「CFD 信用取引 違い」と検索されたあなたは、どちらの取引方法が自分に合っているのか迷っているかもしれません。
この記事では、CFDと信用取引の基本的な違いから、それぞれのメリット・デメリット、どのような投資戦略に適しているのかをわかりやすく解説します。
この記事を読むことで、あなたに最適な取引方法を見つけ、投資の世界で一歩を踏み出すことができるでしょう。
CFDは少ない資金で大きな取引ができ、多様な商品に投資できる点が魅力です。
一方、信用取引は株式投資でよく用いられ、レバレッジを効かせて効率的な取引が可能です。
この記事を読めば、それぞれの特徴を理解し、自信を持って取引に臨めるようになるでしょう。
1. CFDと信用取引の基礎知識
CFD(差金決済取引)と信用取引は、どちらもレバレッジを使って手持ち資金以上の取引ができる金融商品です。CFDは現物を持たずに価格差だけで利益をねらう取引で、株価指数や商品など多様な資産が対象です。一方、信用取引は証券会社から資金や株を借りて実際の株式などを売買する取引です。このセクションでは、それぞれの基本的な仕組み、特徴、そして主な共通点と違いを分かりやすく解説します。
1.1 CFDとは?仕組みと特徴
CFDは「Contract For Difference」の略で、日本語では差金決済取引といいます。
これは、実際に商品(例えば株や原油など)を受け渡しするのではなく、取引を始めた時の価格と終わった時の価格の差額だけをやり取りする取引方法です。
例えば、あるCFDの価格が100円の時に買って、110円になった時に売ったとします。
この場合、実際に110円を受け取るのではなく、価格差の10円が利益として口座に入ります。
逆に、100円で買って90円で売った場合は、差額の10円が損失として口座から引かれます。
CFDの大きな特徴の一つがレバレッジです。
レバレッジとは、「てこ」のように、少ない資金(証拠金といいます)を担保にして、その何倍もの大きな金額の取引ができる仕組みのことです。
これにより、少ない資金でも大きな利益をねらえる可能性があります。
ただし、予想と反対に価格が動いた場合は、損失も大きくなる恐れがあるため注意が必要です。
もう一つの特徴は、「売り」から取引を始められる点です。
これは、価格が下がると予想した時に使える方法です。
先に「売る」注文を出しておき、実際に価格が下がった時に「買い戻す」ことで、その価格差が利益になります。
相場が下落している局面でも利益をねらえるチャンスがあるのです。
CFDでは、日経平均株価のような株価指数、金や原油のような商品、外国の株式など、世界中のさまざまな資産(これを原資産といいます)の価格に連動した取引ができます。







1.2 信用取引とは?仕組みと特徴
信用取引は、株式などを売買したい時に、証券会社からお金や株券を借りて行う取引のことです。
手元にある資金や株券(これを保証金として預けます)以上の金額の取引ができるようになります。
信用取引には大きく分けて2つの方法があります。
一つは、証券会社からお金を借りて株を買う「信用買い」です。
もう一つは、証券会社から株券を借りてそれを売る「信用売り(空売りともいいます)」です。
信用買いの場合、株価が上がった時に売れば、借りたお金を返済して残りが利益になります。
信用売りの場合は、株価が下がった時に安く買い戻して株券を返済し、その差額が利益になります。
信用取引でもレバレッジを利用できます。
預けた保証金の価値の約3.3倍まで(日本の株式の場合)の取引が可能です。
これも少ない資金で大きな取引ができるメリットがありますが、CFDと同様に、予想と反対に価格が動いた場合は損失が大きくなる可能性があります。
CFDと信用取引の大きな違いの一つは、信用取引では実際に証券取引所に上場されている株式などを売買する点です。
CFDは価格差だけを取引する契約でしたが、信用取引は借りたお金や株券を使って、本物の株を市場で取引します。
ただし、株主としての権利(議決権など)は通常得られません。









1.3 共通点と相違点の早わかり
CFDと信用取引、どちらも魅力的な特徴を持っていますが、共通点と異なる点があります。
ここで簡単に整理しておきましょう。
【共通点】
- レバレッジが使える:どちらも預けた資金(証拠金や保証金)以上の大きな取引ができます。
- 売り(空売り)から始められる:価格が下がる局面でも利益をねらうことができます。
- 価格変動による利益をねらう:主な目的は、価格の変動を利用して利益を得ることです。
【主な相違点】
項目 | CFD (差金決済取引) | 信用取引 |
取引するもの | 価格差を取引する契約(デリバティブ) | 証券会社から借りた実際の株式など |
投資対象 | 株価指数、商品、海外株など非常に多様 | 主に国内株式、ETF、一部の米国株など |
最大レバレッジ | 銘柄によるが高い(例: 株5倍, 指数10倍, 商品20倍) | 低い(例: 国内株 約3.3倍) |
取引時間 | ほぼ24時間(平日) | 証券取引所の取引時間内(例: 日本株 9:00-15:00) |
保有期限 | 原則なし | あり(制度信用: 6ヶ月、一般信用: 証券会社次第) |
現物の受渡し | なし | 可能(現引き・現渡し) |
このように、CFDと信用取引は似ているようで、取引の仕組みや対象、ルールに大きな違いがあります。
CFDは多様な市場に高いレバレッジで時間を選ばずアクセスできる柔軟性が魅力です。
一方、信用取引は国内株式を中心に、取引所のルールの中でレバレッジを効かせる伝統的な手法の延長線上にあるといえるでしょう。
どちらが良いかは、あなたの投資スタイルや目的によって異なります。









2. 取引対象と銘柄数の違い
CFDと信用取引では、取引できる金融商品の種類や数が大きく異なります。CFDは世界中の株価指数、商品(コモディティ)、外国株式など、非常に幅広い資産クラスに投資できるのが特徴です。一方、信用取引は主に日本の証券取引所に上場している株式やETFが中心となります。このセクションでは、それぞれの取引対象の違いと、海外株や商品への投資のしやすさについて詳しく見ていきます。
2.1 CFDで取引できる資産クラス
CFDの最大の魅力の一つは、取引できる資産クラスの豊富さです。
一つのCFD口座で、世界中のさまざまな市場にアクセスできます。
主に以下のような資産クラスのCFD取引が可能です。
- 株価指数CFD
- 日本の日経平均株価(日経225)やTOPIX
- アメリカのNYダウ、S&P500、ナスダック100
- ヨーロッパやアジア各国の主要な株価指数など
- 世界の経済全体の動きや、特定の国の景気を反映した取引ができます。
- 商品CFD
- 金(ゴールド)や銀、プラチナなどの貴金属
- 原油(WTI原油、ブレント原油)や天然ガスなどのエネルギー
- トウモロコシや大豆などの農産物
- インフレ対策や、特定の資源価格の変動をねらった取引が可能です。
- 株式CFD
- アップル、グーグル(アルファベット)、アマゾンといったアメリカの有名企業
- ヨーロッパや日本などの個別企業の株式
- 特定の企業の成長に期待する投資が、少ない資金からレバレッジをかけてできます。
- ETF CFD
- 特定の株価指数や商品価格に連動するように作られた上場投資信託(ETF)
- 例えば、金価格に連動するETFや、原油価格に連動するETFなどがあります。
- その他
- 債券先物や、市場の変動性を示す指数(VIX指数など)を対象としたCFDもあります。
また、FX(外国為替証拠金取引)も、広い意味ではCFDの一種と考えることができます。
このように、CFDは一つの口座でグローバルな分散投資を手軽に実現できる手段といえるでしょう。
特に、個人では直接取引するのが難しい商品(コモディティ)や海外の株価指数に、少ない資金でレバレッジをかけて投資できる点が大きなメリットです。









2.2 信用取引で扱える銘柄範囲
信用取引で主に扱えるのは、日本の証券取引所(東京証券取引所や名古屋証券取引所など)に上場している株式です。
ただし、上場している全ての銘柄が信用取引できるわけではありません。
信用取引には「制度信用取引」と「一般信用取引」の2種類があり、それぞれで取引できる銘柄の範囲が異なります。
- 制度信用取引
- 証券取引所が定めた一定の基準を満たした銘柄に限られます。
- 信用買いができる銘柄を「制度信用銘柄」といいます。
- 信用売り(空売り)ができる銘柄は、制度信用銘柄の中でもさらに限定された「貸借銘柄」だけです。
- どの銘柄が対象かは、取引所や証券会社で確認できます。
- 一般信用取引
- 証券会社が独自に対象銘柄を定めています。
- 制度信用取引では扱えない銘柄(例えば、新しく上場したばかりの株など)も、信用買いの対象になることがあります。
- ただし、信用売りができる銘柄は、証券会社が指定したものに限られ、制度信用よりも選択肢が少ない場合が多いです。
また、株式だけでなく、証券取引所に上場しているETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)なども、多くの場合、信用取引の対象となります。
しかし、CFDが世界中の多種多様な資産クラスを扱えるのと比べると、信用取引の対象は基本的に国内の上場商品が中心であり、銘柄の種類や数では限定的といえます。
信用取引ができるかどうかは、取引所のルール(制度信用)や各証券会社の判断(一般信用)に左右されるため、CFDほど自由度が高いわけではありません。









2.3 海外株・商品投資の可否
海外の株式や、金・原油といった商品(コモディティ)への投資を考えた場合、CFDと信用取引ではどちらが便利でしょうか。
【CFDの場合】
- 海外株式: CFDを使えば、アップルやグーグル、テスラといったアメリカの有名企業の株式などを、日本の証券会社の口座から手軽に取引できます。ヨーロッパなど他の地域の株式を扱っているCFD業者もあります。海外株投資への入口として非常に便利です。
- 商品(コモディティ): 金、銀、原油、天然ガス、トウモロコシなど、多種多様な商品をCFDで取引できます。これは信用取引では基本的にできません。
【信用取引の場合】
- 海外株式: 信用取引の対象は主に国内株式ですが、最近では一部の証券会社がアメリカの株式の信用取引サービスを提供し始めています。しかし、まだ銘柄数が限られていたり、レバレッジが国内株より低く設定されている(例えば2倍など)ことが一般的です。CFDほど手軽で幅広い選択肢があるわけではありません。
- 商品(コモディティ): 株式の信用取引口座では、金や原油といった商品を直接取引することはできません。
結論として、海外の個別株式や商品に積極的に投資したい場合は、CFDの方が圧倒的に有利で、選択肢も豊富です。
CFDは、日本の投資家が世界中の様々な市場にアクセスするための強力なツールといえるでしょう。
信用取引は、あくまで国内株式投資の延長線上での活用が中心となります。









3. レバレッジ・必要証拠金の比較
レバレッジは、少ない資金で大きな取引を可能にする仕組みで、CFDと信用取引の重要な特徴です。しかし、利用できるレバレッジの大きさには違いがあります。このセクションでは、CFDと信用取引の最大レバレッジを比較し、それが取引に必要な証拠金の額や資金効率にどう影響するかを解説します。また、レバレッジ取引に伴うリスク管理ルールである「追証」と「ロスカット」についても触れていきます。
3.1 最大レバレッジと資金効率
レバレッジを使うと、手持ちの資金(証拠金や保証金)の何倍もの金額の取引ができるため、資金効率が良いといわれます。
つまり、同じ利益をねらうのに、より少ない元手で済む可能性があるということです。
ただし、損失も同じ倍率で拡大するため、リスク管理が非常に重要になります。
CFDと信用取引では、この最大レバレッジの倍率が大きく異なります。
一般的に、CFDの方が信用取引よりも高いレバレッジを利用できます。
(1) CFDのレバレッジ上限
CFDのレバレッジは、取引する資産の種類(アセットクラス)やCFDを提供する会社によって異なります。
日本の規制のもとでは、主に以下のようなレバレッジ上限が設定されていることが多いです。
- 株式CFD(個別株):最大5倍
- 株価指数CFD(日経225やNYダウなど):最大10倍
- 商品CFD(金や原油など):最大20倍
- FX(為替):最大25倍 (参考)
- その他のCFD(債券やバラエティなど):銘柄により5倍~50倍など様々
このように、CFDでは対象によってレバレッジが使い分けられています。
高いレバレッジを使えば、それだけ少ない証拠金で取引を始められますが、価格が少し動いただけでも損益が大きく変動するため、リスクも高まります。
(2) 信用取引のレバレッジ上限
一方、日本の株式を対象とした信用取引のレバレッジは、法律などで上限が定められています。
- 国内株式の信用取引:最大約3.3倍
- これは、預けた保証金の価値の約3.3倍までの取引ができるという意味です。
- 米国株式の信用取引:提供している証券会社はまだ少ないですが、レバレッジは最大2倍程度と、国内株よりも低く設定されていることが多いです。
CFDと比べると、信用取引のレバレッジはかなり低い水準です。
これは、必要となる保証金の額がCFDよりも多くなることを意味します。
資金効率の面ではCFDに劣りますが、レバレッジが低い分、価格変動による損益の振れ幅はCFDよりも相対的に小さくなる傾向があります。
レバレッジの違いは、それぞれの取引のリスクの大きさや、どのような投資戦略に向いているかに直結します。
CFDの高いレバレッジは、短期的な取引や少ない資金で多様な市場にアクセスしたい場合に有効かもしれません。
信用取引の低いレバレッジは、国内株式投資の知識を活かしつつ、現物取引より少しだけ資金効率を高めたい場合に適しているといえるでしょう。









3.2 追証・ロスカットルール
レバレッジ取引には、損失が一定以上に拡大するのを防ぐための仕組みとして「追証(おいしょう)」と「ロスカット」があります。
これは、投資家を守るため、そして証券会社の未回収リスクを防ぐための重要なルールです。
- 追証(追加証拠金の略)
- 取引によって損失が発生し、口座の純資産(有効証拠金)が、取引を続けるために最低限必要な証拠金(維持証拠金)の基準を下回った場合に発生します。
- 追証が発生すると、指定された期限までに追加の資金を入金するか、保有しているポジションの一部または全部を決済して、証拠金の基準を回復させる必要があります。
- 期限までに解消できない場合、強制的にポジションが決済されることがあります。
- ロスカット
- さらに損失が拡大し、口座の純資産がロスカットレベルと呼ばれる、さらに低い基準まで減少した場合に、証券会社が強制的に全ての未決済ポジションを決済する仕組みです。
- これは、投資家の損失が預けた証拠金を上回るのをできる限り防ぐための最終的な安全装置です。
CFDと信用取引では、追証やロスカットの具体的なルール(基準となる証拠金維持率など)が異なります。
【CFDのルール例】
- 追証発生基準:証拠金維持率が100%を下回った場合など(業者による)。
- ロスカット基準:証拠金維持率が50%を下回った場合など(業者や商品により異なる)。
- 特徴:CFDはレバレッジが高いため、価格変動によって証拠金維持率が急激に変化しやすいです。業者によっては、ポジションごとにロスカットレートが設定されるなど、独自のシステムを採用している場合があります。
【信用取引のルール例】
- 追証発生基準:委託保証金維持率が20%や30%(業者や国内株・米国株などで異なる)を下回った場合。
- 追証の回復基準:追証発生ライン(例:20%)ではなく、当初の必要保証金率(例:30%)まで回復させる必要がある場合が多いです。
- ロスカット基準:追証を解消できない場合に強制決済。明確なロスカット維持率を設定している業者はCFDほど多くないかもしれませんが、維持率が極端に低下すれば強制決済のリスクがあります。
【重要な注意点】
ロスカットは損失の無限拡大を防ぐための仕組みですが、相場が急激に変動した場合(例えば、大きなニュース発表時や市場が開く直後など)には、設定されたロスカットレートよりも不利な価格で決済されてしまう(スリッページ)ことがあります。
その結果、預けた証拠金以上の損失が発生する可能性もゼロではありません。
追証やロスカットのルールを正しく理解し、常に口座の状況を確認し、余裕を持った資金管理を心がけることが、レバレッジ取引を行う上で非常に重要です。









4. 取引時間と取引期限
いつ取引できて、いつまでポジションを持っていられるのか、という点もCFDと信用取引の大きな違いです。CFDは世界の市場を対象としているため、平日はほぼ24時間取引が可能ですが、週末は休みになります。一方、信用取引は日本の証券取引所の開いている時間に限られます。また、ポジションを保有できる期間(取引期限)にも違いがあります。このセクションでは、これらの時間と期限に関するルールを比較します。
4.1 CFDの24時間取引と週末クローズ
CFDの大きなメリットの一つが、取引時間の長さです。
多くのCFD銘柄、特に世界の株価指数、為替(FX)、主要な商品(金や原油など)は、平日のほぼ24時間取引することができます。
これは、CFDが世界中の市場(アジア、ヨーロッパ、アメリカ)の価格を追いかけているためです。
例えば、日本の株式市場が閉まっている夜間でも、アメリカ市場が開いていればNYダウやナスダックのCFDを取引できます。
具体的な取引時間はCFD会社や銘柄によって多少異なりますが、一般的には月曜日の早朝(日本時間)から始まり、土曜日の早朝(日本時間)まで取引が可能です。
ただし、週末(土曜日と日曜日)は世界中のほとんどの市場が閉まるため、CFD取引もできません。
また、日本の祝日であっても、海外の市場が開いていれば、その市場に関連するCFDは取引できることが多いです。
この取引時間の長さは、日中仕事などで忙しい人でも、夜間や早朝に取引するチャンスがあることを意味します。
また、海外で大きなニュースがあった時に、すぐに対応できるという利点もあります。









4.2 信用取引の取引時間
信用取引ができる時間は、その取引対象となる株式などが上場している証券取引所の開いている時間に限られます。
日本の株式を信用取引する場合、基本的には東京証券取引所(東証)の取引時間と同じです。
現在の東証の取引時間は以下の通りです。
- 前場(ぜんば):午前 9:00 ~ 11:30
- 後場(ごば):午後 12:30 ~ 15:30
この時間帯以外、つまりお昼休み(11:30~12:30)や夕方から夜間、土日祝日は信用取引を行うことはできません。
一部の証券会社では、PTS(私設取引システム)を利用して夜間でも現物株の取引ができる場合がありますが、信用取引は基本的に上記の取引時間内のみとなります。
そのため、信用取引を行う場合は、日本の平日の日中に時間を確保する必要があります。
CFDのように夜間に取引したり、海外市場の動きにリアルタイムで対応したりすることはできません。
取引のタイミングは、日本の市場が開いている時間帯の価格変動に集中することになります。









4.3 ポジション保有期限の違い
取引を始めてから、そのポジション(買いや売りの持ち高)をいつまで持ち続けられるか、という保有期限にもCFDと信用取引で違いがあります。
【CFDの場合】
- 多くのCFD銘柄(特に株価指数、商品、FX、個別株CFDなど)には、原則として保有期限がありません。
- つまり、証拠金が足りている限り、理論上はずっとポジションを持ち続けることができます。
- ただし、ポジションを翌日に持ち越す(ロールオーバーする)際には、金利調整額などのコストが毎日発生します。
- また、原資産が先物の場合、CFDの価格が調整される(価格調整額)ことがあります。これは通常、CFD業者が自動で行うため、投資家自身が先物のように限月を乗り換える必要はありません。
- 一部、先物のように期限付きのCFDを提供している業者もあります。
【信用取引の場合】
信用取引には「制度信用」と「一般信用」があり、それぞれ保有期限のルールが異なります。
- 制度信用取引
- 保有期限は、新規建てした日から最長で6ヶ月と定められています。
- この期限までに必ず反対売買(決済)または現引き・現渡しを行う必要があります。6ヶ月を超えて持ち続けることはできません。
- 一般信用取引
- 保有期限は、証券会社が独自に定めています。
- 「無期限」で持てるものもあれば、「短期(例:14日間など)」や、その日のうちに決済しなければならない「デイトレード(1日)」専用のものなど、様々です。
- 無期限のものは長期保有が可能ですが、制度信用よりも金利や貸株料が高くなる傾向があります。
まとめ
長期的な視点でポジションを持ちたい場合、期限のないCFDや一般信用の無期限タイプが選択肢になりますが、それぞれコスト(金利調整額や高い金利)がかかることを考慮する必要があります。
制度信用取引は6ヶ月という明確な期限があるため、中期的なトレードに向いているといえるでしょう。
一般信用の短期タイプは、その名の通り短期的な売買を想定したものです。
このように、保有期限の違いは、どのような時間軸で投資戦略を立てるかに大きく影響します。









5. 取引コストと税制
投資を行う上で、手数料などの取引コストと税金は利益に直接影響する重要な要素です。CFDと信用取引では、かかるコストの種類や税金の計算方法が異なります。このセクションでは、取引手数料、スプレッド、金利や貸株料といったコストを比較し、税率、損益通算のルール、配当金の扱い、そして株主優待の有無についても解説します。
5.1 手数料・スプレッド・金利の比較
CFDと信用取引では、取引にかかる主なコストとして、①取引手数料、②スプレッド、③金利・貸株料(またはそれに類するもの)があります。
(1) 取引手数料
- CFD
- 株価指数、商品、FXなどのCFDでは、取引手数料が無料の証券会社が多いです。この場合、実質的なコストは主にスプレッドになります。
- ただし、個別株式のCFDについては、取引手数料がかかる場合があります。手数料は、約定代金に対して一定の割合(例:0.055%など)で計算されることが多いです。
- 信用取引
- 基本的に取引手数料がかかります。これは、現物株の取引と同じように、約定代金に応じて計算されるプラン(例:1約定ごとプラン)や、1日の合計約定代金で決まるプラン(例:1日定額プラン)などがあります。
- 最近では、特定の条件を満たすと手数料が無料になるプランを提供している証券会社も増えています。
(2) スプレッド
- スプレッドとは、買値(Ask)と売値(Bid)の差のことで、取引する際の実質的なコストの一つです。
- CFD
- 特に取引手数料無料のCFDでは、このスプレッドが主な取引コストとなります。スプレッドの幅は、CFD会社、銘柄、市場の状況によって変動します。
- 人気の銘柄ではスプレッドが狭く設定されている傾向がありますが、業者間で比較検討することが望ましいです。
- 信用取引
- 信用取引は証券取引所を通じて行われるため、基本的には市場で提示されている株価の買値と売値の差(気配値の差)がスプレッドに相当します。CFDのように業者が独自に上乗せするスプレッドはありません。
(3) 貸株料・金利
ポジションを翌日以降に持ち越した場合にかかるコストです。
- CFD
- 金利調整額:ポジションを保有したまま翌営業日に持ち越した場合に、ほぼ毎日発生します。買いポジションの場合は支払い、売りポジションの場合は受け取り(または支払い)となることが多いです。これは、レバレッジをかけたポジション全体の金額に対して計算されるため、特に長期保有や高レバレッジの場合、コストが大きくなる可能性があります。
- 貸株料相当:個別株CFDの売りポジションを保有している場合、別途、株を借りるためのコストがかかることがあります。
- 信用取引
- 金利(買方金利):信用買いの場合、証券会社から借りた資金に対して金利がかかります。年率で表示され、日割りで計算されます。
- 貸株料:信用売り(空売り)の場合、証券会社から借りた株券に対して貸株料がかかります。これも年率で表示され、日割りで計算されます。
- 逆日歩(ぎゃくひぶ):制度信用で信用売りをしている銘柄で、株券が不足した場合に追加で発生するコストです。売り方が支払い、買い方が受け取ります。逆日歩は予測が難しく、時には非常に高額になることがあるため、信用売りの際には特に注意が必要です。一般信用取引では通常、逆日歩は発生しませんが、その分、貸株料が高めに設定されていることがあります。
コスト比較のポイント
取引手数料だけ見るとCFDの方が安く見えるかもしれませんが、スプレッドや日々の金利調整額を含めたトータルコストで考える必要があります。
特に長期でポジションを持つ場合、CFDの金利調整額はレバレッジがかかった元本全体にかかるため、信用取引の金利(借りた資金分のみにかかる)よりも負担が大きくなる可能性があります。
一方で、信用売りにおける逆日歩リスクはCFDにはないため、その点はCFDのメリットといえるでしょう。









5.2 税率・損益通算・配当金調整額
CFDと信用取引で得た利益には税金がかかります。税金のルールも少し異なります。
(1) 税率と課税区分
- CFD
- CFD取引で得た利益は「雑所得」に分類されます。
- 税金の計算方法は「申告分離課税」です。これは、給与など他の所得とは分けて税金を計算する方法です。
- 税率は、所得の大きさにかかわらず一律20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)です。
- 信用取引
- 信用取引で株などを売買して得た利益(譲渡益)は「譲渡所得」に分類されます。
- これも「申告分離課税」の対象です。
- 税率はCFDと同じく、一律20.315%です。
つまり、売買による利益に対する税率と基本的な計算方法は、CFDも信用取引も同じです。
(2) 損益通算の可否
損益通算とは、同じグループの所得の中で、利益と損失を相殺できる仕組みです。これにより、全体の税金を抑えることができます。
- CFD
- CFDの利益や損失は、他の「先物取引に係る雑所得等」と損益通算ができます。
- これには、FX(外国為替証拠金取引)、日経225先物などの他のデリバティブ取引が含まれます。
- 株式の売買損益(譲渡所得)とは通算できません。
- 信用取引
- 信用取引の利益や損失(譲渡所得)は、現物株式や投資信託などの「上場株式等に係る譲渡所得等」と損益通算ができます。
- CFDやFXなどのデリバティブ取引の損益とは通算できません。
また、どちらの場合も、その年に引ききれなかった損失は、確定申告をすれば翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来の利益と相殺することができます(繰越控除)。
ポイントは、CFDはデリバティブ仲間と、信用取引は株式仲間としか損益通算できない、という税金のグループ分けがある点です。
(3) 配当金調整額・配当落ち
株式には配当金を出すものがありますが、CFDや信用取引では直接配当金を受け取るわけではありません。その代わりに、配当金の権利が決まる日(権利確定日)をまたいでポジションを持っていると、配当金に相当する金額の調整が行われます。
- CFD
- 「権利調整額」という名前で調整されます。
- 買いポジションを持っている人は、配当金相当額を受け取ります。
- 売りポジションを持っている人は、配当金相当額を支払います。
- この権利調整額は、CFDの売買損益(雑所得)の一部として扱われ、20.315%の税金がかかります。
- 信用取引
- 「配当落調整金」という名前で調整されます。
- 信用買いの人は、配当金の額から所得税相当額(約15.315%)が引かれた金額(つまり約84.685%)を受け取ります。
- 信用売りの人は、制度信用の場合は約84.685%を支払います。しかし、一般信用の場合は、配当金の全額(100%)を支払わなければならないことが多いです。これは売り方にとって不利になる場合があります。
- この配当落調整金は、配当所得ではなく、譲渡所得の一部として扱われます。
このように、配当金相当額の受け払いルールや税務上の扱いにも違いがあります。特に一般信用で配当が出る株を空売りする際は、コスト負担が大きくなる可能性があるので注意が必要です。









5.3 株主優待・権利付き最終日への影響
日本の株式投資の魅力の一つに「株主優待」があります。
これは、企業が株主に対して、自社製品や割引券などをプレゼントする制度です。
では、CFDや信用取引で株主優待はもらえるのでしょうか?
- CFD
- CFD取引では、株主優待を受け取ることはできません。
- なぜなら、CFDはあくまで価格差を取引する契約であり、実際に株主になっているわけではないからです。
- 信用取引
- 信用取引で買いポジションを持っていても、通常は株主優待を受け取ることはできません。
- 株主優待は、権利確定日に株主名簿に名前が載っている株主に対して送られますが、信用買いで保有している株の名義は通常、投資家本人ではなく証券会社などになっているためです。
- (例外的に、権利確定日までに「現引き」という手続きをして、信用買いした株を現物株として自分の名義にすれば、優待を受け取ることは可能です。)
「つなぎ売り」という戦略
株主優待をもらいつつ、株価下落のリスクを抑えたい場合に、「つなぎ売り」という手法を使う投資家もいます。
これは、現物株で優待の権利を取り、同時に同じ銘柄を信用売りしておくことで、権利落ち後の株価下落による損失をカバーしようとするものです。
ただし、これは信用取引で優待をもらう方法ではなく、現物株を持っていることが前提のリスクヘッジ手法であり、信用売りのコスト(手数料、貸株料、場合によっては逆日歩)がかかります。
結論
株主優待を受け取りたい場合は、CFDや信用取引ではなく、現物株として株式を保有する必要があります。
レバレッジをかけた取引では、基本的に株主優待のメリットは享受できないと覚えておきましょう。









6. メリット・デメリット総まとめ
ここでは、CFD取引と信用取引のそれぞれの良い点と注意が必要な点をまとめて解説します。CFDは多様な銘柄に少額から投資でき、ほぼ24時間取引可能な点が魅力ですが、レバレッジによるリスクやコストも存在します。信用取引は国内株取引に特化し、レバレッジや空売りが可能ですが、追証や金利、返済期限などのルールに注意が必要です。どちらの取引方法にも魅力的な部分と、知っておくべきリスクがありますので、ここでしっかり確認しましょう。
6.1 CFDのメリット・デメリット
CFD取引には、たくさんの良い点がありますが、注意しておきたい点もあります。
CFDの良い点(メリット)
- いろいろなものに投資できる
- 国内外の株価指数(日経平均やNYダウなど)。
- 外国の有名企業の株(アップルやアマゾンなど)。
- 金や原油などの商品。
- ETF(上場投資信託)。
- これら多くの種類に手軽に投資できます。
- 少ないお金で始められる
- レバレッジ(てこの原理)を利用します。
- 少ない資金(証拠金)でも大きな金額の取引が可能です。
- 例えば1万円で10万円分の取引もできます(レバレッジ10倍)。
- 「売り」からでも取引できる
- 普通の株取引(現物株)は安く買って高く売るのが基本です。
- CFDなら、価格が下がると思えば「売り」から始められます。
- 高く売って、安く買い戻せば利益になります。
- ほぼ24時間いつでも取引できる
- 世界中の市場が対象なので、日本が夜中でも取引できる銘柄が多いです。
- 平日なら、ほぼいつでも取引のチャンスがあります。
- 仕事で日中忙しい人にも向いています。
- 取引手数料が無料のことが多い
- 多くの証券会社では、CFDの取引手数料を無料にしています。
- コストを抑えて取引しやすいです。
- (ただし、スプレッドという実質コストはかかります)。
- 決済の期限がない
- 原則として、持っているポジションをいつまでも持ち続けることができます。
- 自分の好きなタイミングで決済できます。
CFDの注意点(デメリット)
- レバレッジで損失も大きくなる
- 少ない資金で大きな利益をねらえる反面、損も大きくなる可能性があります。
- 予想と反対に価格が動くと、大きな損失が出る恐れがあります。
- リスク管理がとても大事です。
- ロスカットされることがある
- 損失がふくらみ、証拠金が一定のレベルを下回ると、自動的に決済されます。
- これをロスカットといいます。
- 大きな損を防ぐ仕組みですが、自分の意図しないタイミングで損が確定します。
- スプレッド(売値と買値の差)がある
- 取引手数料が無料でも、売るときの値段と買うときの値段に差があります。
- この差がスプレッドで、実質的な取引コストになります。
- スプレッドが狭いほど有利です。
- 調整額の支払いが発生することがある
- ポジションを翌日まで持ち越すと、金利調整額がかかることがあります(通常は支払い)。
- 配当金が出る銘柄では、権利調整額の受け払いがあります(買いなら受け取り、売りなら支払いが多い)。
- 長期で持つと、これらのコストが影響します。
- どの銘柄を選べばいいか迷う
- 取引できる銘柄の種類がとても多いです。
- 初心者のうちは、どれに投資すればよいか迷うかもしれません。
- 情報が少ない銘柄もある
- 特に海外の新しい会社の株などは、日本語の情報が少ない場合があります。
- 情報が少ないと、リスクの判断が難しくなります。









6.2 信用取引のメリット・デメリット
信用取引も、少ない資金で大きな取引ができるなどの良い点がありますが、CFDとは違う注意点があります。
信用取引の良い点(メリット)
- レバレッジで資金効率アップ
- 証券会社に預けたお金(保証金)の、最大で約3.3倍までの取引ができます。
- 少ない資金でも、より大きな金額の株を売買できます。
- 例えば100万円の保証金で、330万円分の取引が可能です。
- 「売り」からでも取引できる(空売り)
- 株価が下がると思った時に、証券会社から株を借りて先に売ることができます。
- その後、株価が下がったところで買い戻せば、差額が利益になります。
- 下落相場でも利益をねらえます。
- デイトレードで何度も売買できる
- 差金決済という仕組みにより、同じ銘柄を、同じ資金で、1日のうちに何度も売買できます。
- 短期間で利益を積み重ねたいデイトレードに向いています。
- 日本のほとんどの株が対象
- 日本の証券取引所に上場している、ほとんどの会社の株を取引できます。
- なじみのある日本の会社の株で取引したい人には分かりやすいでしょう。
信用取引の注意点(デメリット)
- レバレッジで損失も大きくなる
- CFDと同じように、予想と反対に株価が動いた場合、損失も約3.3倍にふくらむ可能性があります。
- 保証金として預けた金額以上の損失が出る恐れもあります。
- 追証(おいしょう)のリスクがある
- 株価が下がるなどして損失がふくらみ、保証金の価値が一定の割合(維持率)を下回ると発生します。
- 追加でお金(保証金)を入れるように求められます。
- 期限までに入金できないと、持っているポジションが強制的に決済されてしまいます。
- コストがかかる(金利・貸株料など)
- 信用買いでは、お金を借りるための金利(買方金利)がかかります。
- 信用売り(空売り)では、株を借りるための費用(貸株料)がかかります。
- これらのコストは、ポジションを持っている間、毎日かかります。
- 逆日歩(ぎゃくひぶ)のリスクがある
- 信用売りをしたい人がとても多くなり、証券会社が貸し出す株が不足すると発生します。
- 「品貸料(しながしりょう)」とも呼ばれます。
- 予想外の高いコストになることがあり、注意が必要です。
- 土日や祝日でも発生します。
- 返済期限がある(制度信用)
- 信用取引には「制度信用」と「一般信用」があります。
- 制度信用取引では、原則として6ヶ月以内に反対売買(決済)するか、現物で引き取る(現引・現渡)必要があります。
- 長期保有には向きません。
- (一般信用取引には、無期限のものもありますが、金利は高めになる傾向があります)。
- 取引時間が限られる
- 日本の証券取引所が開いている時間しか取引できません。
- 平日の9:00~11:30と12:30~15:30の間だけです。









7. 投資スタイル別の選び方
CFDと信用取引、どちらが自分に合っているかは、投資のやり方によって変わってきます。ここでは、デイトレードのような短期売買、じっくり取り組む中長期投資、少ない資金で大きなリターンをねらうスタイル、そしてリスクへの考え方や経験に合わせて、どちらを選ぶべきかのヒントをお伝えします。取引時間、投資対象、レバレッジの高さ、コスト構造、リスクの種類などを考慮して、最適な方法を見つけましょう。
7.1 デイトレード・短期売買向き
デイトレードのように、1日のうちに何度も売買をくり返す短期的な取引スタイルには、CFDと信用取引のどちらが向いているのでしょうか。
CFDがデイトレードに向いている点
- ほぼ24時間取引できる
- 日本の株式市場が閉まっている夜間や早朝でも、海外の株価指数や為替、商品などを取引できます。
- これにより、取引チャンスが増えます。
- 日中忙しいサラリーマンや主婦の方でも、空いた時間に取引しやすいです。
- 世界中の様々な市場で取引できる
- 日経平均だけでなく、アメリカのダウ平均やナスダック、ドイツのDAXなど、世界の主要な株価指数が取引対象です。
- 金や原油などの商品(コモディティ)も人気があります。
- 値動きが大きい市場を選んで、短期的な利益をねらうことができます。
- スプレッドの狭さが重要
- 取引回数が多くなるデイトレードでは、1回あたりのコストが重要です。
- CFDの実質的なコストであるスプレッドが狭いほど、利益を出しやすくなります。
- 証券会社によってスプレッドは異なるため、比較検討が必要です。
- 取引手数料が無料の場合が多い
- 多くの証券会社で取引手数料が無料なため、コストを抑えられます。
- ただし、スプレッドは発生します。
信用取引がデイトレードに向いている点
- 差金決済で効率的な売買
- 同じ銘柄を、同じ資金で、1日のうちに何度も回転売買できます。
- これはデイトレードの基本的な手法に合っています。
- 日本の個別株が中心
- 日本の証券取引所に上場している個別株のデイトレードをしたい場合に、最も一般的な方法です。
- なじみのある企業の株価の値動きで勝負できます。
- デイトレード向け手数料プラン
- ネット証券の中には、1日の取引金額の合計で手数料が決まる「1日定額制」プランを用意しているところが多いです。
- 例えば、「1日100万円までの取引なら手数料無料」といったプランを活用すれば、コストを抑えられます。
- 取引時間が限定される
- 取引できるのは、日本の証券取引所が開いている平日の9:00~11:30と12:30~15:30のみです。
- この時間帯に集中して取引するスタイルになります。
どちらを選ぶか?
- 取引時間や投資対象の広さを重視するなら、CFDが有力な選択肢になるでしょう。
- 世界中の市場の値動きを追いたい、夜間や早朝にも取引したい人に向いています。
- 日本の個別株のデイトレードに特化したいなら、信用取引が考えられます。
- 日本の市場が開いている時間に集中して取引したい人に向いています。
どちらを選ぶにしても、短期売買は値動きを常にチェックする必要があり、素早い判断とリスク管理が求められます。









7.2 中長期投資向き
数ヶ月から数年といった期間で、じっくりと資産を増やしていく中長期投資には、CFDと信用取引は向いているのでしょうか。
CFDは中長期投資に使えるか?
- 決済期限がない点は有利
- CFDには、信用取引(制度信用)のような返済期限がありません。
- そのため、理論上はポジションを何年でも持ち続けることができます。
- 長期的な視点での投資戦略も可能です。
- 調整額コストが問題になる
- しかし、ポジションを翌日に持ち越すと金利調整額(オーバーナイトコスト、ファイナンシングコストとも呼ばれる)が発生します。
- これは、買いポジションの場合は通常「支払い」となり、毎日積み重なっていきます。
- 長期で保有すればするほど、このコストが利益を圧迫する可能性があります。
- 配当金が出る原資産(株や株価指数など)の場合、権利調整額の受け払いもありますが、金利調整額の支払いの方が大きくなることが多いです。
- 長期投資の対象として
- 世界の成長が期待される株価指数(S&P500など)や、特定の外国株などに、レバレッジをかけて長期投資するという考え方もあります。
- ただし、上記のコストとレバレッジのリスクを十分に理解する必要があります。
信用取引は中長期投資に使えるか?
- 制度信用は不向き
- 制度信用取引には6ヶ月という返済期限があります。
- 数年単位の長期投資には、この期限が短すぎます。
- 期限が近づくと、意図しないタイミングで決済しなければならなくなる可能性があります。
- 一般信用(無期限)なら可能だが…
- 証券会社によっては、返済期限がない、または非常に長い「一般信用」取引を提供しています。
- これを使えば長期保有も可能ですが、買方金利は制度信用よりも高くなる傾向があります。
- 金利コストが継続的にかかるため、やはり長期投資にはコスト面での負担が大きいです。
- 中長期投資の基本は現物株
- そもそも、中長期で企業の成長などに投資する場合、レバレッジをかけない現物株投資が基本と考えられます。
- 信用取引は、どちらかというと短期的な価格変動をねらったり、一時的な資金不足を補ったりするための手段として使われることが多いです。
どちらを選ぶか?
- レバレッジをかけて中長期投資をしたい、という特殊な戦略をとるならば、決済期限のないCFDの方が選択肢としては考えられます。
- ただし、金利調整額というコストが長期的に見てどれだけ影響するかを、必ず事前にシミュレーションし、理解しておく必要があります。
- また、レバレッジをかけて長期保有すること自体のリスク(価格変動リスクの増大)も非常に高いです。
- 信用取引は、基本的に短期向けの取引方法と考えた方が安全でしょう。
- 中長期の資産形成を目指すなら、まずは現物株での投資を検討するのが一般的です。
レバレッジを使った長期投資は、コストとリスクの両面から、初心者にはあまりおすすめできません。









7.3 少額・高レバレッジ志向
少ない資金から始めて、レバレッジを効かせて大きなリターンをねらいたい、という考え方の場合、CFDと信用取引のどちらが適しているでしょうか。
CFDの特徴
- 高いレバレッジが可能
- CFDは、投資対象によってレバレッジの倍率が異なりますが、信用取引よりも高いレバレッジを設定できることが多いです。
- 例えば、株式CFDなら最大5倍、株価指数CFDなら最大10倍、商品CFDなら最大20倍といったレバレッジが可能です(証券会社や銘柄により異なります)。
- これは、信用取引の最大約3.3倍と比べると、かなり高い水準です。
- 1株単位など、より少額から取引できる
- 特に株式CFDの場合、多くの証券会社で1株単位から取引ができます。
- 日本の株は通常100株単位(単元株)での取引が基本ですが、CFDなら数千円~数万円程度の資金でも、有名企業の株に投資を始めることが可能です。
- 信用取引では、基本的に単元株単位での取引となり、最低でも30万円の保証金が必要になるため、CFDの方が少額スタートには向いています。
- 多様な銘柄に少額分散投資も
- 少ない資金でも、国内外の株価指数、商品、外国株など、様々な種類の資産に分散して投資することも考えられます。
信用取引の特徴
- レバレッジは約3.3倍
- 現物取引(レバレッジなし)と比べれば、資金効率は良いですが、CFDほどの高いレバレッジではありません。
- 最低30万円の保証金が必要
- 信用取引を始めるには、原則として最低30万円の保証金を用意する必要があります。
- 少額から始めたい初心者にとっては、少しハードルが高いかもしれません。
- 単元株制度が基本
- 取引は基本的に100株単位など、まとまった株数で行います。
- そのため、株価が高い銘柄(値がさ株)を取引するには、それなりの保証金額が必要になります。
どちらを選ぶか?
- より少ない資金からスタートしたい場合や、より高いレバレッジをかけて積極的にリターンをねらいたい場合は、CFDの方が有利と言えるでしょう。
- 1株単位で取引できる点や、最大5倍~20倍といったレバレッジの高さが魅力です。
- 信用取引もレバレッジは利用できますが、CFDと比べると、始めに必要な資金額やレバレッジの倍率の面では、ややハードルが高いと言えます。
ただし、高いレバレッジは、それだけリスクも高くなることを絶対に忘れてはいけません。少額で始められるからといって、安易に高いレバレッジをかけるのは非常に危険です。









7.4 リスク許容度・経験別の判断基準
投資をする上で、自分がどれくらいのリスクを受け入れられるか(リスク許容度)や、これまでの投資経験は、CFDと信用取引のどちらを選ぶかの重要な判断材料になります。
リスク許容度(どれくらいリスクを受け入れられるか)
- リスクをあまり取りたくない人(リスク許容度が低い人)
- そもそも、CFDや信用取引のようなレバレッジをかける取引は、慎重に考える必要があります。
- 現物株投資など、レバレッジを使わない方法から始めるのが安全かもしれません。
- もしレバレッジ取引を試す場合でも、CFD・信用取引どちらであっても、最初は低いレバレッジ(例えば2倍程度)から始めることを強くおすすめします。
- 損失が出ても生活に影響が出ない範囲の、余裕資金で行うことが絶対条件です。
- ある程度リスクを取れる人(リスク許容度が高い人)
- CFDの高いレバレッジは、大きなリターンを得るチャンスがあるため魅力的に見えるかもしれません。
- しかし、その分、損失が大きくなるスピードも速いことを十分に理解しておく必要があります。
- 信用取引を選ぶ場合も、追証や逆日歩といった特有のリスクをきちんと理解し、対応できる準備が必要です。
- リスク許容度が高いからといって、無謀な取引をして良いわけではありません。損切りなどのリスク管理は必須です。
投資経験
- 投資初心者
- CFDと信用取引は、どちらも現物株取引より複雑でリスクが高いです。
- あえてどちらかを選ぶなら、少額から始められるCFDを、低いレバレッジで試してみる、という考え方もあります。CFDの方が、仕組み自体は(追証や期限がない分)シンプルに感じるかもしれません。
- ただし、どちらを選ぶにしても、損切りルールの設定と実行は絶対に必要です。
- 信用取引の「追証」「返済期限」「逆日歩」といった複雑なルールは、少し投資に慣れてからの方が理解しやすいかもしれません。
- まずはデモトレードで練習するのも良い方法です。
- 投資経験者
- これまでの経験や知識を活かして、自分の投資戦略に合わせてCFDと信用取引を使い分けることができます。
- 例えば、「長期的なヘッジ目的で株価指数CFDを使いつつ、短期的な個別株の値動きは信用取引でねらう」といった組み合わせも可能です。
- 経験があるからこそ、リスク管理の重要性を理解し、徹底することができるでしょう。
どちらを選ぶか?
- リスクを抑えたい初心者の方は、まずは現物株投資から始めるのが最も安全です。レバレッジ取引に挑戦するなら、CFDを低レバレッジ(2倍程度)で、少額から試すのが良いかもしれません。
- 経験があり、リスクを理解した上で積極的にリターンを追求したい人は、投資対象(国内株か、海外か、商品か)、取引期間(短期か、中期か)、使いたいレバレッジの高さなどを考慮して、CFDと信用取引を戦略的に使い分けることができます。
CFDの「ほぼ24時間取引可能」という特徴は、常に市場をチェックできる人にはチャンスが多いですが、逆に言えば、規律がないと夜も眠れなくなったり、感情的な取引をしてしまったりする原因にもなりえます。一方、信用取引の「取引時間が限られている」という点は、不便に感じるかもしれませんが、強制的に取引から離れる時間があるため、冷静さを保ちやすい、という見方もできます。どちらの特性が自分の性格や生活スタイルに合っているかも、判断材料の一つになるでしょう。









8. 口座開設と取引ツールの違い
CFD取引や信用取引を始めるには、まず専用の口座を開設する必要があります。ここでは、CFD口座と信用取引口座、それぞれの開設に必要な手続きや書類、審査のポイント、そして実際に取引で使うことになる注文方法や取引ツールの違いについて説明します。証券会社選びやツール選びの参考にしてください。
8.1 CFD口座開設の流れ
CFD取引を始めるための、口座開設の一般的な流れと必要書類、審査について見ていきましょう。
口座開設の基本的な流れ
CFD口座を開設する手順は、証券会社によって多少異なりますが、おおむね以下のようになります。
- 申し込み:
- 利用したい証券会社のウェブサイトにある、CFD口座開設の申し込みフォームに必要事項を入力します。
- 氏名、住所、連絡先、職業、年収、投資経験などを入力することが多いです。
- 必要書類の提出:
- 次に説明する「本人確認書類」と「マイナンバー確認書類」を提出します。
- 提出方法は、オンラインでアップロードするか、郵送するかのどちらかが一般的です。
- 最近は、スマホで書類と自分の顔写真を撮影して送るだけで完結する「オンライン本人認証」に対応している会社も増えており、手続きが早く済みます。
- 審査:
- 証券会社が、申し込み内容と提出書類に基づいて審査を行います。
- 審査にかかる時間は、提出方法や証券会社によりますが、オンライン認証なら最短で翌営業日、郵送なら1週間程度かかることもあります。
- 口座開設完了:
- 審査に通ると、口座開設完了のお知らせがメールや郵送で届きます。
- ログイン用のIDやパスワードが記載されています。
- 取引開始:
- IDとパスワードを使って取引システムにログインし、証拠金を入金すれば、CFD取引を開始できます。
(1) 申し込みに必要な書類
CFD口座の開設には、法律に基づき、以下の2種類の書類が必要です。
- マイナンバー(個人番号)確認書類
- 以下のいずれか1点が必要です。
- マイナンバーカード(個人番号カード): 表と裏の両面のコピーが必要です。
- 通知カード: コピーが必要です。ただし、記載されている氏名・住所などが最新の情報で、同時に提出する本人確認書類と一致している必要があります。引っ越しなどで情報が変わっている場合は使えないことがあります。
- マイナンバーが記載された住民票の写し(または住民票記載事項証明書): 発行から6ヶ月以内の原本が必要です。
- 以下のいずれか1点が必要です。
- 本人確認書類
- マイナンバー確認書類としてマイナンバーカードを提出する場合は、他の本人確認書類は不要なことが多いです。
- マイナンバー確認書類として通知カードや住民票を提出する場合は、以下の本人確認書類が追加で必要になります(通常1点または2点)。
- 運転免許証(裏面に変更記載があれば両面コピー)
- パスポート(顔写真ページと住所記載ページのコピー)
- 健康保険証(コピー ※記号・番号・保険者番号は見えないようにマスキングが必要な場合あり)
- 住民基本台帳カード(顔写真付き)
- 在留カード/特別永住者証明書(外国人の方)
- 印鑑登録証明書(発行から6ヶ月以内の原本)
- 注意点:
- 必ず有効期限内のものを用意してください。
- 記載されている住所が、申し込み時に入力した現住所と一致している必要があります。
- どの書類の組み合わせが必要かは、証券会社によって細かく定められていますので、必ず公式サイトで確認してください。
(2) CFD口座開設の審査ポイント
CFDはレバレッジを使うため、現物株の口座よりも審査が少し厳しくなる傾向があります。審査でチェックされる主なポイントは以下の通りです(証券会社により基準は異なります)。
- 年齢: 多くの証券会社で、満20歳以上(または18歳以上)であることが条件です。上限年齢(例: 80歳未満など)を設けている場合もあります。
- 資産状況: 安定した収入があるか、ある程度の金融資産を持っているかが確認されます。具体的な金額基準は公開されていないことが多いですが、レバレッジ取引のリスクに耐えられるかが判断されます。
- 投資経験・知識: 株式投資やFXなどの投資経験が問われることがあります。アンケート形式で回答することが多く、「投資経験なし」でも申し込める会社もありますが、経験があった方が審査に通りやすい可能性はあります。
- CFDのリスク理解: CFD取引の仕組みやリスク(レバレッジ、ロスカットなど)を十分に理解しているかを確認されます。申し込み時に、リスクに関する確認書面に同意を求められます。
審査に通過するためには、申し込みフォームに正確な情報を正直に入力することが大切です。









8.2 信用取引口座の開設条件
信用取引を始めるための口座開設は、CFDとは少し異なる点があります。条件や手続きについて見ていきましょう。
信用取引口座開設の前提
- 多くの場合、信用取引口座を開設するには、まずその証券会社で証券総合口座(現物株などを取引するための基本的な口座)を開設していることが前提となります。
- すでに証券総合口座を持っている人が、追加で信用取引口座の開設を申し込む、という流れが一般的です。
(1) 必要資金・委託保証金率
信用取引口座を開設し、実際に取引を始めるためには、資金に関する条件を満たす必要があります。
- 最低委託保証金:
- 信用取引を行うためには、担保となるお金や株(代用有価証券)を「委託保証金」として証券会社に預ける必要があります。
- 多くの証券会社では、この委託保証金が最低でも30万円以上必要である、と定めています。
- つまり、最低30万円の資金(または相当する株)がないと、信用取引は始められません。
- 委託保証金率(新規建て時):
- 新しく信用取引のポジション(建玉)を持つ際には、その取引金額(約定代金)に対して、一定割合以上の保証金が必要になります。
- この割合を「委託保証金率」といい、多くの証券会社で30%以上(または33%以上など)と定められています。
- 例えば、100万円分の株を信用買いする場合、最低でも30万円(100万円 × 30%)の保証金が必要になる、ということです。
- 委託保証金維持率(ポジション保有中):
- ポジションを持っている間は、株価の変動によって保証金の価値も変わります。
- 保証金の価値が、持っているポジションの総額に対して一定の割合(例えば20%や30%など、証券会社によって異なる)を下回らないように維持する必要があります。
- この割合を「委託保証金維持率」といい、これを下回ると追証(おいしょう)が発生します。
(2) リスク説明と同意事項
信用取引は、委託保証金を超える損失が発生する可能性があるなど、現物株取引よりもリスクが高い取引です。そのため、口座開設にあたっては、リスクに関する説明を受け、理解した上で同意することが求められます。
- 投資経験・知識・資産状況の確認:
- 証券総合口座の開設時よりも、さらに詳しく投資経験や知識、年収、金融資産の状況などが問われます。
- 証券会社によっては、「株式投資の経験が1年以上」「金融資産が〇〇万円以上」といった、具体的な開設基準を設けている場合があります。基準を満たさない場合は、口座開設ができないこともあります。
- リスクの理解と同意:
- 信用取引の仕組み、追証のリスク、保証金を超える損失が発生する可能性、金利や貸株料などのコストについて、詳細な説明が書かれた書面やウェブ画面を確認します。
- 内容を十分に理解した上で、「リスクを理解し、同意します」といった確認手続き(チェックボックスへのチェックや署名など)を行う必要があります。
- 審査:
- これらの情報や同意に基づいて、証券会社が最終的な審査を行います。
- CFD口座と同様、通常の証券総合口座よりも審査基準は厳しくなるのが一般的です。
信用取引口座の開設は、CFD口座よりも「投資経験」や「最低限必要な資金額」といったハードルが少し高い傾向があると言えます。これは、信用取引がより複雑なルールとリスクを持つ、経験者向けの側面があるためと考えられます。









8.3 注文方法と取引ツール比較
CFDと信用取引では、利用できる注文方法や取引ツールの機能にも違いがあります。自分に合ったものを選ぶために、比較してみましょう。
利用できる注文方法
基本的な注文方法から、少し応用的な注文方法まで、様々な種類があります。
- 基本的な注文(CFD・信用取引 共通)
- 成行(なりゆき)注文: 価格を指定せず、「いくらでもいいから今すぐ売買したい」という注文です。すぐに約定しやすいですが、不利な価格で約定する可能性もあります。
- 指値(さしね)注文: 「この価格以下で買いたい」「この価格以上で売りたい」と、価格を指定する注文です。希望通りの価格で約定しますが、相場がその価格に達しないと約定しません。
- 逆指値(ぎゃくさしね)注文(ストップ注文): 「この価格以上に上がったら買いたい」「この価格以下に下がったら売りたい」と、現在の価格から離れた価格を指定する注文です。主に損切り(損失を限定するため)や、トレンドに乗るための注文に使われます。
- 応用的な注文(利用可否は証券会社・ツールによる)
- OCO(オーシーオー)注文: 指値注文と逆指値注文を同時に出し、どちらか一方が約定したら、もう一方は自動的にキャンセルされる注文です。「利益確定の指値」と「損切りの逆指値」を同時に設定するのによく使われます。
- IFD(イフダン)注文: 最初の注文(親注文)が約定したら、次に自動的に別の注文(子注文)を出す注文です。「この価格で買えたら、その後この価格で売りたい」というような、新規注文と決済注文をセットで予約するのに使われます。
- IFDO(イフダンオーシーオー)注文 / IFD-OCO注文: IFD注文とOCO注文を組み合わせたものです。最初の注文が約定したら、次に「利益確定の指値」と「損切りの逆指値」のOCO注文が自動的に出されます。新規注文から決済(利益確定or損切り)までを一度に設定できます。
- トレール注文(トレイリングストップ): 逆指値注文の一種で、相場が有利な方向に動くと、逆指値の価格も自動的に追いかけていきます。利益を伸ばしつつ、価格が反転した場合の損失を限定するのに役立ちます。
これらの応用的な注文方法は、CFD専門の業者や、高機能な取引ツールを提供しているネット証券などで利用できることが多いです。信用取引でも利用できる場合がありますが、提供されている種類は証券会社によって異なります。
取引ツール
実際に取引を行うためのソフトウェアやアプリも、様々な種類があります。
- ツールの種類
- Webブラウザ型: パソコンにソフトをインストールする必要がなく、インターネット環境があればどこでも利用できます。基本的な機能は揃っていますが、動作の速さやカスタマイズ性はやや劣ることがあります。
- スマートフォンアプリ: スマートフォンやタブレットで利用できるアプリです。場所を選ばずに、株価チェックや注文ができます。最近は高機能なアプリも増えています。
- ダウンロード型(リッチクライアントツール): パソコンにインストールして使う高機能なツールです。リアルタイムの株価表示やチャート分析機能、スピード注文機能などが非常に充実しています。デイトレーダーなど、頻繁に取引する人に向いています。多くの証券会社で提供されていますが、有料の場合や、一定の取引実績がないと無料で使えない場合もあります。
- ツール選びのポイント
- チャート機能: テクニカル指標の種類は豊富か、描画ツールは使いやすいか、複数のチャートを同時に表示できるか、など。分析を重視するなら重要です。
- 注文機能(スピード注文): 板情報(気配値)を見ながらワンクリックで注文できるか、キーボード操作で素早く注文できるか、など。短期売買では特に重要です。
- 情報量: リアルタイムニュース、市場概況、個別銘柄の分析レポートなどが充実しているか。
- 操作性・カスタマイズ性: 画面が見やすいか、自分の使いやすいようにレイアウトを変更できるか。
どちらを選ぶか?
- CFD取引では、海外の業者も含め、高機能な独自ツールを提供していることが多いです。特にチャート機能や自動売買機能などが充実している場合があります。
- 信用取引は、主に国内のネット証券で提供されており、日本の株式取引に特化したツールが多いです。ダウンロード型の高機能ツールも多くの会社が用意しています。
自分の投資スタイル(短期か長期か、PC中心かスマホ中心か)や、どんな機能を重視するか(チャート分析、注文スピード、情報量など)を考えて、ツールを選ぶことが大切です。多くの証券会社では、デモ口座で実際の取引ツールを試すことができるので、口座開設前に使い勝手を確認してみることをおすすめします。









9. CFDと信用取引のコスト比較一覧表
取引をするときに気になるのがコストです。CFDと信用取引では、手数料、金利、スプレッドなど、かかるコストの種類が異なります。ここでは、主要なネット証券の例を挙げながら、具体的なコストの違いを解説し、レバレッジやスプレッド、ロスカット・追証の水準についても比較してみます。コストは利益に直結する重要な要素ですので、しっかり理解しておきましょう。※実際のコストは常に変動するため、必ず各証券会社の最新情報をご確認ください。
9.1 主要ネット証券の手数料・金利
CFDと信用取引では、主に以下のようなコストがかかります。証券会社によって異なるため、代表的な例として見ていきましょう。
取引手数料
- CFD:
- 多くの証券会社で、株価指数CFDや商品CFDの取引手数料は無料となっています。
- ただし、株式CFDについては、取引手数料がかかる場合があります。
- 例:IG証券の日本株CFDは、約定代金の0.055%(最低110円・税込)が片道でかかります。
- 信用取引:
- 無料化の動き: SBI証券や楽天証券など、大手ネット証券を中心に、特定の条件(コース選択など)を満たせば国内株式の信用取引手数料が無料になるプランが登場しています。
- 有料プラン: 無料プランがない証券会社や、無料条件を満たさない場合は、手数料がかかります。
- 1約定ごとプラン: 1回の取引ごとに手数料がかかる方式。約定代金に応じて段階的に設定されていることが多いです(例:10万円まで約88円~100円程度)。
- 1日定額制プラン: 1日の合計約定代金に応じて手数料が決まる方式。デイトレーダーに人気があります(例:100万円まで無料、など)。
金利・貸株料・調整額
ポジションを保有し続ける場合にかかるコストです。
- CFD:
- 金利調整額(オーバーナイトコスト、ファイナンシングコスト):
- ポジションを翌営業日に持ち越した場合に、ほぼ毎日発生します。
- 通常、買いポジションでは支払い、売りポジションでは受け取り(または支払い)となることが多いです。
- 計算方法は銘柄(株価指数、商品、株式など)や市場金利によって異なります。長期保有すると、このコストが積み重なります。
- 権利調整額(配当相当額):
- 原資産(株や株価指数など)で配当金の支払いがあった場合に発生します。
- 通常、買いポジションでは受け取り、売りポジションでは支払いとなります。
- 金利調整額(オーバーナイトコスト、ファイナンシングコスト):
- 信用取引:
- 買方金利:
- 信用買いでポジションを持っている間、証券会社から借りている資金に対して金利がかかります。
- 年率で表示され、日割りで計算されます(例:年利2%~3%程度)。
- 貸株料:
- 信用売り(空売り)でポジションを持っている間、証券会社から株を借りていることに対する費用がかかります。
- 年率で表示され、日割りで計算されます(例:年利1%~4%程度、銘柄によって異なる)。一般信用の方が制度信用より高いことが多いです。
- 逆日歩(品貸料):
- 信用売りが非常に多くなり、株が不足した場合に、追加で発生する可能性のあるコストです。
- 発生するかどうか、金額がいくらになるかは、その日になってみないと分かりません。高額になることもあります。
- 買方金利:
スプレッド(CFD)
- CFDには、売値(Bid)と買値(Ask)の差があり、これをスプレッドといいます。
- 取引手数料が無料でも、このスプレッドが実質的な取引コストとなります。
- スプレッドは、銘柄や市場の状況、時間帯によって常に変動します。流動性が高い(取引が活発な)銘柄ほど狭く、低い銘柄ほど広くなる傾向があります。
コスト比較のポイント
- 取引頻度: デイトレードのように頻繁に売買する場合、CFDならスプレッドの狭さ、信用取引なら手数料無料プランの有無が重要になります。
- 保有期間: ポジションを数日以上持ち越す場合、CFDの金利調整額や信用取引の買方金利・貸株料が、トータルコストに大きく影響します。
- 取引銘柄: 株式CFDの手数料や、信用売りの貸株料・逆日歩リスクは、銘柄によって異なります。
コスト比較表(イメージ)
項目 | CFD (例: 株価指数) | CFD (例: 株式) | 信用取引 (制度) | 信用取引 (一般) | 備考 |
取引手数料 | 無料が多い | 有料の場合あり | 無料プランあり | 無料プランあり | 証券会社・プランによる |
スプレッド | あり (変動) | あり (変動) | なし | なし | CFDの実質コスト |
金利コスト (買い) | 金利調整額 (支払) | 金利調整額 (支払) | 買方金利 (支払) | 買方金利 (支払) | 日々発生。一般信用は高め傾向 |
貸株コスト (売り) | 金利調整額 (受取?) | 金利調整額 (受取?) | 貸株料 (支払) | 貸株料 (支払) | 日々発生。一般信用は高め傾向 |
配当関連 | 権利調整額 (受/払) | 権利調整額 (受/払) | 配当落調整金 | 配当落調整金 | 買いは受取相当、売りは支払相当 |
その他コスト (売り) | なし | なし | 逆日歩リスク | 逆日歩リスク | 株不足時に発生の可能性あり |
最低資金目安 | 数万円~ | 数万円~ | 30万円 | 30万円 | CFDは銘柄による |
※上記はあくまで一般的なイメージです。実際のコストは必ず各証券会社の公式サイトで最新情報をご確認ください。









9.2 レバレッジ・スプレッド早見表
CFDと信用取引の重要な違いであるレバレッジ、そしてCFD特有のスプレッド、さらにリスク管理に関わるロスカットや追証の水準について、改めて比較してみましょう。
レバレッジ(最大倍率)
レバレッジが高いほど、少ない資金で大きな取引ができますが、リスクも高まります。
- CFD:
- 株価指数CFD: 最大10倍 程度(例: 日経225、NYダウなど)
- 商品CFD: 最大20倍 程度(例: 金、原油など)
- 株式CFD: 最大5倍 程度(例: 個別株)
- バラエティCFD: 最大5倍 程度(例: VIX指数など)
- ※これらは一般的な最大値であり、証券会社や銘柄、市場の状況によって変動することがあります。
- 信用取引:
- 最大約3.3倍
- これは日本の金融商品取引法で定められている上限です。
スプレッド(CFDのコスト例)
売値と買値の差で、狭いほど有利です。常に変動するため、あくまで目安です。
- 主要株価指数 (例: 日経225): 数円~十数円程度
- 主要為替 (例: 米ドル/円): 0.数銭~1銭程度 (FXに近い水準)
- 商品 (例: 金): 数十セント~1ドル程度
- 株式: 銘柄による差が大きい。流動性(取引量)が低い銘柄は広くなる傾向があります。
- 注意点: スプレッドは、早朝や経済指標発表時など、市場の変動が大きい時には通常よりも広がることがあります。
ロスカット・追証の水準(リスク管理)
損失が拡大した場合の強制的な措置に関するルールです。
- CFD:
- ロスカット: 証拠金維持率(口座にある証拠金が、ポジションを維持するのに必要な証拠金額に対して何%あるかを示す割合)が、証券会社の定める水準(例えば 50% や 100% など)を下回った場合に、保有している全てのポジションが強制的に決済されます。
- 追証の制度がない(ロスカットのみ)証券会社が多いです。
- 信用取引:
- 追証(追加保証金): 委託保証金維持率が、証券会社の定める水準(例えば 20% や 30% など)を下回った場合に、追加の保証金を入金するように求められます。
- 強制決済: 追証を期限までに入金できなかった場合や、さらに維持率が悪化した場合(例えば 10% を下回った場合など)に、保有している全てのポジションが強制的に決済されることがあります。
比較のポイントとリスク
- レバレッジとリスク: CFDは信用取引よりも高いレバレッジをかけられます。これは大きなリターンを狙える可能性がある一方、少しの値動きでも大きな損失につながりやすいことを意味します。
- ロスカット vs 追証: CFDのロスカットは、追証のような「猶予期間」がなく、基準を下回ると即座に(またはそれに近いタイミングで)強制決済されることが多いです。損失の拡大は防げますが、相場が戻る前に損切りされてしまう可能性もあります。信用取引の追証は、入金すればポジションを維持できる可能性がありますが、追証を繰り返すと資金がどんどん減っていきます。
- リスク管理の厳しさ: CFDの高いレバレッジとロスカット水準(例えば50%)を考えると、信用取引(追証発生が例えば20%)よりも、ポジションが強制決済されるまでの値動きの許容幅が狭い可能性があります。つまり、CFDの方がより精密なエントリータイミングと、厳しい損切り設定が求められると言えるかもしれません。
レバレッジ・リスク水準 比較表(イメージ)
項目 | CFD (例: 株価指数) | CFD (例: 株式) | 信用取引 | 備考 |
最大レバレッジ | 10倍程度 | 5倍程度 | 約3.3倍 | CFDは商品なら20倍も |
スプレッド | あり (狭め傾向) | あり (銘柄差大) | なし | CFDの実質コスト |
アラート水準 (目安) | 維持率100%等 | 維持率100%等 | 維持率30%等 | 証券会社による |
強制措置 | ロスカット | ロスカット | 追証 → 強制決済 | CFDは即時決済が多い。信用は追証発生後、期限内に解消できなければ決済 |
強制措置水準 (目安) | 維持率50%~100% | 維持率50%~100% | 維持率20%~30% | 維持率がこれを下回ると追証発生。さらに低下で強制決済の可能性 |
※上記はあくまで一般的なイメージです。レバレッジやロスカット等のルールは、必ず利用する証券会社の規定を確認してください。









10. よくある質問(FAQ)と注意点
最後に、CFD取引や信用取引について、初心者の人が疑問に思いがちな点や、勘違いしやすいポイント、そして取引で失敗しないための注意点をまとめました。CFDと信用取引を併用する場合のリスク管理や、安全に取引を続けるためのチェックリストも紹介します。しっかり確認して、安全な投資を心がけましょう。
10.1 初心者が陥りやすい誤解
CFD取引や信用取引を始めるにあたって、初心者の人が勘違いしやすい点がいくつかあります。正しい知識を身につけて、リスクをしっかり理解しましょう。
- 誤解1:「レバレッジが高いほど、たくさん儲かるから良い」
- これは大きな間違いです。 レバレッジは確かに少ない資金で大きな利益をねらうことができますが、それは同時に損失も大きくしてしまう効果があるからです。
- 例えばレバレッジ10倍なら、利益も10倍になる可能性がありますが、損失も10倍になる可能性があります。
- ハイレバレッジはハイリスク・ハイリターンです。初心者のうちは、まず低いレバレッジ(2倍~3倍程度)から始めるか、レバレッジをかけない現物取引から始めるのが安全です。
- 誤解2:「取引手数料が無料なら、コストはかからない」
- これも間違いです。 取引手数料が無料でも、他のコストがかかります。
- CFDの場合: 売値と買値の差であるスプレッドが実質的なコストになります。また、ポジションを翌日に持ち越すと金利調整額がかかることが多いです。
- 信用取引の場合: 手数料無料プランがあっても、買いポジションには買方金利、売りポジションには貸株料がかかります。さらに、売りでは逆日歩という予期せぬコストが発生するリスクもあります。
- 取引にかかるトータルのコストを把握することが大切です。
- 誤解3:「ロスカットがあるから、損しても大丈夫」
- 安心しすぎるのは危険です。 ロスカットは、証拠金以上の損失を防ぐための安全装置ですが、万能ではありません。
- ロスカットは、自分の意図しないタイミングで損失を確定させてしまう仕組みです。
- 相場が急激に変動した場合には、設定したロスカットの価格よりも大きく不利な価格で約定してしまう「スリッページ」が起こる可能性があります。その結果、預けた証拠金以上の損失が発生するリスクもゼロではありません。
- ロスカットがあるからといって無謀な取引をするのではなく、余裕を持った資金管理と、自分での損切り設定が基本です。
- 誤解4:「売り(空売り)は、株価が下がるだけだから簡単そう」
- 買いよりもリスクが高い側面があります。 買いの場合、株価が下がっても最悪ゼロになるだけなので、損失は投資額までに限定されます(レバレッジなしの場合)。
- しかし、売りの場合、株価は理論上どこまでも上昇する可能性があります。そのため、損失が無限大になるリスクがあると言われます。
- また、信用売りでは逆日歩というコストが発生する可能性もあり、買いよりも複雑です。
- 誤解5:「有名な会社の株や、人気のある指数なら間違いない」
- 投資判断を他人任せにするのは危険です。 有名な銘柄でも、価格が下がることはあります。
- CFDでは、情報が少ない海外の銘柄なども取引できます。
- なぜその銘柄に投資するのか、自分で調べて、理解し、納得した上で投資することが基本です。人気や評判だけで判断するのはやめましょう。









10.2 両方併用するときのリスク管理
CFDと信用取引、それぞれの特徴を活かして両方を使いこなせれば、投資戦略の幅が広がります。しかし、併用することで管理が複雑になり、リスクも増える可能性があります。併用する場合の注意点とリスク管理について解説します。
CFDと信用取引を併用するメリット
- 投資対象の拡大:
- CFDでしか取引できない海外の株価指数や商品(金、原油など)に投資しつつ、信用取引で日本の個別株の値動きを狙う、といった使い分けができます。
- ヘッジ戦略:
- 例えば、保有している現物株ポートフォリオの値下がりリスクをヘッジ(回避)するために、株価指数CFDを売っておく、といった戦略も可能です。
CFDと信用取引を併用するリスク
- 管理の複雑化:
- 複数の口座、複数のポジションを同時に管理する必要があり、手間が増えます。
- それぞれの証拠金状況や維持率、コストなどを把握しておくのが大変になります。
- リスクの増大:
- レバレッジをかけた取引が複数になることで、市場全体の変動に対するリスクエクスポージャー(影響を受ける度合い)が大きくなる可能性があります。
- 意図せず、同じような値動きをする資産に両方で大きなポジションを持ってしまうと、リスク分散どころかリスク集中になってしまう恐れもあります。
- 相互影響:
- 片方の取引で大きな損失が出ると、もう片方の取引の証拠金にも影響が出たり、追証の入金のために不本意な決済を迫られたりする可能性も考えられます。
(1) 資金・ポジション分散
併用する際には、資金とポジションの管理をより一層徹底する必要があります。
- 総リスク量の把握:
- CFDのポジション、信用取引のポジション、それぞれでどれくらいの金額(レバレッジ後の想定元本)を動かしているのか、そして合計でどれだけの市場リスクを取っているのかを常に把握しましょう。
- 「なんとなく」でポジションを増やすのは非常に危険です。
- 資金の区分:
- 可能であれば、CFD取引に使う資金、信用取引に使う資金、そして生活費とは別に、口座や目的ごとに資金を分けて管理することをおすすめします。
- これにより、片方の損失が直接もう片方の取引や生活に影響を与えるのを防ぎやすくなります。
- 相関性を意識した分散:
- 投資対象を選ぶ際には、値動きの相関性(連動性)を考慮しましょう。
- 例えば、日経平均CFDの買いポジションと、日経平均に連動するETFの信用買いポジションを同時に大量に持つと、日本株全体が下がった時に両方で大きな損失が出てしまいます。
- 株式、商品、為替など、異なる種類の資産や、異なる地域の資産に分散することで、リスクを抑える効果が期待できます(ただし、市場全体が混乱する時には全ての資産が下がることもあります)。
(2) 追証・ロスカット設定
レバレッジ取引である以上、追証やロスカットのリスク管理は最重要課題です。併用する場合は、さらに注意が必要です。
- 維持率に十分な余裕を持つ:
- CFDの証拠金維持率も、信用取引の委託保証金維持率も、常に余裕のある水準を保つように心がけましょう。
- ロスカットや追証の基準ギリギリで取引するのは、精神的にも負担が大きく、少しの価格変動で強制決済につながるため非常に危険です。
- 目安として、維持率は最低でも基準の2倍以上を保つくらいの余裕を持ちたいところです。
- 損切りルールの徹底:
- 併用する場合でも、一つ一つの取引に対して損切りルールを設定し、必ず実行することが不可欠です。
- 「CFDで損失が出ても、信用取引で利益が出ているから大丈夫」といった甘い考えは禁物です。
- 逆指値注文などを活用し、感情に左右されずに、機械的に損切りを実行できるようにしましょう。
- 全体の資金繰りを考慮:
- もし片方の口座で追証が発生した場合、すぐに追加資金を入金できるか、あるいはもう片方の利益確定でカバーできるかなど、全体の資金の流れを常に考えておく必要があります。
- 追証に対応できなければ強制決済となり、大きな損失につながります。
CFDと信用取引の併用は、高度なリスク管理能力と資金管理能力が求められます。初心者のうちは、まずどちらか一方の取引に慣れ、リスク管理をしっかり身につけてから検討するのが賢明です。









10.3 失敗しないためのチェックリスト
CFD取引や信用取引で大きな失敗をしないために、取引を始める前、取引中、そして心構えとして、以下の点をチェックしてみましょう。
取引を始める前に
- □ CFDと信用取引の仕組みの違い(レバレッジ、コスト、期限、リスクなど)をちゃんと説明できますか?
- □ それぞれのメリット(良い点)とデメリット(注意点)を具体的に理解していますか?
- □ レバレッジを使うことの本当のリスク(預けたお金以上の損失が出る可能性)を理解していますか?
- □ ロスカット(CFD)や追証・強制決済(信用取引)のルールを、利用する証券会社で確認しましたか?
- □ 取引手数料だけでなく、スプレッドや金利、調整額などのトータルコストを把握していますか?
- □ 使うお金は、なくなっても生活に困らない余裕資金ですか?(借金して投資するのは絶対にダメです)
- □ 可能であれば、デモトレードで操作方法や値動きに慣れましたか?
取引中に
- □ ポジションを持つ前に、損切りする価格(損切りライン)を決めて、逆指値注文などを入れていますか?
- □ 「もう少し待てば上がるかも…」といった感情に流されず、決めたルール通りに損切りや利益確定ができていますか?
- □ 一度に持ちすぎているポジションの量(ポジションサイズ)は、自分の資金に対して適切ですか?
- □ 証拠金維持率(CFD)や委託保証金維持率(信用取引)を、こまめにチェックしていますか?
- □ アメリカの雇用統計など、相場が大きく動きそうな経済指標の発表時間を把握していますか?(その時間帯は取引を控える、または特に注意する)
- □ 取引の記録(なぜその取引をしたか、結果はどうだったか)をつけて、後で見返して反省・改善していますか?
心構えとして
- □ 「すぐに大金持ちになりたい!」と焦って、無理な取引をしていませんか?
- □ 損切りは、投資を続けるために必要なコストだと割り切れていますか?(損切り=失敗、ではない)
- □ 新しい情報や知識を学び続ける意欲がありますか?(相場もルールも常に変化します)
これらのチェックリストを参考に、冷静に、そして慎重に取引を進めることが、長く投資を続けていくための秘訣です。









CFDと信用取引は、どちらもレバレッジを利用して少ない資金で大きな取引ができる点が魅力ですが、仕組みやリスク、コスト構造が異なります。
CFDは多様な銘柄(国内外の株価指数、商品、株式など)にほぼ24時間投資でき、決済期限がない一方、レバレッジが高くロスカットのリスクやスプレッド、金利調整額がコストになります。
信用取引は主に国内株が対象で、約3.3倍のレバレッジと空売りが可能ですが、追証や金利・貸株料、制度信用の場合は6ヶ月の返済期限といったルールがあります。
デイトレードならCFDの時間・銘柄の広さや信用取引の差金決済、中長期ならCFDの期限なし(ただしコスト注意)、少額・高レバレッジならCFDが有利です。どちらを選ぶにしても、リスクを十分に理解し、余裕資金で、損切りルールを徹底することが最も重要です。
本記事の注意事項(免責事項)
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘を意図したものではありません。本記事に記載されている情報については、正確性、完全性、有用性を確保するために努力しておりますが、その保証は致しかねます。投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事の内容を利用して生じたいかなる損害についても、当サイトおよび著者は一切の責任を負いかねます。詳しくは免責事項ページをご確認ください。



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