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初心者向け【CFD(差金決済取引)のよくある質問】疑問を徹底解説

CFDという言葉を聞いたことがありますか?最近、投資の一つの方法として注目されていますね。

この記事では「CFDって何だろう?」というあなたの疑問に答えます。

初心者の方向けによくある質問を丁寧にまとめました。

CFDの基本的な知識から、取引の仕組み、税金、そしてリスクまで幅広く解説します。

この記事を最後まで読めば、CFDの全体像がきっとわかるでしょう。

投資を始める前には、しっかりとした知識を身につけることが何よりも大切です。

さあ、一緒にCFDについて学んでいきましょう。

本記事について

本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の手法や知識を推奨したり、売買を勧めたりするものではありません。

本記事に記載されている情報については、正確性、完全性、有用性を確保するために努力しておりますが、その保証は致しかねます。

投資対象や商品の選択など、実際の投資判断はご自身の責任で行ってください。

必要に応じて、財務アドバイザーや税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

本記事の情報を利用した結果として発生するいかなる損害についても、著者は一切の責任を負いません。

目次

1. CFDの基本

CFD取引を始める前に、まずは基本的な概念を理解することが重要です。

ここでは、CFDがどのようなものか、そして他の金融商品とどう違うのかを解説します。

1.1 CFDとは何ですか?

CFDは「Contract For Difference」という英語の略称です。

日本語では一般的に「差金決済取引(さきんけっさいとりひき)」と呼ばれています。

これは、株式や商品などの金融商品を実際に保有することなく取引を行う方法の一つです。

取引開始時の価格と、取引終了時の価格の差額だけをやり取りして決済します。

例えば、ある株価指数の価格が将来上がると予想したとしましょう。

その場合、その株価指数のCFDを「買い」ます。

もし予想通りに価格が上昇すれば、その価格差が利益となります。

逆に、予想に反して価格が下落してしまった場合は、その価格差が損失になるのです。

この取引の大きな特徴は、現物の株式や、原油、金といった商品そのものを受け渡しする必要がない点です。

そのため、保管場所や受け渡しの手続きなどを気にする必要がありません。

この仕組みにより、CFDでは日経平均やNYダウのような株価指数、原油や金といった商品(コモディティ)、外国為替、さらには国内外の個別株式まで、非常に多様な資産に投資することが可能になります。

現物を直接取引するのが難しい海外の株価指数や、通常は大きな資金が必要となる商品などにも、CFDを通じて比較的容易にアクセスできるのが魅力と言えるでしょう。

価格の差額だけを決済するというシンプルな仕組みが、幅広い市場への投資機会を提供しているのです。

1.2 CFDとFXの違いは何ですか?

FXという言葉もよく耳にするかもしれません。

FXは「Foreign Exchange」の略で、日本語では「外国為替証拠金取引」と言います。

FXは、その名の通り、米ドルと日本円(USD/JPY)や、ユーロと米ドル(EUR/USD)といった、異なる国の通貨同士を交換する取引(通貨ペア取引)に特化しています。

為替レートの変動を予測して、利益を狙うのがFX取引です。

一方、CFDはFXよりもはるかに幅広い資産を取引対象としています。

前述の通り、株価指数(日経平均、NYダウ、S&P500など)、商品(原油、金、銀、とうもろこしなど)、さらには国内外の個別企業の株式などもCFDで取引できます。

このように考えると、FXは通貨ペアに限定された取引であり、CFDという大きな枠組みの中に含まれる一つのカテゴリーと捉えることもできます。

ただ、FXは差金決済の仕組みという点でCFDと類似していますが、日本の法制度上は別の金融商品として区分され、取引ルールやレバレッジ規制が異なります

FXは為替市場の値動きだけが収益機会ですが、CFDでは株式市場、商品市場など、世界中の様々な市場の値動きを利益に変えるチャンスがあります。

ただし、取引の基本的な仕組み、例えば証拠金を預けて取引を行う点や、差金決済である点などは、CFDとFXで共通している部分も多いです。

FXの経験がある方なら、CFDの仕組みも比較的理解しやすいかもしれません。

しかし、CFDは対象資産が多岐にわたるため、それぞれの市場(株式、商品など)に関する知識も必要になる点は覚えておきましょう。

1.3 CFDと先物取引の違いは何ですか?

CFDと似た取引方法に「先物取引(さきものとりひき)」があります。

先物取引も、将来の価格が上がるか下がるかを予測して売買する点ではCFDと共通しています。

しかし、CFDと先物取引の間には、いくつかの重要な違いが存在します。

最も大きな違いとして挙げられるのが、「決済期限」の有無です。

先物取引には、「限月(げんげつ)」と呼ばれる、あらかじめ定められた決済の期限日が設定されています。

投資家は、この限月が到来する前に反対売買によって決済するか、期限が来た際に自動的に決済されるか、あるいは次の限月の取引に乗り換える(ロールオーバーと呼ばれる手続き)必要があります。

これに対して、多くのCFD銘柄には、このような明確な決済期限が設けられていません。

(ただし、一部には先物取引を参照しているなどの理由で期限が設定されているCFD銘柄も存在します。)

決済期限がないCFDの場合、投資家は自分の判断で、好きなタイミングでポジションを決済することができます。

これにより、短期的な売買だけでなく、比較的長期にわたってポジションを保有し続ける戦略も取りやすくなります。

ただし、決済期限がないことによる注意点もあります。

期限がないために、損失が出ているポジションをいつまでも持ち続けてしまい、結果的に損失が拡大したり、後述する金利調整額が積み重なったりする可能性も考えられます。

また、取引単位の大きさも異なる場合があります。

一般的に、先物取引は取引所が定めた規格があり、取引単位(1枚あたりに必要な資金)が比較的大きいことが多いです。

一方、CFDは証券会社が独自に商品設計をしていることが多く、より小さな単位、つまり少ない資金から取引を始められる場合があります。

このため、CFDは個人投資家にとって、先物取引よりも始めやすいと感じられるかもしれません。

CFD・FX・先物取引の比較

スクロールできます
特徴 (Feature)CFD (差金決済取引)FX (外国為替証拠金取引)先物取引 (Futures)
主な取引対象株価指数, 商品, 個別株, 為替など多様主に通貨ペア商品, 株価指数, 債券など (取引所による)
決済期限原則なし (一部期限付きあり)原則なしあり (限月)
現物の受渡しなしなしあり (一部) / 差金決済 (指数など)
主な取引形態相対取引 (ブローカーとの取引) が多い相対取引が多い取引所取引
取引単位比較的小さい単位から可能比較的小さい単位から可能比較的大きい
日本でのレバレッジ(最大)10倍(株価指数), 5倍(個別株), 20倍(商品)等25倍銘柄により異なる (証拠金ベース)

この表は、それぞれの取引方法の主な特徴をまとめたものです。

CFDが他の取引方法と比較して、どのような位置づけにあるのかを理解する助けになるでしょう。

2. 取引の仕組み

CFDの基本的な特徴を理解したところで、次に具体的な取引の仕組みについて見ていきましょう。

取引時間、必要な資金(証拠金)、そしてCFDの大きな特徴であるレバレッジについて解説します。

2.1 取引時間はいつですか?

CFD取引の大きな魅力の一つとして、その取引時間の長さが挙げられます。

為替や国際商品を対象としたCFD銘柄は24時間取引可能ですが、日本の個別株CFDなどは東京証券取引所の取引時間に準じます。取引時間は銘柄ごとに異なるため、必ず取引ツールで確認してください。

これは、CFDが世界中の様々な市場(例えば、アジア、ヨーロッパ、アメリカの市場)で取引されている資産を対象としているためです。

例えば、ニューヨーク市場が開いている時間帯に動く米国の株価指数(NYダウやナスダックなど)のCFDは、日本時間の夜間や早朝でもリアルタイムで取引することができます。

仕事が終わった後の時間を使って取引したり、海外市場の動向に合わせて取引したりできるのは大きなメリットでしょう。

さらに、日本の祝祭日であっても、海外の市場が開いていれば取引可能なCFD銘柄も多く存在します。

これにより、日本の株式市場が休みの間でも、世界の市場の動きを捉えて取引する機会があります。

ただし、注意点として、すべてのCFD銘柄が24時間取引できるわけではありません。

例えば、日本の個別株式を対象としたCFDなどは、その株式が上場している東京証券取引所の取引時間に準じて取引時間が設定されている場合があります。

ちなみに、東京証券取引所の現在の立会時間は、午前が9:00から11:30まで、午後は12:30から15:30までとなっています。

また、原油や金などの商品CFDも、参照している先物市場などの取引時間によって、取引できない時間帯が存在します。

自分が取引したいと考えているCFD銘柄の正確な取引時間は、利用する証券会社のウェブサイトや取引ツールで必ず確認するようにしてください。

ほぼ24時間取引できる利便性はありますが、取引できない時間帯や、市場の流動性が低下する時間帯(早朝など)があることも理解しておく必要があります。

2.2 取引に必要な証拠金はどのくらいですか?

CFD取引を始めるためには、「証拠金(しょうこきん)」と呼ばれる資金を証券会社の取引口座に入金する必要があります。

この証拠金は、取引を行うための担保のような役割を果たします。

実際に必要となる証拠金の額は、いくつかの要因によって決まります。

具体的には、取引するCFD銘柄の種類、その時点での価格、そしてどれくらいの量(取引数量)を取引するかによって変動します。

さらに、利用する証券会社や、後述するレバレッジの設定によっても必要な証拠金額は変わってきます。

CFD取引の大きな特徴の一つは、取引したい金額の全額を用意する必要がない点です。

これは「レバレッジ」という仕組みを利用できるためで、少ない証拠金で、その何倍もの金額の取引を行うことが可能になります。

(レバレッジについては次の項目で詳しく説明します。)

例えば、レバレッジが10倍の場合、100万円分の取引を行うのに必要な証拠金は、計算上はその10分の1である10万円で済むことになります。

このように、少ない資金から始められる可能性があるのはCFDの魅力です。

しかし、ここで非常に重要な注意点があります。

それは、取引に最低限必要な証拠金(これを「必要証拠金」と呼びます)ギリギリの金額だけを入金して取引を始めるのは、非常にリスクが高いということです。

なぜなら、もし取引開始後に価格が自分にとって不利な方向に動いた場合、証拠金が不足してしまう可能性があるからです。

証拠金が不足すると、「追証(おいしょう)」と呼ばれる追加の証拠金の入金を求められることがあります。

追証に対応できない場合、保有しているポジションが強制的に決済されてしまう(ロスカット)ことになり、意図しない損失を被る可能性があります。

したがって、CFD取引を行う際には、必要証拠金だけでなく、価格変動に耐えられるだけの十分な余裕を持った資金を口座に入れておくことが極めて重要です。

2.3 レバレッジとは何ですか?

レバレッジ(Leverage)とは、日本語で「てこの原理」を意味する言葉です。

CFD取引におけるレバレッジとは、預けた証拠金を担保にして、その証拠金の何倍もの金額の取引を可能にする仕組みのことを指します。

まさに、小さな力(証拠金)で大きなもの(取引金額)を動かす「てこ」のような働きをするため、このように呼ばれています。

例えば、あなたが10万円の証拠金を口座に入れたとします。

もしレバレッジを10倍に設定して取引する場合、最大で10万円 × 10倍 = 100万円分の取引を行うことが可能になります。

もしレバレッジを使わなければ、10万円の資金では10万円分の取引しかできません。

レバレッジを利用する最大のメリットは、資金効率を高められる点にあります。

少ない資金でも大きな取引ができるため、予想通りに価格が動いた場合には、より大きな利益を狙うことが可能になります。

しかし、レバレッジの効果は良い面だけではありません。

これは「諸刃の剣」であることを十分に理解しておく必要があります。

レバレッジは利益を増幅させる可能性がある一方で、損失も同様に増幅させてしまうのです。

先ほどの例で、10万円の証拠金で100万円分の取引をし、もし価格が予想と反対に10%動いた場合、損失は100万円の10%である10万円となり、預けた証拠金の全額を失う計算になります。

さらに、市場が急激に変動した場合などには、預けた証拠金の額を超える損失が発生する可能性すらあります。

このようなリスクがあるため、日本では金融商品取引法によって、投資家保護の観点からCFDの種類ごとにかけられる最大のレバレッジ倍率が規制されています。

例えば、一般的に株価指数CFDの場合は最大10倍、商品CFDの場合は最大20倍、個別株CFDの場合は最大5倍といった上限が設けられています。

(これらの倍率は変更される可能性もあるため、最新の情報は金融庁や証券会社のウェブサイトで確認してください。)

レバレッジはCFD取引の魅力的な側面ですが、そのリスクを正しく理解し、自分自身のリスク許容度に合わせて、低いレバレッジで取引を始めるなど、慎重に管理することが極めて重要です。

最大レバレッジが10倍だからといって、常に10倍で取引する必要は全くありません。

むしろ、初心者のうちは低い倍率から始めることを強くお勧めします。

3. 取引ツールと操作

CFD取引を実際に行うためには、証券会社が提供する専用のツール(プラットフォーム)を使用します。

ここでは、どのようなツールがあるのか、そして取引の練習ができるデモ取引について説明します。

3.1 どのような取引ツールがありますか?

CFD取引を行う際には、証券会社が提供する専用の取引ツール(取引プラットフォームとも呼ばれます)を利用します。

現在、多くの証券会社では、主にパソコンにインストールして使う高機能なダウンロード版ツールや、ウェブブラウザ上で利用できるツール、そしてスマートフォンやタブレット用のアプリを提供しています。

これにより、自宅のパソコンでじっくり分析することも、外出先からスマートフォンで手軽に取引することも可能です。

これらの取引ツールには、CFD取引をサポートするための様々な機能が搭載されています。

まず、取引したい銘柄の価格がリアルタイムでどのように動いているかを示すチャート(グラフ)を表示する機能があります。

チャートの形状や動きから将来の値動きを予測するテクニカル分析を行うために、移動平均線、MACD(マックディー)、RSIなど、多種多様なテクニカル指標をチャート上に表示させることができます。

また、実際に売買を行うための注文機能も充実しています。

現在の価格で即座に売買する「成行(なりゆき)注文」はもちろん、指定した価格になったら売買を行う「指値(さしね)注文」や「逆指値(ぎゃくさしね)注文」(ストップロス注文とも呼ばれます)、さらにはこれらを組み合わせたIFD注文、OCO注文といった特殊な注文方法も利用できるツールが多いです。

これにより、リスク管理や利益確定を自動化することも可能になります。

さらに、市場の動向を把握するために、最新の金融ニュースや経済指標の発表スケジュール(経済指標カレンダー)などを配信する機能を備えたツールもあります。

ただし、提供されているツールのデザイン、操作性、搭載されている機能の種類や詳細(例えば、利用できるテクニカル指標の数や描画ツールの種類など)は、証券会社によって異なります。

多機能であれば良いというわけではなく、自分にとって見やすく、直感的に操作できる、使いやすいツールを選ぶことが、ストレスなく取引を続ける上で大切です。

多くの証券会社では、これらの取引ツールを無料で提供しています。

口座を開設する前に、各社のウェブサイトでツールの特徴を確認したり、後述するデモ取引で実際に試してみたりすることをお勧めします。

3.2 デモ取引は可能ですか?

はい、CFD取引を提供している証券会社の多くが、「デモ取引」または「デモトレード」と呼ばれるサービスを提供しています。

デモ取引とは、実際の資金を使わずに、仮想の資金(バーチャルマネー)を使ってCFD取引を体験できる仕組みのことです。

多くの場合、本番の取引とほぼ同じような取引ツールや、リアルタイムに近い価格レートを使って、取引の練習を行うことができます。

デモ取引の最大のメリットは、実際のお金を失うリスクなしに、CFD取引の仕組みや取引ツールの操作方法を学べる点です。

例えば、チャートの見方、テクニカル指標の使い方、様々な注文方法(成行、指値、逆指値など)の発注や取消・変更といった基本的な操作を、安心して試すことができます。

また、自分なりに考えた取引戦略(例えば、「こういうチャートパターンが出たら買う」といったルール)が、実際の値動きの中で有効かどうかをテストしてみるのにも役立ちますね。

CFD取引はレバレッジがかかっているため、実際の取引では精神的なプレッシャーも伴います。

いきなり本番の取引を始める前に、まずはデモ取引で取引の流れやツールの操作に十分に慣れておくことを強くお勧めします。

デモ口座は、ほとんどの場合、無料で申し込んで利用することができます。

ただし、証券会社によっては、デモ取引を利用できる期間に制限(例えば、申込から1ヶ月間など)が設けられている場合や、利用できる仮想資金の額が決まっている場合がありますので、利用を開始する前に確認しておきましょう。

デモ取引は非常に有用な練習ツールですが、あくまで仮想の資金での取引であるため、実際の取引で感じるような緊張感やプレッシャーはありません。

デモ取引は仮想資金のため、実際の損失リスクを伴う本番取引とは心理的プレッシャーが全く異なります。

戦略のテストには有用ですが、本番では必ず少額から始め、感情的な取引を避けるよう注意が必要です。

4. 口座開設と管理

CFD取引を始めるには、まず証券会社に専用の取引口座を開設する必要があります。

ここでは、口座開設の手順と、口座を維持するための費用について説明します。

4.1 口座開設の方法は?

CFD取引口座の開設手続きは、現在、多くの証券会社でオンライン上で完結できるようになっています。

わざわざ店舗に出向いたり、書類を郵送したりする必要がない場合が多く、手軽に申し込むことができます。

一般的な手順は以下のようになります。

まず、口座を開設したい証券会社の公式ウェブサイトにアクセスします。

ウェブサイト上にある口座開設の申し込みページに進み、画面の指示に従って必要な情報を入力していきます。

入力する情報には、氏名、住所、生年月日、電話番号、メールアドレスといった基本的な個人情報に加えて、職業、年収、金融資産の状況、投資経験(株式投資やFX取引などの経験年数や内容)などが含まれます。

次に、本人確認書類の提出が必要です。

一般的には、運転免許証、マイナンバーカード(個人番号カード)、パスポート、健康保険証などが利用できます。

(利用可能な書類は証券会社によって異なります。)

最近では、スマートフォンで本人確認書類と自分の顔(容貌)を撮影して、オンラインでアップロードするだけで提出が完了する便利な方法(eKYCと呼ばれます)を採用している会社も増えています。

申し込み情報の入力と本人確認書類の提出が終わると、証券会社による審査が行われます。

この審査では、入力された情報や提出された書類に基づいて、口座開設の可否が判断されます。

特に、投資経験や金融資産の状況は、CFD取引のリスクを理解し、それに耐えうるかどうかを判断する上で重視されることがあります。

無事に審査に通ると、通常はメールや郵送で口座開設完了の通知が届きます。

同時に、取引システムにログインするためのIDやパスワードなどが通知されます。

その後、開設されたCFD取引口座に、取引に必要な証拠金を入金すれば、いよいよ取引を開始することができます。

手続き自体は比較的簡単に行えますが、特に投資経験や金融資産に関する質問には、正直に、正確に回答することが重要です。

これは、自分自身のリスク許容度に合った取引を行うため、そして証券会社が顧客の状況に適したサービスを提供するための大切な情報となるからです。

4.2 口座の維持費はかかりますか?

CFD取引口座を開設・維持するにあたって、費用がかかるのかどうかは気になるところでしょう。

結論から言うと、日本国内の多くの証券会社では、CFD口座の開設費用や、口座を維持するための年間手数料(口座維持費)は無料となっています。

つまり、口座を持っているだけでコストが発生するということは、通常はありません。

これは、これからCFD取引を始めようと考えている方にとっては、嬉しいポイントですね。

ただし、「口座維持費が無料=CFD取引に全くコストがかからない」というわけではない点には注意が必要です。

CFD取引を行う際には、取引そのものに関連するコストが発生します。

最も代表的なコストが「スプレッド」です。

スプレッドとは、同じ銘柄の売値(Bid)と買値(Ask)の価格差のことを指します。

投資家は買値で買い、売値で売るため、この差額が実質的な取引手数料のような形でコストとなります。

スプレッドは、取引する銘柄や市場の状況、利用する証券会社によって異なります。

また、買いポジションや売りポジションを翌日に持ち越す(オーバーナイトする)場合には、「オーバーナイト金利」や「金利調整額」、「ファンディングコスト」、「権利調整額」といった名称の調整額が発生することがあります。

これは、保有しているポジションに関連する金利差や配当、権利などを調整するためのもので、受け取れる場合もあれば、支払う必要がある場合もあります。

これらの取引コストは、取引の頻度や保有期間、取引量によって積み重なり、最終的な損益に影響を与えます。

したがって、口座維持費が無料であっても、スプレッドや各種調整額といった取引に伴うコストについては、利用する証券会社のウェブサイトなどで事前にしっかりと確認し、理解しておくことが重要です。

5. 税金と法的事項

CFD取引で利益が出た場合、税金についてもしっかりと理解しておく必要があります。

日本の税制におけるCFD取引の扱いや、確定申告の必要性について解説します。

5.1 CFD取引の税金はどうなりますか?

日本国内に居住する個人の方が、日本国内の金融商品取引業者(証券会社など)を通じて行ったCFD取引によって利益(所得)を得た場合、その利益は税金の課税対象となります。

個人の場合、CFD取引による利益は、原則として所得税法上の「雑所得(ざつしょとく)」に分類されます。

そして、その課税方式は「申告分離課税」が適用されます。

申告分離課税とは、給与所得や事業所得など、他の種類の所得とは合計せず、CFD取引の利益だけを分離して、それに対して所定の税率を掛けて税額を計算するという方式です。

適用される税率は、所得税(国税)が15%、復興特別所得税(所得税額の2.1%相当、つまり15% × 2.1% = 0.315%)が0.315%、そして住民税(地方税)が5%、これらを合計して一律20.315%となります。

この税率は、CFD取引で得た利益の金額の大きさに関わらず、一定です。(累進課税ではありません。)

また、税制上の大きなポイントとして、「損益通算(そんえきつうさん)」の制度があります。

CFD取引(申告分離課税の対象となるもの)で生じた損失は、同じく申告分離課税の対象となる他の特定の金融商品取引(例えば、FX取引や、日経225先物などの取引所先物取引)で得た利益と相殺することができます。

例えば、年間のCFD取引で100万円の利益が出たけれど、FX取引で30万円の損失が出ていた場合、利益100万円から損失30万円を差し引いた70万円に対して税金(20.315%)がかかる、という計算になります。

ただし、注意点として、株式の現物取引や投資信託の売却益(これらも申告分離課税ですが、CFDとは別のグループとして扱われます)や、給与所得、事業所得など(これらは総合課税の対象)とは、原則として損益通算することはできません。

つまり、CFD取引で損失が出たからといって、給与所得にかかる税金を減らすことはできない、ということです。

税金のルールは少し複雑に感じるかもしれませんが、CFD取引を行う上で非常に重要な知識ですので、しっかりと理解しておきましょう。

5.2 確定申告は必要ですか?

CFD取引で利益が出た場合、原則として、翌年に確定申告(かくていしんこく)を行い、納税する必要があります。

特に、会社にお勤めの方(給与所得者)の場合、給与所得や退職所得以外の所得(CFD取引による利益を含む雑所得など)の合計額が年間で20万円を超える場合には、確定申告を行わなければなりません。

給与は会社で年末調整が行われるため、普段は自分で確定申告をしていないという方も多いかもしれませんが、CFD取引で一定以上の利益が出た場合は、自身で申告手続きが必要になる点に注意してください。

また、専業主婦(夫)や学生の方など、他に所得がない(または少ない)方であっても、CFD取引による利益が、所得控除(基礎控除など)の合計額を超える場合には、確定申告が必要となります。

一方で、年間のCFD取引の損益がマイナス(損失)となった場合はどうでしょうか?

損失が出た場合は、納税の必要はありませんが、確定申告をすることによってメリットを受けられる場合があります。

それは、「損失の繰越控除(くりこしこうじょ)」という制度です。

CFD取引(申告分離課税の対象)で生じた損失は、確定申告を行うことによって、その損失額を翌年以降、最大3年間にわたって繰り越すことができます。

そして、繰り越した損失は、翌年以降にCFD取引や他の対象となるデリバティブ取引(FX、先物取引など)で利益が出た場合に、その利益から控除することができます。

例えば、今年CFDで50万円の損失を出し、確定申告で繰越の手続きをしたとします。

翌年、CFDで80万円の利益が出た場合、前年から繰り越した損失50万円を差し引いた30万円に対してのみ税金がかかる、という仕組みです。

この損失の繰越控除を利用するためには、損失が発生した年にも、必ず確定申告を行っておく必要があります。

損失が出たからといって何もしないと、この制度を利用できなくなってしまいます。

税金の計算や確定申告の手続きは、個々の状況によって異なる場合もあります。

もし不明な点や不安なことがある場合は、お住まいの地域を管轄する税務署に問い合わせるか、税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

6. リスクと注意点

CFD取引は魅力的な側面を持つ一方で、様々なリスクも伴います。

安全に取引を行うためには、これらのリスクを十分に理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。

ここでは、CFD取引の主なリスクと、投資家保護の仕組みである信託保全について解説します。

6.1 CFD取引のリスクは何ですか?

CFD取引には、利益を得るチャンスがある一方で、以下のような様々なリスクが存在することを認識しておく必要があります。

価格変動リスク: これは、あらゆる投資に共通する基本的なリスクです。

取引対象としている銘柄(株価指数、商品、株式など)の市場価格が、自分の予想とは反対の方向に変動した場合、損失が発生します。

市場価格は、経済情勢、金融政策、政治的な出来事、天候、需給バランスなど、様々な要因によって常に変動しています。

レバレッジリスク: CFDの大きな特徴であるレバレッジは、利益を増幅させる可能性がある一方で、損失も同様に増幅させます。

高いレバレッジをかけて取引している場合、わずかな価格変動でも大きな損失につながる可能性があります。

最悪の場合、預けた証拠金の額を超える損失が発生することもあります。

追証(おいしょう)・ロスカットリスク: 価格が不利な方向に動き、損失が拡大して口座の証拠金が一定の水準(証拠金維持率)を下回ると、追加の証拠金(追証)の入金を求められることがあります。

期限までに追証を入金できない場合や、さらに損失が拡大してロスカット水準に達した場合には、保有しているポジションが証券会社によって強制的に決済(ロスカット)されてしまいます。

ロスカットは、さらなる損失の拡大を防ぐための措置ですが、意図しないタイミングで損失が確定することになります。

カウンターパーティリスク: CFD取引は、多くの場合、投資家と証券会社との相対取引(あいたいとりひき)で行われます。

そのため、取引の相手方である証券会社が経営破綻してしまうリスクが理論上は存在します。

もし証券会社が破綻した場合、預けていた資産が全額返還されない可能性もゼロではありません。

(ただし、このリスクは後述する「信託保全」の仕組みによって、日本では大幅に軽減されています。)

流動性リスク: 市場の状況によっては、自分が希望する価格やタイミングで売買が成立しない可能性があります。

これは、市場の取引量が少ない(流動性が低い)銘柄や、市場が急激に変動している(相場急変時)場合などに起こりやすくなります。

希望通りに決済できないことで、予期せぬ損失を被る可能性があります。

システムリスク: 利用している証券会社の取引システムや、自身のパソコン、インターネット回線などに障害が発生し、一時的に取引ができなくなるリスクです。

重要な経済指標の発表時など、取引が集中する時間帯に発生する可能性も考えられます。

これらのリスクを完全にゼロにすることはできません。

しかし、リスクを十分に理解した上で、自分自身が許容できる範囲内で取引を行うことが極めて重要です。

具体的には、取引を始める前に「ここまで価格が下がったら損切り(決済)する」というルール(損切りライン)を明確に決めておくこと、一度に大きなポジションを持たないこと、レバレッジを低めに抑えること、余裕を持った資金で取引することなどが、有効なリスク管理策となります。

主なCFDリスクとその対策

リスクの種類 (Risk Type)説明 (Description)主な対策 (Mitigation Strategy)
価格変動リスク (Market Risk)市場価格が不利な方向に動くことによる損失リスク。損切りルールの設定・徹底、分散投資(異なる資産クラスへの投資)、市場動向の分析。
レバレッジリスク (Leverage Risk)レバレッジにより損失が拡大するリスク。証拠金以上の損失可能性。低レバレッジでの取引(特に初心者の場合)、実効レバレッジ(総取引額÷口座資産)の管理、リスク許容度に合わせた取引量調整。
追証・ロスカットリスク (Margin Risk)証拠金不足による追加入金要求、または強制決済リスク。十分な余裕資金の入金(必要証拠金だけでなく)、証拠金維持率の定期的な監視、低レバレッジ運用。
カウンターパーティリスク (Counterparty Risk)取引相手(証券会社)の破綻リスク。信頼性・財務健全性の高い証券会社の選定、信託保全が適切に行われているかの確認(次項参照)。
流動性リスク (Liquidity Risk)希望価格で売買できないリスク。市場急変時やマイナー銘柄で発生しやすい。主要な流動性の高い銘柄(例:主要株価指数、主要通貨ペア)を中心に取引、成行注文だけでなく指値注文の活用、市場が閑散とする時間帯(早朝など)の取引を避ける。
システムリスク (System Risk)取引システム障害による取引不能リスク。複数のデバイス(PC、スマホ)でアクセスできるようにしておく、重要な経済指標発表時などの取引集中時間帯を避ける、証券会社のシステム安定性に関する情報を確認。

この表は、リスクとその対策を簡潔にまとめたものです。

CFD取引を始める前に、これらのリスクと対策をしっかりと頭に入れておきましょう。

6.2 信託保全とは何ですか?

信託保全(しんたくほぜん)とは、CFD取引やFX取引を行う投資家の資産を保護するための、非常に重要な仕組みです。

これは、証券会社が、顧客である私たち投資家から預かった証拠金などの資金を、証券会社自身の会社の財産とは明確に区別して管理する方法を指します。

具体的には、証券会社は顧客から預かった資金を、信託銀行などの第三者の金融機関に信託(預けて管理を委託すること)します。

この信託保全の仕組みがあることによって、万が一、取引先の証券会社が経営破綻してしまった場合でも、信託銀行などに保全されている顧客の資産は守られることになります。

つまり、破綻した証券会社の借金返済などに、顧客から預かった資産が充てられることは原則としてありません。

※信託保全は証拠金として預け入れた資金を保護する制度です。ただし、取引により発生した損失は信託保全の対象外であり、投資家の自己責任で負担する必要があります。

日本の金融商品取引法では、FX業者やCFD取扱業者に対して、顧客から預かった証拠金等の全額について、信託保全を行うことが義務付けられています。

これにより、カウンターパーティリスク(証券会社の破綻リスク)は大幅に低減されており、投資家はより安心して取引を行うことができます。

CFD取引の口座を開設する際には、念のため、その証券会社が金融商品取引法に基づき、適切に信託保全の措置を講じているかどうかをウェブサイトなどで確認しておくと、より安心でしょう。

ただし、ここで非常に重要な注意点があります。

信託保全は、あくまで証券会社が破綻した場合に、預けた資産を守るための仕組みです。

したがって、あなた自身の取引によって発生した損失(例えば、価格変動によって生じた損失)を補填してくれるものでは全くありません。

「信託保全があるから、どんな取引をしても大丈夫」と考えるのは大きな誤解です。

取引に伴うリスクは、すべて投資家自身が負うものであることを、決して忘れないでください。

まとめ

ここまで、CFDに関する初心者の皆さんが抱きやすい疑問点について、基本的な概念から取引の仕組み、税金、そしてリスクに至るまで、幅広く解説してきました。

CFDは、少ない資金からでも、国内外の株価指数、商品、個別株など、非常に多様な資産に投資できる可能性がある、魅力的な金融商品の一つです。

レバレッジをうまく活用すれば、資金効率を高めて大きなリターンを狙うことも可能でしょう。

しかしその一方で、レバレッジは損失を大きく拡大させてしまうリスクも併せ持っていることを、常に心に留めておく必要があります。

CFD取引を安全に、そして賢く活用するためには、まず、今回解説したような取引時間、証拠金の仕組み、税金のルール、そして様々なリスクの種類といった、基本的な知識をしっかりと理解することが何よりも大切です。

多くの証券会社が提供しているデモ取引を活用して、実際の取引を始める前に、ツールの操作や取引の流れに十分に慣れておくことを強くお勧めします。

そして、実際の取引を始める際には、必ず損切りルールなどのリスク管理策を徹底し、失っても生活に支障が出ない範囲の余裕を持った資金で行うようにしてください。

この記事が、あなたのCFD取引に対する理解を深め、より良い投資判断を行うための一助となれば幸いです。

CFD取引を実際に始めてみたいと考えた場合、次に重要になるのは、信頼できる証券会社を選ぶことです。

各社それぞれ特徴がありますが、特に初心者の方にとっては、取引ツールが分かりやすく、サポート体制が充実しており、そしてもちろん、信託保全もしっかりと行われている証券会社を選ぶことが大切です。

例えば、[推奨証券会社名A]やなどは、初心者向けのサポートや情報提供に力を入れており、多くの投資家に利用されています。

それぞれの会社のウェブサイトで、サービス内容やツールの使い勝手などを比較検討してみてはいかがでしょうか。

鬼河原

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

ミニCFD GMOクリック証券

※CFD:差金決済取引

この記事を書いた人

塚越ヒロのアバター 塚越ヒロ デジタルテレワーカー

IT企業勤務の投資家。        
このブログでは、CFD(差金決済取引)を中心に、株式投資で得た知識や体験を発信します。
【株式投資歴2年】ミニCFDで資産形成中。   
【ミニCFDの魅力】少額で投資の勉強ができる。 
 ミニCFD(数百円)から実力をつけて、CFDにステップアップ。           

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