CFDと投資信託、どちらも投資の方法ですが、その仕組みや特徴は大きく異なります。
この記事では、CFDと投資信託の基本的な違いから、それぞれのメリットやリスク、どんな人に向いているのかまで、投資初心者の方にも分かりやすく解説します。
「CFDと投資信託、どっちがいいの?」と悩んでいるあなたの疑問を解決し、最適な投資選びのお手伝いをします。
1. CFDと投資信託の基礎を押さえよう
この章では、CFDと投資信託がそれぞれどのような金融商品なのか、基本的な仕組みを分かりやすく解説します。CFDは「差金決済取引」という仕組みで、実際に金融資産を保有せずに売買の価格差で利益を狙うものです。一方、投資信託は多くの人からお金を集めて専門家が運用する仕組みで、「ファンド」とも呼ばれます。最後に、両者の主な違いをまとめた早見表で、全体像を掴みましょう。
1.1 CFDとは?差金決済取引の仕組み
CFDは「Contract for Difference」の略で、日本語では差金決済取引といいます。
これは、実際に株式や金などの金融資産そのものを手に入れるのではなく、取引の開始時と終了時の価格差によって利益や損失が決まる取引方法です。
例えば、ある商品の値段が上がると予想して買い、予想通りに値段が上がった後に売れば、その差額が利益になります。
逆に、値段が下がれば損失が発生します。
この差額分だけを口座内のお金でやり取りするのが、差金決済取引の基本的な仕組みです。
外国為替取引であるFXも、実はCFDの一種なので、FXの経験がある方にはイメージしやすいでしょう。
CFD取引では、証拠金と呼ばれる担保のようなお金を証券会社に預けることで、その証拠金の何倍もの金額の取引ができます。
少ない資金で大きな取引ができる可能性がある点が特徴の一つです。
取引できる対象は、日経平均株価やNYダウのような株価指数、個別の会社の株式、金や原油といった商品など、多岐にわたります。
実際に資産を保有しないため、株主優待などを受け取ることはできませんが、多様な金融商品の価格変動を手軽に取引できるのが魅力です。







1.2 投資信託とは?ファンドの基本構造
投資信託は、たくさんの投資家から少しずつお金を集めて、それを一つの大きな資金のまとまりにします。
この集めたお金を「ファンド」と呼ぶこともあります。
そして、そのお金を運用の専門家であるファンドマネージャーが、投資家に代わって株式や債券、不動産などに投資・運用する金融商品です。
運用の成果は、投資した金額に応じて投資家に分配されます。
投資信託の大きなメリットは、少額からでも分散投資ができる点です。
個人で多くの種類の株や債券を買うのは大変ですが、投資信託なら一つの商品を買うだけで、自動的に様々な対象に分散して投資したことになります。
これにより、特定の値下がりリスクを軽減する効果が期待できます。
投資信託は主に、「委託者(運用会社)」、「受託者(信託銀行)」、「受益者(投資家)」の三者で成り立っています。
運用会社が投資方針を決めて運用を指示し、信託銀行がその指示に基づいて資産を管理し、投資家がその成果を受け取ります。
投資家のお金は、信託銀行で分別管理されているため、万が一運用会社や販売会社が破綻しても、資産は保全される仕組みになっています。









1.3 CFDと投資信託の主要な違い早見表
CFDと投資信託の主な違いを、以下の表にまとめました。
それぞれの特徴を比較して、どちらが自分の投資スタイルに合っているか考えてみましょう。
特徴 | CFD | 投資信託 |
資産の保有 | しない | 間接的にする |
レバレッジ | あり | 基本的になし(一部レバレッジ型ファンドあり) |
売りから取引 | できる | 基本的にできない(一部インバース型あり) |
主な投資期間 | 短期~中期 | 中期~長期 |
運用方法 | 自分で行う | 専門家におまかせ |
主なコスト | スプレッド、金利調整額 | 信託報酬、販売手数料 |
リスクの大きさ(一般的に) | 高め | 商品による(比較的抑えやすいものが多い) |
資金効率 | 高い | 低め |
取引時間 | ほぼ24時間(平日) | 証券会社の営業時間に準じる(1日1回価格決定) |
確定申告 | 必要になることが多い | 特定口座(源泉徴収あり)なら不要なことも |









2. 取引スタイルの違い
CFDと投資信託では、取引のやり方やタイミング、取引できる時間などが大きく異なります。CFDはリアルタイムで価格が動き、ほぼ24時間取引できるのに対し、投資信託は1日1回の基準価額で取引されます。また、CFDは価格が下がると思った時に「売り」から取引を始めることも可能です。これらの取引スタイルの違いを詳しく見ていきましょう。
2.1 売買タイミング リアルタイム vs. 基準価額
CFD取引と投資信託では、売買のタイミングが大きく異なります。
CFD取引は、リアルタイムの市場価格で取引が行われます。
株価や商品価格などが動いている間は、その時々の価格で買ったり売ったりできます。
そのため、ニュース速報や経済指標の発表など、市場が大きく動く瞬間に合わせて機敏に取引することも可能です。
一方、投資信託の売買は、1日に1回算出される「基準価額」という値段で行われます。
投資家が投資信託を買いたい、または売りたいと注文を出す時点では、その日の基準価額はまだ決まっていません。
注文が締め切られた後、その日の市場の終値などをもとに基準価額が計算され、その価格で取引が成立します。
これを「ブラインド方式」と呼ぶこともあります。
特に、海外の資産に投資する投資信託の場合、時差の関係で注文した日ではなく、翌営業日以降の基準価額で取引が成立することもあります。
この売買タイミングの違いは、投資戦略にも影響を与えるでしょう。









2.2 売りから入れるか ショート可否
CFD取引の大きな特徴の一つに、「売り」から取引を始めることができる点があります。
これを「空売り」や「ショートセリング」とも言います。
通常、投資は「安く買って高く売る」ことで利益を目指しますが、CFDでは「高く売って安く買い戻す」ことでも利益を狙えます。
つまり、ある金融商品の価格が将来下がると予想した場合、まずその商品を高い価格で売っておき、実際に価格が下がった時点で買い戻せば、その差額が利益になるのです。
これは、CFDが実際に資産を保有しない差金決済取引だからこそ可能な方法です。
例えば、企業の業績悪化や景気後退が予想される局面でも、CFDなら収益機会を探ることができます。
一方、一般的な投資信託では、基本的に「買い」からしか取引を始めることができません。
投資信託の価格が上がることを期待して購入し、値上がりした後に売却して利益を得るのが基本です。
ただし、投資信託の中には「インバース型ファンド」や「ベア型ファンド」と呼ばれる特殊な商品があります。
これらは、対象とする株価指数などが下落すると、逆に基準価額が上昇するように設計されています。
インバース型ファンドを利用すれば、市場の下落局面でも利益を追求できますが、CFDの空売りのように個別の銘柄を直接売るのとは少し仕組みが異なります。









2.3 取引時間と流動性
CFDと投資信託では、取引できる時間帯や、取引のしやすさ(流動性)にも違いがあります。
(1) 平日24時間取引できるCFD
CFDの大きな魅力の一つは、取引時間が非常に長いことです。
特に、日経平均株価やNYダウといった世界の主要な株価指数、金や原油などの商品は、平日はほぼ24時間取引が可能です。
これは、世界のどこかの市場が開いている時間帯に合わせてCFDも取引できるようになっているためです。
例えば、日本の株式市場が閉まっている夜間でも、アメリカの市場の動きに合わせてNYダウのCFDを取引したり、ヨーロッパの経済指標発表時にドイツの株価指数CFDを取引したりできます。
また、日本の祝日でも海外市場が開いていれば取引できることが多いのも特徴です。
日中は仕事で忙しい方でも、帰宅後や早朝など、自分のライフスタイルに合わせて取引時間を確保しやすいでしょう。
ただし、取引参加者が少ない早朝や深夜などの時間帯は、買値と売値の差(スプレッド)が広がりやすくなったり、注文が通りにくくなったりするなど、流動性が低下する可能性もある点には注意が必要です。
(2) 投資信託の注文受付時間と約定
投資信託の注文は、主に銀行や証券会社などの販売会社の営業時間内に受け付けられます。
多くの販売会社では、1日の注文締切時間(例えば午後3時など)が設けられています。
締切時間までに注文すれば当日の申し込みとして扱われ、締切時間を過ぎると翌営業日の申し込みとなるのが一般的です。
そして、取引が成立する(約定する)のは、その日の取引終了後に算出される1日1回の基準価額です。
投資対象が国内の株式や債券のみの投資信託であれば、多くの場合、注文した当日の夕方以降に基準価額が決まり、その価格で約定します。
しかし、海外の株式や債券などに投資する投資信託の場合は、時差や海外市場の休日の影響で、注文日の翌営業日、あるいはそれ以降の基準価額で約定することもあります。
例えば、日本の株式市場(東京証券取引所)の取引時間は、平日の午前9時から11時30分(前場)と、午後12時30分から15時30分(後場)です。
投資信託の基準価額は、これらの市場が閉まった後に、組み入れられている株式や債券の終値などを使って計算されます。









3. レバレッジと資金効率
レバレッジとは「てこの原理」のように、少ない資金で大きな金額の取引ができる仕組みです。CFDではこのレバレッジを活用できますが、投資信託では基本的にできません(一部特殊な商品を除く)。レバレッジのメリット・デメリット、そして自分の資金に合わせた商品選びのポイントを解説します。
3.1 CFDのレバレッジ活用メリット・デメリット
CFD取引の最大の特徴の一つが「レバレッジ」です。
レバレッジとは、「てこ」の原理のように、預けた証拠金(担保となるお金)の何倍もの金額の取引ができる仕組みをいいます。
例えば、10倍のレバレッジなら、10万円の証拠金で100万円分の取引ができるイメージです。
メリットとしては、まず少ない資金で大きな利益を狙える可能性があることです。
自己資金が少なくても、レバレッジを効かせることで大きなポジションを持つことができ、わずかな価格変動でも相対的に大きなリターンを得られる可能性があります。
これにより、資金効率の良い投資が期待できます。
しかし、デメリットも同じくらい大きいです。
レバレッジは利益を増幅させる可能性がある一方で、損失も同様に増幅させます。
予想と反対に価格が動いた場合、預けた証拠金以上の損失が発生する元本超過損のリスクがあります。
また、損失が膨らんで証拠金が一定の水準を下回ると、「追証(おいしょう)」といって追加の証拠金を差し入れる必要が出てくることもあります。
CFDのレバレッジ倍率は、取引する商品によって異なります。
例えば、株価指数CFDなら最大10倍、商品CFDなら最大20倍、個別株CFDなら最大5倍といった具合に、金融庁の規制や証券会社の方針によって上限が定められています。
初心者の方は、いきなり高いレバレッジで取引するのではなく、低いレバレッジから始めて、リスクをしっかり管理することが求められます。









3.2 投資信託でレバレッジをかける方法(レバファンド等)
一般的な投資信託では、CFDのようなレバレッジを個人が直接かけて取引を行うことは基本的にありません。
投資信託は、集めた資金の範囲内で株式や債券などに投資するのが基本です。
しかし、投資信託の中には「レバレッジ型ファンド」や「ブル型ファンド」と呼ばれる、レバレッジ効果を狙った特殊な商品が存在します。
これらのファンドは、日経平均株価や米国のS&P500といった特定の株価指数の日々の値動きに対して、2倍や3倍などの一定の倍率で連動することを目指して運用されます。
例えば、「日経平均2倍ブルファンド」であれば、日経平均株価が1日に1%上昇すれば、ファンドの基準価額は2%上昇することを目指します(手数料などを除く)。
このようなレバレッジ型ファンドは、主に先物取引などのデリバティブ(金融派生商品)を利用してレバレッジ効果を生み出しています。
レバレッジ型ファンドのメリットは、相場が予想通りに動けば、通常の投資信託よりも大きなリターンが期待できる点です。
しかし、デメリットやリスクも大きいです。
まず、値動きが激しく、損失も大きくなる可能性があります。
また、レバレッジ型ファンドは日々の値動きに連動するように設計されているため、2日以上の期間で見ると、必ずしも指数の値動きの倍率通りになるとは限りません。
相場が上がったり下がったりを繰り返すような展開では、指数の動きとファンドの基準価額の間にズレが生じ、基準価額が徐々に目減りしていく「逓減(ていげん)リスク」と呼ばれる現象が起こりやすいです。
このため、レバレッジ型ファンドは長期保有には向かず、短期的な市場の方向性を読んで投資するための商品とされています。
信託報酬などのコストも、通常のインデックスファンドに比べて高めに設定されていることが多いです。









3.3 自己資金に応じた商品選択のポイント
CFDと投資信託、どちらを選ぶかは、自己資金の額だけでなく、その資金をどれくらいのリスクにさらしてもよいかという「リスク許容度」や、投資の目的によっても変わってきます。
CFDは、レバレッジを利用することで比較的少ない自己資金からでも大きな金額の取引を始めることが可能です。
例えば、日経平均CFDであれば、数万円程度の証拠金から取引を始められる場合があります。
これは、少ない元手で大きな利益を狙いたいと考える人にとっては魅力的に映るでしょう。
しかし、レバレッジをかけるということは、それだけリスクも高くなるということです。
最低限必要な証拠金だけで取引を始めると、少し相場が不利に動いただけですぐに追証が発生したり、ロスカットされたりする恐れがあります。
そのため、CFD取引を行う場合は、最低必要証拠金に加えて、ある程度の余裕資金を用意しておくことが大切です。
一方、投資信託は、非常に少額からでも投資を始めることができます。
証券会社によっては、毎月100円や1000円といった金額から積立投資ができるサービスもあります。
これは、まだまとまった資金がないけれど、将来のためにコツコツと資産形成を始めたいという初心者の方にとっては、非常に取り組みやすいでしょう。
自己資金が少ないからといって、必ずしもCFDが不向き、あるいは投資信託が最適というわけではありません。
重要なのは、自分のリスク許容度を正しく把握することです。
たとえ少額であっても、そのお金がなくなったら困るという場合は、ハイリスクなCFD取引は避けた方が賢明かもしれません。
逆に、ある程度のリスクを理解した上で、少額の余剰資金で積極的にリターンを狙いたいという考え方もあるでしょう。
投資の目的(短期的な利益か、長期的な資産形成か)も考慮して、自分に合った商品を選びましょう。









4. コスト構造と税金
投資をするときには、手数料などのコストや税金も考える必要があります。CFDでは「スプレッド」や「調整額」といったコストがかかり、投資信託では「信託報酬」や「販売手数料」などが一般的です。また、利益が出たときの税金の仕組みも異なります。これらの違いをしっかり理解しておきましょう。
4.1 CFDのスプレッド・調整額・金利コスト
CFD取引を行う際には、いくつかのコストが発生します。
主なコストは以下の通りです。
- スプレッドこれは、金融商品を買う時の値段(買値)と売る時の値段(売値)の差のことです。例えば、あるCFD銘柄の買値が101円で売値が100円の場合、スプレッドは1円となります。取引をする際には、このスプレッド分が実質的な取引コストになります。スプレッドは狭いほど投資家にとって有利です。多くの証券会社ではCFDの取引手数料を無料としていますが、このスプレッドは必ず発生します。
- 金利調整額(オーバーナイトコスト)CFDのポジション(買いや売りの状態)を翌営業日に持ち越した場合に発生する調整額です。買いポジションの場合は金利を支払い、売りポジションの場合は金利を受け取ることが一般的ですが、金利情勢によっては逆になることもあります。レバレッジをかけて取引している場合、実質的にお金を借りて(または貸して)取引していることになるため、その金利差が調整されます。長期間ポジションを保有すると、この金利調整額が積み重なるため注意が必要です。
- 権利調整額株式CFDや株価指数CFDを保有している場合に、その原資産となる株式が配当金の支払いなどを行った際に発生する調整額です。買いポジションを保有していれば配当金相当額を受け取り、売りポジションを保有していれば配当金相当額を支払うことになります。
- 価格調整額原油CFDや株価指数先物CFDなど、先物市場を参照して価格が決定されるCFDの場合、参照する先物には限月(取引期限)があります。限月が到来する前に、次の限月の先物に乗り換える(ロールオーバーする)際に、価格差を調整するために発生するのが価格調整額です。この調整は、評価損益に影響が出ないように行われるのが一般的です。
これらのコストは、取引の損益に直接影響するため、CFD取引を始める前にしっかりと理解しておくことが重要です。









4.2 投資信託の信託報酬・販売手数料
投資信託を利用する際には、主に以下のような手数料がかかります。
これらの手数料は、投資の成果に影響を与えるため、事前に確認しておくことが大切です。
- 販売手数料(購入時手数料)これは、投資信託を購入する時に販売会社(銀行や証券会社など)に支払う手数料です。購入金額に対して「〇%」というように料率が決められており、その分が購入代金とは別に必要になります。ただし、最近ではこの販売手数料が無料の「ノーロード」と呼ばれる投資信託も増えています。同じ投資信託でも、販売会社によって手数料が異なる場合もあります。
- 信託報酬(運用管理費用)これは、投資信託を保有している期間中、継続的にかかる費用です。投資信託の運用や管理を行ってくれる運用会社、販売会社、資産を保管する信託銀行への報酬として、信託財産の中から毎日少しずつ差し引かれます。料率は年率(例えば年率1.0%など)で表示されますが、実際には日割り計算されて基準価額に反映されるため、投資家が直接支払う感覚は薄いかもしれません。しかし、長期で保有する場合、この信託報酬の差が最終的なリターンに大きく影響します。
- 信託財産留保額これは、投資信託を解約(売却)する時にかかることがある費用です。解約代金から一定の割合で差し引かれ、信託財産の中に留保されます。これは、途中で解約する投資家と、引き続き保有する投資家との間の公平性を保つためや、解約に伴う売買コストを解約者に負担してもらうためのものです。全ての投資信託でかかるわけではなく、設定されていないファンドも多くあります。
これらの手数料は、投資信託の目論見書(説明書)に必ず記載されていますので、購入前にしっかりと確認しましょう。









4.3 税制比較 分離課税 vs. 総合課税
CFD取引と投資信託では、利益が出た場合の税金の取り扱いが異なります。
CFD取引の税金
CFD取引で得た利益は、原則として「雑所得」に分類され、「申告分離課税」の対象となります。
申告分離課税とは、給与所得や事業所得など他の所得とは合算せず、CFD取引の利益だけで税額を計算し、確定申告によって納税する方法です。
税率は、所得の金額にかかわらず一律で20.315%です。
内訳は、所得税15%、住民税5%、そして復興特別所得税0.315%(2037年まで)です。
CFD取引で損失が出た場合は、同じ「先物取引に係る雑所得等」に分類される他の取引(例えばFX取引や日経225先物取引など)の利益と損益通算(利益と損失を相殺すること)が可能です。
さらに、その年に損益通算してもなお損失が残った場合は、その損失を翌年以降3年間にわたって繰り越し、将来の利益から控除することができます(損失の繰越控除)。
会社員の方などで給与所得がある場合、CFD取引による年間の利益が20万円を超えると、原則として確定申告が必要です。
投資信託の税金
投資信託の税金は、利益の種類によって少し異なります。
- 譲渡益(売却益・償還益)投資信託を売却したり、償還されたりして得た利益は、「譲渡所得」として「申告分離課税」の対象となります。税率はCFDと同じく20.315%です。株式や他の投資信託の譲渡損失と損益通算が可能です。損失が出た場合は、翌年以降3年間の繰越控除もできます。
- 分配金投資信託から受け取る分配金は、「配当所得」として扱われます。税率は原則20.315%で、通常は分配金が支払われる際に源泉徴収(税金が天引き)されるため、確定申告は不要(申告不要制度)とすることもできます。ただし、確定申告をすることで、申告分離課税を選んで投資信託の譲渡損失と損益通算したり、総合課税を選んで配当控除という税額控除の適用を受けたりすることも可能です。総合課税は、他の所得(給与所得など)と合算して税額を計算する方法で、所得が低い場合は税率が低くなるため有利になることがあります。
また、NISA(少額投資非課税制度)の口座で投資信託を運用した場合、一定の投資額までであれば利益に税金がかかりません。
税金の仕組みは複雑ですが、投資の成果に大きく関わるため、基本的なポイントは押さえておきましょう。









5. リスク管理と損失限定策
投資にはリスクがつきものです。CFD取引では「追加証拠金(追証)」や「ロスカット」という仕組みで損失の拡大を防ごうとしますが、それでも元本以上の損失が出る可能性もあります。投資信託も「元本割れ」のリスクがあり、価格は変動します。それぞれの損失限定策や、市場が大きく動いたときのヘッジ手段について解説します。
5.1 追加証拠金とロスカット規定(CFD)
CFD取引はレバレッジを利用するため、大きな利益を狙える可能性がある一方で、損失も大きくなるリスクがあります。
そのため、投資家の損失が際限なく拡大することを防ぐための仕組みとして、「追加証拠金(ついかしょうこきん、略して追証:おいしょう)」と「ロスカット」という制度が設けられています。
追加証拠金(追証)とは、保有しているポジションの評価損が拡大し、口座の証拠金維持率(有効証拠金が必要証拠金に対してどれくらいの割合かを示すもの)が証券会社の定める一定水準(例えば100%など)を下回った場合に、追加の証拠金の入金を求められる制度です。
追証が発生すると、指定された期限までに不足分の証拠金を入金するか、保有ポジションの一部または全部を決済して証拠金維持率を回復させる必要があります。
期限までに追証が解消されない場合、次に説明するロスカット(強制決済)が行われることがあります。
ロスカットとは、証拠金維持率がさらに低い水準(例えば50%など、証券会社によって異なります)まで低下した場合に、保有している全ての未決済ポジションが強制的に決済される仕組みです。
これは、投資家の損失を一定範囲に抑えるための最終的な安全装置のようなものです。
ロスカットが執行されると、意図しないタイミングで損失が確定することになります。
証拠金維持率の計算方法は、一般的に「(純資産額 ÷ 必要証拠金)× 100」で算出されます。
純資産額とは、預けている証拠金に未決済ポジションの評価損益を加減した金額です。
これらの仕組みは投資家を保護するためのものですが、相場が急激に変動した場合には、ロスカットが間に合わず、預けた証拠金以上の損失が発生する可能性もゼロではありません。
そのため、CFD取引を行う際には、常に口座の状況を把握し、余裕を持った資金管理を心がけることが大切です。
一部の証券会社では、ロスカット執行時に手数料がかかる場合もあります。









5.2 元本割れリスクと価格変動(投資信託)
投資信託は、銀行の預金とは異なり、元本が保証されている金融商品ではありません。
つまり、投資した金額よりも受け取る金額が少なくなる、「元本割れ」の可能性があります。
投資信託の値段である「基準価額」は、その投資信託が組み入れている株式や債券などの資産の価格変動に応じて、日々変動します。
基準価額が変動する主な要因(リスク)には、以下のようなものがあります。
- 価格変動リスク株式市場全体の動きや、個別の企業の業績などによって、株式の価格は変動します。投資信託が株式を組み入れている場合、株価が下落すれば基準価額も下落する要因となります。
- 金利変動リスク市場の金利が変動すると、特に債券の価格に影響が出ます。一般的に、金利が上昇すると債券価格は下落し、金利が低下すると債券価格は上昇する傾向があります。債券を組み入れている投資信託は、この金利変動リスクの影響を受けます。
- 為替変動リスク外国の株式や債券などに投資する投資信託の場合、外国為替レートの変動が基準価額に影響します。例えば、投資先の通貨に対して円高になると、円換算での資産価値が目減りし、基準価額の下落要因となります。逆に円安になれば、基準価額の上昇要因となります。
- 信用リスク(デフォルトリスク)株式や債券を発行している企業や国などが、経営不振や財政難に陥り、約束通りに利息や元本を支払えなくなる(債務不履行=デフォルトする)可能性があります。このような場合、その発行体の有価証券の価値が大きく下落したり、無価値になったりする恐れがあり、基準価額の下落要因となります。
- 流動性リスク売りたい時にすぐに売れなかったり、不利な価格でしか売れなかったりするリスクです。市場での取引量が少ない金融商品を組み入れている場合、このようなリスクが生じることがあります。
これらのリスクは、投資信託がどのような資産に、どの地域に投資しているかによって、その種類や大きさが異なります。
投資信託を選ぶ際には、どのようなリスクがあるのかを目論見書などでしっかり確認することが大切です。









5.3 マーケット変動時のヘッジ手段比較
市場が大きく変動すると予想される時、保有している資産価値の目減りを避けるために「ヘッジ」という手段を取ることがあります。
CFDと投資信託では、このヘッジの考え方や方法が異なります。
CFDを利用したヘッジ
CFDは、柔軟なヘッジ手段として活用できます。
例えば、ある企業の株式を長期保有しているとします。
短期的にはその株価が下落しそうだと予想した場合、その株式のCFDを「売り」で保有することで、現物株の価格下落による損失をCFDの利益で相殺(ヘッジ)することが期待できます。
同様に、株式ポートフォリオ全体のリスクをヘッジしたい場合は、日経平均株価やNYダウなどの株価指数CFDを売ることで、市場全体の下落に備えることができます。
また、金(ゴールド)のCFDは、インフレ懸念時や市場が不安定な時の安全資産として買われる傾向があるため、ポートフォリオのリスクヘッジとして利用されることもあります。
CFDでヘッジを行う際のコストとしては、スプレッドやポジションを保有し続ける場合の金利調整額などが考えられます。
投資信託を利用したヘッジ
一般的な投資信託は、それ自体が直接的なヘッジ手段となることは少ないです。
しかし、市場の下落局面で利益を出すことを目的とした「インバース型ファンド」や「ベア型ファンド」と呼ばれる投資信託(ETFを含む)を利用することで、間接的にヘッジを行うことができます。
例えば、TOPIX(東証株価指数)に連動する投資信託を多く保有している場合、TOPIXが下落すると基準価額が上昇するインバース型ファンドを購入することで、保有資産全体の値下がりリスクを軽減する効果が期待できます。
ただし、インバース型ファンドは日々の値動きに連動するように設計されているため、長期間保有すると市場の動きとずれが生じやすい(逓減リスク)という特性があり、コストも比較的高めな場合が多い点に注意が必要です。
また、投資信託の中には「為替ヘッジあり」というタイプの商品もあります。
これは、外国資産に投資する際の為替変動リスクを抑えるためのもので、市場全体の価格変動リスクをヘッジするのとは目的が異なります。
為替ヘッジを行うにはコストがかかるため、その分リターンが抑制されることもあります。









6. 投資目的別の向き不向き
CFDと投資信託は、それぞれ得意なこと、向いている投資目的が異なります。CFDは短期的な売買やヘッジ取引に、投資信託は長期的な積立や分散投資に向いていると言われます。自分の投資スタイルや目的に合わせて、どちらがより適しているか考えてみましょう。両方を組み合わせて活用する方法もあります。
6.1 短期トレード・ヘッジに向くCFD
CFD取引は、その特性から短期的なトレードやヘッジ取引に向いているといえます。
まず、レバレッジを利用できるため、少ない資金でも比較的大きな金額の取引が可能です。
これにより、短期間の小さな価格変動でも、まとまった利益を狙うことができます。
また、「売り」から取引を始められるため、相場が下落している局面でも利益を追求するチャンスがあります。
さらに、多くのCFD銘柄はほぼ24時間リアルタイムで取引できるため、市場の急な動きにも対応しやすく、日中忙しい人でも取引機会を見つけやすいでしょう。
株式、株価指数、商品(コモディティ)、債券など、多様な市場にアクセスできる点も、短期的な取引機会を広げます。
これらの特徴は、数時間から数日、あるいは数週間といった比較的短い期間で売買を完結させるトレードスタイルと相性が良いです。
一方で、ポジションを長期間持ち越すと金利調整額などのコストがかさむことや、レバレッジによる損失拡大リスクがあるため、一般的に長期投資にはあまり向いていません。
ヘッジ手段としてもCFDは有効です。
既に保有している株式などの現物資産が短期的に値下がりしそうだと予想される場合に、関連するCFDを売り建てることで、現物資産の損失をCFDの利益で相殺する効果が期待できます。









6.2 長期積立・分散投資に向く投資信託
投資信託は、長期的な視点での資産形成、特に積立投資や分散投資に向いている金融商品です。
まず、多くの投資信託は少額から購入でき、毎月一定額を積み立てる「積立投資」がしやすいように設計されています。
積立投資は「ドル・コスト平均法」とも呼ばれ、価格が高い時には少なく、安い時には多く購入することになるため、平均購入単価を平準化し、高値掴みのリスクを抑える効果が期待できます。
これは、投資のタイミングに悩む初心者にとっても始めやすい方法です。
次に、投資信託は専門家(ファンドマネージャー)が複数の資産や地域に分散して投資を行ってくれます。
一つの投資信託を購入するだけで、国内外の株式や債券など、様々な種類の資産に投資したのと同じ効果が得られます。
これにより、特定の資産や地域が値下がりした場合のリスクを、他の資産の値上がりでカバーするなど、リスクを分散させる効果が期待できます。
個人でこれほど広範な分散投資を行うのは、資金的にも手間的にも大変ですが、投資信託なら手軽に実現できます。
そして、長期的に保有することで、複利効果や経済成長の恩恵を受けやすいのも投資信託の特徴です。
短期的な価格変動に一喜一憂せず、じっくりと時間をかけて資産を育てていくスタイルに適しています。
歴史的に見ても、世界経済は長期的には成長を続けており、その成長の果実を享受するには長期投資が有効とされています。









6.3 組み合わせ活用でリスク・リターン最適化
CFDと投資信託は、それぞれ異なる特徴を持っていますが、必ずしもどちらか一方を選ばなければならないわけではありません。
投資の目的やリスク許容度に応じて、両者を組み合わせて活用することで、より自分に合ったポートフォリオ(資産の組み合わせ)を構築し、リスクとリターンのバランスを最適化することも可能です。
その代表的な考え方の一つに「コア・サテライト戦略」があります。
これは、資産の大部分(コア部分)を、長期的に安定したリターンを目指す比較的リスクの低い投資(例えば、インデックス型の投資信託など)に充てます。
そして、残りの一部(サテライト部分)を、より積極的にリターンを狙う、あるいは特定の投資機会を捉えるための投資(例えば、CFD取引やテーマ型のアクティブファンドなど)に振り分ける戦略です。
この戦略では、投資信託で長期的な資産形成の土台(コア)を築きつつ、CFDをサテライトとして短期的な売買で利益を狙ったり、コア資産のヘッジ(リスク回避)に利用したりするといった使い分けが考えられます。
例えば、世界経済の成長に連動するインデックスファンドをコアとして積み立てながら、サテライト部分で特定の国の株価指数CFDや商品CFDの短期的な値動きを狙う、といった具合です。
また、投資信託ではアクセスしにくい特定の個別株の空売りや、ニッチなコモディティへの投資なども、CFDならサテライト戦略の一環として取り入れやすいでしょう。
ただし、CFDはレバレッジ取引でありリスクも高いため、サテライト部分でCFDを活用する場合は、全体の資産バランスを考慮し、リスク管理をより一層徹底することが重要です。
このように、CFDと投資信託は対立するものではなく、それぞれのメリットを理解し、賢く組み合わせることで、投資戦略の幅を広げることができます。









7. CFDと投資信託の選び方ガイド
CFD取引を始めるにも、投資信託を選ぶにも、いくつかのチェックポイントがあります。特に初心者が重視すべき点や、自分に合った証券会社やファンドを見つけるための手順、そして最後に確認するための比較表を紹介します。これらを参考にして、自分にぴったりの投資デビューを目指しましょう。
7.1 初心者が重視すべきチェックポイント
CFD取引と投資信託、どちらを選ぶにしても、また具体的にどの商品やサービスを選ぶにしても、初心者が特に重視すべきチェックポイントがいくつかあります。
まず、CFDと投資信託に共通するチェックポイントは以下の通りです。
- 自分のリスク許容度を理解するどれくらいの損失なら精神的に耐えられるか、生活に影響が出ないかを把握しましょう。これが投資商品を選ぶ上での最も基本的な判断基準となります。
- 投資の目的を明確にする短期的に利益を増やしたいのか、長期的に資産を形成したいのか、具体的な目標金額や期間を設定すると、商品選びの軸が定まります。
- 余剰資金で投資する生活費や近い将来使う予定のあるお金ではなく、当面使う予定のない余剰資金で投資を始めるのが鉄則です。
- 学習に時間をかける意思があるかどんな投資にも知識は必要です。特にCFDは仕組みが複雑なため、しっかり学ぶ時間と意欲が求められます。
次に、CFDを選ぶ場合に初心者が特に重視すべき点です。
- レバレッジは低めから始める最初から高いレバレッジをかけると、大きな損失を出す恐れがあります。まずは1倍~3倍程度の低いレバレッジで取引に慣れることをお勧めします。
- 追証・ロスカットのルールを完全に理解するこれらの仕組みを理解していないと、思わぬ強制決済や追加資金の要求に慌てることになります。
- 少額取引やデモ取引で練習する多くの証券会社が提供しているデモ取引を利用して、実際の資金を使わずに取引の流れやツールの使い方を体験しましょう。本番取引も、まずは失っても生活に影響のない少額から始めるのが賢明です。
そして、投資信託を選ぶ場合に初心者が特に重視すべき点です。
- 運用コスト(特に信託報酬)の低いものを選ぶ長期で保有する場合、信託報酬の差が将来のリターンに大きく影響します。販売手数料が無料(ノーロード)かどうかも確認しましょう。
- 運用方針が分かりやすいものを選ぶ日経平均株価などの代表的な指数に連動するインデックスファンドは、値動きの理由が比較的理解しやすく、初心者向けと言えます。複雑な仕組みのアクティブファンドは、ある程度知識がついてから検討するのが良いでしょう。
- 過去の運用実績は参考程度にする過去の実績が良いからといって、将来も同様の成果が出るとは限りません。あくまで参考情報の一つとして捉えましょう。
- 積立投資のしやすさを確認する少額から無理なく続けられるか、積立頻度や金額を柔軟に変更できるかなどもポイントです。
これらのチェックポイントを踏まえて、自分に合った投資対象や商品を選んでいきましょう。









7.2 自分に合った証券会社・ファンドの選定手順
自分に合った投資を始めるためには、適切な証券会社や投資信託(ファンド)を選ぶことが重要です。
ここでは、その選定手順のポイントを解説します。
CFD取引のための証券会社の選び方
CFD取引を提供する証券会社はいくつかありますが、以下の点を比較検討すると良いでしょう。
- 取扱銘柄の種類と数自分が取引したい株価指数、商品、個別株などがあるか確認しましょう。将来的に取引の幅を広げたいなら、銘柄が豊富な会社が有利です。
- 取引コスト(スプレッド、調整額など)スプレッド(買値と売値の差)は実質的な手数料です。スプレッドが狭いほどコストを抑えられます。また、金利調整額や権利調整額などのルールも確認しましょう。
- 取引ツールの使いやすさと機能性PC用の取引ツールやスマートフォンアプリが、初心者にも直感的に操作できるか、チャート分析機能は充実しているかなどをチェックします。注文方法の種類も確認しておくと良いでしょう。
- サポート体制日本語での問い合わせに対応しているか、電話やチャット、メールなどサポート手段は何か、対応時間はどうなっているかなどを確認します。初心者には、サポートが手厚い会社が安心です。
- 会社の信頼性と安全性金融庁に登録されているか、顧客の資産は分別管理されているかなど、会社の信頼性やセキュリティ体制は必ず確認しましょう。
- デモ口座の有無多くの証券会社では、実際のお金を使わずに取引を体験できるデモ口座を提供しています。本番前に操作感やツールの機能を試すために活用しましょう。
投資信託(販売会社・ファンド)の選び方
投資信託は、販売会社(銀行や証券会社)を通じて購入します。
ファンドそのものと、販売会社の両面から選ぶ必要があります。
- 販売手数料と信託報酬の低さ購入時にかかる販売手数料は無料(ノーロード)のものが増えています。保有期間中ずっとかかる信託報酬は、長期運用では特にリターンに影響するので、できるだけ低いものを選びましょう。
- 取扱ファンドの種類と数インデックスファンド、アクティブファンド、バランスファンドなど、自分の投資方針に合った種類のファンドを取り扱っているか確認します。品揃えが豊富な販売会社なら選択肢も広がります。
- 積立サービスの充実度毎月いくらから積み立てられるか(最低積立金額)、積立頻度(毎日、毎週、毎月など)、引き落とし方法などを確認しましょう。少額から無理なく続けられるサービスが理想です。
- 情報提供やサポートファンドに関する情報提供が分かりやすいか、投資相談ができるかなど、販売会社のサポート体制も確認ポイントです。
- NISA・つみたてNISAへの対応税制優遇のあるNISAやつみたてNISAを利用したい場合は、その制度に対応したファンドを扱っているか、手続きはしやすいかなどを確認しましょう。
これらのポイントを参考に、複数の会社やファンドを比較し、資料請求をしたり、ウェブサイトをよく読んだりして、自分に最適なものを見つけてください。









7.3 比較早見表で最終チェック
CFDと投資信託のどちらが自分に合っているか、また具体的な商品を選ぶ際の最終チェックとして、改めて両者の主な違いを比較してみましょう。
以下の表は、これまで解説してきたポイントをまとめたものです。
ご自身の投資目的、リスク許容度、資金、投資にかけられる時間などを考慮しながら、各項目を比較してみてください。
特徴 | CFD | 投資信託 |
基本構造 | 差金決済取引 | 資金を集めて専門家が運用 |
資産の保有 | しない(価格変動に投資) | 間接的に保有(ファンドが保有) |
レバレッジ | あり(最大 国内株価指数10倍等) | 基本的になし(一部レバレッジ型あり) |
売りから取引 | できる | 基本的にできない(一部インバース型あり) |
取引タイミング | リアルタイム | 1日1回の基準価額 |
取引時間 | ほぼ24時間(平日、銘柄による) | 販売会社の営業時間に準じる |
主な投資対象 | 株価指数、個別株、商品、為替など多様 | 株式、債券、不動産など(ファンドによる) |
運用方法 | 自分で行う(アクティブ) | 専門家におまかせ(パッシブ/アクティブ) |
最低投資金額の目安 | 数万円程度から(レバレッジ利用時) | 数百円~数千円から(積立の場合) |
主なコスト | スプレッド、金利調整額、権利調整額 | 販売手数料、信託報酬、信託財産留保額 |
税金(利益が出た場合) | 雑所得・申告分離課税(20.315%) | 譲渡所得・申告分離課税(20.315%)<br>配当所得・源泉徴収/申告選択可 |
損失の繰越控除 | 可能(3年間、先物取引に係る雑所得等内) | 可能(3年間、株式等に係る譲渡所得等内) |
向いている投資スタイル | 短期~中期トレード、ヘッジ取引 | 長期積立、分散投資 |
初心者向けの注意点 | レバレッジ管理、ロスカット理解が必須 | 長期保有が前提、コスト比較が重要 |
この表を見ながら、「自分はどちらの『特徴』により魅力を感じるか」「どちらの『コスト』や『リスク』なら受け入れられるか」を考えてみてください。
例えば、少額の資金で積極的に利益を狙いたい、市場の動きに機敏に対応したい、下落相場でもチャンスを掴みたい、という方はCFD取引に魅力を感じるかもしれません。
一方、専門家に運用を任せたい、コツコツと時間をかけて資産を育てたい、リスクはできるだけ分散したい、という方は投資信託が合っている可能性があります。
最終的には、ご自身の判断が最も大切です。
この情報が、あなたにとって最適な投資方法を見つけるための一助となれば幸いです。









8. まとめ あなたに最適なのはどっち?
CFDと投資信託、それぞれの特徴やメリット・デメリット、選び方のポイントを解説してきました。CFDはレバレッジを効かせた短期取引やヘッジに、投資信託は長期的な積立・分散投資に向いています。どちらが良いかは一概には言えず、あなたの投資目的、リスク許容度、ライフスタイルによって最適な選択は異なります。両者を組み合わせるコア・サテライト戦略も有効です。大切なのは、まず少額から、余裕資金で、そしてしっかりと学んでから始めることです。
CFDと投資信託は、それぞれ異なる魅力とリスクを持つ金融商品です。
CFDは、レバレッジを利用して少ない資金で大きな取引ができ、売りからも入れるため短期的な売買で利益を狙いたい方や、相場の下落局面でも積極的に収益機会を追求したい方に向いています。
また、ほぼ24時間取引できる銘柄も多く、日中忙しい方でも取引しやすいでしょう。
ただし、レバレッジは損失も拡大させるため、リスク管理を徹底できる知識と経験が求められます。
一方、投資信託は、専門家が運用を行い、少額からでも分散投資ができるため、長期的な視点でコツコツと資産形成を目指したい方や、投資にあまり手間や時間をかけられない方に適しています。
NISAなどの税制優遇制度も活用しやすいでしょう。
どちらを選ぶべきか迷ったら、まずはご自身の投資目的(いつまでに、いくらくらい増やしたいか)、リスク許容度(どれくらいの損失までなら受け入れられるか)、投資に使える資金や時間などを整理してみましょう。
そして、もしCFD取引に少しでも興味を持たれたなら、多くの証券会社が提供しているデモ取引を試してみることから始めるのがお勧めです。
実際に取引を体験することで、CFDの面白さや難しさ、自分との相性が見えてくるはずです。
その上で、信頼できる証券会社を選び、まずは少額からチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
この記事が、あなたの投資の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
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