンドなど他の指標と組み合わせることで、相場状況に応じた使い分けが可能になります。
(3) ストキャスティクスの使い方
ストキャスティクス(Stochastics Oscillator)は、ジョージ・レーン氏によって開発されたオシレーター系指標で、一定期間の価格レンジの中で、現在の価格が相対的にどの水準にあるかを示し、相場の「買われすぎ」「売られすぎ」を判断します。
構成要素:
- %K(パーセントK): 「(現在の終値 – 過去n期間の最安値)÷(過去n期間の最高値 – 過去n期間の最安値)× 100」で計算される、反応の早い線。
- %D(パーセントD): %Kのm期間単純移動平均線。%Kより滑らかな動きをします。
- Slow%D(スローパーセントD): %Dのx期間単純移動平均線。%Dよりもさらに滑らかな動きをします。
種類:
- ファスト・ストキャスティクス: %Kと%Dの2本で分析します。反応が早いがダマシも多いとされます。
- スロー・ストキャスティクス: %DとSlow%Dの2本で分析します(この場合、%DをSlow%Kと呼ぶこともあります)。反応は緩やかになりますが、ダマシが少ないとされ、一般的にこちらの方がよく使われます。
使い方:
- 買われすぎ・売られすぎの判断: ストキャスティクスは0%から100%の間で推移します。
- 一般的に80%以上は「買われすぎ」ゾーンとされ、価格反落の可能性を示唆します。
- 一般的に20%以下は「売られすぎ」ゾーンとされ、価格反発の可能性を示唆します。
- 売買シグナル(逆張り):
- 買いサイン: %D(またはSlow%D)が20%以下の売られすぎゾーンにある状態で、%K(または%D=Slow%K)が%D(またはSlow%D)を下から上に抜ける(ゴールデンクロス)。
- 売りサイン: %D(またはSlow%D)が80%以上の買われすぎゾーンにある状態で、%K(または%D=Slow%K)が%D(またはSlow%D)を上から下に抜ける(デッドクロス)。
- ゾーンからの抜け出し(ゾーン・エグジット)をシグナルとすることもあります。
- ダイバージェンス: 価格の動きとストキャスティクスの動きが逆行する現象。トレンド転換の可能性を示唆します。
ストキャスティクスは特にレンジ相場で有効な指標とされますが、強いトレンド相場では上下のゾーンに張り付いてしまい、機能しにくくなることがあります。トレンド系指標と組み合わせるなどして、相場状況を見極めて使うことが重要です。
(4) CCI(商品チャネル指数)の解釈方法
CCI(Commodity Channel Index)は、ドナルド・ランバート氏によって開発されたオシレーター系指標で、価格の平均値からの乖離率を測定し、相場の「買われすぎ」「売られすぎ」を示します。元々は商品市場向けに開発されましたが、現在では株式や為替など様々な市場で利用されています。
計算概要: CCI = (TP – n期間TPのSMA) ÷ (0.015 × n期間TPの平均偏差)。ここでTP(Typical Price)=(高値+安値+終値)÷3、SMAは単純移動平均線、平均偏差は各期間のTPとSMAの差の絶対値の平均です。計算式はやや複雑ですが、「現在の価格が、過去の平均的な価格変動からどれだけ離れているか」を示していると理解できます。
解釈方法:
- 買われすぎ・売られすぎの判断: RSIやストキャスティクスと異なり、CCIには上限・下限がありません。一般的に以下のように解釈されます。
- +100%以上: 「買われすぎ」ゾーン。価格が平均よりかなり高く、反落の可能性を示唆します。
- -100%以下: 「売られすぎ」ゾーン。価格が平均よりかなり低く、反発の可能性を示唆します。
- 売買シグナル(逆張り):
- 買いシグナル: CCIが-100%を下回った後、再び-100%を上抜けたタイミング。
- 売りシグナル: CCIが+100%を上回った後、再び+100%を下抜けたタイミング。
- ゼロラインクロス: CCIがゼロラインをクロスすることもシグナルとして利用されます。
- 買いシグナル: ゼロラインを下から上に抜けた時(ゴールデンクロスに相当)。
- 売りシグナル: ゼロラインを上から下に抜けた時(デッドクロスに相当)。
- ±200%などの極端な値: 相場の変動が非常に激しい場合、CCIは±200%や±300%といった極端な値を示すことがあります。これは非常に強いトレンドや過熱感を示唆しますが、反転のタイミングを予測するのは難しくなるため、トレードを見送る判断も有効です。±200%ラインを反転の目安として使う考え方もあります。
- ダイバージェンス: 価格の動きとCCIの動きが逆行する場合、トレンド転換の可能性を示唆します。
CCIは価格変動に敏感に反応する特徴がありますが、その分ダマシも多くなる可能性があります。他の指標(例えばチャネルラインなど)と組み合わせて、シグナルの信頼性を高めることが推奨されます。
4. チャートパターンとトレンド分析
テクニカル指標と並んで重要なのが、チャート上に現れる特定の形状、すなわち「チャートパターン」の認識です。チャートパターンは、市場参加者の心理が反映された結果として形成され、将来の値動きを予測する手がかりとなります。
4.1 主要なチャートパターン
チャートパターンは、トレンドの転換を示す「反転パターン」と、トレンドの継続を示す「継続パターン」に大別されます。
(1) ダブルトップとダブルボトム
ダブルトップとダブルボトムは、最も有名で基本的な反転パターンの一つです。
ダブルトップ:
- 形状: アルファベットの「M」のような形。上昇トレンドの終盤に出現しやすい。
- 形成: 価格が上昇して高値を付け(1つ目の山)、一旦下落した後、再び上昇するものの前回の高値付近で止められ(2つ目の山)、再度下落するパターン。
- ネックライン: 2つの山の間の安値を結んだ水平なライン。
- 完成とシグナル: 価格が2つ目の山から下落し、ネックラインを明確に下抜けた時点でパターンが完成し、上昇トレンドから下降トレンドへの転換を示す「売りサイン」となります。
- 目標値: ネックラインから山の頂点までの値幅と同じ程度、ネックラインを下抜けた地点から下落する可能性があるとされます。
ダブルボトム:
- 形状: アルファベットの「W」のような形。下降トレンドの終盤に出現しやすい。
- 形成: 価格が下落して安値を付け(1つ目の谷)、一旦上昇した後、再び下落するものの前回の安値付近で止められ(2つ目の谷)、再度上昇するパターン。
- ネックライン: 2つの谷の間の高値を結んだ水平なライン。
- 完成とシグナル: 価格が2つ目の谷から上昇し、ネックラインを明確に上抜けた時点でパターンが完成し、下降トレンドから上昇トレンドへの転換を示す「買いサイン」となります。
- 目標値: ネックラインから谷底までの値幅と同じ程度、ネックラインを上抜けた地点から上昇する可能性があるとされます。
ネックラインのブレイクを確認することが、これらのパターンを判断する上で非常に重要です。
(2) ヘッドアンドショルダー(逆三尊・三尊天井)
ヘッドアンドショルダーも代表的な反転パターンです。人間の頭と両肩に見えることから名付けられました。
ヘッドアンドショルダー・トップ(三尊天井 – さんぞんてんじょう):
- 形状: 中央に最も高い山(ヘッド=頭)、その両側にそれより低いほぼ同じ高さの山(ショルダー=肩)が2つある形。上昇トレンドの終焉を示唆します。
- ネックライン: 左右のショルダーの間の安値を結んだライン。通常はほぼ水平か、わずかに傾いています。
- 完成とシグナル: 右ショルダー形成後、価格がネックラインを明確に下抜けた時点でパターンが完成し、「売りサイン」となります。
- 目標値: ヘッドの頂点からネックラインまでの垂直距離と同じ程度、ネックラインを下抜けた地点から下落する可能性があるとされます。
- だまし(否定): ネックラインを下抜けた後に反発し、下落しない場合もあります(三尊否定)。
ヘッドアンドショルダー・ボトム(逆三尊 – ぎゃくさんぞん):
- 形状: ヘッドアンドショルダー・トップを逆さまにした形。中央に最も深い谷(ヘッド)、その両側にそれより浅いほぼ同じ深さの谷(ショルダー)が2つある形。下降トレンドの終焉を示唆します。
- ネックライン: 左右のショルダーの間の高値を結んだライン。
- 完成とシグナル: 右ショルダー形成後、価格がネックラインを明確に上抜けた時点でパターンが完成し、「買いサイン」となります。
- 目標値: ヘッドの谷底からネックラインまでの垂直距離と同じ程度、ネックラインを上抜けた地点から上昇する可能性があるとされます。
これらのパターンは比較的信頼性が高いとされますが、ネックラインのブレイクをしっかり確認することが重要です。
(3) トライアングル(対称・上昇・下降)
トライアングル(三角保ち合い)は、価格の変動幅が徐々に小さくなり、上値抵抗線と下値支持線が一点に向かって収束していくパターンです。エネルギーが蓄積されている状態を示し、最終的にどちらかのラインをブレイクして大きな値動きにつながることが多いです。主にトレンド継続パターンとして現れますが、反転を示すこともあります。
対称トライアングル(シンメトリカルトライアングル):
- 形状: 上値抵抗線が右肩下がり、下値支持線が右肩上がりで、上下対称に近い三角形を形成します。
- 意味: 買い圧力と売り圧力が拮抗している状態。方向感が定まっていません。
- シグナル: 一般的には継続パターンとされ、それまでのトレンド方向にブレイクアウトする可能性が高いと考えられます。上昇トレンド中なら上抜け、下降トレンド中なら下抜けしやすいですが、逆方向にブレイクすることも当然あります。ブレイクアウトした方向についていくのが基本戦略です。
上昇トライアングル(アセンディングトライアングル):
- 形状: 上値抵抗線がほぼ水平で、下値支持線が右肩上がりの三角形。
- 意味: 下値が切り上がり、買い圧力が徐々に強まっている状態を示唆します。
- シグナル: 強気のパターンとされ、最終的に水平な上値抵抗線を上抜ける可能性が高いと考えられます。上抜けで買いサインとなります。
下降トライアングル(ディセンディングトライアングル):
- 形状: 下値支持線がほぼ水平で、上値抵抗線が右肩下がりの三角形。
- 意味: 上値が切り下がり、売り圧力が徐々に強まっている状態を示唆します。
- シグナル: 弱気のパターンとされ、最終的に水平な下値支持線を下抜ける可能性が高いと考えられます。下抜けで売りサインとなります。
トライアングルパターンでは、ブレイクアウトの方向を確認することが重要です。ブレイクアウト時に出来高が増加すると、その信頼性が高まるとされます(ただしCFDでは出来高分析が難しい場合もあります)。
4.2 トレンドラインとサポート・レジスタンス
トレンドラインとサポート・レジスタンスラインは、トレンドの方向性や転換点、エントリー・エグジットの目安を知るための基本的なツールです。
(1) トレンドラインの引き方と活用法
トレンドラインは、相場の方向性を示すためにチャート上に引かれる直線です。
引き方:
- 上昇トレンドライン(サポートライン): 明確な上昇トレンドが確認できる相場で、2つ以上の安値を結んで右肩上がりの直線を引きます。ローソク足のヒゲの先端で結ぶのが一般的ですが、実体で結ぶ場合もあります。より多くの安値がこのライン上で反発しているほど、信頼性が高いとされます。
- 下降トレンドライン(レジスタンスライン): 明確な下降トレンドが確認できる相場で、2つ以上の高値を結んで右肩下がりの直線を引きます。こちらもヒゲの先端で結ぶのが一般的です。
活用法:
- トレンドの確認: ラインの傾きでトレンドの方向と強さを視覚的に確認できます。
- サポート・レジスタンスとしての役割: 上昇トレンドラインは価格の下支え(サポート)として、下降トレンドラインは価格の上値抑制(レジスタンス)として機能する傾向があります。
- エントリー・エグジットの目安:
- 押し目買い: 上昇トレンド中に価格がトレンドライン付近まで下落し、反発を確認したタイミング。
- 戻り売り: 下降トレンド中に価格がトレンドライン付近まで上昇し、反落を確認したタイミング。
- 損切り: 価格がトレンドラインを明確に割り込んだ(ブレイクした)タイミング。これはトレンド転換の可能性を示唆します。
- チャネルライン: トレンドラインと平行に、反対側の高値(上昇トレンドの場合)または安値(下降トレンドの場合)を結んで引かれる線をチャネルラインと呼びます。価格はこのトレンドラインとチャネルラインの間(トレンドチャネル)で推移する傾向があり、チャネルラインは利益確定の目安などに使われます。
(2) サポートラインとレジスタンスラインの見極め方
サポートライン(下値支持線)とレジスタンスライン(上値抵抗線)は、価格が反転しやすい水平な価格帯を示すラインです。トレンドラインが斜めなのに対し、これらは水平に引かれます。レンジ相場の分析や、トレンド相場における目標価格の設定などに使われます。
サポートライン(下値支持線): 価格が下落した際に、それ以上下がりにくいとされる価格水準です。過去に何度も価格が下落を止められ、反発した安値を結ぶことで特定されます。この水準では買い注文が増える傾向があります。
レジスタンスライン(上値抵抗線): 価格が上昇した際に、それ以上上がりにくいとされる価格水準です。過去に何度も価格が上昇を止められ、反落した高値を結ぶことで特定されます。この水準では売り注文が増える傾向があります。
見極め方:
- 過去の反転ポイント: チャート上で過去に何度も価格が反発・反落している価格帯を探します。
- 複数回の接触: ラインがより多くの高値または安値で機能している(価格が接触して反転している)ほど、そのラインの信頼性は高いと考えられます。
- キリの良い価格: 100円、15000円などのキリの良い価格(ラウンドナンバー)は、心理的な節目として意識されやすく、サポートやレジスタンスになりやすい傾向があります。
活用法:
- レンジ相場での売買: レンジ相場では、サポートライン付近での買い、レジスタンスライン付近での売り、という逆張り戦略が考えられます。
- ブレイクアウト: 価格がサポートラインを下抜けたり、レジスタンスラインを上抜けたりした場合(ブレイクアウト)、その方向にトレンドが発生・加速する可能性があります。これは順張りのエントリーチャンスとなり得ます。
- 目標価格・損切り: トレンド相場において、次のサポート・レジスタンスラインが利益確定の目標になったり、ラインのブレイクが損切りの目安になったりします。
ロールリバーサル: サポートラインが下抜けされると、今度はそのラインがレジスタンスラインとして機能し、逆にレジスタンスラインが上抜けされると、今度はサポートラインとして機能する現象がよく見られます。これは「役割転換」とも呼ばれ、ブレイクアウト後の値動きを予測する上で重要です。
トレンドラインと水平なサポート・レジスタンスラインを組み合わせることで、より精度の高い相場分析が可能になります。
5. CFDチャートの設定と操作方法
CFD取引を始めるにあたり、適切なチャートツールを選び、自分が見やすく、分析しやすいようにカスタマイズすることが重要です。
5.1 チャートツールの選び方
CFD取引に対応したチャートツールは数多くありますが、初心者の方はまず無料で利用できるものから試してみるのが良いでしょう。
(1) 無料で使えるCFD対応チャートツールの比較
無料で利用できる代表的なチャートツールには、世界中のトレーダーが利用する高機能チャートプラットフォーム「TradingView」の無料版や、各CFDブローカー(証券会社)が提供する独自の取引ツールがあります。以下に主要な選択肢を比較します。
ツール/ブローカー | 主なチャート機能 (指標/描画) | 無料版の制限 (指標数/レイアウト数) | 使いやすさ (初心者向け) | 主なメリット | 主なデメリット |
---|---|---|---|---|---|
TradingView (無料版) | ◎ 非常に豊富 | △ 3つまで / 1つまで | 〇 (多機能だが慣れが必要) | ◎ 多くのブローカーに対応、高機能、コミュニティ機能 | △ 無料版は機能制限が多い (指標数、レイアウト、広告表示) |
GMOクリック証券 (はっちゅう君/アプリ) | 〇 充実 | なし (口座開設者) | ◎ 非常に使いやすい | ◎ 直感的インターフェース、スピード注文、ツール内で完結 | △ GMOクリック証券専用 |
IG証券 (Web/アプリ) | 〇 充実 | なし (口座開設者) | △ (高機能だが初心者には複雑かも) | ◎ 取扱銘柄数が多い、高機能ツール、デモ口座 | △ 初心者には操作が複雑な可能性、口座維持手数料の可能性 |
楽天証券 (iSPEED/MSII – 楽天CFD) | 〇 標準的 | なし (口座開設者) | 〇 (楽天ユーザーは慣れているかも) | ◎ 楽天の株取引ツールと共通、他商品と連携 | △ CFD専用ツールではない |
楽天証券 (MT4 – 楽天MT4CFD) | ◎ 非常に豊富 (カスタム可) | なし (口座開設者) | △ (MT4特有の操作感) | ◎ MT4利用可能 (自動売買EA、カスタム指標)、FXと連携 | △ MT4の習熟が必要、楽天CFDとは別サービス、取扱銘柄が異なる可能性 |
補足:
- チャート機能: ◎=非常に豊富、〇=充実、△=標準的
- 使いやすさ: ◎=非常に易しい、〇=普通、△=やや難しい/慣れが必要
- 上記以外にも、サクソバンク証券(オートチャーティスト機能)やフィリップ証券(MT5利用)など、特徴的なツールを提供するブローカーもあります。
選択のポイント:
- TradingView: 多機能性を重視し、将来的に他のブローカーでも同じ環境を使いたい場合に有力ですが、無料版の制限は考慮が必要です。
- ブローカー提供ツール: 取引との連携がスムーズで、多くの場合無料で全機能を利用できます。特にGMOクリック証券のツールは初心者向けの使いやすさで評価が高いです。ただし、そのブローカーでしか使えないため、将来ブローカーを変更した場合、ツールの使い方を学び直す必要があります。
- MT4/MT5: FX取引の経験者や、自動売買、カスタム指標に関心がある場合に選択肢となりますが、独自の操作に慣れが必要です。
初心者は、まずデモ取引を提供しているブローカー(GMOクリック証券、IG証券など)で、実際のツールを試してみることをお勧めします。
(2) 各ツールの特徴と機能
主要なブローカーが提供するツールの特徴をもう少し詳しく見てみましょう。
GMOクリック証券 (はっちゅう君CFD, CFDアプリ):
- 強み: 何よりもその使いやすさが評価されています。PC用の「はっちゅう君CFD」とスマートフォンアプリは、直感的なインターフェースで初心者でも迷いにくい設計です。
- 機能: ワンクリックで発注できる「スピード注文」、チャート上から直接注文・変更・取消ができる機能、豊富なテクニカル指標と描画ツール、複数チャート表示(PC版はマルチモニター対応、アプリ版は4分割)、レートアラート機能など、取引に必要な機能が揃っています。入金・振替から注文までツール内で完結できる点も便利です。Macにも対応しています。デモ取引で無料で試せます。
- 総評: 初心者から経験者まで、バランスの取れた高機能ツールと言えます。
IG証券 (Webプラットフォーム, モバイルアプリ):
- 強み: 取扱銘柄数が非常に多い(17,000以上との記述も)のが最大の特徴です。マイナーな指数や個別株、商品など、多様な市場にアクセスしたい場合に有利です。
- 機能: Webブラウザ版とモバイルアプリを提供。注文時に損切り(逆指値)・利食い(指値)を同時に設定可能。高機能チャートツール(ProRealTimeなど連携可能な場合も)、アラート機能、ニュース配信などの機能があります。リスク限定型の「ノックアウト・オプション」という独自商品も提供しています。学習コンテンツ「IGアカデミー」も利用できます。デモ口座も利用可能です。
- 注意点: 高機能な反面、初心者にはインターフェースがやや複雑に感じられる可能性があります。また、一定期間取引がないと口座管理手数料が発生する場合がある点にも注意が必要です。
楽天証券 (楽天CFD vs 楽天MT4CFD):
- 楽天CFD: 楽天証券の株式取引で使われる「iSPEED」(スマホアプリ)や「マーケットスピードII」(PCツール)で取引できるのが特徴です。楽天証券の他のサービス(国内株、米国株など)を利用しているユーザーにとっては、使い慣れた環境でCFD取引を始められるメリットがあります。
- 楽天MT4CFD: 世界的に普及している取引プラットフォーム「MetaTrader 4 (MT4)」を利用する、楽天CFDとは別のサービスです。MT4の豊富な標準テクニカル指標や描画ツールに加え、カスタムインジケーターの追加や、EA(Expert Advisor)を用いた自動売買(システムトレード)が可能です。FXでMT4を使っているトレーダーは、同じプラットフォームでCFDの分析や取引ができるメリットがあります。ただし、MT4独自の操作に慣れる必要があります。また、楽天CFDと楽天MT4CFDでは、取扱銘柄や証拠金率などが異なる場合があります。
これらのツール選択は、単なる機能比較だけでなく、自身の取引スタイルや将来的な拡張性(他のブローカーへの移行可能性など)も考慮に入れるべき戦略的な判断となります。統合された専用ツールは学習コストが低いかもしれませんが、特定のブローカーに依存することになります。一方、MT4やTradingViewのような汎用プラットフォームは、スキルが他のブローカーでも活かせる可能性がありますが、初期の学習曲線がやや急であったり、無料版では機能が制限されたりする場合があります。
5.2 チャートのカスタマイズ方法
選んだチャートツールを、より見やすく、分析しやすくするためにカスタマイズする方法を解説します。
(1) 時間足の切り替えと適切な選択
チャートは、様々な「時間足(じかんあし)」で表示することができます。時間足とは、1本のローソク足(またはバー)が示す期間のことです。
時間足の種類: ツールバーのボタンやメニューから切り替えられます。一般的な時間足には以下のようなものがあります。
- 分足(ふんあし): 1分足(M1)、5分足(M5)、15分足(M15)、30分足(M30)など。短期的な値動きを捉えるのに使います。
- 時間足(じかんあし): 1時間足(H1)、4時間足(H4)など。デイトレードやスイングトレードでよく使われます。
- 日足(ひあし): 1日の値動きを1本のローソク足で示します。スイングトレードや長期的なトレンド分析の基本となります。
- 週足(しゅうあし): 1週間の値動きを1本のローソク足で示します。長期的なトレンド分析に使われます。
- 月足(つきあし): 1ヶ月の値動きを1本のローソク足で示します。非常に長期的な視点での分析に使われます。
適切な時間足の選択: どの時間足を使うかは、トレードスタイルによって異なります。
- スキャルピング(数秒~数分): 1分足、5分足。
- デイトレード(数分~1日): 5分足、15分足、1時間足(エントリータイミング用)、4時間足、日足(全体トレンド確認用)。
- スイングトレード(数日~数週間): 1時間足、4時間足、日足(分析・エントリー用)、週足(全体トレンド確認用)。
- ポジショントレード(数週間~数ヶ月以上): 日足、週足、月足。
マルチタイムフレーム分析の重要性: 特定の時間足だけでなく、複数の時間足を組み合わせて分析することが非常に重要です。まず、週足や日足などの長期足で相場全体の大きな流れ(森)を把握し、次に4時間足や1時間足などの中期足でトレンドの状況や主要なサポート・レジスタンスを確認、最後に15分足や5分足などの短期足で具体的なエントリーやエグジットのタイミング(木)を探る、というように、長期足から短期足へと分析を進めるのが基本です。これにより、短期的な値動きに惑わされず、より確度の高い判断が可能になります。
また、使用する時間足によって、移動平均線の期間設定など、テクニカル指標の適切なパラメータも変わってくる点に注意が必要です。例えば、日足で「20期間移動平均線」を使うのと、5分足で「20期間移動平均線」を使うのでは、意味する期間(約1ヶ月 vs 約1時間半)が全く異なります。自分のトレードスタイルと時間軸に合った設定を見つけることが大切です。
(2) テクニカル指標の追加と設定方法
チャート上にテクニカル指標を追加し、その設定を調整する方法を説明します。
指標の追加: 多くのチャートツールでは、「インジケーター」「テクニカル指標」「分析ツール」といったボタンやメニューがあります。これをクリック(またはタップ)すると、利用可能な指標のリストが表示されるので、追加したい指標(例:移動平均線、MACD、RSIなど)を選択します。
表示場所: 移動平均線やボリンジャーバンド、一目均衡表のように価格チャート自体に重ねて表示される指標と、RSIやMACD、ストキャスティクスのように価格チャートの下(または上)に別の領域(サブチャート、サブウィンドウ)として表示される指標があります。
設定(パラメータ)の変更: 指標を追加する際、または追加後に設定画面を開くことで、期間(例:移動平均線の期間、RSIの期間)や計算方法(例:SMAかEMAか)などのパラメータを調整できます。例えば、移動平均線なら期間(5, 25, 75など)、線の色や太さを設定します。RSIなら期間(通常14)や買われすぎ・売られすぎのレベル(通常70/30)を設定します。
指標の削除: 不要になった指標は、設定画面や指標名が表示されている部分から削除できます。
テンプレートの保存: 頻繁に使う指標の組み合わせや設定を「テンプレート」「レイアウト」「設定セット」などとして保存できる機能があるツールも多いです。これにより、次回から簡単に同じ設定を呼び出すことができます。
初心者はまず、移動平均線、MACD、RSIといった基本的な指標から試してみて、それぞれの意味と使い方に慣れていくのが良いでしょう。
(3) チャートの色や表示形式の変更方法
チャートの見た目をカスタマイズすることで、視認性を高め、分析しやすくすることができます。長時間チャートを見ることもあるため、目が疲れにくい設定にすることも大切です。
カスタマイズ可能な項目: 多くのツールで、以下のような項目を自由に変更できます。
- 背景色: 白地、黒地など、見やすい背景色を選べます(ライトテーマ/ダークテーマ)。
- ローソク足の色: 陽線(上昇)と陰線(下落)の色を自由に設定できます(例:陽線=赤、陰線=青、陽線=緑、陰線=赤など)。
- テクニカル指標の色・線の種類: 移動平均線やボリンジャーバンドなどの線の色、太さ、種類(実線、点線など)を変更できます。
- グリッド線: チャート背景の格子線の表示/非表示や色を変更できます。
- 価格スケール・時間スケール: 縦軸(価格)や横軸(時間)の目盛りの表示形式や色を変更できます。
- その他: カーソルの種類、チャート上に表示される情報(銘柄名、OHLC値など)の有無なども設定できる場合があります。
設定方法: 通常、チャート画面上で右クリックメニューを表示するか、設定アイコン(歯車マークなど)をクリックすることで、チャート設定画面にアクセスできます。ここで各項目の色や表示形式を選択・変更します。
プリセットテーマ: いくつかの配色パターンが「プリセット」「カラーパレット」として用意されており、そこから好みのものを選ぶこともできます。
チャート画面はトレーダーにとって仕事場のようなものです。情報が多すぎたり、色使いが派手すぎたりすると、かえって分析の妨げになり、心理的なストレスにもつながりかねません。自分にとって最も見やすく、落ち着いて分析に集中できる、クリーンなチャート画面を構築することを心がけましょう。このカスタマイズ自体が、トレード規律を保つ一助となることもあります。
6. 実践的なチャート分析のポイント
基本的なチャートの見方や指標の使い方を学んだら、次はそれらを組み合わせて実践的な分析を行うステップに進みます。
6.1 チャート分析のステップ
闇雲にチャートを眺めるのではなく、一貫した手順(プロセス)に従って分析を進めることが、安定したトレードを行う上で重要です。初心者向けの基本的な分析ステップは以下のようになります。
ステップ1: 長期足で大きなトレンドを把握する
- まず、日足や週足、あるいは4時間足といった比較的長い時間足のチャートを開きます。
- 移動平均線の向きやパーフェクトオーダー、一目均衡表の雲と価格の位置関係、あるいは高値・安値の切り上がり・切り下がり(ダウ理論)などを用いて、現在の相場が上昇トレンドなのか、下降トレンドなのか、それとも方向感のないレンジ相場なのか、全体的な方向性(森の状況)を判断します。
ステップ2: 中期・短期足でエントリーチャンスを探る
- 大きなトレンドの方向に沿って取引する(順張り)のが基本です。
- 大きなトレンドが上昇であれば、1時間足や15分足などのより短い時間足に切り替え、価格が一時的に下落してサポートライン(移動平均線、トレンドライン、雲の下限など)に近づく「押し目」を探します。
- 大きなトレンドが下降であれば、同様に短期足で価格が一時的に上昇してレジスタンスライン(移動平均線、トレンドライン、雲の上限など)に近づく「戻り」を探します。
- レンジ相場であれば、サポートライン付近での反発(買い)やレジスタンスライン付近での反落(売り)を狙います。
- オシレーター系指標(RSI、ストキャスティクスなど)を使って、押し目や戻りのタイミングで「売られすぎ」「買われすぎ」のサインが出ていないか確認するのも有効です。
ステップ3: 具体的なエントリートリガー(きっかけ)を見つける
- 押し目や戻りの候補となる価格帯に到達したら、実際に反転するのを確認してからエントリーします。
- 具体的なエントリーのきっかけ(トリガー)としては、以下のようなものが考えられます。
- ローソク足の反転パターン(例:たくり線、包み線など)の出現。
- 短期の移動平均線が長期の移動平均線をクロスする(ゴールデンクロス/デッドクロス)。
- MACDのゴールデンクロス/デッドクロス。
- RSIやストキャスティクスが売られすぎ/買われすぎゾーンから抜け出す。
- チャートパターン(例:トライアングル)からのブレイクアウト。
ステップ4: エグジットポイント(損切り・利益確定)を設定する
- エントリーする前に、必ず損切り(ストップロス)と利益確定(テイクプロフィット)の価格レベルを決めておきます。
- 損切りは、エントリーの根拠が崩れる場所に設定します(詳細は7.2.1)。
- 利益確定は、次のレジスタンス/サポートレベルや、チャートパターンの目標値、あるいはリスクリワードレシオ(例:損切り幅の1.5倍~2倍)に基づいて設定します。
ステップ5: ポジションサイズを計算する
- ステップ4で決めた損切り幅と、1回の取引で許容できるリスク額(例:口座資金の2%)に基づいて、適切な取引量(ポジションサイズ)を計算します(詳細は7.2.2)。
ステップ6: 注文を実行し、管理する
- 計画通りに注文を出し、相場の状況を監視します。必要に応じて、利益確定ラインや損切りラインを調整することもあります(例:トレール注文)。
この一連のプロセスを毎回繰り返すことで、感情に左右されず、規律あるトレードを行うことができます。完璧な予測を目指すのではなく、優位性のある場面でリスクを管理しながら繰り返しトレードを行うという、一貫したプロセス(手順)を確立することが、初心者にとっての成功への鍵となります。
6.2 注意すべきポイント
チャート分析を実践する上で、注意すべき点がいくつかあります。
(1) ダマシ(フェイクシグナル)への対応
テクニカル分析のシグナルが必ずしも正しいとは限りません。「ダマシ(騙し)」と呼ばれる、セオリー通りの値動きにならない偽のシグナル(フェイクシグナル)は頻繁に発生します。例えば、サポートラインを下抜けたように見えてすぐに反発したり、ゴールデンクロスしたのに価格が下落したりするケースです。ダマシを完全に避けることは不可能ですが、以下の方法でリスクを軽減することができます。
- 確認を待つ: シグナルが出てもすぐに飛びつかず、確認の動きを待ちます。例えば、レジスタンスラインをブレイクアウトした場合、ローソク足がそのラインの上で**確定する(終値がラインを超える)**のを待つ、あるいはブレイク後に一度ラインまで戻ってきて(リテスト)、そこで再度反発するのを確認してからエントリーするなどです。
- 複数の時間足で確認: 短期足でのシグナルが、長期足のトレンド方向と一致しているかを確認します。長期足のトレンドに逆らうシグナルはダマシである可能性が高まります。
- 出来高の確認(可能な場合): ブレイクアウトなどの重要な動きが、出来高の増加を伴っているか確認します。出来高が伴わない動きはダマシの可能性があります(ただし、CFDやFXでは正確な出来高データを得にくい場合があります)。
- 複数の指標で確認: 次の項目で述べるように、複数のテクニカル指標で同じ方向のシグナルが出ているかを確認します。
- 損切り設定の徹底: ダマシは起こるものと割り切り、万が一ダマシだった場合に損失を限定できるよう、必ず損切り注文を設定しておくことが最も重要です。
(2) 複数の指標を組み合わせた分析の重要性
一つのテクニカル指標だけを頼りに取引するのは非常に危険です。なぜなら、どの指標にも得意な相場状況と苦手な相場状況があり、ダマシも発生するからです。より信頼性の高い分析を行うためには、異なる種類のテクニカル指標を複数組み合わせて使うことが推奨されます。複数の指標が同じ方向のシグナルを示していれば、そのシグナルの信頼性は高まります。
組み合わせの基本(トレンド系 + オシレーター系): 最も一般的で効果的な組み合わせの一つは、トレンド系指標とオシレーター系指標を併用することです。
- まず、移動平均線や一目均衡表などのトレンド系指標で相場の大きな流れ(上昇・下降・レンジ)を判断します。
- 次に、そのトレンドの方向に従って、RSIやストキャスティクス、MACDなどのオシレーター系指標を使って、具体的なエントリーやエグジットのタイミング(押し目買い・戻り売りのタイミング、買われすぎ・売られすぎからの反転、ダイバージェンスによるトレンド転換の兆候など)を探します。
具体例:
- 移動平均線 + MACD
- ボリンジャーバンド + MACD
- ボリンジャーバンド + RSI
- RSI + MACD
その他の組み合わせ:
- 複数のオシレーター系指標(例:RSI + ストキャスティクス)を組み合わせて、買われすぎ・売られすぎシグナルの精度を高める。
- テクニカル指標とチャートパターンを組み合わせる(例:ヘッドアンドショルダーのネックライン割れをMACDのデッドクロスで確認する)。
注意点(組み合わせの相性): 組み合わせる際には、それぞれの指標の長所と短所を理解し、互いの弱点を補い合えるような組み合わせを選ぶことが重要です。例えば、トレンド相場に強いMACDとレンジ相場に強いボリンジャーバンドを組み合わせることで、現在の相場状況をボリンジャーバンドで判断し、MACDのシグナルを有効に活用する、といった使い方が考えられます。単に多くの指標を表示するのではなく、相乗効果(シナジー)を生む組み合わせを目指しましょう。また、似たような性質を持つ指標(例えば、複数のオシレーター系指標)を多数組み合わせても、同じようなシグナルが出るだけで、分析が複雑になるだけであまり意味がない場合もあります。
複数の根拠を持つことで、ダマシにあう確率を減らし、より自信を持って取引に臨むことができます。
7. CFDチャート分析の応用
基本的なチャート分析をマスターしたら、次は様々な市場での応用や、リスク管理との連携について見ていきましょう。
7.1 各市場でのチャート分析
CFDでは多様な市場に投資できますが、市場ごとに値動きの特性が異なります。それぞれの特徴を理解した上でチャート分析を行うことが重要です。
(1) 株価指数CFDのチャート分析
株価指数CFD(例:日経平均(日本225)、NYダウ(米国30)、S&P500(米国500)、ナスダック100(米国NAS100))は、各国の株式市場全体の動きを表す指数に連動します。
特徴:
- トレンドが出やすい: 個別株に比べて、比較的長期的なトレンドを形成しやすい傾向があります。ただし、経済ショックなどで急落することもあります。
- 経済指標の影響: 各国の金融政策(利上げ・利下げなど)や重要な経済指標(GDP、雇用統計、インフレ率など)の発表によって大きく動くことがあります。経済カレンダーのチェックが重要です。
- 取引時間: 主要な株価指数CFDは、アジア・ヨーロッパ・アメリカの市場時間をカバーするように、ほぼ24時間取引が可能です。日本の株式市場の取引時間は、東京証券取引所の場合、通常午前が9:00~11:30、午後は12:30~15:00ですが、CFDならそれ以外の時間帯でも日経平均などに連動する銘柄を取引できます。
- レバレッジ: 通常、レバレッジ(例:10倍)を利用できます。
- 倒産リスクなし: 指数自体への投資なので、個別企業のような倒産リスクはありません。
分析のポイント:
- 基本的なテクニカル分析(トレンドライン、移動平均線、MACD、RSIなど)が有効です。
- 長期足(日足・週足)で大きなトレンドを確認し、短期足でエントリータイミングを探るマルチタイムフレーム分析が有効です。
- 主要国の経済動向や金融政策のニュースを常にチェックし、ファンダメンタルズ要因も考慮に入れることが重要です。
- レバレッジを効かせすぎると、少しの値動きでも大きな損失につながる可能性があるため、リスク管理(特に損切り)が非常に重要です。
(2) 商品CFD(原油・金など)の特性と分析方法
商品(コモディティ)CFDの中でも、特に原油と金は人気があります。
金 (Gold):
- 特性: しばしば「安全資産」と見なされ、経済不安、地政学的リスク(戦争や紛争など)、インフレ懸念が高まると価格が上昇する傾向があります。一方で、米国の金利上昇やドル高は、金利を生まない金の価格にとってマイナス要因となることがあります。宝飾品需要や中央銀行の購入動向も価格に影響します。現物を保有せず、差金決済で取引できます。
- 分析: テクニカル分析に加え、上記のようなファンダメンタルズ要因(金融政策、地政学リスク、ドル相場、需給動向)を考慮することが重要です。レバレッジは最大20倍程度利用できる場合があります。
原油 (Oil – WTIなど):
- 特性: 価格変動が大きい(ボラティリティが高い)ことで知られています。価格は基本的に需要と供給のバランスで決まります。供給面ではOPEC(石油輸出国機構)やロシアなどの主要産油国の生産方針(減産・増産)、地政学的リスク(中東情勢など)、需要面では世界経済の景気動向(景気が良いと需要増、悪いと需要減)、季節要因(冬の暖房需要など)などが影響します。米国の原油在庫統計(EIA週間石油在庫統計など)も重要な指標です。
- 分析: テクニカル分析も有効ですが、上記のような需給に関するニュースや経済指標の発表に価格が敏感に反応するため、ファンダメンタルズ分析が特に重要です。値動きが大きい時間帯(特にNY市場時間、日本時間の夜間)を把握することも有効です。
- 注意点: 原油CFDは先物市場を参照しているため、「限月交代(ロールオーバー)」に伴う価格調整が発生することがあります。また、ボラティリティが高いため、損切り設定を含むリスク管理が不可欠です。レバレッジは最大20倍程度利用できる場合があります。
商品CFDの分析では、テクニカル分析と合わせて、各商品特有のファンダメンタルズ要因を理解することが成功の鍵となります。
(3) 外国株CFDのチャートの見方
CFDを利用すれば、AppleやGoogle、Teslaといった海外の個別企業の株式にも、レバレッジをかけて投資することができます。
特徴:
- レバレッジ: 通常5倍程度のレバレッジが利用可能です。
- 個別企業要因: 株価指数とは異なり、その企業の業績(決算発表)、新製品やサービスのニュース、業界動向、経営戦略などが株価に直接影響します。
- 取引時間: その株式が上場している海外市場の取引時間に合わせて取引が行われます(例:米国株なら日本時間の夜間)。
- 為替リスク: 日本円で取引する場合、株価の変動だけでなく、その国の通貨(例:米ドル)と日本円の為替レートの変動からも影響を受けます。円安になれば円建ての利益は増えますが、円高になれば利益は減少(または損失が増加)します。
- 調整額: ポジションを翌営業日に持ち越した場合、配当金相当額(権利調整額)の受け払いや、金利相当額(金利調整額、ファンディングコスト)の支払いが発生します。長期保有の場合はこれらのコストも考慮が必要です。
- 取引規制: 市場の混乱時などに、特定の銘柄で取引規制(新規注文停止、建玉上限引き下げなど)がかかる可能性があります。
分析のポイント:
- 基本的なチャート分析(テクニカル分析)は他の市場と同様に有効です。
- しかし、個別株の場合はファンダメンタルズ分析が非常に重要です。企業の決算情報、業界ニュース、競合の動向などを常にチェックする必要があります。
- 為替レートの動向も同時に注視し、円建てでの損益を意識する必要があります。
- 株価指数や商品に比べて分析すべき要素が多く(企業固有要因+市場全体要因+為替要因)、より多くの情報収集と分析スキルが求められるため、初心者にとっては難易度が高いかもしれません。
外国株CFDは魅力的な投資対象ですが、その分、分析の複雑さが増すことを理解しておく必要があります。
7.2 チャート分析とリスク管理
CFD取引で成功するためには、チャート分析能力と同じくらい、あるいはそれ以上にリスク管理が重要です。特にレバレッジを利用するCFDでは、リスク管理を怠ると大きな損失につながる可能性があります。チャート分析は、このリスク管理を効果的に行うためのツールでもあります。
(1) 損切りラインの設定と資金管理
損失を限定し、資金を守るための基本的な手法が「損切り」と「資金管理」です。
損切り(ストップロス):
- 定義: ポジションを保有する際に、あらかじめ「もし価格がこの水準まで逆行したら、損失を確定して決済する」という注文(逆指値注文)を入れておくことです。
- 重要性: CFDはレバレッジにより大きな利益が狙える反面、損失も拡大しやすいため、損切り設定は必須です。感情に流されて損失を拡大させるのを防ぎ、致命的なダメージから資金を守るための命綱となります。
- 設定方法(チャート分析の活用): 損切りラインは、勘ではなく、チャート分析に基づいて設定します。
- 買いポジションの場合:直近の安値の少し下、重要なサポートラインの少し下、上昇トレンドラインを割り込んだ水準など、エントリーの根拠が崩れると考えられる場所に設定します。
- 売りポジションの場合:直近の高値の少し上、重要なレジスタンスラインの少し上、下降トレンドラインを上抜けた水準などに設定します。
- 注意点: 損切りが浅すぎると頻繁に引っかかってしまう「損切り貧乏」になる可能性があり、深すぎると一度の損失が大きくなりすぎます。適切な損切り幅を見つけることが重要です。また、決めた損切りルールは必ず守ることが鉄則です。
資金管理(マネーマネジメント):
- 目的: 取引資金全体を守り、長期的に市場で生き残るための計画です。
- 2%ルール: 投資の世界でよく言われる基本的なルールとして、「1回の取引でリスクにさらす資金を、口座全体の資金の2%以内(あるいは1%など、自分で決めた割合)に抑える」というものがあります。例えば、口座資金が50万円なら、1回の取引での最大許容損失額を1万円(50万円の2%)に設定します。これにより、数回の連敗でも資金が大きく減るのを防ぎ、再起可能な状態を保つことができます。
- リスクリワードレシオ: 1回の取引における「利益確定幅(リワード)」と「損切り幅(リスク)」の比率のことです。例えば、損切り幅を50pips、利益確定幅を100pipsに設定した場合、リスクリワードレシオは1:2となります。勝率が50%でも、リスクリワードレシオが1:1より大きければ(例えば1:1.5や1:2)、長期的には利益が積み上がっていくことが期待できます。損切り幅を決めたら、それに見合う利益確定幅を設定することが重要です。
(2) ポジションサイズの調整とリスクの最小化
損切りラインと許容リスク額が決まれば、次に**適切なポジションサイズ(取引数量、ロット数)**を計算します。ポジションサイズは、リスクをコントロールするための非常に重要な要素です。
計算方法: 適切なポジションサイズは、以下の計算式で求めることができます。
ポジションサイズ = 1回の取引での許容損失額 ÷ 1単位あたりの損切り幅
(例:日本円口座でドル円を取引する場合) ポジションサイズ(通貨単位) = (口座資金 × 許容損失率(%)) ÷ (損切り幅(円))
具体例(日本円口座、ドル円取引):
- 口座資金: 500,000円
- 許容損失率: 2% → 許容損失額: 500,000円 × 2% = 10,000円
- エントリー価格: 150.00円
- 損切り価格: 149.50円 → 損切り幅: 0.50円 (50 pips)
- 適切なポジションサイズ: 10,000円 ÷ 0.50円/通貨 = 20,000通貨
ポイント:
- 損切り幅との関係: 同じ許容損失額(例:1万円)でも、損切り幅を広く設定する場合(例:1円 = 100pips)は、ポジションサイズを小さく(10,000円 ÷ 1円 = 10,000通貨)する必要があります。逆に、損切り幅を狭く設定する場合(例:0.2円 = 20pips)は、ポジションサイズを大きく(10,000円 ÷ 0.2円 = 50,000通貨)できます。
- 一貫性の重要性: 毎回のエントリー前に、チャート分析に基づいて損切り位置を決め、それに応じてポジションサイズを調整することで、トレードごとのリスク量を一定(例:口座資金の2%)に保つことができます。これにより、相場のボラティリティに関わらず、一貫したリスク管理が可能になります。
多くの取引ツールには、このポジションサイズ計算を補助する機能が付いている場合もあります。
損切りラインの設定、許容損失率の決定、そしてそれに基づいたポジションサイズの調整は、三位一体のリスク管理策です。これらを連動させて考えることで、CFD取引に伴うリスクを効果的にコントロールし、長期的な成功を目指すことができます。
まとめ
この記事では、CFD取引を始めたばかりの初心者の方に向けて、CFDチャートの読み方の基本から応用までを解説しました。
CFDは、レバレッジを利用して少額から多様な市場に投資できる魅力的な金融商品ですが、同時にリスクも伴います。そのリスクを管理し、有利な取引機会を見つけるために、チャート分析は不可欠なスキルです。
まず、ローソク足チャートの見方をマスターし、陽線・陰線、実体・ヒゲから価格の勢いや市場心理を読み取ることから始めましょう。そして、移動平均線やMACDといったトレンド系指標で相場の方向性を掴み、RSIやストキャスティクスといったオシレーター系指標で買われすぎ・売られすぎやエントリータイミングを探る方法を学びました。
さらに、ダブルトップ/ボトムやヘッドアンドショルダー、トライアングルといったチャートパターン、トレンドラインやサポート・レジスタンスラインを理解することで、相場の転換点や継続を予測する精度を高めることができます。
しかし、テクニカル分析には「ダマシ」がつきものです。単一の指標やパターンに頼るのではなく、複数の指標や分析手法を組み合わせ、複数の時間足で確認することで、シグナルの信頼性を高めることが重要です。
そして何よりも大切なのが、リスク管理です。チャート分析に基づいて損切りラインを明確に設定し、資金管理(2%ルールなど)を徹底し、それに基づいて適切なポジションサイズを計算・調整すること。これが、CFD取引で長期的に生き残るための鍵となります。
CFDチャートの読み方を習得するには、学習と実践が不可欠です。多くの証券会社がデモ口座を提供していますので、まずは仮想資金を使って、この記事で学んだ知識を実際のチャートで試してみることを強くお勧めします。
ご自身の投資スタイルに合った、使いやすいチャートツールを備えた証券会社を選び、焦らず、慎重に、CFD取引の世界を探求していきましょう。正しい知識とリスク管理を身につければ、CFDはあなたの資産形成の強力な味方となる可能性があります。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
【登場人物】






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