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初心者向け【CFDの価格調整額とは?】仕組みと計算方法を完全解説

「CFDの価格調整額って、結局プラスなの?マイナスなの?」「知らないうちに損してないかな…」そんな疑問や不安を抱えていませんか。

この記事を読めば、価格調整額の仕組み、計算方法、有利不利の条件が完全に理解できます。

かつて私も調整額に戸惑いましたが、仕組みを知ることで無駄なコストを避けられるようになりました。

あなたもこの知識で、自信を持ってCFD取引に臨み、より賢く資産運用できるようになります。

目次

1. CFD価格調整額とは

CFDの価格調整額とは、主に先物(さきもの)を参照するCFDで発生する調整金のことです。
先物には期限があり、その期限を乗り換える(限月交代:げんげつこうたい)時に生じる価格差を調整するためにあります。
これは、金利や配当による調整額とは異なるものです。

1.1 価格調整額の定義と役割

CFD 価格調整額とは、CFD取引で発生する調整金の一種です。

特に、日経225や原油といった「先物(さきもの)」を元の資産(原資産:げんしさん)としているCFDに関連します。

先物取引には「限月(げんげつ)」と呼ばれる取引期限があります。

CFDでは、この期限が来る前に、参照する先物を新しい期限のものに乗り換える作業が行われます。

これを「限月交代(げんげつこうたい)」と言います。

古い先物と新しい先物では、価格が違うことが普通です。

限月交代によって、持っているCFDのポジション(建玉:たてぎょく)の評価額が、市場が動いていないのに変わってしまうことがあります。

価格調整額の主な役割は、この限月交代による評価額の変動を打ち消す(相殺する)ことです。

つまり、価格調整額は、先物の乗り換えによる損益を調整し、トレーダーが不意な損益を受けないようにするための仕組みなのです。

証券会社が定めた特定の日の取引終了時にポジションを持っていると、この価格調整額が発生します。

この仕組みのおかげで、CFDトレーダーは、原資産である先物の限月を気にすることなく、継続的に取引ができるようになっています。

価格調整額は、CFDがスムーズに機能するための重要な要素と言えるでしょう。

「先物」とか「限月交代」とか、ちょっと難しい言葉が出てきたけど、要はCFDの参照するものが切り替わる時の価格差を調整するお金ってことかな。

そうそう、その理解で大丈夫よ。先物には期限があるから、CFDで取引し続けるためには、定期的に新しいものに乗り換える必要があるの。その時の価格差をゼロにするのが価格調整額の役割ね。

その通りだ。価格調整額の本質は、限月交代というCFD特有の仕組みによって生じる、実態のない損益を調整することにある。これがあるからこそ、市場の本来の動きに集中できるんだ。

1.2 金利・配当調整額との違い

CFD取引では、「価格調整額」の他にも、いくつかの調整額が発生することがあります。

主なものに「金利調整額(きんりちょうせいがく)」「権利調整額(けんりちょうせいがく)/配当調整額(はいとうちょうせいがく)」があります。

これらは価格調整額とは発生する理由や対象となる銘柄が異なります。

価格調整額は、これまで説明した通り、先物を原資産とするCFD(株価指数、商品先物など)で、限月交代の際に発生します。

金利調整額は、ポジションを翌営業日に持ち越した(ロールオーバーした)場合に発生する調整額です。

お金の貸し借りにかかる金利のようなもので、主に金スポット・銀スポットのような現物を参照するCFDや、株式CFD、株価指数CFDなどで発生します。

オーバーナイト金利やファンディングコストと呼ばれることもあります。

権利調整額(配当調整額)は、株式やETF(上場投資信託)を原資産とするCFDで発生します。

元の株式で配当金の支払いがあった場合や、株式分割などのコーポレートアクションがあった場合に、CFDの保有者にもその権利相当額を調整するものです。

一般的に、買いポジションなら受け取り、売りポジションなら支払いとなります。

このように、CFDで発生する調整額は複数あり、取引する銘柄の種類によって、どの調整額が発生するかが決まります。

また、調整額の名称や細かいルールは、証券会社によって異なる場合がある点にも注意が必要です。

例えば、ある証券会社では価格調整額がない代わりに金利調整額で調整していたり、逆に価格調整額はあるけれど金利調整額がない、という場合もあります。

取引を始める前には、利用する証券会社のルールをしっかり確認しましょう。

CFD初心者(23歳):なるほど、調整額って一種類じゃないんですね。「価格調整額」は先物、「金利調整額」は持ち越し、「権利調整額」は株の配当、って覚えました。

先輩女性(26歳):うん、大体そんな感じね。自分が取引したいCFDがどれに当てはまるか、どの調整額が発生するのかを最初にチェックするのが大切よ。

ベテラン男性(40歳):そうだ。重要なのは、調整額の種類はCFDの原資産によって決まるということだ。これを理解すれば、予期せぬコストに驚くことも減るだろう。証券会社ごとの違いも必ず確認することだ。

なるほど、調整額って一種類じゃないんですね。「価格調整額」は先物、「金利調整額」は持ち越し、「権利調整額」は株の配当、って覚えました。

うん、大体そんな感じね。自分が取引したいCFDがどれに当てはまるか、どの調整額が発生するのかを最初にチェックするのが大切よ。

そうだ。重要なのは、調整額の種類はCFDの原資産によって決まるということだ。これを理解すれば、予期せぬコストに驚くことも減るだろう。証券会社ごとの違いも必ず確認することだ。

2. 価格調整額が発生する仕組み

価格調整額は、CFDの元になっている先物(原資産先物)の取引期限(限月)が切り替わる「限月交代」の際に発生します。
古い期限の先物(期近)と新しい期限の先物(期先)には通常価格差があり、この差を埋めるために調整が行われます。
発生するタイミングは証券会社が決めた特定の日(価格調整日)で、受け取るか支払うかは、期近と期先の価格関係と、自分のポジション(買いか売りか)によって決まります。

2.1 原資産先物の限月交代とスプレッド

価格調整額が発生する根本的な理由は、「先物(さきもの)」の仕組みと「限月交代(げんげつこうたい)」にあります。

まず「先物」とは、将来の決められた日(限月)に、特定の商品(例えば原油や日経平均株価指数など)を、現時点で決められた価格で売買することを約束する取引です。

先物には必ず取引期限である「限月」があります。

一方、多くのCFD取引では、投資家が期限を気にせず継続して取引できるように、特定の満期日が設けられていません。

しかし、CFDの価格は、元となる先物市場の価格を参照して決まります。

そのため、参照している先物の限月が満期を迎える前に、CFDブローカーは、より期先の(期限が遠い)新しい限月の先物に参照を切り替える必要があります。

これが「限月交代」です。

ここで問題になるのが、通常、期近(きぢか:期限が近い)の先物価格と、期先(きさき:期限が遠い)の先物価格は異なるという点です。

この価格差は、金利、保管コスト(商品の場合)、配当予想(株価指数)、将来の需給予測など、様々な要因によって生じます。

限月交代によって参照する先物価格が変わると、CFDの価格もそれに連動して変動します。

もし調整がなければ、市場の実態とは関係なく、トレーダーのポジションに突然、評価益や評価損が発生してしまいます。

CFD 価格調整額は、この限月交代に伴う価格差(期近と期先の価格の差、これを限月間スプレッドと呼ぶこともあります)に基づいて計算され、その評価損益を相殺するために使われます。

これにより、トレーダーは限月交代の影響を受けずに、市場の本来の値動きに基づいた損益を得ることができるのです。

限月交代っていう乗り換えがあるから価格調整額が必要なんですね。古い先物と新しい先物の値段が違うから、その差を調整する、と。

その通りよ。CFDが満期なしで取引できるのは、裏でこの限月交代と価格調整が行われているおかげなの。価格差のことは「スプレッド」って言うけど、ここでは買値と売値の差じゃなくて、限月間の価格差を指しているわね。

理解が深まったな。ポイントは、価格調整額は先物市場の構造(限月と価格差)と、CFDの利便性(満期なし)を繋ぐための必然的な仕組みであるということだ

2.2 発生タイミング(権利付き最終日・受渡日)

CFD 価格調整額は、いつでも発生するわけではありません。

証券会社が事前に定めた「価格調整日(かかくちょうせいび)」の取引終了時点で、対象となるCFDのポジション(建玉)を保有している場合に発生します。

この価格調整日は、通常、元の資産である先物の実際の満期日(最終取引日)よりも前に設定されています。

具体的な日付は、取引するCFD銘柄(例えば、日本225、WTI原油など)ごとに異なります

証券会社は、ウェブサイトのお知らせや取引ツール内のカレンダー、銘柄情報などで、事前に価格調整日を告知しています。

取引をする際には、これらの情報を必ず確認するようにしましょう。

価格調整額は、価格調整日の取引終了後、通常はシステムメンテナンスの時間帯などに、口座の評価額や証拠金に反映されます。

注意点として、一部の証券会社では、価格調整日に価格水準が大きく変動することによる意図しない約定を防ぐため、その銘柄の未約定の指値注文や逆指値注文(ストップロス注文など)を全て取り消す場合があります。

もし注文が取り消された場合は、価格調整が行われた翌営業日の取引開始後に、必要であれば再度注文を出す必要があります。

これは、限月交代による価格変動で、思わぬ損失や利益確定が起こるのを防ぐための措置ですが、トレーダーにとっては注意が必要な点です。

じゃあ、価格調整日の取引終了時間までにポジションを決済すれば、価格調整額は発生しないってことですか?

その通りよ。価格調整額の影響を受けたくない場合は、価格調整日の取引が終わる前にポジションを閉じれば大丈夫。ただ、その銘柄の注文が取り消されることがあるのは覚えておいてね。

重要なのは、価格調整額は予測可能なイベントであるということだ。事前に日程が分かるので、ポジションを持ち越すか、決済するかを計画的に判断できる。注文取消のルールも、利用する証券会社ごとに確認しておくべきだ。

2.3 ポジティブ/ネガティブ調整額の決まり方

価格調整額は、受け取る場合(プラス調整額、ポジティブ)と、支払う場合(マイナス調整額、ネガティブ)があります。

どちらになるかは、2つの要因によって決まります。

一つは、「期近(きぢか:古い期限の先物)」と「期先(きさき:新しい期限の先物)」の価格関係です。

もう一つは、あなたが「買い(ロング)ポジション」を持っているか、「売り(ショート)ポジション」を持っているかです。

具体的には、以下のようになります。

パターン1:新しい先物(期先)の価格が古い先物(期近)より高い場合(期先 > 期近)

この状態を市場用語で「コンタンゴ」と言うことがあります。

  • 買いポジションの場合: 限月交代でCFD価格が上昇するため、その利益分を調整するために支払い(マイナス調整額)となります。
  • 売りポジションの場合: 限月交代でCFD価格が上昇するため、その損失分を調整するために受け取り(プラス調整額)となります。

パターン2:新しい先物(期先)の価格が古い先物(期近)より安い場合(期近 > 期先)

この状態を市場用語で「バックワーデーション」と言うことがあります。

  • 買いポジションの場合: 限月交代でCFD価格が下落するため、その損失分を調整するために受け取り(プラス調整額)となります。
  • 売りポジションの場合: 限月交代でCFD価格が下落するため、その利益分を調整するために支払い(マイナス調整額)となります。

このように、価格調整額の受け払いは、常に限月交代による価格変動の影響を打ち消す(相殺する)方向に働きます。

トレーダーが、純粋な市場の動き以外の要因で損益を受けないようにするための、公平な仕組みと言えるでしょう。

なるほど!期先の価格が高いか安いか、そして自分が買いか売りかで、受け取るか支払うかが決まるんですね。これでスッキリしました。

そうなの。コンタンゴとかバックワーデーションっていう言葉も覚えておくと、市場の状況から価格調整額がプラスになりそうか、マイナスになりそうか、少し予想できるようになるかもしれないわね。

核心は、価格調整額のプラス・マイナスは、ポジションと市場状況(先物価格の期近と期先の関係)によって機械的に決まるということだ。有利不利ではなく、あくまで価格差の調整なのだと理解することが肝心だ。

3. 価格調整額の計算方法

価格調整額は、基本的に「古い先物(期近)と新しい先物(期先)の価格差」に「ポジションの大きさ」を掛けて計算されます。
ただし、具体的な計算式や参照する価格は証券会社によって少し異なります。
株価指数CFD、商品CFD(先物ベース)、個別株CFD(通常は発生しない)で扱いが違う点も注意が必要です。
GMOクリック証券やIG証券などの具体的な例も見ていきましょう。

3.1 基本計算式とパラメータ

CFD 価格調整額がどのように計算されるのか、基本的な考え方を見てみましょう。

非常にシンプルに言うと、価格調整額は以下の要素で決まります。

価格調整額 ≈ (期近の先物価格 – 期先の先物価格) × ポジションサイズ × 契約ごとの単位(倍率など)

計算に使われる主なパラメータ(要素)は以下の通りです。

  • 期近価格(きぢかかかく): 参照していた古い方の先物限月の価格。
  • 期先価格(きさきかかく): 新しく参照する先物限月の価格。
  • ポジションサイズ(保有数量/ロット数): あなたが持っているCFDの契約数やロット数。
  • 契約ごとの単位(取引単位/倍率): 1つのCFD契約が、元の資産のどれだけの量を表すか(例:日経225 CFD 1枚が指数価格の100円分など)。

重要なのは、実際に適用される計算式や、どの時点の先物価格(例えば終値など)を参照するかは、証券会社によって異なる場合があるということです。

多くの証券会社では、価格調整日の前に、1単位あたり(例えば1ロットあたり)の価格調整額を事前に計算し、ウェブサイトや取引ツールで告知しています。

そのため、自分で複雑な計算をする必要はあまりありません。

告知された1単位あたりの調整額に、自分の保有数量を掛ければ、受け取る、または支払う合計額が分かります。

また、計算結果に端数が出た場合の丸め方(四捨五入、切り捨て、切り上げなど)も証券会社によってルールが異なります

例えば、GMOクリック証券では、プラスの場合は1円未満切り捨て、マイナスの場合は1円未満切り上げ、といったルールがあります。

(1) 株価指数CFDの場合

日経平均株価(日本225)やアメリカのダウ平均株価(米国D30)、S&P500(米国S500)、ナスダック100(米国NQ100)といった主要な株価指数のCFDは、多くの場合、その指数の先物取引を原資産としています。

そのため、これらのCFDでは価格調整額が発生します。

計算の基本は、上で述べた通り、参照する期近の指数先物価格と期先の指数先物価格の差に基づきます。

例えば、計算式のイメージとしては以下のようになります(実際の計算は証券会社のルールに従います)。

1ロットあたりの価格調整額 = (期近の指数先物終値 – 期先の指数先物終値) × 契約ごとの倍率

証券会社が事前に告知する調整額を確認するのが最も確実です。

(2) 商品CFD(原油・金など)の場合

WTI原油、天然ガス、とうもろこし、大豆といった商品(コモディティ)のCFDも、その多くが先物取引を原資産としています。

したがって、これらの商品CFDでも価格調整額が発生します。

計算原理は株価指数CFDと同じで、関連する商品先物の期近価格と期先価格の差に基づいて調整額が算出されます。

ただし、商品CFDの中でも注意が必要なのは、金(ゴールド)や銀(シルバー)の「スポット」取引を参照するCFDです。

「スポット」とは、基本的に即時決済に近い取引形態を指します。

金スポットCFDや銀スポットCFDは、通常、先物ベースではないため、価格調整額は発生しません

その代わり、ポジションを翌日に持ち越した場合に金利調整額が発生することが一般的です。

取引する商品CFDが「先物」ベースなのか「スポット」ベースなのかを確認することが大切です。

(3) 個別株CFDの場合

トヨタ自動車やソニーグループといった個別の企業の株式を原資産とするCFDについては、通常、価格調整額は発生しません

なぜなら、これらのCFDは、多くの場合、実際の株式(現物株)の価格を参照しており、先物のような限月交代がないためです。

個別株CFDで主に発生する調整額は、ポジションを翌日に持ち越した場合の金利調整額と、その企業が配当金を出した場合などに発生する権利調整額(配当調整額)です。

まれに、個別株の「先物」を原資産とするCFDが存在する可能性もゼロではありませんが、一般的な個人投資家向けの個別株CFDでは、価格調整額を気にする必要はほとんどないでしょう。

計算式自体は難しくなさそうだけど、結局は証券会社が出してくれる金額を見ればいいんですね。株価指数と商品(先物)は価格調整額あり、金スポットや個別株は基本なし、って覚えました!

その理解でバッチリよ!特に商品CFDは「先物」なのか「スポット」なのか、名前をよく見て確認するのがポイントね。あとは、証券会社のお知らせをちゃんとチェックする習慣をつけることね。

そうだ。計算の仕組みを理解しておくことは重要だが、実務上は証券会社が提供する情報を正確に把握することが最も大切だ。そして、CFDの種類によって適用される調整額が根本的に異なる点をしっかり区別すること。これが混乱を避ける鍵だ。

3.2 GMOクリック証券の計算例

国内の主要なCFDブローカーの一つであるGMOクリック証券を例に見てみましょう。

GMOクリック証券では、日本225(日経平均)、米国S500、WTI原油など、先物を原資産とするCFD銘柄で価格調整額が発生します。

計算方法ですが、トレーダー自身が先物価格を調べて計算する必要はありません。

GMOクリック証券は、価格調整日の前に、対象となる各銘柄の1ロット(取引単位)あたりの価格調整額(円建て)を算出し、ウェブサイトや取引ツール(PC会員ページやスマホアプリ)で告知しています。

例えば、PC会員ページのトップページのお知らせ欄や、CFD取引画面のインフォメーション、各銘柄の詳細情報(infoボタン)などで確認できます。

実際に受け取る、または支払う合計額は、以下のようになります。

合計の価格調整額 = (GMOクリック証券が告知した1ロットあたりの価格調整額) × (保有しているロット数)

例えば、日本225を10ロット保有していて、告知された価格調整額が1ロットあたり「買い:+50円 / 売り:-50円」だった場合、買いポジションなら500円を受け取り、売りポジションなら500円を支払うことになります。

また、GMOクリック証券では、計算結果の1円未満の端数処理にルールがあります。

  • 受け取り(プラス)の場合:1円未満は切り捨て
  • 支払い(マイナス)の場合:1円未満は切り上げ(絶対値としては少し減る方向)。

このように、GMOクリック証券では価格調整額に関する情報が事前に分かりやすく提供されているため、初心者の方でも確認しやすいでしょう。

GMOクリック証券なら、事前に金額を教えてくれるんですね!それなら安心です。計算式とにらめっこしなくていいのは助かります。

そうなのよ。大手はこういう情報提供がしっかりしていることが多いわね。スマホアプリでも簡単に見られるから、取引前にサッと確認する癖をつけるといいわよ。

うむ。重要なのは、GMOクリック証券のようなブローカーが提供する情報を活用し、事前に調整額の影響を把握することだ。特に端数処理ルールは細かい点だが、正確な損益管理のためには知っておくと良いだろう。

3.3 IG証券の計算例

世界的に展開している大手CFDブローカーであるIG証券も、日本でサービスを提供しています。

IG証券でも、もちろんCFD取引には調整額が発生します。

先物を原資産とする株価指数CFDや商品CFDでは、GMOクリック証券と同様に、限月交代に伴う価格差を調整するための仕組みが存在します。

ただし、IG証券のような国際的なブローカーの場合、調整額の名称や計算方法、表示方法が日本のブローカーと異なる可能性があります。

例えば、「価格調整額」という名称ではなく、「オーバーナイト・ファンディング(Overnight Funding)」や「金利調整額」といった項目の中に、先物の限月交代に伴う調整分が含まれている場合もあります。

計算の基本原理(期近と期先の価格差を反映する)は同じはずですが、具体的な計算式や参照する市場データ、適用タイミングなどは、IG証券独自のルールに基づきます。

したがって、IG証券で取引する場合、必ずIG証券の公式ウェブサイトにある取引要綱、契約仕様、ヘルプセクションなどを参照し、利用するCFD銘柄の調整額(ファンディングコストなど)に関するルールを正確に確認する必要があります。

プラットフォーム上で表示される情報を確認することも重要です。

ブローカーによってルールが異なる可能性があるため、「価格調整額」という言葉だけに頼らず、実質的に限月交代の調整がどのように行われているかを理解しようとすることが大切です。

IG証券だと、名前が違うかもしれないんですね。「オーバーナイト・ファンディング」とか、ちょっとカッコいいけど、意味は同じようなものなのかな?

そうね、実質的な意味合いは限月交代の調整を含むことが多いけど、金利分なども合算されている場合があるから、内訳をしっかり確認する必要があるわ。マニュアルを読むのが一番確実ね。

その通り。重要な教訓は、CFDブローカーが異なれば、調整額の名称や計算・表示方法も異なる可能性があるということだ。特に海外系のブローカーを利用する場合は、その会社のルールを徹底的に確認することが不可欠となる。

4. ロング/ショート別の受払いパターン

価格調整額を受け取るか支払うかは、あなたが「買い(ロング)」ポジションを持っているか、「売り(ショート)」ポジションを持っているか、そして市場の状況(期近と期先の価格関係)によって決まります。
買いポジションでプラスになるのは、期近価格が期先価格より高い「バックワーデーション」の時です。
売りポジションでプラスになるのは、期先価格が期近価格より高い「コンタンゴ」の時です。

4.1 買いポジションでプラスになる条件

あなたがCFDで「買い(ロング)」ポジションを持っている場合に、価格調整額を受け取る(プラスになる)のは、どういう状況でしょうか。

それは、参照している古い方の先物(期近:きぢか)の価格が、新しく参照する先物(期先:きさき)の価格よりも高い場合です。

期近価格 > 期先価格

この市場の状態を「バックワーデーション」と呼びます。

なぜこの場合に買いポジションで受け取りになるかというと、限月交代によってCFDの参照価格が安い方の期先価格に切り替わるため、あなたの買いポジションの評価額が見かけ上、下がってしまうからです。

その見かけ上の損失を補填するために、価格調整額がプラス(受け取り)として付与されるのです。

したがって、もしあなたが取引している銘柄の市場がバックワーデーションの状態にある時に価格調整日を迎えると、買いポジションを持っていることで価格調整額を受け取ることができます。

買いポジションでプラスになるのは、古い先物の方が高い時… バックワーデーションの時、ってことですね!

そうよ!覚えやすいでしょ?価格が下がっちゃう分を調整で補ってもらえるイメージね。

その通りだ。買いポジション保有者が価格調整額を受け取るのは、市場がバックワーデーション(期近>期先)の状況下のみである。この関係を理解しておくことが重要だ。

4.2 売りポジションでプラスになる条件

では逆に、あなたがCFDで「売り(ショート)」ポジションを持っている場合に、価格調整額を受け取る(プラスになる)のは、どういう状況でしょうか。

それは、新しく参照する先物(期先:きさき)の価格が、参照していた古い方の先物(期近:きぢか)の価格よりも高い場合です。

期先価格 > 期近価格

この市場の状態を「コンタンゴ」と呼びます。

なぜこの場合に売りポジションで受け取りになるかというと、限月交代によってCFDの参照価格が高い方の期先価格に切り替わるため、あなたの売りポジションの評価額が見かけ上、不利(評価損が増える方向)になってしまうからです。

その見かけ上の不利を補填するために、価格調整額がプラス(受け取り)として付与されるのです。

したがって、もしあなたが取引している銘柄の市場がコンタンゴの状態にある時に価格調整日を迎えると、売りポジションを持っていることで価格調整額を受け取ることができます。

売りポジションでプラスになるのは、新しい先物の方が高い時… コンタンゴの時、ですね!買いの時と逆なんだ。

そうなの。仕組みが分かれば簡単でしょ?売り方は価格が上がるのが嫌だから、上がっちゃう分を調整で補ってもらう感じね。

的確な理解だ。売りポジション保有者が価格調整額を受け取るのは、市場がコンタンゴ(期先>期近)の状況下のみである。買いと売りでは受け払い条件が正反対になることを、しっかり覚えておくことだ。

5. 価格調整額が大きくなりやすい銘柄

価格調整額の大きさは、銘柄によって傾向があります。
特に、主要な株価指数CFDや、価格変動が大きいエネルギーなどの商品CFDでは、調整額が比較的大きくなることがあります。
これは、元の資産である先物の期近と期先の価格差(スプレッド)が広がりやすいためです。
ただし、個別株CFDでは通常、価格調整額は発生しません。

5.1 株価指数CFD(米国・欧州・日本)

日経平均(日本225)、NYダウ(米国D30)、S&P500(米国S500)、ナスダック100(米国NQ100)、ドイツDAX(ドイツ40)といった、日米欧の主要な株価指数のCFDは、多くが先物を原資産としているため、価格調整額が発生します。

これらの指数CFDの価格調整額の大きさは、その時々の市場環境によって変動します。

価格調整額の大きさは、元の指数先物の期近限月と期先限月の価格差によって決まります。

この価格差は、市場参加者の将来の金利予想や、指数構成銘柄の配当予想、市場全体のセンチメント(雰囲気)などによって影響を受けます。

例えば、将来の金利上昇が強く意識されている局面や、配当が多く予想される時期などには、期近と期先の価格差が広がり、結果として価格調整額が大きくなる可能性があります。

特に、指数の絶対的な価格水準が高い銘柄(例えばNYダウなど)は、価格差の絶対額も大きくなりやすく、それに伴い価格調整額も大きくなる傾向が見られるかもしれません。

しかし、これらの主要指数は取引が非常に活発で流動性が高いため、通常、価格調整額の情報はブローカーから事前に分かりやすく提供されます。

日経平均とかNYダウみたいな有名な指数でも、価格調整額って結構変わるんですね。金利とか配当が関係してるんだ。

そうなのよ。先物価格には、将来の予想が織り込まれているからね。だから、その予想が変わると価格差も変わって、調整額も変動するの。

うむ。株価指数CFDの価格調整額は、主に金利と配当期待によって形成される先物価格の期間構造(タームストラクチャー)を反映している。市場の状況次第で調整額は変動するため、継続的なチェックが必要だ。

5.2 商品CFD(エネルギー・農産物・金属)

原油(WTI原油など)、天然ガス、とうもろこし、大豆、銅といった商品(コモディティ)のCFDも、その多くが先物を原資産としているため、価格調整額が発生します。

商品CFD、特に原油や天然ガスなどのエネルギー関連は、価格調整額が比較的大きくなりやすい傾向があると言われます。

その理由は、エネルギー商品は、季節性(暖房需要期など)、地政学的リスク(紛争など)、在庫水準、保管コストといった様々な要因で、需給バランスが大きく変動しやすいからです。

これにより、先物市場で期近と期先の価格差が極端に開いたり(強いコンタンゴやバックワーデーション)、その状況が急に変化したりすることがあります。

価格差が大きければ、当然、価格調整額も大きくなります。

とうもろこしや大豆などの農産物も、天候不順や作柄によって需給が大きく変動し、先物価格の差が広がり、価格調整額が大きくなることがあります。

ただし、繰り返しになりますが、金(ゴールド)や銀(シルバー)の「スポット」CFDは、通常、価格調整額の対象外です。

商品CFDを取引する際は、それが先物ベースかスポットベースかを確認し、先物ベースであれば価格調整額の動向に特に注意を払う必要があるでしょう。

原油とか天然ガスは、ニュースでもよく価格が動いてるイメージありますもんね。それが価格調整額にも影響するんだ。

そうなの。商品の価格は、需要と供給のバランスがすごく影響するからね。それが先物の期近と期先の価格差にも現れて、調整額の大きさにつながるのよ。

的確な指摘だ。商品CFD、特にエネルギー関連は、現物需給や保管コストの影響を受けやすく、先物価格の期間構造が大きく変動しやすい。その結果、価格調整額も他の資産クラスに比べて大きくなる傾向があるため、特に注意が必要だ。

5.3 ボラティリティが高い個別株CFD

まず大前提として、ほとんどの個別株CFDは、現物の株式を原資産としているため、価格調整額は発生しません

個別株CFDで考慮すべき主な調整額は、金利調整額権利調整額(配当調整額)です。

したがって、「ボラティリティ(価格変動率)が高い個別株CFD」であっても、通常は価格調整額の心配は不要です。

仮に、非常に特殊なケースとして、個別株の「先物」を原資産とするCFDが存在したとすれば、そのCFDには価格調整額が発生するでしょう。

その場合、元の株のボラティリティが高いことが、間接的に先物の価格差(ひいては価格調整額)に影響を与える可能性は考えられます。

しかし、これは一般的な個人投資家が触れる機会はほとんどないと思われます。

結論として、個別株CFDを取引する際には、価格調整額ではなく、金利調整額と権利調整額に注意を払うようにしましょう。

なるほど、個別株のCFDは、いくら値動きが激しくても、普通は価格調整額は関係ないんですね。これで安心しました。

そうなの。個別株CFDで気にするのは、株を持ち越した時の金利コストと、配当金が出た時の調整ね。価格調整額とは別の話よ。

その通り。重要なのは、価格調整額が発生するのはあくまで「先物」を原資産とするCFDであるという原則を理解することだ。個別株CFDの主な調整要因は金利と配当であり、価格調整額とは明確に区別する必要がある。

6. 国内主要証券会社の価格調整額比較

日本の主要な証券会社(GMOクリック証券、SBI証券、楽天証券、IG証券、ヒロセ通商など)は、それぞれCFDサービスを提供していますが、価格調整額の扱いは、提供しているCFDの種類(先物ベースか現物ベースかなど)によって異なります。
例えば、GMOクリック証券では先物ベースの指数CFDで価格調整額が発生しますが、ヒロセ通商のLION CFDでは現物ベースで価格調整額がない場合があります。
取引したい銘柄と証券会社を決める際には、その組み合わせでどの調整額が発生するのかを必ず確認することが重要です。

CFD取引を提供する証券会社は国内にもいくつかありますが、価格調整額の扱いは会社や商品によって異なります。

ここでは主要な証券会社の一般的な傾向について触れますが、必ずご自身で取引する証券会社の最新の情報を確認してください

主要証券会社のCFD調整額タイプ比較(代表例)

証券会社名日経225 CFD (先物ベースの場合)WTI原油 CFD (先物ベースの場合)金スポット CFDトヨタ株 CFD
GMOクリック証券価格調整額・金利調整額価格調整額・金利調整額金利調整額金利・権利調整額
SBI証券要確認要確認要確認要確認
楽天証券価格調整額・金利調整額価格調整額・金利調整額金利調整額金利・権利調整額
IG証券価格調整額相当・金利調整額価格調整額相当・金利調整額金利調整額金利・権利調整額
ヒロセ通商(LION CFD)金利・権利調整額 (価格調整額なしの場合あり)要確認金利調整額提供なし (要確認)

注意:上記は一般的な例であり、実際の調整額の有無や名称、計算方法は、各証券会社の特定のCFD銘柄の契約詳細によって異なります。必ず公式サイト等で最新の情報をご確認ください。

6.1 GMOクリック証券

GMOクリック証券は、国内CFDの代表的な証券会社の一つです。

日経225やNYダウなどの株価指数、WTI原油などの商品CFDは、先物を原資産としているため、価格調整額が発生します。

金スポットや銀スポットCFDでは価格調整額は発生せず、金利調整額が発生します。

個別株CFDでは、金利調整額と権利調整額(配当相当額)が発生します。

価格調整額の日程や金額は、事前にウェブサイトや取引ツールで告知されるため、確認しやすいのが特徴です。

6.2 SBI証券

SBI証券もCFD取引を提供しています。

取り扱っている株価指数CFDや商品CFD、個別株CFDについて、どの調整額(価格調整額、金利調整額、権利調整額)が適用されるかは、SBI証券の公式サイトや取引説明書で個別に確認が必要です。

一般的に、他の証券会社と同様に、原資産の種類(先物か現物か)によって適用される調整額が決まります。

6.3 楽天証券

楽天証券もCFD取引サービスを提供しており、株価指数、商品、個別株など多様な銘柄を扱っています。

楽天証券のウェブサイト情報によると、建玉を取引終了時点で保有していた場合に「金利・価格調整額」が発生すると記載されています。

これは、先物ベースのCFDでは価格調整額が、持ち越しやスポットベースのCFDでは金利調整額が発生することを示唆しています。

また、「配当相当額」に関する記述もあり、個別株やETFのCFDでは権利調整額が発生すると考えられます。

具体的な銘柄ごとの扱いは、楽天証券のルールを確認する必要があります。

6.4 IG証券

IG証券は世界的なCFDプロバイダーであり、日本でも多くのトレーダーに利用されています。

幅広い銘柄を提供しており、先物ベースの指数や商品CFDも扱っています。

これらの銘柄では、限月交代に伴う調整(実質的な価格調整額)が発生します。

ただし、前述の通り、その調整が「オーバーナイト・ファンディング」などの項目に含まれている場合があります。

金スポットや個別株CFDでは、主に金利調整や配当調整が適用されます。

IG証券を利用する際は、同社のコスト体系や調整額に関する説明をよく読み、理解することが特に重要です。

6.5 ヒロセ通商 (LION CFD)

ヒロセ通商が提供する「LION CFD」は、ユニークな特徴を持つ場合があります。

一部の情報では、LION CFDの株価指数CFDは、先物ではなく現物(キャッシュ)市場を参照しているため、価格調整額が発生せず、代わりに金利調整額と権利(配当)調整額が発生する、とされています。

もしこれが現在も当てはまるなら、価格調整額を避けたいトレーダーにとっては選択肢の一つになるかもしれません。

ただし、商品CFDや他の銘柄の扱い、そして現在の最新の仕様については、必ずヒロセ通商の公式サイトで確認が必要です。

このように、証券会社や、同じ証券会社内でも商品によって、価格調整額の有無や他の調整額との組み合わせが異なります。

CFD口座を選ぶ際や、新しい銘柄を取引する際には、調整額のルールを比較検討することが、コスト管理の上で非常に重要です。

証券会社によって、同じ日経225のCFDでも価格調整額があったりなかったりする可能性があるんですね!これはちゃんと調べないとダメですね。

そうなのよ。特にヒロセ通商さんの例は分かりやすいわね。もし価格調整額の仕組みがどうしても苦手なら、そういうCFDを選ぶのも一つの手よ。ただ、その代わり金利調整額とか他のコストが変わるかもしれないから、トータルで比較しないとね。

まさにその通りだ。重要なのは、CFDと一口に言っても、その中身(原資産や参照市場)はブローカーや商品ごとに異なるということだ。価格調整額の有無は、そのCFDが先物ベースか現物ベースかを示す大きなヒントになる。必ず契約詳細を確認する習慣をつけろ。

7. 取引で損をしないための対策

価格調整額は仕組み上、損益を中立にするものですが、特にマイナス調整額が続く場合などはコスト負担に感じられることもあります。
対策としては、①調整額が発生する日を避けて取引する、②ヘッジ取引を活用する(上級者向け)、③長期保有か短期売買か、自分の取引スタイルに合わせて調整額の影響を考慮する、といった方法が考えられます。

7.1 調整額発生日を回避するエントリー&決済

価格調整額、特にマイナス調整額(支払い)の発生を避けたい場合に最も直接的な方法は、価格調整日の取引終了時刻までにポジションを決済(クローズ)してしまうことです。

そして、価格調整が行われた後の翌営業日に、もし必要であれば再度ポジションを取り直します(エントリー)。

例えば、買いポジションを持っていて、市場がコンタンゴ(期先>期近)のためにマイナスの価格調整額が発生すると予想される場合、価格調整日の終了前に一旦売って決済します。

これにより、価格調整額の支払いを回避できます。

ただし、この方法にはデメリットもあります。

  • ポジションを一時的に手放すため、その間に市場が有利な方向に動いた場合の利益を取り逃す可能性があります。
  • 決済と再エントリーで、2回分の取引コスト(スプレッドなど)がかかります。

この戦略が有効かどうかは、予想される価格調整額の大きさと、取引コスト、そして市場の状況を比較して判断する必要があります。

主に、短期的なコストに敏感なトレーダーや、非常に大きな価格調整額が予想される場合に検討される方法と言えるでしょう。

なるほど、決済しちゃえば払わなくて済むんですね。でも、また入り直すのはちょっと面倒だし、コストもかかるのか…。

そうなの。だから、毎回やるというよりは、「今回はマイナス調整額が大きいぞ」って時とか、短期トレードの時とかに考える感じかしらね。

この戦略は、調整額というコストを回避する代わりに、機会損失と追加コストのリスクを取るトレードオフの関係にある。メリット・デメリットを理解した上で、状況に応じて判断すべきだ。

7.2 ヘッジ・スプレッド取引の活用

価格調整額の影響を管理する、より高度な方法として、ヘッジ取引スプレッド取引といった戦略があります。

例えば、CFDのポジションと反対の動きをする可能性のある別の金融商品(例えば、実際の先物取引やオプション取引など)を組み合わせることで、価格調整額のリスクを相殺しようと試みることが考えられます。

また、先物市場でよく行われる「スプレッド取引」のように、同じ商品の異なる限月間(例えば期近と期先)の価格差の変動を狙う取引を、CFDで応用することも理論的には可能です。

しかし、これらの方法は、複数の市場や商品に関する深い知識、複雑な分析、そして適切なリスク管理能力が求められます。

また、CFDで単純に同じ銘柄の買いと売りの両方のポジションを持つ「両建て」は、スプレッド(売買価格差)を二重に負担することになり、経済的な合理性を欠くため、多くの証券会社では推奨されていません。

結論として、ヘッジ取引やスプレッド取引による価格調整額の管理は、CFD初心者の方には推奨できません

まずは、価格調整額の基本的な仕組みを理解し、その影響を考慮した取引計画を立てることが先決です。

ヘッジとかスプレッドとか、なんだか難しそうですね…。僕にはまだ早いかな。

うん、最初は無理しなくて大丈夫よ。プロのトレーダーが使うような高度なテクニックだからね。まずは基本をしっかり押さえるのが一番よ。

その通りだ。ヘッジ戦略は価格調整額のリスク管理に応用可能だが、高度な知識と技術を要する。初心者はまず、調整額の基本を理解し、よりシンプルな対策(発生日の回避や取引スタイルの調整)から始めるべきだ。

7.3 長期保有と短期売買の使い分け

価格調整額の影響は、トレーダーの取引スタイル(時間軸)によって、その捉え方や対処法が異なります。

短期トレーダー(数時間~数日で取引を完結させるスタイル)の場合、一回一回の価格調整額が損益に与える影響は比較的大きくなります。

そのため、マイナス調整額が予想される場合は、価格調整日を避けてポジションを決済する(7.1の方法)ことを検討する価値があるでしょう。

一方、長期投資家(数週間~数ヶ月、あるいはそれ以上ポジションを保有するスタイル)の場合、一回の価格調整額の影響は相対的に小さく見えますが、複数回の調整額が積み重なった結果(累積効果)を考慮する必要があります。

例えば、

  • 常にコンタンゴ(期先>期近)の市場で長期的に買いポジションを持つと、継続的にマイナスの価格調整額を支払い続けることになり、これが保有コスト(持ち続けるための費用)の一部となります。元の資産価格が上昇しても、このコストの分だけ利益が削られます。
  • 逆に、常にバックワーデーション(期近>期先)の市場で長期的に買いポジションを持てば、継続的にプラスの価格調整額を受け取ることができ、これが利益の上乗せ要因になります。

長期保有を前提とする場合は、取引する銘柄の先物市場が、歴史的にコンタンゴ傾向なのか、バックワーデーション傾向なのかを調べ、累積する価格調整額が、自分の投資戦略にとって許容できるコストなのか、あるいは追い風になるのかを事前に評価することが重要になります。

短期売買と長期保有、それぞれのスタイルに合わせて価格調整額との付き合い方を考えることが、賢明なCFD運用につながります。

トレードの期間によって、価格調整額の考え方が全然違うんですね。長期だと、チリも積もれば…って感じなのかな。

そうなのよ。短期ならイベントとして避けられるけど、長期だと「持ち続けるためのコスト」の一部として考えないといけないの。市場のクセを知っておくのが大事ね。

的を射ている。価格調整額の重要性は取引の時間軸に依存する。短期では回避可能なイベント、長期では累積するコストまたは収益源となる。自身の取引スタイルに合わせて、その影響を評価・管理することが不可欠だ。

8. 税務・会計処理のポイント

CFD取引で得た利益には税金がかかりますが、価格調整額もその損益計算に含まれます。
プラスの調整額は利益に、マイナスの調整額は損失として計上され、年間の合計損益に対して課税されます。
確定申告の際には、証券会社から提供される年間取引報告書などを参考に、正確に申告する必要があります。
不明な点は税務署や税理士に相談しましょう。

8.1 価格調整額は課税対象になる?

CFD取引で利益が出た場合、その利益には税金がかかります。

ここで重要なのは、CFD 価格調整額も、損益の一部として課税対象に含まれるということです。

  • プラスの価格調整額(受け取り)があった場合、それは利益として扱われます。
  • マイナスの価格調整額(支払い)があった場合、それは損失(必要経費)として扱われます。

年間のCFD取引全体の損益を計算する際には、売買によって確定した損益だけでなく、受け取ったり支払ったりした全ての調整額(価格調整額、金利調整額、権利調整額)を合算します。

その年間の合計損益に対して、税金が計算されることになります。

日本の個人の場合、CFD取引による所得は、一般的に「雑所得(ざつしょとく)」に分類され、「申告分離課税(しんこくぶんりかぜい)」の対象となります。

これは、給与所得など他の所得とは分けて税額を計算する方式で、税率は所得の大きさに関わらず一定です(2024年現在、所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%=合計20.315%)。

ただし、税法は改正される可能性があり、個々の状況によって扱いが異なる場合もあります。

ここに記載しているのは一般的な情報であり、税務に関する最終的な判断は、必ずご自身の責任で行うか、専門家にご相談ください

えっ、価格調整額も税金の計算に入るんですか!プラスなら嬉しいけど、マイナスもちゃんと損失として計算できるんですね。

そうなのよ。だから、取引の記録はしっかりつけておくか、証券会社が出してくれる報告書をちゃんと確認するのが大事なの。トータルの損益で考えるのよ。

その通り。価格調整額はCFD取引の損益計算に不可欠な要素であり、課税対象となる。プラスもマイナスも全て合算した年間の純損益に対して、申告分離課税が適用されるのが原則だ。

8.2 確定申告での記載方法と注意点

年間のCFD取引で利益が出た場合(あるいは損失を翌年以降に繰り越したい場合など)、確定申告(かくていしんこく)を行う必要があります。

確定申告書には、CFD取引の損益を記載する欄があります。

通常、「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」といった書類を使用し、年間の合計損益額を記入します。

幸い、多くの証券会社では、年間の取引結果をまとめた「年間取引報告書」や「年間損益計算書」といった書類を提供してくれます。

この報告書には、売買損益だけでなく、価格調整額を含む各種調整額も合算された年間の損益額が記載されていることが一般的です。

この報告書を利用すれば、確定申告の際の計算や記入が大幅に楽になります。

ただし、報告書の内容が正しいかを確認し、最終的に正確な申告を行う責任は、納税者自身にあります。

もし複数の証券会社でCFD取引を行っている場合は、それぞれの報告書を取り寄せ、損益を合算する必要があります。

CFDの税務処理に関して不明な点や不安なことがある場合は、税務署の相談窓口に問い合わせるか、税理士(ぜいりし)などの専門家に相談することを強くお勧めします。

特に初めて確定申告を行う場合や、他の所得との兼ね合いがある場合などは、専門家のアドバイスを受けるのが安心です。

確定申告、ちょっと難しそうだけど、証券会社の報告書があればなんとかなりそうかな?でも、間違えたくないから、分からなかったら税理士さんに聞くのが良さそうですね。

それが一番安心ね。報告書はすごく便利だけど、最終チェックは自分でする必要があるから。特に初めての年は、税務署で教えてもらうのもいいわよ。

確定申告は納税者の義務であり、正確性が求められる。証券会社の報告書は有用なツールだが、それに依存せず、不明点は必ず税務署または税理士に確認すること。これが最も重要な注意点だ。

9. よくある質問(FAQ)

ここでは、CFDの価格調整額について、初心者の方が抱きやすい疑問にお答えします。
例えば、マイナスの調整額が続いて困る場合の考え方や、価格調整額の情報をどこで確認できるか、といった点について解説します。

9.1 マイナス調整額が続く場合の対処法

質問: 取引しているCFDで、マイナスの価格調整額(支払い)ばかりが続いています。何か良い対処法はありますか?

回答:

マイナスの価格調整額が継続して発生するのは、例えばコンタンゴ(期先>期近)の市場で買いポジションを持ち続けている場合や、バックワーデーション(期近>期先)の市場で売りポジションを持ち続けている場合です。

これは、その市場の特性や状況を反映しているため、完全に避けるのが難しい場合もあります。

対処法としては、以下の点が考えられます。

  1. コストとして受け入れる: もし、そのマイナス調整額を考慮しても、なお元の資産の価格変動から十分な利益が見込めるのであれば、それを「ポジションを保有するためのコスト」として受け入れる考え方です。長期的な視点での判断が必要になります。
  2. 価格調整日を回避する: 短期的な取引であれば、価格調整日の取引終了前にポジションを決済し、調整額の発生を回避する方法があります(ただし、デメリットもあります。7.1参照)。
  3. 取引銘柄や戦略を見直す:
    • 同じ市場に連動するCFDでも、証券会社によっては価格調整額が発生しないタイプ(例えば現物参照型)を提供している場合があります。乗り換えを検討するのも一つです。
    • あるいは、価格調整額の影響が小さい、またはプラスになる可能性のある別の市場や銘柄に切り替えることも考えられます。
    • 根本的に、マイナス調整額が負担になるほど続くのであれば、現在の取引戦略(なぜそのポジションを持っているのか)自体を見直す必要があるかもしれません。

どの方法が良いかは、あなたの取引スタイル、リスク許容度、市場の見通しによって異なります。

マイナスが続くと、やっぱり気になりますよね…。コストとして割り切るか、避けるか、他の銘柄にするか… 自分のトレードと相談しないとダメですね。

そうなの。特に長期で持つ場合は、そのコストが積み重なるから無視できないわよね。市場の状況はずっと同じじゃないから、定期的に見直すのも大切よ。

継続的なマイナス調整額は、取引戦略のコスト要因として明確に認識すべきだ。その上で、コストを受け入れるか、回避策を取るか、あるいは戦略自体を見直すか、合理的な判断を下す必要がある。

9.2 調整額を確認できるツール・レポート

質問: これから発生する価格調整額の日程や金額は、どこで確認できますか? また、過去の調整額の履歴も見られますか?

回答:

価格調整額に関する情報は、通常、利用している証券会社が提供しています。

確認できる主な場所は以下の通りです。

  • 証券会社のウェブサイト:
    • CFD取引のルール説明ページ
    • 各CFD銘柄の契約仕様(スペック)ページ
    • 「お知らせ」や「ニュース」、「取引カレンダー」などのセクション
    • ここに、将来の価格調整日や、決定された調整額(1ロットあたり)が掲載されることが多いです。
  • 取引ツール(PC版、スマホアプリ):
    • 多くの取引ツールでは、各銘柄の詳細情報画面(「i」マークや「info」ボタンなど)で、次回の価格調整予定日や、前回実績の調整額などが表示されます。
    • ツールによっては、取引カレンダー機能がある場合もあります。
  • 口座報告書(取引報告書、月次報告書など):
    • 取引口座にログインして確認できる報告書類には、過去に発生した価格調整額の受け払いの履歴が記録されています。日別や月別で確認できることが多いです。

重要なのは、取引を始める前に、自分が利用する証券会社のどこでこれらの情報を確認できるかを把握しておくことです。

特に、先物ベースのCFDを取引する場合は、価格調整日のスケジュールを定期的にチェックする習慣をつけましょう。

ウェブサイトとか取引ツールでちゃんと見れるんですね!探してみます。過去の履歴も見れるなら、後で振り返るのにも便利そう。

そうなのよ。特にスマホアプリで簡単に見れると便利よね。トレードする前には、必ずチェックするように心がけるといいわ。

価格調整額に関する情報は、ブローカーが提供する複数のチャネルで入手可能だ。事前に確認方法を把握し、定期的にチェックする習慣を身につけることが、計画的なCFD取引を行う上で不可欠となる。

CFD 価格調整額は、一見複雑に感じるかもしれませんが、その仕組みは合理的です。

先物を原資産とするCFDにおいて、限月交代時の価格差を調整し、トレーダーが不公平な損益を受けないようにする大切な役割を持っています。

金利調整額や権利調整額とは発生理由が異なります。

受け取りか支払いかは、市場の状況(期近vs期先)とポジション(買いor売り)で決まります。

この仕組みを理解すれば、なぜ調整額が発生するのか、プラスになるのかマイナスになるのかが分かり、予期せぬ損益に戸惑うことがなくなります。

価格調整額の情報を事前にチェックし、自分の取引スタイルに合わせてその影響を考慮することで、より戦略的で有利なCFD運用が可能になるでしょう。

ぜひ、この知識を活かして、自信を持ってCFD取引の世界に挑戦してみてください。

本記事の注意事項(免責事項)

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘を意図したものではありません。本記事に記載されている情報については、正確性、完全性、有用性を確保するために努力しておりますが、その保証は致しかねます。投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事の内容を利用して生じたいかなる損害についても、当サイトおよび著者は一切の責任を負いかねます。詳しくは免責事項ページをご確認ください。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

この記事を書いた人

塚越ヒロのアバター 塚越ヒロ デジタルテレワーカー

IT企業勤務の投資家。        
このブログでは、CFD(差金決済取引)を中心に、株式投資で得た知識や体験を発信します。
【株式投資歴2年】ミニCFDで資産形成中。   
【ミニCFDの魅力】少額で投資の勉強ができる。 
 ミニCFD(数百円)から実力をつけて、CFDにステップアップ。           

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