1. CFDをおすすめしないと言われる背景
このセクションでは、「cfd おすすめしない」といった検索が増えている理由を解説します。CFDがどのような仕組みで、株式投資など他の投資とどう違うのかを説明し、なぜリスクが高いと言われるのか、その背景にある基本的な理由を明らかにします。
1.1 なぜ今「CFDはやめとけ」と検索されるのか?(検索意図の分析)
インターネットで「cfd おすすめしない」や「CFDはやめとけ」と検索する人が増えています。
これは、CFD取引に大きな利益を得る可能性がある一方で、同じくらい大きな損失を出す危険性もあるからです。
特に投資の経験が少ない初心者の人は、CFD取引のリスクをよく知らないまま始めてしまうことに不安を感じています。
そのため、取引を始める前に、どのような危険があるのか、本当に自分に向いているのかを知りたいと考えているのでしょう。
CFDをおすすめしないという声があるのは、実際に大きな損失を出してしまった人の経験談や、仕組みの複雑さからくるものです。
多くの人が、CFD取引のメリットだけでなく、デメリットや注意点をしっかり理解したいと思っています。
この検索行動は、CFD取引には慎重になるべき点が多い、という事実を表しているのかもしれません。







1.2 CFDの基本仕組みと他の投資との違い
CFDは「Contract for Difference」の略で、日本語では「差金決済取引」と呼ばれます。
これは、株価指数や原油、金といった様々な金融商品の取引を、現物を実際に保有せずに行う方法です。
取引開始時の価格と、終了時の価格の差額だけをやり取りして、利益や損失が決まります。
CFDの大きな特徴の一つが「レバレッジ」です。
レバレッジは「てこの原理」のようなもので、少ない資金(証拠金)を担保にして、その何倍もの金額の取引を可能にします。
例えば、10万円の証拠金で10倍のレバレッジをかければ、100万円分の取引ができます。
ただし、レバレッジの倍率は商品によって異なり、株価指数CFDなら最大10倍、商品CFDなら最大20倍、株式CFDなら最大5倍といった具合です。
もう一つの特徴は「売りから取引できる」点です。
通常の株式投資(現物取引)では、基本的に安く買って高く売ることで利益を狙います。
CFDでは、価格が下がると予想した場合、「売り」から取引を始めて、実際に価格が下がった後に買い戻すことで利益を出すことも可能です。
さらに、CFDでは世界中の様々な資産に投資できます。
日経平均株価やニューヨークダウのような株価指数、金や原油といった商品、国内外の個別株式などが対象です。
取引時間も長く、多くの銘柄でほぼ24時間取引が可能です。
日本の株式市場は平日の日中(9:00-11:30、12:30-15:00)しか開いていませんが、CFDなら仕事が終わった夜や、日本の祝日でも取引できる場合があります。
では、他の投資方法と比べてみましょう。
株式投資(現物株)との違いは、まず現物を保有するかどうかです。
株を持っていれば配当金や株主優待を受け取れる場合がありますが、CFDではこれらがありません。
代わりに金利や配当相当額の調整が行われますが、仕組みは異なります。
また、株式投資は基本的にレバレッジをかけないため、投資した金額以上の損失が出ることはありませんが、CFDはレバレッジにより投資額以上の損失を出す恐れがあります。
FX(外国為替証拠金取引)との違いですが、FXも実はCFDの一種です。
FXは通貨ペア(ドルと円など)のみを取引対象としますが、CFDは株価指数や商品など、より幅広い資産を扱います。
レバレッジの上限も異なり、国内FXは最大25倍ですが、CFDは商品により異なります。
先物取引との違いは、主に決済期限の有無です。
先物取引には「限月」と呼ばれる決済期限があり、その日が来ると自動的に決済されます。
一方、CFDの多くには決済期限がないため、自分で決済するまでポジションを持ち続けることができます(ただし、後述するコストがかかります)。
CFDは少ない資金で多様な市場に、時間を選ばず投資できる魅力があります。
しかし、その中心的な仕組みであるレバレッジが、高いリターンと同時に高いリスクをもたらす根源なのです。
この点を理解することが、CFD取引を始める上で非常に重要です。









2. CFDをおすすめしない7つのリスク
このセクションでは、CFDが初心者におすすめされない主な7つのリスクを具体的に解説します。高いレバレッジが原因で借金を負う可能性、スプレッドや金利調整額といった隠れたコスト、長期保有に向かない性質、商品が多すぎて選ぶのが難しい点、24時間市場がもたらす精神的な負担、税金面での不利な点、そして国内外の業者選びに伴うリスクについて詳しく見ていきます。
2.1 ハイレバレッジによる価格変動リスク
CFDの最大の特徴であるレバレッジは、利益を大きく増やす可能性がある一方で、損失も同様に大きくしてしまいます。
これがCFDをおすすめしないと言われる最も大きな理由の一つです。
例えば、100万円分の取引を考えてみましょう。
レバレッジを使わない現物株なら、100万円の資金が必要です。
価格が1%下がれば、1万円の損失です。
しかし、CFDでレバレッジ10倍を使うと、必要な証拠金は10万円ですみます。
この状態で価格が1%下がると、損失は100万円分の1%である1万円です。
証拠金10万円に対して1万円の損失なので、証拠金の10%を失う計算になります。
もしレバレッジが20倍なら、同じ1%の値下がりで証拠金の20%を失います。
わずかな価格変動でも、レバレッジが高いほど、証拠金に対する損失の割合は急激に大きくなるのです。
市場の価格は、経済ニュースや予期せぬ出来事で急激に変動することがあります。
ハイレバレッジの状態で、予想と反対方向に価格が大きく動くと、あっという間に多額の損失が発生する恐れがあるのです。
(1) ロスカットと追証で借金を負う可能性
CFDには「ロスカット」という仕組みがあります。
これは、損失が一定の水準に達した場合に、さらなる損失の拡大を防ぐため、自動的にポジションを決済(強制終了)する制度です。
多くの証券会社で採用されており、投資家保護のための一つの安全装置と言えます。
しかし、ロスカットは万能ではありません。
市場が非常に急激に変動した場合(例えば、大きな窓を開けて価格が飛んだ場合など)、ロスカットの注文が設定した価格よりも不利な価格で約定してしまうことがあります。
その結果、口座に入金した証拠金以上の損失が発生してしまう可能性があるのです。
証拠金以上の損失が発生した場合、「追加証拠金(追証:おいしょう)」を請求されます。
これは、不足した損失分を追加で入金するように求めるものです。
もし、この追証を支払えない場合、それは証券会社に対する借金となります。
これが、「CFDで借金を負う」と言われる仕組みです。
現物株の取引では、最悪でも投資した資金がゼロになるだけで、追加の支払いを求められることはありません。
しかし、CFDでは元本以上の損失が発生し、借金を背負うリスクがあることを、絶対に忘れてはいけません。
この追証のリスクこそ、CFDが特に初心者におすすめしないと言われる大きな理由なのです。









2.2 スプレッド・各種手数料で実質コストが高い
多くのCFD業者は「取引手数料無料」をアピールしています。
しかし、これは取引にコストがかからないという意味ではありません。
CFD取引には、「スプレッド」という実質的なコストが存在します。
スプレッドとは、同じ金融商品でも、買値(Ask)と売値(Bid)に設定されている価格差のことです。
常に買値は売値よりも少し高く設定されています。
取引をする際は、買う時は高い方の価格で買い、売る時は安い方の価格で売ることになります。
この価格差がスプレッドであり、取引ごと(新規注文時と決済注文時)に必ず発生するコストなのです。
スプレッドの幅は、業者や金融商品、市場の状況によって変動します。
スプレッドが広いほど、取引コストは高くなります。
特に、短期間に何度も売買を繰り返すスタイルの場合、このスプレッドコストが積み重なり、利益を圧迫する要因になります。
取引手数料が無料であっても、スプレッドという形でコストを支払っていることを理解しておく必要があります。
また、業者によっては、口座維持手数料や、ロスカット時に手数料がかかる場合もあります。
取引を始める前には、利用する業者の手数料体系やスプレッドの基準をしっかり確認しましょう。









2.3 金利/価格調整額が長期保有を不利にする
CFD取引では、ポジション(建てた取引)を決済せずに翌日に持ち越す場合、「金利調整額」や「価格調整額」と呼ばれるコストが発生することが一般的です。
これは、CFDが現物を保有しない代わりに、実質的にお金を借りて(買いポジションの場合)または貸して(売りポジションの場合)取引しているような状態になるため、その金利差などを調整するためのものです。
通常、買いポジションを持っていると金利を支払い、売りポジションを持っていると金利を受け取る形になります。
ただし、多くの場合、投資家が支払う金利の方が、受け取る金利よりも大きく設定されています。
この調整額は、ポジションを持っている間、毎日発生します。
そのため、CFDポジションを長期間(数週間、数ヶ月、数年)保有し続けると、このコストが積み重なっていきます。
結果として、たとえ価格が有利に動いたとしても、保有コストによって利益が削られたり、損失が拡大したりする可能性があります。
この日々のコスト発生が、CFDを「長期投資には向かない」と言われる大きな理由です。
株式投資であれば、長期保有することで配当金を受け取れる場合がありますが、CFDでは逆にコストがかかり続けるのです。
株式CFDの場合、配当金に相当するものとして「権利調整額」の受け払いがありますが、これは金利調整額とは別のものです。
CFDで利益を狙うには、この持ち越しコストも考慮に入れた上で、比較的短い期間での売買を考える必要が出てきます。









2.4 商品ラインアップ過多で銘柄選択が難しい
CFDの魅力の一つは、取引できる金融商品の種類が非常に多いことです。
日経平均やNYダウなどの世界の株価指数、金や原油などの商品、アップルやトヨタなどの個別株式、さらには債券やETF(上場投資信託)まで、一つの口座で取引できる業者が多くあります。
一見すると、これは大きなメリットに思えます。
しかし、特に投資初心者にとっては、選択肢が多すぎることが逆にデメリットになる場合もあります。
どの市場に投資すれば良いのか、それぞれの商品の価格は何によって動くのか、どのようなリスクがあるのかを理解するのは簡単ではありません。
例えば、原油価格の動きを理解するには、産油国の情勢や世界経済の動向、在庫量など、多くの要因を調べる必要があります。
株価指数であれば、構成する企業の業績や金融政策などが影響します。
よく知らない、理解していない商品に、安易に手を出してしまうのは非常に危険です。
特にレバレッジがかかっているCFDでは、予想外の値動きによって大きな損失につながる恐れがあります。
株式投資であれば、まずは身近な日本の有名企業の株から始めてみる、という方法もあります。
しかし、CFDでは最初から世界中の様々な選択肢が目の前にあるため、何から手をつければ良いか分からず、混乱してしまう人もいるでしょう。
この銘柄選択の難しさも、CFDが初心者には少しハードルが高いと言われる理由の一つです。









2.5 24時間市場ゆえのメンタル負荷と生活リズム崩壊
CFDで取引できる多くの市場は、平日ほぼ24時間動き続けています。
例えば、日本の夜中でも、ヨーロッパやアメリカの市場は活発に取引されています。
いつでも取引できるというのは、日中忙しい人にとっては便利な側面もあります。
しかし、これは大きな精神的な負担(メンタル負荷)につながる可能性があります。
市場が常に動いていると思うと、「寝ている間に大きなチャンスを逃すのではないか」「急な価格変動で大損するのではないか」といった不安から、常に相場をチェックしたくなるかもしれません。
このような状態が続くと、睡眠不足になったり、ストレスが溜まったりします。
心身が疲れている状態では、冷静な判断ができなくなりがちです。
焦って不利なタイミングで取引してしまったり、事前に決めたルール(損切りなど)を守れなくなったりする恐れがあります。
また、夜中まで相場を気にすることで、生活リズムが崩れてしまうこともあります。
仕事や学業、家庭生活に支障が出てしまっては、本末転倒です。
日本の株式市場のように取引時間が区切られていれば、市場が閉まっている間は相場から離れて頭を休めることができます。
しかし、24時間動く市場と向き合うには、強い自己管理能力が求められます。
この絶え間ない市場アクセスがもたらす精神的なプレッシャーと生活への影響も、CFD取引の隠れたリスクと言えるでしょう。









2.6 税制面のデメリット(損益通算・優待不可)
CFD取引で得た利益には、もちろん税金がかかります。
日本の国内業者を通じて得たCFDの利益は、一般的に「雑所得」として分類され、「申告分離課税」の対象となります。
税率は、所得税・復興特別所得税・住民税を合わせて一律20.315%です。
利益がいくら増えても税率が変わらない点は、分かりやすいかもしれません。
しかし、CFDの税金には大きなデメリットがあります。
それは、株式投資や投資信託の利益や損失と合算できない(損益通算できない)ことです。
例えば、あなたがCFD取引で100万円の利益を出し、同時に株式投資で100万円の損失を出したとします。
もし両方が株式投資であれば、利益と損失が相殺されて、その年の税金はかかりません。
しかし、CFDと株式投資では税金のグループが違うため、損益通算ができません。
この場合、株式投資の損失は関係なく、CFDで得た100万円の利益に対して、まるまる20.315%の税金(約20万円)を支払う必要があります。
これは、複数の種類の投資を行っている人にとっては、不利な仕組みと言えます。
ただし、CFDの損失は、FX(外国為替証拠金取引)など、同じ「先物取引に係る雑所得等」に分類される他の取引の利益とは損益通算が可能です。
また、年間のCFD取引で損失が出た場合、確定申告をすれば、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来のCFDやFXの利益と相殺することができます(繰越控除)。
もう一つのデメリットとして、CFDでは株主優待を受け取れません。
CFDは現物の株式を保有するわけではないため、企業が株主向けに提供している優待品やサービスをもらう権利はないのです。
株主優待を楽しみにしている投資家にとっては、これもCFDを選ばない理由になるでしょう。









2.7 海外・悪質業者リスクとマイナス残高保護未整備
CFD取引を提供する業者には、日本の金融庁に登録されている「国内業者」と、海外に拠点を置く「海外業者」があります。
どちらを選ぶかによって、リスクの種類が異なります。
国内業者のリスクとして最も大きいのは、やはり「追証」のリスクです。
日本の法律では、業者が顧客の損失を補填することが原則禁止されています。
そのため、ほとんどの国内業者では、口座残高がマイナスになった場合に顧客がその損失を穴埋めする「追証」が発生します。
つまり、借金を負うリスクが常に存在します。
また、業者には「取引所CFD(くりっく株365など)」と「店頭CFD」の2種類があります。
取引所CFDは、取引所が間に入るため、業者が倒産した場合でもある程度の保護(投資者保護基金により1000万円まで)があります。
一方、店頭CFDは業者と直接取引するため、業者の信頼性がより重要になります(信託保全などの仕組みはありますが、万全ではありません)。
海外業者の場合、多くが「ゼロカットシステム」を採用しています。
これは、万が一口座残高がマイナスになっても、そのマイナス分を業者が負担してくれる仕組みです。
つまり、追証が発生せず、入金した金額以上の損失は出ないという大きなメリットがあります。
しかし、海外業者には別のリスクがあります。
まず、日本の金融庁の監督下にないため、規制のレベルや投資家保護の仕組みが日本と異なる場合があります。
万が一、業者とトラブル(出金拒否など)になった場合、解決が困難になる可能性があります。
日本語のサポートが不十分な場合もあります。
中には、詐欺的な目的で運営されている悪質な業者も存在するため、業者選びには細心の注意が必要です。
さらに、海外業者を利用した場合、税金の計算方法が国内業者と異なり、利益額によってはより高い税率(総合課税)になる可能性もあります。
結局のところ、国内業者を選ぶか海外業者を選ぶかは、「追証リスクを取るか、規制や信頼性のリスクを取るか」という選択になります。
特に初心者のうちは、日本の法律で保護され、サポートも受けやすい信頼できる国内業者を選ぶ方が、相対的に安全と言えるかもしれません。









3. CFDで失敗しやすい投資家の特徴
このセクションでは、CFD取引で失敗しがちな投資家によく見られる特徴や行動パターンを挙げます。大きなリスクを取って短期間で一攫千金を狙う考え方、資金や損失を管理するための明確なルールがないこと、そしてデモ口座での十分な練習を経ずに実際の取引を始めてしまうケースについて解説します。
3.1 短期で一発逆転を狙うハイリスク志向
CFD取引で失敗する人に多い特徴の一つが、「短期間で大きな利益を得たい」「一発逆転したい」という考え方です。
CFDのハイレバレッジは、少ない資金で大きな取引ができるため、このような願望を持つ人にとっては魅力的に見えるかもしれません。
しかし、この考え方は非常に危険です。
大きな利益を狙うということは、同時に大きな損失のリスクも受け入れることになります。
ハイリスク志向の人は、自分の資金額に対して大きすぎるポジションを取ったり、明確な根拠なく値動きの激しい商品に手を出したりしがちです。
利益が出ることばかりを考えて、損失が出る可能性を軽視してしまうのです。
CFDのレバレッジは、このような取引スタイルを特に厳しく罰します。
一度の大きな失敗で、口座の資金の大部分、あるいは全てを失ってしまう可能性があります。
そうなると、冷静さを失ってさらに無謀な取引を繰り返したり、追証を発生させてしまったりする悪循環に陥りやすいのです。
CFDはギャンブルではありません。
一攫千金を夢見るのではなく、リスクを管理しながらコツコツと利益を積み重ねるという意識が必要です。
CFDをおすすめしない理由として、このようなハイリスク志向が大きな損失につながりやすい点があります。









3.2 資金管理ルールが曖昧な初心者
投資で成功するために非常に重要なのが「資金管理」です。
これは、「1回の取引でどれくらいの損失まで許容するか」「取引に使う資金全体をどう管理するか」といったルールを、取引を始める前に明確に決めておくことです。
しかし、特に初心者のうちは、この資金管理のルールが曖昧なまま取引を始めてしまうケースが多く見られます。
例えば、以下のような状態です。
- 1回の取引で失ってもよい金額を決めていない。
- 感情に任せて、許容範囲を超える大きなポジションを持ってしまう。
- 損失が出ても「いつか戻るだろう」と損切りできない。
- 連続で損失が出た時に、冷静さを失い、さらに大きなリスクを取ってしまう。
CFD取引において、資金管理の欠如は致命的です。
レバレッジがかかっているため、少しの値動きでも証拠金に対する損失率は大きくなります。
「1回の取引での損失は、総資金の〇%以内にする」といった明確なルールがないと、数回の失敗であっという間に資金を失ってしまう可能性があります。
資金が大きく減ってしまうと、精神的なダメージも大きく、正常な判断ができなくなります。
また、証拠金が不足して追証を請求される事態にもなりかねません。
しっかりとした資金管理ルールを作り、それを感情に左右されずに守り続けることが、CFD取引で生き残るためには不可欠です。
ルールがないまま取引するのは、地図を持たずに危険な山に登るようなものです。









3.3 デモ口座で練習せずに本番投入するケース
多くのCFD業者は、「デモ口座」というサービスを提供しています。
これは、仮想のお金を使って、実際の市場と同じ環境で取引の練習ができる口座のことです。
デモ口座を使えば、以下のようなことをリスクなしで学べます。
- 取引ツールの使い方に慣れる。
- 注文方法(成行、指値、逆指値など)を試す。
- レバレッジや証拠金の仕組みを体感する。
- 様々な金融商品の値動きの特徴を知る。
- 自分で考えた取引戦略を試してみる。
- 損失が出た時に損切りルールを守る練習をする。
しかし、早く利益を出したいという気持ちから、このデモ口座での練習を十分にしないで、いきなり実際の資金(リアルマネー)で取引を始めてしまう初心者がいます。
これは非常に危険な行為です。
デモ口座での取引と、実際のお金を使った本番の取引では、精神的なプレッシャーが全く違います。
デモ口座では冷静にできた損切りも、実際のお金がかかっていると、「損をしたくない」という気持ちから躊躇してしまうことがあります。
また、取引ツールの操作ミスも、デモ口座なら笑ってすませられますが、本番では大きな損失につながる可能性があります。
CFDは仕組みが複雑で、値動きも速いことが多いです。
十分な練習なしに本番に臨むのは、武器も持たずに戦場に行くようなものです。
必ずデモ口座で、操作に慣れ、自分なりのルールを作り、それを守る練習をしてから、少額で本番の取引を始めるようにしましょう。
この準備段階を省略することが、早期に失敗する大きな原因の一つです。









4. それでもCFDに興味がある人への安全対策
CFDのリスクを理解した上で、それでも取引に興味がある方に向けて、このセクションでは重要な安全対策を提案します。レバレッジを低く抑えること、損切り・利食い注文を徹底すること、金利調整額などのコストを把握すること、リスク要因に基づいて国内の主要業者を比較検討すること、そして代替となる投資手段がより適していないか検討することの重要性を解説します。
4.1 レバレッジ設定を◯倍以内に抑える
CFDの最大のリスク要因であるハイレバレッジに対処する最も効果的な方法は、意図的に低いレバレッジで取引することです。
レバレッジを低く抑えれば、同じ価格変動が起きても、証拠金に対する損失(または利益)の割合を小さくできます。
これにより、予期せぬ急変動に対する耐性が高まり、大きな失敗をするリスクを減らせます。
特にCFD取引に慣れていない初心者のうちは、レバレッジを3倍から、高くても5倍以内に抑えることを強くおすすめします。
国内のCFDでは、株価指数で10倍、商品で20倍といった高いレバレッジが設定可能ですが、最初から上限に近いレバレッジを使うのは非常に危険です。
低いレバレッジで取引するには、十分な証拠金を入金しておくか、取引する量(ポジションサイズ)を小さく調整します。
例えば、10倍のレバレッジが可能な商品でも、必要証拠金の2倍や3倍の資金を口座に入れておけば、実質的なレバレッジは5倍や3.3倍に抑えられます。
もちろん、レバレッジを低くすれば、得られる利益も小さくなります。
しかし、投資で最も重要なのは、まず市場で生き残り続けることです。
大きな損失を出して退場してしまっては、元も子もありません。
利益を焦らず、低いレバレッジでリスクを管理しながら経験を積むことが、結果的に成功への近道となるでしょう。









4.2 指値・逆指値と自動ロスカットの徹底
感情に左右されずにリスクを管理するために、注文方法を工夫することが非常に重要です。
特に「逆指値(ぎゃくさしね)注文」と「指値(さしね)注文」の活用は必須と言えます。
逆指値注文(ストップロス注文)は、「もし価格がここまで下がったら(買いポジションの場合)/上がったら(売りポジションの場合)、自動的に決済する」という注文です。
これは、損失が一定額以上に拡大するのを防ぐためのもので、リスク管理の要です。
指値注文(リミット注文)は、「もし価格がここまで上がったら(買いポジションの場合)/下がったら(売りポジションの場合)、自動的に決済する」という注文です。
これは、目標とする利益を確実に確保するために使います。
これらの注文は、新しいポジションを建てるのと同時に設定する習慣をつけましょう。
取引中に価格が激しく動くと、冷静な判断が難しくなり、「もう少し待てば戻るかも」と損切りをためらったり、「もっと上がるかも」と利益確定を先延ばしにしてしまいがちです。
事前に決済のルールを決めて注文を出しておくことで、感情に流されずに計画的な取引を実行できます。
CFD業者には「自動ロスカット」の仕組みもありますが、これはあくまで最終防衛ラインです。
市場の急変動時には機能しない可能性や、証拠金以上の損失が発生する可能性もゼロではありません。
したがって、自分自身で設定する逆指値注文こそが、損失を限定するための最も重要な手段と考えるべきです。
どの価格に逆指値や指値を設定するかは、取引戦略の一部であり、経験とともに学んでいく必要があります。
まずはデモ口座などで練習してみると良いでしょう。









4.3 価格調整額カレンダーの定期チェック
CFDポジションを翌日に持ち越すと発生する「金利調整額」や「価格調整額」は、見過ごせないコストです。
特に長期間ポジションを保有すると、このコストが利益を圧迫したり、損失を増やしたりする原因になります。
このコストを管理するためには、発生する金額を事前に把握しておくことが重要です。
多くのCFD業者は、日々の調整額の情報をウェブサイトなどで公開しています。
中には、「価格調整額カレンダー」のような形で、将来の予定額を提示している業者もあります。
CFD取引を行う際は、特にポジションを持ち越す可能性がある場合、これらの情報を定期的にチェックする習慣をつけましょう。
事前にコストを把握しておけば、以下のような判断に役立ちます。
- 持ち越しコストを考慮しても、この取引は利益が見込めるか?
- 特定の商品の買い(または売り)ポジションは、コストが高いため避けるべきか?
- 週末や祝日をまたぐとコストが大きくなるため、その前に決済すべきか?
価格調整額は、金利情勢などによって変動します。
常に最新の情報を確認し、取引計画にコスト要因を織り込むことが、賢明なCFDトレーダーになるための一歩です。
このコストの存在を理解し管理することで、CFDが本質的に短期的な取引に向いている理由も、より深く分かるはずです。









4.4 国内主要業者比較(リスク低減ポイント)
CFD取引を始めるにあたって、どの業者を選ぶかは非常に重要です。
特に初心者のうちは、規制が明確でサポートも受けやすい国内の信頼できる業者を選ぶことをおすすめします。
業者を選ぶ際には、スプレッドの狭さや取引ツールの使いやすさだけでなく、リスク管理に関わる以下のポイントをしっかり比較検討しましょう。
(1) 最低証拠金とロスカット水準
最低証拠金は、取引を始めるために最低限必要な資金額です。
これが低いと手軽に始められるように見えますが、資金が少ない状態で取引を始めると、少しの損失でもすぐに証拠金が不足しやすくなります。
最低証拠金ギリギリではなく、十分な余裕を持った資金で始めることが大切です。
ロスカット水準は、どの程度の損失が出たら自動的にロスカットが発動するかの基準です(例:証拠金維持率が50%を下回ったら、など)。
この水準は業者によって異なります。
水準が高い方が早くロスカットされるため安全に見えますが、一時的な価格のブレで意図せず決済されてしまう可能性もあります。
業者のルールをしっかり理解しておきましょう。
(2) 追証の有無/マイナス残高保護
前述の通り、国内業者の多くは追証が発生します。
万が一、ロスカットが間に合わず口座残高がマイナスになった場合に、追加の入金を求められるリスクがあることを必ず確認してください。
追証が発生した場合の入金期限や手続きについても、事前に確認しておくと安心です。
一部の業者では、「マイナス残高にならないような仕組み」を導入している場合もありますが、完全なゼロカット(海外業者のような)とは異なる場合が多いです。
原則として追証リスクはあると考え、その上で業者の規約を詳細に確認しましょう。
(3) 取扱商品・スプレッド
自分が取引したいと考えている金融商品(銘柄)を、その業者が扱っているか確認しましょう。
初心者のうちは、あまりに複雑な商品や情報が少ない商品は避け、自分が理解しやすい、情報収集しやすい銘柄から始めるのが無難です。
スプレッドは実質的な取引コストです。
自分が主に取引したい銘柄のスプレッドが、他の業者と比較して適正な水準かを確認しましょう。
特に、早朝や深夜、経済指標発表時など、スプレッドが広がりやすい時間帯の状況も確認できるとより良いです。
これらのリスク関連情報を比較検討するために、以下のような表を作成して整理してみるのも良い方法です。
特徴 | 例:取引所CFD (くりっく株365など) | 例:一般的な店頭CFD | 初心者向けの注意点 |
最低証拠金 | 業者により異なる | 業者により異なる | 無理のない範囲で、余裕を持つことが重要 |
ロスカット水準 | 取引所ルールに基づく | 業者ごとに設定 (例: 50%, 100%) | ルールを理解し、自分の資金管理と合わせる |
追証の有無 | あり | 原則あり | 発生する前提でリスク管理を行う |
マイナス残高保護 | なし | ほぼなし (要確認) | ゼロカットは期待しない |
投資者保護基金 | 対象 (上限あり) | 対象外 | 取引所CFDの方が業者破綻時の保護は手厚い |
主な取扱商品 | 主要株価指数、一部商品 | 指数、商品、株式、バラエティ等 | 店頭CFDの方が種類は豊富だが、複雑さも増す |
カウンターパーティリスク | 取引所が清算を行う | 業者が相手となる | 店頭CFDは業者の信頼性がより重要になる |
(注意:上記表は一般的な例であり、実際のサービス内容は必ず各業者でご確認ください。)
業者選びは、単に取引のしやすさだけでなく、自分の資産を守るための重要なステップです。
これらのリスク低減ポイントをしっかり比較し、納得できる業者を選びましょう。









4.5 CFD以外の代替手段(ETF・NISA・現物株)を検討
ここまでCFDのリスクと安全対策について説明してきましたが、そもそもCFDが自分の投資目的に合っているのかを考えることも重要です。
CFDはハイリスク・ハイリターンな短期的な取引に向いていますが、安定した資産形成や長期的な投資を目指すのであれば、他の選択肢の方が適している場合があります。
もしCFDのリスクが高いと感じるなら、以下のような代替手段を検討してみましょう。
代替手段1:現物株式
- メリット: 会社のオーナーの一人になれる(議決権)、配当金や株主優待がもらえる可能性がある、投資した金額以上の損失はない(追証なし)、NISA口座で税制優遇を受けられる。
- デメリット: 分散投資するにはある程度の資金が必要、レバレッジは基本的にかけられない(信用取引は別)、空売りは初心者には難しい。
代替手段2:投資信託 / ETF(上場投資信託)
- メリット: 少額から分散投資が可能(多くの銘柄にまとめて投資)、プロが運用してくれる(投資信託)、低コストな商品が多い(特にインデックス型ETF)、積立投資に向いている、NISA口座で税制優遇を受けられる。
- デメリット: レバレッジはかけられない、信託報酬などの手数料がかかる、市場が開いている時間しか取引できない(ETF)。
代替手段3:NISA(つみたてNISA / 一般NISA)
- メリット: 利益が非課税になる(年間投資枠や期間に上限あり)、長期的な資産形成を後押しする制度、株式や投資信託、ETFに投資できる。
- デメリット: 年間の投資上限額がある、非課税期間が決まっている、短期売買には向かない、レバレッジは使えない。
これらの投資方法は、CFDと比べて一般的にリスクが低いか、または長期的な資産形成に適した仕組みを持っています。
以下の表で、それぞれの特徴を比較してみましょう。
特徴 | CFD | 現物株式 | 投資信託/ETF | NISA (つみたて/一般) |
レバレッジ | 高い (5~20倍等) | 基本なし (信用取引除く) | なし | なし |
空売り | 可能 | 信用取引で可能 | 一部ETFで可能 | 不可 |
取引時間 | ほぼ24時間 (銘柄による) | 市場の取引時間内 (例: 9時~15時) | 市場時間内(ETF)/基準価額(投信) | 市場の取引時間内 |
必要資金目安 | 少額から可能 (レバレッジ次第) | 銘柄による (数万円~) | 少額から可能 (数百円~) | 少額から可能 |
主なコスト | スプレッド、金利調整額 | 売買手数料 | 信託報酬、売買手数料(ETF) | 各商品の手数料 (非課税枠内) |
税制 | 申告分離課税 (損益通算制限あり) | 申告分離課税 (投信等と損益通算可) | 申告分離課税 (株式等と損益通算可) | 非課税 (枠・期間内) |
リスク目安 | 高い | 中~高 | 低~中 (商品による) | 低~高 (投資対象による) |
長期保有適性 | 低い | 高い | 高い | 非常に高い |
(注意:上記表は一般的な比較であり、個別の商品やサービスにより詳細は異なります。)
もしあなたの目的が「短期間で大きなリターンを狙いたい」ではなく、「将来のために着実にお金を増やしたい」ということであれば、CFDはおすすめしない可能性が高いです。
NISAを活用した積立投資や、現物株式への長期投資など、ご自身の目標やリスク許容度に合った、より安全な方法を検討することをおすすめします。









5. CFDをおすすめしない人のための資産形成ロードマップ
CFDはリスクが高いと判断した方のために、このセクションでは代替となる資産形成の道筋を示します。資産の規模に応じた現実的な投資の選択肢、自分自身のリスク許容度を把握するためのチェックシート、そして長期的な計画の中で安全性と成長性のバランスをどう取るかについて解説します。
5.1 資産規模別・現実的な投資オプション
CFD以外の方法で資産形成を始める場合、現在持っている資金額によって、現実的な選択肢が変わってきます。
無理なく、着実に進めるためのステップを考えてみましょう。
資産がまだ少ない場合(例えば10万円未満など)
- 目標: まずは投資に慣れること、貯蓄習慣をつけること。
- 選択肢:
- つみたてNISA: 毎月数百円や千円から始められる投資信託の積立。税制優遇も受けられます。
- ポイント投資: 普段の買い物で貯まったポイントを使って投資を体験。現金を使わずに始められます。
- 貯蓄の強化: 投資以前に、まずは毎月一定額を貯蓄する習慣を身につけることが大切です。
- ポイント: 大きなリターンを狙わず、少額からコツコツと経験を積む時期です。ハイリスクな投資は避けましょう。
ある程度の資産がある場合(例えば10万円~100万円程度)
- 目標: NISA枠を活用し、分散投資を始めること。
- 選択肢:
- NISA枠の活用: つみたてNISAまたは一般NISAの非課税枠を最大限利用することを目指します。
- 分散投資: 投資信託やETF(上場投資信託)で、国内外の株式や債券などに幅広く分散投資します。
- 個別株(現物): もし興味があれば、NISA枠などを利用して、少額から応援したい企業の株を買ってみるのも良い経験になります。
- ポイント: 分散を意識することで、リスクを抑えながら資産の成長を目指します。
まとまった資産がある場合(例えば100万円以上)
- 目標: より幅広い分散投資と、リスク許容度に応じた資産配分の最適化。
- 選択肢:
- NISA枠のフル活用: 非課税メリットを最大限に享受します。
- コア・サテライト戦略: 資産の中心(コア)は安定的な投資信託やETFで固め、一部(サテライト)で個別株やREIT(不動産投資信託)など、少しリスクの高い資産にも挑戦してみる(ただし慎重に)。
- 専門家への相談: 必要であれば、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、自分に合った資産配分(アセットアロケーション)を考えます。
- ポイント: 資産全体のリスク管理がより重要になります。もしCFDを検討する場合でも、それはあくまで「サテライト」の一部として、失っても生活に影響のない「余裕資金」の範囲内で、かつ厳格なリスク管理(低レバレッジ、損切り徹底)を行うことが大前提です。
どの段階であっても、焦らず、自分のペースで、リスクを理解しながら進めることが重要です。
特に初心者のうちは、CFDのようなハイリスク商品は避け、安定的な方法から始めるのが賢明です。









5.2 リスク許容度診断チェックシート
自分に合った投資方法を選ぶためには、自分がどれくらいのリスクを受け入れられるか(リスク許容度)を知ることが大切です。
以下の簡単な質問に答えて、自分のタイプを確認してみましょう。
(これはあくまで目安であり、専門的な診断ではありません。)
- 質問1:投資の目的は何ですか?
- A:老後のための長期的な資産形成
- B:数年後の住宅購入資金など、中期的な目標
- C:短期的な利益獲得
- 質問2:投資に回せるお金は、どのくらいの期間使いませんか?
- A:10年以上
- B:5年~10年未満
- C:1年~5年未満
- 質問3:もし投資したお金が一時的に20%減ったら、どう感じますか?
- A:長期的に見れば回復すると思うので、あまり気にしない(むしろ買い増しを考える)
- B:不安になるが、すぐには売らない
- C:夜も眠れないほど心配になり、すぐに売りたくなる
- 質問4:あなたの収入は安定していますか?
- A:非常に安定している(例:公務員、大企業の正社員)
- B:比較的安定している(例:中小企業の正社員)
- C:不安定・変動が大きい(例:自営業、歩合制)
- 質問5:あなたには、経済的に支えるべき家族がいますか?
- A:いない
- B:いるが、生活には十分な余裕がある
- C:いて、生活費の多くをあなたが負担している
- 質問6:投資に関する知識や経験はどれくらいありますか?
- A:十分にある、または積極的に学んでいる
- B:少しはあるが、あまり自信はない
- C:ほとんどない、これから学びたい
簡単な見方:
- Aが多い人: リスク許容度は比較的高めかもしれません。株式などの割合を多めにしたり、長期的な視点で投資を考えられます。
- Bが多い人: リスク許容度は標準的かもしれません。株式と債券などをバランス良く組み合わせた分散投資が向いているでしょう。
- Cが多い人: リスク許容度は比較的低めかもしれません。元本割れのリスクをできるだけ抑えたいタイプです。預貯金や、リスクの低い債券中心の投資信託などを多めにし、株式などのリスク資産は少なめにするのが良いでしょう。CFDのようなハイリスク商品は避けるべきです。
自分のリスク許容度を理解することで、周りの情報や一時的な感情に流されず、自分に合った投資を続けることができます。
もし自分がリスクに弱いタイプだと分かれば、無理にCFDのような難しい投資に手を出す必要はないのです。









5.3 安全運用 vs. ハイリスク運用のバランス取り
資産形成を考える上で、「安全性」と「収益性(成長性)」のバランスをどう取るかは、永遠のテーマです。
全ての資金を預貯金などの安全な場所に置いておくだけでは、インフレ(物価上昇)に負けてしまい、実質的な価値が目減りする可能性があります。
かといって、全ての資金をハイリスクな投資に回しては、大きな損失を被る危険があります。
そこで有効な考え方の一つが「コア・サテライト戦略」です。
これは、自分の資産を「コア(核となる部分)」と「サテライト(衛星となる部分)」に分けて管理する方法です。
- コア部分: 資産の大部分(例えば70%~90%)を占めます。長期的な安定成長を目指し、リスクを抑えた運用を行います。具体的には、NISAを活用したインデックスファンドの積立や、国内外の株式・債券に幅広く分散された投資信託などが中心になります。
- サテライト部分: 資産の一部(例えば10%~30%)を占めます。コア部分よりも高いリターンを狙うため、少しリスクの高い資産に投資します。具体的には、成長が期待される個別企業の株式、新興国の株式ファンド、REIT(不動産投資信託)などが考えられます。
この戦略のポイントは、まずコア部分でしっかりと資産の土台を築くことです。
土台が安定していれば、万が一サテライト部分で損失が出ても、資産全体への影響を限定的にできます。
では、CFDはこの戦略の中でどこに位置づけられるでしょうか?
CFDは、そのハイリスク・ハイリターンな性質から、間違いなく「サテライト」の中でも特にリスクが高い部分に分類されます。
もしCFD取引を検討するとしても、それはしっかりとしたコア資産を築き上げた後に、資産全体のごく一部(例えば数%程度)の余裕資金で、かつ本記事で解説した安全対策(低レバレッジ、損切り徹底など)を厳守できる場合に限られるでしょう。
投資初心者の方や、着実な資産形成を目指す方にとっては、まずはコア部分の構築に集中することが最優先です。
サテライト部分、特にCFDのようなハイリスクな投資は、焦って手を出す必要はありません。
安定した長期的な成長は、一攫千金を狙うことではなく、コツコツと規律ある投資を続けることから生まれるのです。









6. よくある質問(FAQ)
このセクションでは、CFDに関して初心者が抱きやすい疑問に答えます。FXと比べてどちらが危険なのか、万が一CFDで借金を負ってしまった場合の対処法、そしてリスクを理解した上で部分的にCFDを活用する場合の戦略例について解説します。
6.1 CFDとFXはどちらが危険?
CFDとFXは、どちらもレバレッジを使った証拠金取引であり、仕組みも似ています。
そのため、「どちらがより危険なのか?」という疑問を持つ人も多いでしょう。
結論から言うと、一概にどちらが危険とは言えません。
危険度は、以下の要素によって大きく変わるからです。
- 利用するレバレッジの高さ:国内FXの最大レバレッジは25倍ですが、CFDは商品によって異なり、株価指数なら10倍、商品なら20倍、株式なら5倍など様々です。単純な最大レバレッジ比較だけでは危険度は測れません。実際にどれくらいのレバレッジで取引するかが重要です。
- 取引する商品の価格変動(ボラティリティ):FXの通貨ペアの中でも、米ドル/円のような主要通貨ペアは比較的値動きが穏やかな傾向がありますが、トルコリラ/円のような新興国通貨ペアは非常に値動きが激しいです。CFDも同様で、日経平均のような主要株価指数は比較的安定しているかもしれませんが、原油や天然ガス、あるいは特定の個別株などは、非常に大きな価格変動を起こすことがあります。取引対象自体のリスクが大きく影響します。
- 取引する人の知識や経験、リスク管理能力:どんな商品であっても、十分な知識がないまま、あるいは資金管理ルールを守らずに取引すれば、リスクは高まります。逆に、リスクを理解し、低レバレッジで損切りを徹底すれば、比較的安全に取引することも可能です。
FXは為替のみ、CFDは株価指数や商品など多様なため、CFDの方がより幅広い知識が必要になる場面はあるかもしれません。
しかし、最終的な危険度は、「何を」「どのように」取引するかによって決まります。
CFDだから危険、FXだから安全(あるいはその逆)ということはないのです。
どちらを選ぶにしても、レバレッジのリスクを理解し、適切なリスク管理を行うことが最も重要です。









6.2 CFDで借金を抱えた場合の対処法は?
考えたくないことですが、万が一CFD取引で追証が発生し、支払えない「借金」の状態になってしまった場合、どうすれば良いでしょうか。
これは非常に深刻な事態であり、迅速かつ冷静な対応が必要です。
まず、絶対にやってはいけないのは、問題を無視したり、隠したりすることです。
状況は悪化するだけです。
取るべき行動は以下の通りです。
- すぐにCFD業者に連絡する:支払えない状況であることを正直に伝え、今後の対応について相談しましょう。分割払いや支払い猶予など、何らかの対応策を提示してくれる可能性もあります。
- 正確な状況を把握する:いくら借金があるのか、自分の収入や支出、他の借金の状況などを正確に把握しましょう。
- 絶対に、借金返済のためにさらにCFD取引をしない:「取り返そう」としてさらにリスクの高い取引に手を出すのは、傷口を広げるだけです。絶対にやめましょう。
- 専門家に相談する:
- 消費生活センターや金融庁の相談窓口: 公的な機関に相談し、アドバイスを求めることができます。
- 弁護士や司法書士: 借金の額が大きい場合や、業者との交渉が難しい場合は、借金問題に詳しい法律の専門家に相談することを強くおすすめします。債務整理(任意整理、自己破産、個人再生など)の方法も含めて、最適な解決策を一緒に考えてくれます。
- ファイナンシャルプランナー: 家計全体の立て直しについて相談できます。
借金を抱えてしまうと精神的に追い詰められがちですが、一人で悩まず、必ず誰かに相談してください。
そして何より、このような事態に陥らないために、事前のリスク管理(低レバレッジ、損切り徹底、余裕資金での取引)がいかに重要かを再認識する必要があります。









6.3 CFDを部分的に活用するならどんな戦略?
この記事では、CFDはリスクが高く、特に初心者にはおすすめしない、とお伝えしてきました。
しかし、リスクを十分に理解し、厳格な管理ができるのであれば、限定的にCFDを活用する方法も考えられなくはありません。
ただし、これらはある程度の投資経験があり、しっかりとしたコア資産を築いた人が、余裕資金の一部で行うことが大前提です。
以下にいくつかの例を挙げますが、決して初心者におすすめするものではありません。
活用例1:ヘッジ(リスク回避)
- 目的: 保有している他の資産(例:日本株ポートフォリオ)の価格下落リスクを一時的に抑える。
- 方法: 日本株ポートフォリオ全体の値下がりが心配な時に、日経平均CFDなどを「売り」建てする。もし株価が全体的に下がれば、CFDの利益で株式の損失の一部を相殺できる可能性があります。
- 注意点: どの銘柄をどれくらいの量でヘッジするかなど、高度な判断が必要です。コストもかかります。
活用例2:特定の市場へのアクセス
- 目的: 通常の証券口座では投資しにくい海外の株価指数や、原油・金などの商品に投資する。
- 方法: CFDを利用して、これらの市場の値動きに投資する。
- 注意点: その市場特有の値動き要因やリスクを十分に調査・理解する必要があります。
活用例3:短期的な価格変動を狙う
- 目的: テクニカル分析や重要な経済指標発表などを基に、短期的な値動きを捉えて利益を狙う。
- 方法: デイトレードやスイングトレードといった短い時間軸で取引を行う。
- 注意点: 最もリスクが高い活用法です。高い分析能力、迅速な判断力、そして鉄の規律(損切り徹底)が求められます。多くの時間と精神的なエネルギーを必要とします。
いずれの活用法を選ぶにしても、共通する絶対的なルールがあります。
- 使うのは余裕資金のみ。
- レバレッジは低く抑える(例:3倍以内)。
- 必ず逆指値注文(損切り)を設定し、厳守する。
- CFDはあくまで資産の一部(サテライト)であり、メインの投資にしない。
これらのルールを守れないのであれば、CFDには手を出さない方が賢明です。









7. まとめ ― CFDをおすすめしない理由を再確認しよう
最後に、なぜCFD取引が初心者におすすめされないのか、その主な理由を改めてまとめます。レバレッジによる大きな損失リスクや借金の可能性、スプレッドや金利といったコスト負担、税金面での不利な点、精神的な負担など、これまで見てきた重要なリスクを再確認し、投資には慎重な姿勢で臨み、より安全な代替案を検討することの重要性を強調します。
この記事では、「cfd おすすめしない」と言われる理由と、その背景にあるリスクについて詳しく解説してきました。
CFDは少ない資金で大きな取引ができ、多様な市場にアクセスできる魅力的な側面も持っています。
しかし、その裏には初心者にとって特に注意が必要な大きな落とし穴がいくつも存在します。
ハイレバレッジは、少しの値動きで資金を大きく失うリスクと隣り合わせです。
市場の急変動時にはロスカットが間に合わず、追証が発生し、最悪の場合は借金を負う可能性すらあります。
また、「手数料無料」の裏にはスプレッドというコストがあり、金利調整額は長期保有を不利にします。
24時間市場は生活リズムを崩し、精神的な負担となることもあります。
税制面では、株式投資などとの損益通算ができないというデメリットもあります。
これらのリスクは、「一攫千金を狙う」「資金管理が曖昧」「練習不足」といった初心者にありがちな行動と組み合わさることで、さらに危険性を増します。
だからこそ、多くの場合、特に投資経験の浅い方には「cfd おすすめしない」のです。
もし、それでもCFDに挑戦したいと考えるなら、レバレッジを低く抑え、損切り注文を徹底し、信頼できる国内業者を選び、余裕資金の範囲内で行うなど、本記事で紹介した安全対策を必ず実行してください。
しかし、より優先すべきは、ご自身の投資目的やリスク許容度を見極め、NISAを活用した積立投資や現物株式など、より着実な資産形成の方法を検討することかもしれません。
投資はギャンブルではありません。
焦らず、学び、リスクを理解し、自分に合った方法で、賢く資産と向き合っていきましょう。
CFD取引は、ハイレバレッジによる元本超過損失や追証(借金)のリスク、スプレッドや金利調整額といったコスト、損益通算不可などの税制面、24時間市場の精神的負担など、多くのリスクを伴います。
特に初心者は、一攫千金を狙ったり、資金管理や練習が不十分だったりして失敗しがちです。
そのため、CFDは安易におすすめできません。
もし挑戦するなら、低レバレッジ、損切り徹底、余裕資金など厳格なルールが必要です。
本記事の注意事項(免責事項)
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘を意図したものではありません。本記事に記載されている情報については、正確性、完全性、有用性を確保するために努力しておりますが、その保証は致しかねます。投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事の内容を利用して生じたいかなる損害についても、当サイトおよび著者は一切の責任を負いかねます。詳しくは免責事項ページをご確認ください。



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